研究者データベース

松永 民秀 (マツナガ タミヒデ)

  • 薬学研究科臨床薬学分野 教授
メールアドレス: tmatsuphar.nagoya-cu.ac.jp
Last Updated :2024/04/11

研究者情報

学位

  • 九州大学大学院薬学研究科衛生化学・裁判化学/博士(薬学)

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J-Global ID

研究キーワード

  • 分化   肝細胞   ヒトiPS細胞   

研究分野

  • ライフサイエンス / 細胞生物学
  • ライフサイエンス / 薬系化学、創薬科学
  • ライフサイエンス / 薬理学
  • ライフサイエンス / 薬系衛生、生物化学
  • ライフサイエンス / 医療薬学

研究活動情報

論文

書籍

  • 臓器チップの技術と開発動向
    岩尾岳洋; 松永民秀 (担当:共著範囲:経口投与薬物の吸収・代謝過程を模倣した小腸–肝臓連結デバイスの開発)シーエムシー出版 2018年04月
  • 薬剤学実験法 必携マニュアル —Pharmaceutical Scientistのために—
    松永民秀; 岩尾岳洋 (担当:共著範囲:多能性幹細胞(ES細胞,iPS細胞)の利用)日本薬剤学会,南江堂 2014年04月

MISC

産業財産権

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2026年03月 
    代表者 : 安井 孝周; 田口 和己; 加藤 洋一; 安藤 亮介; 海野 怜; 岡田 淳志; 杉野 輝明; 濱本 周造; 松永 民秀; 郡 健二郎
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2021年04月 -2026年03月 
    代表者 : 岡田 朋記; 田口 和己; 松永 民秀; 安井 孝周; 嶋田 逸誠; 岡田 淳志; 濱本 周造
     
    [1]ヒト由来の腎オルガノイドを用いて健常者と尿路結石患者の腎形態を比較する ① 健常者および尿路結石患者由来iPS細胞の作製 研究に同意を得た健常者、尿路結石患者から血液を採取し、全血から末梢血単核細胞を分離後、エピソーマルベクターを用いて山中4因子(Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc)を導入し、iPS細胞を作製した。本研究では安定したiPS細胞確立のため、外部受託を行った。尿路結石患者由来のiPS細胞は計5クローン作製され、その後の拡大培養により腎オルガノイドの作製に必要な細胞数が充分量確保された。 ② 健常者および尿路結石患者由来の腎オルガノイドの作製 作製したiPS細胞を、高里(Nature, 2015)らの手法を用いて、CHIR99021、FGF9の付加により腎前駆細胞へと分化させ、遠心分離による再集合の形成と三次元培養を経て腎オルガノイドを誘導した。また今後の実験系において適した腎オルガノイドを作製するため、Freedman(Nat Commun, 2015)らの手法を用いて、CHIR99021、B27の付加により遠心分離を行なわなず、Spheroidを形成させることによる腎オルガノイドの誘導も行った。作製された腎オルガノイドの評価は、いずれの手法によるものもホールマウント免疫染色にて行った。健常者由来と尿路結石患者由来の腎オルガノイドは、WTI、LTL、E-cadherinの免疫染色によって、それぞれ糸球体、近位尿細管、遠位尿細管の構造が発現していることを確認した。この際、健常者と尿路結石患者由来を比較したが、免疫染色上で確認される組織構造の相違は認めなかった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 片野 敬仁; 松永 民秀
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 堺 陽子; 松永 民秀; 長田 茂宏; 岩尾 岳洋
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 中村 克徳; 益崎 裕章; 安藤 雄一; 松永 民秀; 莚田 泰誠
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 松永 民秀; 岩尾 岳洋
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2021年04月 -2025年03月 
    代表者 : 竹内 正義; 石垣 靖人; 松永 民秀; 郡山 恵樹; 瀧野 純一
     
    研究代表者らがこれまで世界に先駆けて解明してきた、TAGE蓄積と生活習慣病との関連について、さらなる科学的根拠を蓄積し、「TAGE原因説」の概念を確立するための研究を遂行している。 令和3年度においては、以下の研究を実施した。 【1】肝細胞障害:1)各種肝細胞を用い、TAGE前駆体のグリセルアルデヒド(GA)を添加する方法により、TAGE蓄積と細胞障害機序を比較した結果、ほぼ同様の影響が検証された(Biol. Pharm. Bull. 2021,44:1399)。2)ヒト細胞株を用いてGA耐性株の樹立を試みた結果、1株においてGA耐性を獲得していることが判明した(竹内、石垣、松永、研究協力者)。【2】心筋細胞障害:心筋細胞と膵島β細胞においては、TAGE蓄積に伴うオートファジー関連蛋白質の挙動の違いが見出され(Nutrients 2022,14:332)、TAGEを蓄積した心筋細胞は、特異的なオートファジー阻害を起こしている可能性が示唆された(竹内、研究協力者)。【3】神経細胞障害:神経細胞におけるTAGE化蛋白質として軸索伸長に関連するβチューブリンを見出した。そこで、GAによる軸索伸長への影響を調べたところ、GAはβチューブリンのTAGE化を伴う異常凝集を引き起こし、軸索伸長を阻害することを見出した(論文投稿準備中)(郡山、研究協力者、竹内)。【4】血管内皮細胞障害:不死化ヒト臍帯静脈内皮細胞を用いてRasGRP2安定過剰発現株を樹立した(Sci. Rep. 2021,11:2959)(瀧野、研究協力者、竹内)。【5】小腸上皮細胞障害:hiPS細胞から実験に適した小腸上皮細胞への分化誘導条件を改良し、最適化を検証した(松永、研究協力者)。【6】TAGE蓄積抑制化合物の探索:TAGE特異的評価系を用いて、候補化合物の探索を実施し、数種の化合物を見出した(竹内)。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2020年04月 -2023年03月 
    代表者 : 坡下 真大; 松永 民秀; 諫田 泰成
     
