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立野 一郎 (タツノ イチロウ)

  • 医学研究科細菌学分野 講師
Last Updated :2024/03/19

研究者情報

学位

  • 博士(理学)(名古屋大学)

J-Global ID

研究キーワード

  • 細菌   Bacteriology   

研究分野

  • ライフサイエンス / 細菌学

経歴

  • 2006年 - 現在  名古屋市立大学大学院医学研究科細菌学分野Graduate School of Medical Sciences, Department of Bacteriology講師
  • 2003年 - 2006年  メリーランド大学ボルチモア校(Microbiology and Immunology)
  • 1998年 - 2003年  東京大学医科学研究所細菌分野助手

学歴

  • 1997年03月 -   理学博士(名古屋大学)

所属学協会

  • 日本細菌学会   

研究活動情報

論文

MISC

受賞

  • 日本細菌学会黒屋奨学賞
     
    受賞者: 立野 一郎

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2026年03月 
    代表者 : 井坂 雅徳; 前山 順一; 立野 一郎; 矢木 宏和
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2021年04月 -2024年03月 
    代表者 : 長谷川 忠男; 立野 一郎
     
    A群レンサ球菌は、古くから咽頭炎などの原因菌として知られていたが、1990年前後より再興感染症としての劇症型感染症の起因菌(人喰いバクテリア)となることが報告された。病原性発揮には毒素蛋白質の質的、量的変化が重要な役割を果たしているが、発現制御については未知の部分が多い。今回の研究ではゲノム情報から数多く推定される機能未知の転写調節を司ると考えられる因子の機能を明らかにすることにより、未知の発現制御の解明に取り組んでいる。 1.転写調節遺伝子ノックアウト株の樹立ー劇症型感染症患者由来株である10-85のゲノム情報から転写因子と推定されているもの、仮想蛋白質とされているものでより詳細な検討で転写調節に関与することが考えられる遺伝子をすべてpick upした。それらの遺伝子の網羅的なノックアウト株の樹立を試み、約40種類のノックアウト株を樹立した。 2.蛋白質分解酵素活性の解析ー樹立したノックアウト株について産生する培養上清中のSpeB蛋白質分解酵素をSDS-PAGEにより解析した。またスキムミルク含有BHI培地で培養することにより蛋白質分解酵素活性を検討した。これらの解析により6遺伝子がSpeBの発現の減弱に関与した。そのうち4種はスキムミルク培地においても活性が減弱したが、2種は変化が認められなかった。 3.DNA分解酵素活性の解析ーDNA培地を用いてDNA分解酵素活性を検討した。2種のノックアウト株において活性の減弱を認めた。これらはそれぞれCtsR familyとGntR familyに属すストレス応答転写調節因子であった。またこれらの2種は先に述べたSpeB発現の減少にも関与し、種々の毒素蛋白質発現に関与する重要な発現調節因子であることが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2018年04月 -2023年03月 
    代表者 : 井坂 雅徳; 長谷川 忠男; 前山 順一; 立野 一郎; 青山 峰芳; 矢木 宏和
     
    A群連鎖球菌は、咽頭炎や猩紅熱を引き起こす原因菌である。劇症型への機序について様々な研究報告が出ているが、一向に完全解明に至っていない。そこで、劇症型が発症するにはA群連鎖球菌がヒトへ感染後、変化するための何らかの情報を受け取らなければならないと考えた。ここで外界情報を受け取る二成分制御因子の研究が進んでいる、Streptococcus mutansに着目した。A群連鎖球菌と同属のこの細菌は、乳酸、酪酸を産生し、歯にバイオフィルムを形成して虫歯を増悪させる。この細菌の二成分制御因子は酸感受とバイオフィルム形成に関与する。同様の仕組みがA群連鎖球菌に存在するかを調べると、A群連鎖球菌の二成分制御因子の一つであるspy1588遺伝子欠損株は、バイオフィルム産生低下、酸抵抗性の低下を示した。我々は、酸を感受する二成分制御因子と、それに関連する遺伝子群に変異が劇症型に生じていると考え、研究を現在進めている。 昨年度にSPY1588部分ペプチド発現用のpETベクターの作製と、コンピテントセル大腸菌の様々な組み合わせ、および精製法の改良を行った。最終結果として、pET32aベクターにSPY1588のインサートを組み込み、Rosetta Gami2(DE3)にそのベクターを導入した株が、目的産物をIPTGの誘導により強力に発現することが出来た。そしてこの後の目的産物の精製に困難を極めていたが、IPTG誘導後の大腸菌を超音波破砕と界面活性剤を使い分けて遠心分離処理を施すと、目的タンパク質の可溶化が可能になることが明らかとなった。この精製法の確立で、目的タンパク質の精製度が良くなり、タンパク質結晶化に実施するに値する目的産物を得ることが可能となった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年04月 -2020年03月 
    代表者 : 鳥山 和宏; 内堀 貴文; 立野 一郎; 佐藤 秀吉
     
