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植田 高史 (ウエダ タカシ)

  • 医学研究科機能組織学分野 准教授
メールアドレス: tuedamed.nagoya-cu.ac.jp
Last Updated :2024/03/19

研究者情報

学位

  • 名古屋市立大学/博士(医学)

ホームページURL

科研費研究者番号

  • 90244540

J-Global ID

研究キーワード

  • TRPチャネル   受容体   生体センサー   

研究分野

  • ライフサイエンス / 解剖学
  • ライフサイエンス / 神経形態学

経歴

  • 2010- 名古屋市立大学大学院医学研究科准教授
  • 2006-2010 名古屋市立大学大学院医学研究科講師
  • 1995-2006 名古屋市立大学医学部学内講師
  • 1992-1995 名古屋市立大学医学部助手
  • 1986-1991 名古屋市立大学医学部研究員

学歴

  •         - 1986年   藤田保健衛生大学

所属学協会

  • 米国神経科学会   日本神経化学会   日本神経科学会   日本解剖学会   

研究活動情報

論文

講演・口頭発表等

  • マウス消化管におけるASIC4チャネルの発現  [通常講演]
    植田 高史
    第123回日本解剖学会総会・全国学術集会 2018年03月
  • マウス鼻腔上皮におけるTRPV4チャネルの機能発現  [通常講演]
    植田 高史
    第120回日本解剖学会総会・全国学術集会、第92回日本生理学会大会 合同大会 2015年03月
  • 下垂体におけるTRPVチャネルの発現と機能解析.  [通常講演]
    第118回日本解剖学会総会 2013年
  • 下垂体における浸透圧感受性TRPチャネルの解析.  [通常講演]
    第36回日本神経科学大会/第56回日本神経化学会大会/第23回日本神経回路学会大会・合同大会 (Neuro2013) 2013年
  • 神経性下垂体におけるTRPチャネルの機能解析.  [通常講演]
    第35回日本神経科学大会/第55回日本神経化学会大会・合同大会 (Neuro2012) 2012年
  • 消化管上皮におけるthermoTRPチャネルの発現と機能解析.  [通常講演]
    第116回日本解剖学会総会 2011年
  • ヒト食道上皮細胞における機械刺激とATP放出.  [通常講演]
    第71回日本解剖学会中部支部学術集会 2011年
  • ガイソシジンメチルエーテルのセロトニンおよびドーパミン受容体に対する抗精神病薬様作用.  [通常講演]
    第33回日本神経科学大会/第53回日本神経化学会大会・合同大会 (Neuro2010) 2010年
  • 食道上皮細胞におけるTRPV4チャネルの発現と機能解析.  [通常講演]
    第70回日本解剖学会中部支部学術集会 2010年
  • 遠位大腸粘膜上皮に発現するTRPV3チャネルの解析.  [通常講演]
    第114回日本解剖学会総会 2009年
  • Gタンパク質との会合を指標にしたGi共役型受容体アッセイ系の確立.  [通常講演]
    第52回日本神経化学大会 2009年
  • Gタンパク質共役型アミノ酸受容体に相同性をもつオーファン受容体の解析.  [通常講演]
    第113回日本解剖学会総会 2008年
  • 種々のGタンパク質に共役するセロトニン受容体機能の単一解析法.  [通常講演]
    第51回日本神経化学大会 2008年

MISC

受賞

  • 1996年 Young Histochemist Award. The International Federation of Societies of Histochemistry and Cytochemistry.

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2027年03月 
    代表者 : 鵜川 眞也; 岩崎 真一; 柴田 泰宏; 島田 昌一; 熊本 奈都子; 村上 信五; 植田 高史
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 渡辺 正哉; 渋谷 正史; 鵜川 眞也; 植田 高史
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年04月 -2021年03月 
    代表者 : 鵜川 眞也; 宇佐美 真一; 柴田 泰宏; 島田 昌一; 熊本 奈都子; 野口 佳裕; 村上 信五; 植田 高史
     