    運動ニューロンが障害を受ける筋萎縮姓側索硬化症(ALS)の脳内神経変性部位において、血液脳関門(BBB)が破綻していることが近年報告されており、神経変 性要因の一つと考えられている。脳毛細血管内皮細胞、脳ペリサイト、アストロサイトから構成されるBBBの破綻には、炎症反応を活性化するミクログリアが関 与していると考えられているが、ミクログリアによる炎症反応がどうのようにBBBを破綻させているのかは分かっていない。本研究では、ALSにおけるBBB破綻の メカニズムを解明するために、iPS細胞から構築したBBB構成細胞とALS患者iPS細胞由来ミクログリアを共培養した炎症反応模倣in vitro BBB評価系を構築することを目的としている。 本年度は、健常人iPS細胞から分化誘導した血管内皮前駆細胞およびペリサイトを、セルカルチャーインサート内にて共培養できる条件設定を行い、経内皮電気抵抗値が上昇する共培養法を確立した。現在、健常人iPS細胞由来ミクログリアおよび健常人iPS細胞由来アストロサイトとの共培養法の確立を目指している。また、健常人iPS細胞からミクログリア前駆細胞の分化誘導に成功し、前駆細胞を増殖させる低分子化合物の検討を行っている段階である。加えて、ALS患者iPS細胞を本年度後半に入手することができたため、現在、ALS患者iPS細胞からミクログリアへの分化誘導の検討を行っている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2020年04月 -2023年03月 
    代表者 : 岡田 淳志; 田口 和己; 郡 健二郎; 安藤 亮介; 松永 民秀; 安井 孝周; 濱本 周造
     
    [1] 培養Mφを用いたM1/M2マクロファージ結晶貪食解析法の確立 ① 培養Mφを用いたM1/M2誘導による貪食解析:昨年度は貪食能の定量化の確立を行い、IFN-γ・IL-4投与によるf-COM結晶貪食率の差異を確認できなかった。この理由として、培養MφのM1/M2への分化を期待した研究方針であったと認識し、本研究はこの段階で中止として全般的に化合物ライブラリー研究へと移行した。 ② 既存薬ライブラリーによる貪食能の亢進薬の選出:昨年度2600種類の既存薬ライブラリーFDA-approved Drug Library (384-well)-L1300の導入を決定し、抽出した約800種類の薬剤に関し貪食解析を開始した。IncuCyteハイスループット生細胞解析システムで、細胞面積とCOM面積を測定し、総COM残量 (crystal remaining amount; CRA)を算出した。すべての薬剤について、3-5回同じ条件で実験を行い、CRAを測定した。現在、COM結晶の貪食を有意に変化させる薬剤について抽出中である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2019年04月 -2023年03月 
    代表者 : 安井 孝周; 田口 和己; 安藤 亮介; 松永 民秀; 海野 怜; 川端 剛; 岡田 淳志; 濱本 周造
     
    尿路結石は、生涯罹患率が12%に達し、再発率は5年で50%と高いが、予防法は確立していない。私たちは、尿路結石モデルマウスにおいて「腎結石が自然消失する」という現象を捉えた。これには、尿細管上皮細胞のオートファジーや、免疫細胞であるMφによる結晶貪食が関わることが示唆される。本研究では、尿細管上皮細胞・Mφ・脂肪細胞らの細胞間ネットワークに焦点を当て、以下の5つの研究から尿路結石の包括的な治療法・予防法の開発を目指している。 [1] オートファジーを応用した尿路結石形成機序の解明と制御法の確立:オートファジーが結石形成腎で低下していることを示し、MTOR阻害剤がオートファジーと結石形成の減少をきたすことを明らかにした。 [2] Mφ分化を応用した尿路結石の消失現象の解明と予防法の開発:マウス骨髄から遊離したMφをM1・M2に分化、ソート後、静脈注射によって投与し、M2が結石形成を抑制することを示した。 [3] 脂質代謝障害におけるオートファジー・Mφ機能の障害と結石形成変化の解明:脂質代謝に関わるFABP4が結石形成腎で変化していることを明らかにした。 [4] ヒト腎乳頭・尿中蛋白におけるオートファジー/Mφ/脂質代謝関連分子のomics解析:ヒト腎乳頭組織からRNAを抽出した。Omics解析によって結石形成におけるネットワークを解明する。 [5] 低分子化合物ライブラリーによる細胞間結晶貪食作用を介した創薬:iPS細胞からMφを分化させた。そのMφがシュウ酸カルシウム結晶を貪食することを確認した。疾患iPSを用いた研究に応用する。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2019年04月 -2022年03月 
    代表者 : 松永 民秀; 岩尾 岳洋
     
    ヒトiPS細胞の小腸上皮細胞への分化誘導法の確立として高分子化合物の影響を明らかにするために、セルロース、キチン及びジェランガム誘導体であるFP001及びFP003を腸管上皮細胞への分化誘導時に添加し、マーカー遺伝子の発現を解析することによって分化に対する影響を検討した。その結果、FP001及びセルロースの添加によりVillin1、 MDR1、PEPT1、CYP3A4及びPXRの発現上昇が認められた。また、FP001添加で小腸上皮細胞マーカー、薬物トランスポーター、薬物代謝酵素のmRNA発現が有意に増加した。さらに、Villin、PEPT1、SGL1、P-gp及びBCRPのタンパク質発現並びにCYP2C19活性も有意に増加することを明らかにした。FP001添加で細胞数の増加が認められたが、細胞周期の変動解析より細胞増殖に影響しないことが示唆された。また、老化細胞の割合とIntegrin α5が上昇したことから、細胞のアノイキスを抑制することが示唆された。FP001は、細胞・マトリクス間接着の喪失を制御し、細胞死を抑制することで、結果として小腸上皮細胞の成熟化と細胞数の増加をまねくことが示唆された。また、セルロースやジェランガムは難消化性の多糖類であり、消化管内容物として存在することから、in vitroにおいても腸管上皮細胞の機能亢進・維持に効果があることが示唆された。 腸管オルガノイドについては、これまで嚢胞状の形態であったものが、培養法の検討により浮遊培養においてもBudding と呼ばれる複雑な組織を創出することが可能となった。また、マーカーの発現及び機能も嚢胞状のものと比較して高かったことから、高機能な腸管オルガノイドの作製が可能となった。 免疫細胞としてマクロファージとの共培養系について検討を行っており、炎症性サイトカイン等の影響については今後検討する予定である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2019年04月 -2022年03月 
    代表者 : 中村 克徳; 益崎 裕章; 安藤 雄一; 松永 民秀; 莚田 泰誠
     