    SDラットの大腿動静脈を切断して10-0ナイロンで血管吻合を行い、吻合部に直接ブドウ球菌を術直後、24時間で播種した。結果は播種翌日肉眼的に静脈吻合部のみ血栓を認め、動脈吻合には血栓を認めなかった。組織学的には、術直後に細菌播種した静脈で白色血栓を、24時間後に播種した静脈で赤色血栓を認めた。動脈では観察時に明らかな血栓を認めなかったが、組織学的には血管内膜にフィブリンの細かい沈着を認める例も散見された。血栓ができる機序の解明のために、抗生剤の腹腔内投与、ヘパリンの皮下注射、アルプロスタジル注射液の腹腔内投与により血栓形成が抑制できないか検討を行った。いずれの方法でも血栓の予防はできなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年04月 -2020年03月 
    代表者 : 立野 一郎; 長谷川 忠男; 井坂 雅徳
     
    A群レンサ球菌新型株(特徴として、SalR-SalK遺伝子を含む領域を欠損している)には病原性の高い株と病原性の低い株の2種類が存在する。この病原性の違いが、fabT遺伝子の変異に依存していることを突き止め、解析結果を論文として発表した(2016)。但し、この論文内で実施したゲノム解析は不完全な状態(一本の環状DNAとしてつながっていない)であった。そこで、論文で使用した新型株である10-85を再度Pac-Bioを用いてシークエンスし、一本の環状DNAとしてつなげることに成功した(Accession No.AP019548)。この結果は、論文として発表済み(2019)。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年04月 -2019年03月 
    代表者 : 長谷川 忠男; 井坂 雅徳; 立野 一郎
     
    近年分離されるemm1タイプのA群レンサ球菌に含まれるファージ由来のDNAに注目して研究を行った。抗生物質マクロライドの耐性メカニズムとして考えられていたmef(A)/mef(E)遺伝子がコードする排出ポンプの役割は少なく、ゲノム上それらの直下に存在する各々のmsr(D)遺伝子がより重要な役割を果たすことが明らかとなり、耐性度の違いもそれぞれのmsr(D)の塩基配列の違いに起因していることが示唆された。マクロライド耐性に関しては、外界の刺激を感知し遺伝子発現を制御する二成分制御因子の関与が示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2014年04月 -2019年03月 
    代表者 : 井坂 雅徳; 長谷川 忠男; 前山 順一; 立野 一郎
     
    A群連鎖球菌は劇症型という重篤な症状を引き起こすが、その機序は不明である。外界からの刺激を受け取り菌体内部へ情報を伝達する二成分制御系の仕組みを解析することで、劇症型発症機構が明らかになると考え、二成分制御因子のセンサータンパク質の酸感受性機構とバイオフィルム産生機序を解析した。その結果、SPY1622が酸感受後に繊毛を発現し、バイオフィルム産生をしていたことを見出した。また、新規にSPY1588も酸感受性に関与することが明らかになった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 長谷川 忠男; 立野 一郎; 井坂 雅徳
     
    A群レンサ球菌の、外界からのストレス感知にネットワークを構成し機能する二成分制御系について解析を行った。酸の感知には、複数のセンサー蛋白質が関連しており、これらは酸化ストレスの感知や、バイオフィルム産生にも関連していることが示唆された。ある種のセンサー蛋白質を検討し、病原因子獲得に有利に働く可能性を有する新規の株を見出した。更に一人の劇症型感染症患者の複数の組織から分離された株の解析により、CovSセンサー蛋白質が無菌部位への侵入に大きな役割を果たしていることが確認された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2009年 -2012年 
    代表者 : 立野 一郎
     
    マウス感染モデルを用いて A 群連鎖球菌による劇症型感染症の発症を抑制する方法について研究を行なった。その結果 (1)菌体外分泌毒素 Nga の NADase 活性を抑制する方法により菌の病原性を一定レベル低下させることに成功した。 (2)Nga は NADase依存的な毒素活性に加えて、 NADase 非依存的な何らかの機能を保持している可能性があることを明らかにした。 (3)発症抑制の標的として、Nga 以外の菌体成分についての知見を得ることができた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 立野 一郎; 長谷川 忠男; 井坂 雅徳
     
    A群連鎖球菌は近年(1900年以降)劇症型感染症の起因菌となる例が報告されるようになった。これは、本菌が新たな外来病原因子を獲得したためである可能性が指摘されている。本菌によって菌体外に分泌されるNAD-glycohydrolase(NADase or Nga)はその候補の一つである。そこで本研究では、当初の計画通り実験を行い、(1)マウスモデルを用いてnga遺伝子欠損株が劇症型感染症に関する病原性が低下する、(2)酵素活性に重要なアミノ酸残基(330番目)の同定、(3)本酵素活性を阻害するタンパク質を使用することによる本菌病原性の抑制、などの研究成果を得た。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2002年 
    代表者 : 立野 一郎
     