    酸感受性イオンチャネル(ASIC: acid-sensing ion channel)は、哺乳類機械刺激受容チャネルの有力候補分子である。我々は、本研究において、サブタイプ1a、1b、4の3種類がマウスの内耳有毛細胞に発現していることを見出した。また、ASIC1bが感覚毛の先端付近に局在していることを示唆する形態学的知見が得られ、これらのサブタイプが、何らかの形で、機械刺激電流の惹起に関与していると思われた。それぞれの遺伝子欠損(KO)マウスにABR(聴性脳幹反応)検査を施行したところ、ASIC1bおよびASIC4 KOマウスに、軽度から中等度の難聴を認めた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年04月 -2020年03月 
    代表者 : 神谷 武; 鵜川 眞也; 植田 高史
     
    我々は消化管運動調節に関与する新規イオンチャネル候補として、酸感受性イオンチャンネル4(ASIC4)の消化管における発現とその機能について検討した。X-gal染色ではASIC4がマウスの空腸から遠位結腸にかけて筋間神経叢に発現し、さらに興奮性および抑制性両神経細胞への発現を認めた。ASIC4ノックアウト(KO)マウスと野生型マウスを比較すると、消化管輸送能ではKOマウスで遅延がみられた。両者の摘出腸管をマグヌス法で測定すると、KOマウスではアセチルコリンに対する収縮反応は小さく、高濃度ニコチンに対する弛緩反応は認めなかった。この結果、ASIC4は下部消化管運動に関与する可能性が考えられた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年06月 -2019年03月 
    代表者 : 鵜川 眞也; 柴田 泰宏; 島田 昌一; 熊本 奈都子; 植田 高史
     
    われわれは、マウス蝸牛有毛細胞に発現する新規メカノセンサー候補ASIC-Xの解析に着手した。電気生理学的に検討したところ、ASIC-Xのリーク電流は、強い水流刺激によって増大したが、浸透圧刺激には応答しなかった。また、ASIC-Xを強制発現させた細胞に直接、機械刺激を加えたが、チャネル活性は増強しなかった。ノックアウトマウスを作出し、蝸牛有毛細胞の機械刺激電流を測定したが、特に異常は認められなかった。その一方で、ASIC-Xはナトリウムイオンに選択性を示すことが明らかとなり、メカノセンサーとしてではなく、リーク型ナトリウムチャネルとして何らかの生理機能を果たしていることがわかった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年10月 -2019年03月 
    代表者 : 渡辺 正哉; 植田 高史
     
    虚血時に放出されるVEGFをマウス下腿三頭筋に筋内注射すると急・亜急性期の筋筋膜性痛覚過敏が惹起され,この過敏はVEGFR2抗体ではなくVEGFR1抗体の同所投与により緩和し,VEGFR1と共発現するTRPV1のブロッカーのカプサゼピンでも症状が改善された.TRPV1ノックアウトマウスではVEGFによる痛覚過敏が見られないことから,VEGFによる痛覚過敏にはVEGFR1とTRPV1チャネルが関与すると考えられた.生理食塩水にも鎮痛効果があり,この効果にはNaCl濃度が重要であった.
  • 酸感受性イオンチャネルを介した新しい味覚受容機構の解明
    研究期間 : 2015年04月 -2019年03月 
    代表者 : 植田 高史
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2014年04月 -2017年03月 
    代表者 : 鹿野 美千子; 神谷 武; 植田 高史
     
    ASIC5 (BLINaC または BASIC) は近年胆道上皮での発現が報告された新規胆汁酸センサーだが、上部消化管での発現については報告されていない。そこで、我々は、ASIC5 の食道における発現を精査した。RT-PCR 法によれば、ASIC5 遺伝子断片はマウス食道の中部と下部で発現が多く、全長クローニングにより新規のスプライシングバリアントを認めた。他の候補として TGR5 についてもヒト正常食道上皮細胞株(HET-1A)を用いて精査したが、その発現は認められなかった。特異的な抗体がないためタンパクレベルでの発現が未解析であるが、ASIC5が食道で重要な役割を担っている可能性がある。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2013年04月 -2017年03月 
    代表者 : 神谷 武; 植田 高史; 鵜川 眞也; 鹿野 美千子
     