    2019 年度に実施した研究の成果 【意義】抗体医薬の動態に関与する抗体医薬の生体内輸送タンパクは、研究が始まったばかりで、特に抗体医薬の血中半減期に関与する細胞内輸送タンパク遺伝的多型の影響は十分に検討されていない。「研究の目的」本研究では、何がバイオ医薬品による副作用の原因となるのか、バイオ医薬品の副作用軽減に用いる併用薬は何が最適なのかを明らかにする。 【具体的内容】バイオ医薬品の一種であるリツキシマブのインフュージョンリアクションの発生頻度と、FcRn 遺伝的多型との相関を解析する。この手段として、FcRn 遺伝的多型迅速診断法を開発する。モノクローナル抗体医薬の投与速度を遅くすることや副腎皮質ステロイド剤の追加投与、抗ヒスタミン薬と解熱鎮痛剤のうち、患者に薬剤アレルギーのあるものの代わりに副腎皮質ステロイド剤の投与をすることでコントロールされている。しかし、併用薬によるインフュージョンリアクション発現の程度の差については、十分に明らかになっていないため、最適な併用薬剤を検討する。 【今後の研究の展開に関する計画】バイオシミラーの導入前後での先行バイオ医薬品との臨床検査値的な違いを明らかにすることも検討したい。現状では、バイオシミラーの切り替えが律速になる可能性が高いことから、既にバイオシミラーを導入している近隣施設との比較検討も考慮したい。検討項目としては、バイオシミラーでは先行バイオ医薬品との免疫原性等の差異にも注意する必要があるため、有効性・安全性に関する臨床検査値のカルテ調査を行う。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2017年04月 -2020年03月 
    代表者 : 坡下 真大; 松永 民秀; 降幡 知巳
     
    後日報告します。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2016年04月 -2020年03月 
    代表者 : 竹内 正義; 瀧野 純一; 松永 民秀; 郡山 恵樹
     
    糖尿病などの発症に関連する砂糖や果糖ブドウ糖液糖の習慣的過剰摂取により、肝細胞や心筋細胞内で糖代謝中間体のグリセルアルデヒドが過剰に産生され、細胞内蛋白質と反応して毒性終末糖化産物(toxic AGEs, TAGE)を生成・蓄積して各種細胞障害を引き起こすことが示された。その結果、細胞外へ逸脱/漏出したTAGEが周辺の細胞にも影響を及ぼし、さらに血中TAGE量の上昇をも引き起こして生活習慣病の発症・進展に関与していることが、各種細胞や動物を用いた実験により明らかになった。 今後、このようなTAGEの概念を広く国民生活に普及させるためには、さらなる科学的根拠の蓄積が必要であると考えられる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2016年04月 -2019年03月 
    代表者 : 田谷 正仁; 小嶋 勝; 境 慎司; 松永 民秀
     
    本研究では、可視光硬化インクとバイオプリンターを中心として、独自の3Dバイオプリンティング技術を統合的な視点から構築し、機能的な組織構築につながる技術を確立することを目的とした。可視光硬化インクとしては、フェノール性水酸基導入高分子と可視光応答光レドックス触媒を用いて、細胞の生存に影響を与えず、内部に血管様の流路を有する構造物の造形に成功した。さらに、ヒト由来脂肪幹細胞を包括したものを造形することによって、内部で細胞の増殖を達成するとともに、分化誘導して特定の細胞を含む構造体を作製可能なことを明らかにした。このようなことから、新たな3Dバイオプリンティング技術の開発に成功することができた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2016年04月 -2019年03月 
    代表者 : 中村 克徳; 益崎 裕章; 安藤 雄一; 松永 民秀; 飯田 真介; 莚田 泰成
     
    インフュージョンリアクションは、抗体医薬投与直後に発現する副作用であり、その予測は非常に重要になってきている。本研究では、リツキシマブ投与直後に副作用を発現した患者の遺伝子多型を解析することによりインフュージョンリアクションリスク因子を明らかにした。【意義】FcRn 遺伝的多型の影響などのリスク因子を明らかにしたことで、リツキシマブ誘発性インフュージョンリアクションの予防および有効性の個人差を考慮した最適な使用が可能となることが期待される。【重要性等】リツキシマブによる本研究を抗体医薬に一般化し、抗体医薬を最初にヒトへ投与する臨床試験前に行う「前臨床試験」に応用可能であることが期待される。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2016年04月 -2019年03月 
    代表者 : 石川 哲也; 伊藤 弘康; 湯川 博; 松永 民秀; 末水 洋志; 林 由美
     
    肝細胞あるいは幹細胞由来肝様細胞移植治療のモデルとして肝細胞キメラマウス作製系を確立した。ヒト単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼを肝細胞で発現するトランスジェニックマウス、HSVtkではガンシクロビル(GCV)投与により自己肝細胞が死滅し、他家の肝細胞移植が可能となる。GCV投与後のHSVtkに対するアロ肝細胞移植では強い拒絶応答により全ての細胞が排除された。外来抗原を発現する同系肝細胞移植では、生着はしたが移植細胞周囲に炎症細胞浸潤を認め、外来抗原に対する細胞性免疫応答が確認された。肝細胞キメラマウス作製系は、細胞移植時の免疫拒絶の機序の解明、治療法構築への有用なモデルとなり得る。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2016年04月 -2018年03月 
    代表者 : 松永 民秀; 岩尾 岳洋
     
    ヒトiPS細胞から腸管上皮細胞への分化誘導において、低分子化合物により腸管マーカーや薬物動態因子のmRNA発現レベルが上昇した。一方、腸管オルガノイドでは高分子化合物により腸管マーカーや薬物動態因子も高いmRNA発現あるいは活性を示した。以上の結果より、これら化合物は分化誘導において機能の向上に寄与することが示唆された。腸管オルガノイドは、抗がん剤5-FUによる濃度依存的な細胞毒性が観察され、毒性評価系として有用だと考えられた。一方、炎症性サイトカインや再生腸上皮幹細胞マーカーのmRNA発現量は増加した。 以上の結果から、これらの発現変動は細胞毒性マーカーとして有望であることが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2014年04月 -2017年03月 
    代表者 : 松永 民秀; 大森 栄; 永田 清
     
    ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、再生医療のみならず薬物動態試験や毒性試験など、創薬研究への利用も期待されている。本研究において、三次元スフェロイド培養法は薬物代謝酵素の遺伝子発現および活性を上昇させることから、ヒトiPS細胞由来肝細胞の機能を亢進させることを明らかにした。また、低分子化合物PD98059、5-aza-2-deoxycytidineおよびA-83-01は、ヒトiPS細胞からの薬物動態学的機能を有する腸管上皮細胞への分化に有効であることを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2014年04月 -2017年03月 
    代表者 : 菊池 千草; 梶栗 潤子; 鈴木 匡; 今枝 憲郎; 松永 民秀
     
    血管障害発症のメカニズムの性差を解明するため,糖尿病モデル動物を用いた血管内皮機能評価と,アンケートを用いた女性の健診受診率に影響する因子の検討を行った.雌性ラットと雄性ラットのpost-occlusive hind limb reactive hyperemia indexを比較したところ、糖尿病モデル動物の雌性ラットではコントロールと比較し早期に血管内皮障害がおこることが判明した。アンケートの結果よりストレスを感じている女性は多く,特に子の養育と経済的要因が女性の健診受診を阻んでいることが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2014年04月 -2016年03月 
    代表者 : 松永 民秀; 伊藤 哲哉; 前田 徹; 前田 徹
     
    グルコース-6-リン酸トランスポーター遺伝子変異による糖原病Ib型患者の好中球減少のメカニズムを明らかにするために、ヒト骨髄性白血病細胞HL-60細胞を用いて研究を行った。その結果、グルコースの濃度依存的に酸化ストレスが高くなるのが原因であることが明らかになった。そこで、糖原病Ib患者の線維芽細胞より樹立したiPS細胞を用いて検討した。患者由来iPS細胞より分化した肝細胞のグリコーゲン、ピルビン酸、乳酸、脂質含量は、健常人由来iPS細胞と比較して増加していた。また患者由来iPS細胞より分化した好中球は患者と同じ病態を示した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2013年04月 -2016年03月 
    代表者 : 田中 靖人; 松永 民秀
     
    ヒトiPS細胞の肝細胞への分化において、サイトカイン類に加えバルプロ酸を添加することにより分化効率及び成熟化が促進することが明らかとなった。さらに、三次元培養法によって肝細胞はスフェロイド を形成し、肝細胞マーカー及び主要な薬物代謝酵素であるCYP3Aの遺伝子発現 は、二次元培養法と比較し顕著に高かった。このスフェロイドを浮遊培養し、高度免疫不全のTK-NOGマウスにガンシクロビルを投与、肝障害が確認されたのちに、分化した肝細胞(スフェロイド)を門脈経由で移植した。その結果、ヒトiPS細胞由来肝細胞単独を移植した群で一過性のヒトアルブミンの分泌を確認できた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2013年04月 -2016年03月 
    代表者 : 中村 克徳; 木村 和哲; 安藤 雄一; 松永 民秀; 大森 栄
     
    本研究では、抗体医薬投与直後のインフュージョンリアクション(IR)を未然に防ぐ手段を確立するために、IRリスク因子を明らかにし、IRを予測可能な評価系の確立を最終的な目的としている。リツキシマブ(リツキサン)は、主に初回投与時に発熱や悪寒、かゆみなどのIRが現れることがあるが、まれに呼吸器や心臓などに重い障害を引き起こすことが報告されている。対象患者の臨床検査値および併用薬剤を解析し、IRの頻度を調査した。名大病院でIRを発症した患者は 58.1%であった。名市大病院でIRを発症した患者は20.2%であった。現在、IRを発症した患者のゲノム DNA を抽出し遺伝子を解析中である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2011年04月 -2014年03月 
    代表者 : 松永 民秀; 大森 栄; 成松 鎭雄
     
    サルiPS細胞は、線維芽細胞に初期化因子を遺伝子導入することにより樹立した。樹立した細胞は、三胚葉への分化能有していた。異種動物キメラの作出は、マウスの胚盤胞にラット由来のiPS細胞を注入し、これを偽妊娠マウスへ移植することにより行った。作出されたマウスの中にラットiPS細胞由来の細胞を持つことが確認されたことから、作出したマウスはラットiPS細胞由来細胞を持つキメラマウスであることが明らかとなった。キメラマウスは、臓器によりラットiPS細胞の寄与率が異なっており、心臓や膵臓への寄与は高いが、肝臓への寄与は低かった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2011年 -2013年 
    代表者 : 菊池 千草; 松永 民秀; 今枝 憲郎; 鈴木 匡; 梶栗 潤子
     
    食後高血糖による血管障害機序と新規糖尿病薬dipeptidyl peptidase 4(DPP-4)阻害薬の効果を明らかにするため,モデル動物と患者情報を用いて検討した.糖尿病患者の動脈硬化性疾患発症には血糖値日内変動幅が影響していた.食後高血糖モデル動物血管壁ではリン酸化酵素であるprotein kinase C delta が減少し,内皮細胞一酸化窒素合成酵素由来の活性酸素が増加していた.DPP-4阻害薬の慢性投与は食後の血糖値の上昇を抑制し,活性酸素産生を抑制することを明らかにした.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2010年 -2012年 
    代表者 : 大森 栄; 松永 民秀; 中村 克徳; 山折 大
     
    ヒト肝細胞は創薬研究において薬物動態学的試験に有用である。しかし、ヒト初代肝細胞はロット差が極めて大きいことが問題である。また、小腸は肝臓と同様薬物動態において重要な臓器であるが、ヒト腸管上皮細胞は入手が極めて困難である。そのため、Caco-2細胞やMDCK細胞などのがん細胞であり、小腸以外の細胞が用いられている。本研究において、ヒトiPS細胞から薬物代謝酵素活性を有する肝細胞様細胞及び腸管上皮細胞様細胞を得ることができた。また、目的とする細胞は低分子化合物を添加することで効率良く得られた。以上の結果より、低分子化合物を用いて分化誘導されたヒトiPS細胞由来肝細胞及び腸管上皮細胞は薬物動態試験に有用であることが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2010年 -2012年 
    代表者 : 中村 克徳; 松永 民秀; 大森 栄
     