    腸上皮細胞への付着は、腸管出血性大腸菌(EHEC)による感染の初期段階において必須である。その付着に関する領域としてLEEにコードされたType III分泌機構と外膜蛋白質intiminの存在が知られている。ところが、ゲノムシークエンスの結果は、LEE以外にも付着を司る可能性のあるいくつかの領域が存在することを明らかにした。そこで、本研究では新規付着因子が存在する可能性を調査する目的で、人大腸上皮由来Caco-2細胞への付着能の上昇を示すトランスポゾン挿入変異株といてyhiE遺伝子に挿入を持つ株とyhiF遺伝子に挿入を持つ株の2種類の変異株を解析した。その結果、これら両遺伝子は転写制御因子と相同性のあるアミノ酸配列をコードしており、さらに、それらの変異株のTypeIII分泌および新規付着因子をコードする可能性のある領域がRNAレベルで活性化されていた。そこでさらに、1)これら2種類の変異株が示す高付着能がyhiE遺伝子およびyhiF遺伝子の破壊によるものであるかを調べた。2)高付着能を示した原因がLEE以外の未知の付着因子による可能性について検討した。3)さらに、マウスモデルを用いて高付着変異株の定着性を試験した。 (方法)1)O157SakaiからyhiEまたはyhiF遺伝子のin-frame欠損変異株O157TΔyhiEまたはO157TΔyhiFを作成した。付着能は、人大腸上皮癌由来のCaco-2細胞に4時間感染させた後、細胞に付着した菌数から評価された。2)yhiE挿入変異株、yhiF挿入変異株、及び親株(野生株)のType III変異株を作成し、それぞれG1-C5ΔespADB、C8-C8ΔespADB、O157TΔespADBとした。3)マウス:SPF,雌性ICRマウス(4週令)。供試菌:臨床分離株O157Sakai、O157SakaiのyhiE遺伝子挿入変異株(G1-C5)およびeae遺伝子欠損株(Δeae)。接種法:シメチジン処置後1.0×10^<11> cfu/kgの菌縣濁液を経胃摂取した。 (結果)1)O157TΔyhiEまたはO157TΔyhiFともに親株であるO157Sakaiにくらべて著しく高い付着能を示した。2)今回作成したすべてのType III変異株の付着能がCaco-2細胞に対する付着能を失った。3)G1-C5は7匹中6匹で摂取2週後までに糞便中に10^2 cfu/g feces以上検出されたが、野生株は約半数のマウス(6/14匹)で検出限界(10^2 cfu/g feces)以下となった。 (考察)yhiEとyhiFがType III分泌機構および分泌タンパク質の発現を介してO157の初期付着に関与する可能性が示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1999年 -2000年 
    代表者 : 立野 一郎
     
    腸上皮細胞への付着は、腸管出血性大腸菌(EHEC)による感染の初期段階において必須である。これまでの培養細胞を用いた感染実験の結果から、EHECは最初に単独で上皮細胞に付着した後、そこで増殖することによって集落(マイクロコロニー)の形成に至ることが明らかになっている。この最初の付着はTypeIII分泌機構及び分泌蛋白質EspA,EspB,EspDのいずれか及びすべて、さらに未知の付着因子によって司られていることが遺伝的解析などから示唆されている。本研究で我々は、O157:H7の付着に関する93kDaプラスミド(pOl57)の役割を調査し、toxB遺伝子が最初の付着に関与していることを明らかにした。(結果・考察)O157SakaiのpO157欠損株(O157Cu)は、Caco-2細胞上にマイクロコロニーを形成したが、O157Sakaiに比べてその数は少なかった。さらに、分泌蛋白質EspA,EspB,EspD及びTirの産生量も減少していた。toxBとoriを含む領域からなるmini-pO157プラスミド(pIC37)がO157Cuに導入されたとき、付着能及び分泌蛋白質の産生量が完全に回復した。これに対して、toxB遺伝子にカナマイシン耐性遺伝子の挿入を持つ変異pO157をO157Cuに導入した時は、それらの回復が見られなかった。ヒスチジンタグとToxBの融合タンパク質およびその切断タンパク質をO157Cu株に発現させることによりToxBのアミノ末端側1713アミノ酸がEspBタンパク質の発現誘導に関与していることが明らかになった。これらの結果は、ToxBタンパク質がTypeIII分泌機構により分泌されるタンパク質の発現誘導を介してEHECの上皮細胞への付着に関与することを示唆している。
  • 腸管出血性大腸菌0157に関する研究
  • Study on EHEC 0157

委員歴

  • 2009年 - 現在   日本細菌学会中部支部   評議員   日本細菌学会

その他のリンク

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