    酸感受性イオンチャネル5(ASIC5)は、近年新規胆汁酸センサーとして報告されたが、上部消化管での発現については不明である。我々は、食道における新規酸感受性機械受容チャネル候補としてASIC5の発現について検討した。RT-PCR法ではASIC5遺伝子断片はマウス食道中、下部に発現が多く、全長クローニングにより新規のスプライシングバリアントを認めた。他の候補としてTGR5についてもHET-1Aヒト正常食道上皮細胞株を用いて精査したが、その発現は認められなかった。特異的な抗体がないためタンパクレベルでの発現が未解析であるが、ASIC5が食道で重要な役割を担っている可能性が考えられた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2011年04月 -2015年03月 
    代表者 : 鵜川 眞也; 喜多村 健; 野口 佳裕; 村上 信五; 植田 高史; 梶田 健二; 佐久間 英輔
     
    哺乳類機械刺激受容チャネルの有力候補である酸感受性イオンチャネルASIC1bがマウス蝸牛有毛細胞の感覚毛に発現していることを見出し、聴覚受容チャネルの候補遺伝子と考え、ノックアウト(KO)マウスを用いて解析を行った。KOマウス有毛細胞の形態は正常ながら、聴性脳幹反応検査にて軽度の聴力障害を認めた。歪成分耳音響放射も低下しており、外有毛細胞の聴覚受容チャネルに機能障害が生じていると予想された。また、ASIC1bと結合する新規サブユニットを同定し、ASIC1bと共発現させると、機械刺激に感受性を示すことがわかった。以上より、ASIC1bは聴覚受容チャネルの主要構成タンパク質であると考えられた。
  • 酸感受性イオンチャネルを介した新規内分泌調節機構の解明
    研究期間 : 2012年 -2014年 
    代表者 : 植田高史; 鵜川眞也
  • 呼吸上皮に存在する新規CO_2受容体の単離と機能解析
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 植田高史; 鵜川眞也; 島田昌一
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2007年 -2010年 
    代表者 : 鵜川 眞也; 島田 昌一; 植田 高史; 村上 信五; 石田 雄介; 梶田 健二; 島田 昌一; 石田 雄介
     
    酸感受性イオンチャネルASIC1bノックアウトマウスを作製し,聴力検査を行ったところ,聴性脳幹反応検査で軽度から中等度の異常を示した.また,外有毛細胞の機械刺激電流も有意に減少していた.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 石田 雄介; 鵜川 眞也; 植田 高史; 島田 昌一; 田中 克幸; 梶田 健二
     
    本研究の目的は、味覚経路に発現する温度感受性TRPが中枢ではなくすでに末梢のレベルで味覚に影響を及ぼすことを証明し、更にその影響を解析することである。この研究は昨年度から引き続き行われており、以下に本年度の成果とその重要性について説明する。(1)トレーサーFast Bluev (FB)による舌を支配する鼓索神経の標識:当初トレーサーにはDiOを考えていたが、実際に使用して比較してみるとFBによる標識のほうがコントラストもよく調子が良かった。マウス舌前方(鼓索神経領域)にFBを局注し、舌に分布する神経線維を順行性にトレースすることで舌を支配する膝神経節の神経細胞体を同定できた。(2)マウス膝神経節における温度感受性TRP (TRPV1)の発現:昨年度の研究から、マウス膝神経節において温度感受性TRP蛋白のひとつTRPV1が発現していることが示唆されていた。トレーサーFBを用いて舌を支配する膝神経節の細胞体を同定した上で、TRPV1の免疫染色を行ったところこれらのシグナルは一部重なっていた。以上の結果から味覚伝達経路にはTRPV1が発現していることが示唆された。(3)さまざまな温度の味溶液で舌を刺激した場合に誘発される鼓索神経応答の電気生理学的検討:舌を刺激する五つの味溶液(甘味・酸味・苦味・うま味・塩味)を用意し、さらにそれらの温度を低いものから高いものまで設定して、鼓索神経whole nerve recordingを行った。その結果、一般的に42℃(高温)、100℃(低温)では舌の表面温度である25QCよりも活性が抑制された。しかし塩味の場合は10℃では同様に25℃よりも活性が抑制されたが、TRPV1が活性化する42℃の高温条件ではむしろ鼓索神経の応答は増強された。このことから高温下ではTRPV1が活性化して(後、何らかのメカニズムを経て)塩味による味覚神経の応答を増強することが示唆された。
  • 新規CO_2受容器の同定およびその分子基盤に関する研究
    研究期間 : 2003年 -2005年 
    代表者 : 植田高史; 鵜川眞也; 島田昌一
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2002年 -2005年 
    代表者 : 島田 昌一; 村上 信五; 鵜川 眞也; 植田 高史
     