    本研究は、VKORC1 などの Vitamin K サイクル関連遺伝子を解析し、Vitamin K 補充による効果的な発がん予防およびがん化学療法の研究への応用を検討した。また、ヒト iPS 細胞由来肝細胞による酵素誘導能評価を行い、発がん予防研究の評価系としての有用性を明らかにした。がんとの因果関係は不明であるものの、抗がん剤との併用の際に重要となるVitamin K 代謝酵素とワルファリン投与量の関係について明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2008年 -2010年 
    代表者 : 松永 民秀; 大森 栄
     
    ヒト胎児肝(HFL)細胞では関連する核内受容体および転写を活性化するコアクチベーターの発現量が低いことが成熟肝細胞との薬物に対するCYP3A4の誘導性に差が認められる原因であることが示唆された。また、HFL細胞の擬似低酸素誘導化合物DFOによるCYP3As誘導に低酸素誘導因子HIFは直接関与せず、胎児特異的な応答性を示した。本研究より、胎児のような未熟な肝細胞は成熟肝細胞とは異なるCYP3As発現調節機構を持つことが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 松永 民秀; 大森 栄
     
    デキサメタゾン(DEX)及びリファンピシン(RIF)によるCYP3A4の誘導には、核内受容体であるプレグネノロンX受容体(PXR)が関与することが知られている。しかし、ヒト胎児肝(HFL)細胞では成人などの成熟した肝細胞と異なりDEXによるCYP3A4の誘導にPXRではなくグルココルチコイド受容体(GR)が直接関与していることを本研究において明らかとした。一方、アデノウイルスによりPXRを過剰発現してもRIFによるCYP3A4の誘導が十分認められなかった。これらの結果より、HFL細胞においてRIFによりCYP3A4が誘導されないのは、PXRの発現が極めて少ないのみならず、核内転写因子であるHNF4α及びPGC1αの低発現が原因であり、これにより成人肝細胞と薬物応答性が異なることが示唆された。一方、胎児と成人肝細胞のRIFに対するCYP3A4の応答性の違いに、遺伝子上流の発現調節領域におけるDNAのメチル化や脱アセチル化などエピジェネティクス制御の寄与は少ないことが確認された。また、サル胚性幹細胞(ES細胞)は、胚様体を形成し、接着培養を行うことで肝細胞へ分化誘導されることが明らかとなった。さらに、肝細胞への分化は、細胞外マトリックスとしてマトリゲルを用いた場合、コラーゲンと比較してはるかに促進されることが明らかとなった。ヒト胎児特異的分子種であるCYP3A7に相当するサル肝細胞の新規分子種をES細胞由来肝細胞にて見出しmCYP3A7と仮に命名、そのDNAをクローニングした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 萌芽研究
    研究期間 : 2005年 -2006年 
    代表者 : 大森 栄; 松永 民秀
     
    サル胚性幹細胞(ES細胞)より作製した胚様体(EB)をコラーゲンI(CI)処理した培養皿にて接着培養した。培養後10日目に肝細胞マーカーであるα-フェトプロテイン(AFP)、15日目にアルブミン(ALB)およびCYP7A1遺伝子の発現が認められたことにより肝細胞へ分化していることが示唆された。さらに、薬物代謝型シトクロムP450(CYP)分子種であるCYP1A1の発現は、EB培養5日目から、CYA3A66は10日目から、CYP2C20、CYP2D17やCYP3A8の遺伝子も15日目からすでに発現していることが明らかとなった。また、この系に核内転写因子であるHNF-3βを導入することにより、肝細胞マーカーならびに薬物代謝型CYP分子種のmRNAの発現が増加した。以上の結果より、サルES細胞の肝細胞への分化系を確立すると共に、HNF-3βの導入はサルES細胞の肝細胞への分化を促進することが示唆された。次に、マトリックスの分化に及ぼす影響について検討した。EBの培養マトリックスとしてマトリゲル(MG)を用いた場合、肝マーカー遺伝子の発現はCI及びマトリゲルレデュースド(MR)と比較して顕著に高かった。また、CYP1A1とCYP2C43の発現レベルもMGを用いた場合、他のマトリックスと比較して顕著に高い発現が認められた。しかし、CYP2D17及びCYP3A8はマトリックス問で殆ど差が認められず、mRNA発現に対するマトリックスの影響が分子種間で異なることが明らかとなった。また、CYP1A1のmRNA発現は3-メチルコラントレイン処理により、CYP3A8はリファンピシン及びフェノバルビタール処理により顕著に誘導されたが、CYP2C43とCYP2D17はいずれの誘導剤処理においても殆ど変動しなかった。以上の結果より、MGでの培養はES細胞の肝細胞への分化を促進することが明らかとなった。また、誘導剤のCYP分子種に対する影響が対応するヒトの分子種と同様であったことから、サルES細胞由来肝細胞がヒトの薬物動態研究の有用なモデルとなることが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2004年 -2005年 
    代表者 : 松永 民秀; 大森 栄
     
    正常ヒト胎児肝細胞(HFL細胞)にCYP3A4、CYP3A5およびCYP3A7のmRNAの発現が認められた。HFL細胞においてCYP3Aはデキサメタゾン(DEX)により顕著に誘導されるが、成人の肝細胞とは異なりリファンピシン(RIF)による誘導は全く認められなかった。平面培養においてHFL細胞におけるCYP3A4 mRNAの発現は、各種副腎ステロイド(10nM)によって誘導され、その強度は糖質コルチコイド作用(抗炎症力価)に対し高い相関性が認められた。CYP3A7においてもトリアムシノロン、ベタメタゾン及びデキサメタゾン(DEX)により強く誘導された。DEXによるCYP3Asの誘導は、100μMよりもむしろ100nMにおいていずれも強く誘導された。また、DEX(100nM)によるCYP3Asの誘導は、グルココルチコイド受容体(GR)アンタゴニストであるRU-486(5μM)で顕著に抑制された。成人の肝細胞でCYP3Asの誘導に関与することが報告されているヒトプレグナンX受容体及びヒトコンスティテューティブアンドロスタン受容体のmRNAの発現は、HFL細胞において検出することは出来なかった。一方、GRの発現はいずれの処理においても確認され、その発現量に変動は認められなかった。RNA干渉法によりGRを約40%ノックダウンした場合、DEXによるCYP3A4及びCYP3A7の誘導は、それぞれ30%、50%の発現量の減少が見られた。以上の結果より、移植先の環境が細胞分化に影響することが推察された。さらに、HFL細胞において副腎ステロイドによるCYP3Aの誘導は主にGRを介する経路によることが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2003年 -2005年 
    代表者 : 大森 栄; 松永 民秀; 佐々木 克典
     
    マウス胚性幹細胞(ES細胞)は、胚様体(EB)を作製した後、コラーゲン処理プレートに接着させ、さらに培養することにより分化させた。接着後6〜10日で自律拍動が観察されたことからES細胞は一部心筋細胞に分化したものと推察された。一方、α-フェトプロテイン(AFP)、トランスサイレチンのmRNAの発現は培養6日目から、グルコース-6-ホスファターゼのmRNAは培養30日目以降で初めて検出された。Cyp1a1 mRNAは培養初期に、Cyp3a11とCyp7a1のmRNAは培養30日目および36日目に発現が認められた。また、CYP1Aは培養20日目に、CYP3Aは30日目にタンパク質の発現が認められた。さらに、Cyp3a11のmRNA発現量は、肝細胞増殖因子(HGF)を含む培地で30日間培養した系よりも、12あるいは18日以降にHGFを除いた系で培養した方が多かった。また、Mdr1、Mdr3、Mrp1およびMrp2のmRNAは培養初期より連続して発現が認められた。サルES細胞から作製したEBをプレートに接着培養後15および30日にALBおよびAFPのmRNAの発現が認められた。また、CYP7A1のmRNAの発現も認められ、15日培養と比較して30日培養で発現量が増加していた。さらに、CYP1A1のmRNA発現はEB培養5日目から、CYP3A66は10日目から、CYP2C20、CYP2D17やCYP3A8は15日目から発現していた。なお、CYP3A8のmRNAはCYP7A1と同様、培養15日目よりも30日目の方が多く発現していた。また、ヒト胎児肝細胞に特異的に発現するCYP3A7と最も高い相同性を有する新規CYPをサルES細胞から分化した細胞より見出した。本CYPは、テストステロン6β-水酸化およびデヒドロエピアンドロステロン16α-水酸化活性を有することが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 1998年 -1999年 
    代表者 : 渡辺 和人; 宇佐見 則行; 松永 民秀
     
    1)Delta-9-tetrahydrocannabino(THC)及びその水酸化代謝物のアセチル誘導体を合成し、ES46.5Kによる加水分解の基質特異性を検討した。ES46.5Kは部位および立体選択的にTHC代謝物エステルを加水分解した。 2)ES46.5Kは、アセチルアミノフルオレン、フタル酸エステル、コカイン、ヘロイン等を効率よく水解し、生体異物の解毒機能を有することが明らかとなった。 3)ES46.5Kについては、構造類似性が知られているヒトのアセチルアミノフルオレン脱アセチル化酵素(AAF-DAC)cDNAを鋳型としてPCRを行い、その生成物を解析、これを利用してES46.5Kのクローニングを行っている。 4)Natural cannabinoids(cannabidiol, THC, cannabinol)及びTHC代謝物(11-OH-THC,11-oxo-THC等)がマウス脳ミクロソームのanandamide amidohydrolaseを阻害することが明らかとなった。 5)Anandamide amidohydrolaseをマウス肝より精製し、その触媒活性、阻害剤の影響等の酵素化学的緒性質を検討した。また、anandamide amidohydrolaseが生体内においてanandamideの作用発現を調節している重要な酵素であることを明らかにした。 6)マウス肝anandamide amidohydrolaseのアミノ酸配列に対応するペプチドフラグメントを合成し、ウサギに免役し、抗体を得た。調製した抗体は、マウス脳及び肝ミクロソームの酵素を認識し、本酵素の機能解析に用いる有用なプローブになることが明らかとなった。 7)マウス肝cDNAライブラリーを2)で調製した抗体を用いてスクリーニングを行い、陽性クローンを得た。現在解析中である。 8)AnandamideとTHC及び活性代謝物(11-OH-THC,11-oxo-THC)の薬理作用(カタレプシー惹起及び体温下降作用)において、耐性、交叉耐性並びに相互作用が認められた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 1998年 -1999年 
    代表者 : 松永 民秀; 宇佐見 則行; 渡辺 和人; 山本 郁男
     
    シトクロムP450を主要酵素とし、酸素原子添加反応により第2級アルコールを対応するケトン体に酸化する酵素Microsomal Alcohol Oxygenase(MALCO)の研究過程において、NADあるいはNADPを補酵素とし、ビタミンAの構成分子である3-OH-b-ionone(第2級アルコール)のOxo(ケトン)体への酸化反応を触媒する脱水素酵素が肝ミクロソーム中に存在することが示唆された。そこで、マウス及びサル肝ミクロソームに局在するアルコールの酸化的代謝反応を触媒する酵素の性質及び生体内機能を明らかにすることを目的とした。その結果、マウス及びサル肝ミクロソームにより3-OH-b-iononeは3-Oxo-b-iononeへと酸化され、その活性はどちらもNADを補酵素として用いた場合に最も高く、次いでNADP、NADPH、NADHの順であった。特にサルにおいてはNAD依存的な活性がNADPH依存的な活性(MALCO)よりも約2倍高かった。肝の各細胞分画におけるNADあるいはNADP依存的なOxo体生成活性は、マウスにおいて可溶性画分において最も高く、ミクロソームにおいてはその約1/3にすぎなかった局在性に種差のあることが明らかとなった。NAD依存的なOxo体生成活性は、両動物種とも肝において最も高く、次いでマウスでは肺及び睾丸で高かったのに対し、サルでは小腸及び脳で高く、臓器分布にも種差が認められた。さらに、サル肝ミクロソームのNADあるいはNADP依存的なOxo体生成活性は、マウスと異なり各種阻害剤に対する感受性に差が認められ、補酵素要求性の異なる酵素の存在が示唆された。サル肝ミクロソームのNAD依存的な活性のVmax/Km値は、NADPH依存的な活性よりも約10倍高かった。従って、サルにおけるOxo体生成にはMALCO(P450)よりむしろNADを補酵素みを補酵素とする酵素を部分精製し、とする脱水素酵素の関与が大きいことが明かとなった。そこで、ニホンザル肝ミクロソームより精製を試みた。その結果、NADのその存在を明らかにした。しかし、可溶化剤としてコール酸ナトリウムならびに安定化剤としてグリセロール及びジチオスレイトールを用いたが、初期精製段階において活性の顕著な低下が認められたことから、本酵素は非常に不安定であることが推定された。現在、そのN-末端アミノ酸配列を検討していることろである。また、サル肝9,000xg上清を酵素源としたNADP依存的な酸化活性は、9-fluorenol(122 nmol/min/mg protein)において最も高く、次いでS-indanol(50)、3-OH-b-ionone(15)、R-indanol(7)の順であった。しかし、7a-OH-D8-tetrahydrocannabinol(7a-OH-D8-THC)、8b-OH-D9-THC及び8a-OH-D9-THCでは前記基質と比較して極めて低く、特に高いNADPH依存的活性を示す7b-OH-D8-THCでは検出限界以下であった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    研究期間 : 1995年 -1995年 
    代表者 : 松永 民秀
     
    当研究室において、Δ^8-tetrahydrocannabinol(Δ^8-THC)の代謝物である7-OH-Δ^8-THC(第2級アルコール)が、分子状酸素とNADPHを必要とするミクロソーム中の酵素により、7-oxo-Δ^8-THC(ケトン体)に酸化されることを見い出した。さらに、このような反応を触媒する酵素をMicrosomal Alcohol Oxygenase(MALCO)と命名、その高い活性を有するモルモット肝ミクロソームより、主要な酵素として3A subfamilyに属すると推定される新規なP450(P450GPF-B)を精製した。そこで、本研究においてはモルモット以外の動物種について同様に明らかにすると共に、先にcDNAをクローニングしたMicrosomal Aldehyde Oxygenase(MALDO)と比較、それらの性質及び構造を明らかにすることを目的として検討を行った。その結果、マウス及びサル肝のHALCO活性も抗P450G PH-B抗体により顕著に阻害された。また、マウスのHALCO_2活性は、デキサメサゾン及びフェノバルビタール処理により有意に誘導された。そこで、デキサメサゾン処理マウス及び未処理ニホンザルの各肝ミクロソームより、抗P450GPF-B抗体との交差性を指標に精製し、その主要な酵素としてP450MDX-B及びP450JM-Eを得た。これらP450の酵素化学的性質及びN末端アミノ酸配列の比較より、いずれも3A subfamilyに属するP450であることが示唆された。また、^<18>O_2気相下ミクロソーム系による7-oxo-Δ^8-THCへの^<18>Oの取り込みに、光学異性体である7α-と7β-OH-Δ^8-THCでは明らかな違いが認められることから、複数の分子種の寄与があるものと考えていた。しかし、両精製酵素を用いた再構成系においても7α-OH-Δ^8-THCを基質とした場合には7-oxo-Δ^8-THCへの^<18>Oの取り込みが認められたのに対し、7β-OH-Δ^8-THCではほとんど取り込まれなかったことから、1つの分子種が立体選択的な機構により酸化することが示唆された。また、マウスのcDNAライブラリーよりP450MDX-Bと推定されるcDNAをクローニングし、その一次構造を決定した。その結果、本P450は3A subfamilyに属する分子種であると共に、HALDの主要な酵素であるCYP2との相同性は低いことが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 一般研究(C)
    研究期間 : 1994年 -1995年 
    代表者 : 山本 郁男; 宇佐見 則行; 松永 民秀; 渡辺 和人
     
    新規カルボニル基代謝酵素Microsomal Alcohole Oxygenase (MALCO)及びMicrosomal Aldehyde Oxygenase (MALDO)の構造と機能解析に関する研究に関して、以下の点を解明した。 1)マウス肝において、11-oxo-Δ^8-tetrahydrocannabinol (11-oxo-Δ^8-THC)のMALDO活性は、加齢により増加、その変動はミクロソーム(Ms)中のP450MUT-2 (Cyp2c-29)含量と良く一致していた。 2)9-AAのMALDO活性を指標に、マウス、モルモット及びニホンザルの各肝Msより、いずれも2B subfamilyに属することが推定されるP450MDX-A、P-45OGPF-A及びP450JM-Cをそれぞれ精製した。 3)マウス肝のMALDOは、anisaldedyde、piperonal、α-n-amylcinnamaldehyde、vanillin及びtolualdehyde等も基質としたことから、幅広くアルデヒドの代謝に関与することが示唆された。 4)7-OH-Δ^8-THCのMALCO活性を指標に、マウス、モルモット及びニホンザルの各肝Msより、いずれもCYP3Aの分子種であることが推定されるP450MDX-B、P450GPF-B及びP450JM-Eをそれぞれ精製した。 5)P450MDX-Bに相当するcDNAをクローニングし、その一次構造を明らかにした。その配列から、P450MDX-BはCyp3a-11であることが示唆された。また、マウスCyp2c-29に、系統によるalleic variantの存在が示唆された。Cyp2c-29とP450MDX-BのcDNAを発現ベクターpCMV4に挿入、現在COS7細胞での発現について検討中である。 これらの結果より、11-oxo-Δ^8-THCのMALCO活性はCYP2Cが、9-AAのMALCO活性はCYP2Bが主要な酵素であり、基質によって異なる分子種により触媒されることが明かとなった。また、MALCO活性の主要酵素はCYP3Aであり、その一次構造はMALDOとはかなり異なることが推定された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    研究期間 : 1994年 -1995年 
    代表者 : 松永 民秀
     
    新規アイソザイムP450MUT-2(MALDO)の役割とその反応機構解明に関する研究について、以下の点を明らかにした。 1) P450MUT-2(CYP2C29)の発現調節:ddN系雄マウスの11-Oxo-Δ^8-tetrahydrocannabinolを基質とした時のMALDO活性は、用いた各種誘導剤中フェノバルビタール処理で対照群の約2倍と有意に誘導されたが、3-メチルコラントレン、デキサメタゾンあるいはアセトン処理では有意な活性の上昇は認められなかった。P450MUT-2(CYP2C29)のタンパク質及びそのmRNA含量は、フェノバルビタール処理においてのみ対照群の約2培増加し、MALDO活性と良い相関が認められた。また、雄雌マウス肝のMALDO活性は、4週齢まで加齢とともに上昇、ミクロソーム中のP450MUT-2(CYP2C29)含量と良い相関を示した。現在、mRNAを分離、その変動について検討中である。 2) MALDOの種差:雌ニホンザル肝ミクロソームより、9-アントラアルデヒドのMALDO活性の主要な分子種として、N末端アミノ酸配列から2Bサブファミリーに属することが推定されるP450JM-Cを精製した。 3) CYP2C29と高い相同性を有するcDNAのクローニング:CYP2C29をプローブとして、129/J系雄マウス肝のcDNAライブラリーから、全長1718bpのcDNAをクローニングした。その推定されるアミノ酸配列から、N末端側から2残基に相当する6bpを欠いたものであった。このcDNAのCYP2C29との比較では、7塩基の置換が認められ(相同性 99.5%)そのうちアミノ酸の置換は1残基(106Ile→104Met)のみであった。CYP2C29は、C57BL/6Jマウス肝のcDNAライブラリーよりクローニングされたことから、今回得られたクローンは系統の違いによるP450MUT-2のalleic variant(CYP2C29v)と推定された。 4) cDNAの発現:P450MUT-2(CYP2C29)cDNAの発現ベクター(pCMV4)組換え体を作製、その方向を制限酵素処理により確認した。現在も本研究は進行中であり、今後COS細胞に導入、その培養細胞を用いてMALDOの性質並びにその反応機構について検討する。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 一般研究(C)
    研究期間 : 1991年 -1992年 
    代表者 : 山本 郁男; 松永 民秀; 渡辺 和人
     
    Microsomal aldehyde oxygenasa(MALDO)の構造及び機能について検討を行い以下の結果を得た。1)P450MUT-2及びそのBrCN限定分解によって得られたペプチドのN末端アミノ酸配列を決定し、全配列の約1/5に相当する102個の配列を明らかにした。その配列は、ラットのCYP2C7に最も高い相同性(86.7%)が認められ、他にCYPs2C6(84.4%)及び2C11(78.9%)などIIC subfamilyに高い相同性を有する分子種であることがさらに明らかとなった。2)CYP2C7のcDNAをプローブとして129/J及びC57BL/6系雄マウス肝のcDNAライブラリィーをスクリーニングし、各々1.1×10^5及び4.5×10^4個のプラーク中99及び33個のポジティブなプラークの存在を認め、そのうちシグナルの強度が異なる10個についてpBluescriptにサブクローニングした。3)最もサイズの大きいクローン(約1.8kbp)につき一部シークエンスを行ったところ、CYP2C7に高い相同性をもっていたが、その塩基配列より推定されるアミノ酸配列がP450MUT‐2と完全に一致するものでなかったことから、P450MUT‐2類似の分子種であることが明らかとなった。4)MALDOの種差の検討を行い、モルモットより9‐anthraldehydeのMALDO活性において主要な役割を演じていると考えられるP450分子種(P450GPF‐A)を精製した。P450GPF‐AはP450MUT‐2と異なり、11‐O_‐△^8‐tetrahydrocannabinolのMALDO活性は全く認められず、N末端アミノ酸配列よりIIB subfamilyに属する分子種であることが推定された。5)マウス肝ミクロゾーム中にtolualdehydeに対するMALDOの存在を見いだし、その本体がP450MUT-2であることを明らかにした。6)第一級アミンが酸化的脱アミノ化反応により生成するアルデヒド中間体もMALDOの基質と成り得ることを見いだした。すなわち、メスカリンから生成する3,4,5‐trimethoxyphenylacetaldehydeがMALDO(P450MUT‐2)により、カルボン酸体へと酸化されることを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    研究期間 : 1990年 -1990年 
    代表者 : 松永 民秀
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 一般研究(C)
    研究期間 : 1989年 -1990年 
    代表者 : 山本 郁男; 松永 民秀; 成松 鎮雄; 渡辺 和人
     
    我々の研究グル-プは、これまでに動物肝ミクロゾ-ム中にアルデヒド類を酸素添加反応により対応するカルボン酸へと酸化する酵素Microsomal Aldehyde Oxygenase(MALDO)の存在を明らかにしている。前年度は雄マウス肝ミクロゾ-ムよりMALDO活性を有するアイソザイム、シトクロム450MUTー2を精製し、その性質について一部明らかにし報告した。本年度はミクロゾ-ムあるいは精製酵素を用いて以下の点を解明した。 1)マウス肝MALDOは2ーoctenal,2ーnonenal,2ーdecenal,2ーundecenal等の脂肪族アルデヒド類も基質とする。 2)マウス肝ミクロゾ-ム中の9ーanthraldehydeに対するMALDO活性には顕著な性差が認められ、雄より雌で高い活性を示した。このことは9ーanthraldehydeを代謝するMALDOの中には性特異的なアイソザイムが含まれていることを示唆するものである。 3)シトクロムP450MUTー2はMALDO活性を有するのみならず、テトラヒドロカンナビノ-ル、カンナビノ-ル、カンナビジオ-ル等の大麻主成分の代謝に関与する抗体を用いた実験からめらかとなった。 4)シトクロムP450MUTー2によるテトラヒドロカンナビノ-ルのアルデヒド体のカルボン酸体への酸化反応には明らかな重水素同位体効果が認められた。 5)シトクロムP450MUTー2はテストステロンやラノステロ-ル等の内因性ステロイドに対してはほとんど触媒活性を有さない。

メディア報道

  • 「知る『臓器チップ』開発加速」
    報道 : 2019年02月
    番組・新聞雑誌 : 読売新聞
     新聞・雑誌
  • 「世界に先駆け、ヒトiPS細胞から医薬品開発に使える小腸モデルを作る!」
    報道 : 2017年03月
    番組・新聞雑誌 : 科学新聞
     新聞・雑誌
  • 「iPS細胞を創薬研究に;吸収や毒性試験の小腸モデルへの利用」
    報道 : 2017年03月
    番組・新聞雑誌 : 中部経済新聞
     新聞・雑誌
  • 「腸管上皮細胞誘導法名古屋市大から実施権の許諾iPSアカデミア」
    報道 : 2012年07月
    番組・新聞雑誌 : 日刊工業新聞
     新聞・雑誌

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