    味覚の感受性はヒトにより大きな個人差がある。どの様なメカニズムで、個人個人において味覚の感受性に、差が生じるかは未だ不明な点が多い。我々は、味覚受容体遺伝子の塩基配列の解析結果から、4種類の苦味受容体遺伝子においてそれぞれアミノ酸配列に変異を伴う遺伝的多型が存在することを発見した。このことは味覚受容体蛋白の構造が個人によって異なることを意味していると同時に、個人の味覚受容体のアミノ酸配列が異なるのが原因で味を呈する物質に対する感受性や選択性が個人で異なる可能性を示唆している。この遺伝的多型が存在する4種類の苦味受容体の機能を調べるため、まず最初にガストデューシンとGα16のキメラGタンパク質を作成し、カルシウムイメージング法を用いてそれぞれの苦味受容体cDNAをHEK細胞に強制発現し検討し、特定のリガンドを検索した。この結果、サリシンに応答を示すhT2R16の機能解析に成功した。今回の我々の遺伝子の解析で、hT2R16はcoding SNPを有し、172番目のアミノ酸残基が、アスパラギンとリジンのものが存在することが分かつたので、この両者のhT2R16cDNAをHEK細胞に強制発現させて、リガンドの応答性を詳しく検索した。hT2R16の172番目のアミノ酸残基がリジンのものとアスパラギンのものとでは、サリシンに対する応答性にはほとんど差は見られなかった。またhT2Rl6のcoding SNPを有する被検者の苦味物質に対する感受性を調べたが、このSNPに関しても大きな差は認められなかった。今後このシステムを使って我々が確認したcSNPを有するhT2R4やhT2R5についても同様の方法で解析し、味覚受容体遺伝子と味覚感受性の個人差との関係を明らかにしていく。
  • Gタンパク質共役型味覚受容体遺伝子の単離および解析
    研究期間 : 2002年 -2005年 
    代表者 : 植田高史; 鵜川眞也; 島田昌一; 藤森修; 平林義章
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2002年 -2004年 
    代表者 : 鵜川 眞也; 島田 昌一; 植田 高史
     
    ヒト三叉神経節から新しい水素イオン感受性チャンネルをスクリーニングしたところ、上皮型アミロライド感受性イオンチャンネルファミリーに属するENaC-delta(epithelial Na channel-delta)が単離された。アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いて電気生理学的に解析したところ、水素イオンによって活性化されることが確認された。ASIC(acid-sensing ion channel)やVR1(transient receptor potential subtype-1)と同様に、末梢の痛覚受容器において炎症やリュウマチなどの局所的なアシドーシスに伴う痛みの発生に寄与していると考えられたので、三叉神経節における分布をin situ hybridization法および免疫組織化学法を用いて検討したが、特異的なシグナルは検出できなかった。しかしながら、ヒトの大脳皮質、小脳における発現をNorthern blot法を用いて調べたところ、両者に強く発現していることが確認できた。脳におけるENaC-deltaの役割は今のところ不明であるが、この遺伝子は霊長類以上のほ乳動物にしか発現していないことから、高次脳機能との関連が考えられ、現在も脳における詳細な分布パターンの解析を行っている。また、このイオンチャンネルがVR1のアンタゴニストであるカプサゼピンにより活性化することを我々は見出したので、ヒトの神経系におけるカプサゼピンの効果について詳しく検索しているところである。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2003年 
    代表者 : 鵜川 眞也; 平林 義章; 藤森 修; 島田 昌一; 植田 高史
     
    味覚受容体遺伝子の産業面での応用として、味覚受容体遺伝子を発現させた味覚センサーを開発し、新しい味覚修飾物質をスクリーニングした。その結果、酸味受容体遺伝子の応答を抑制する物質として、セリンプロテアーゼのニューロプシンを同定した。トリプシンなどの他のプロテアーゼでは、この酸味受容体に対する修飾機能は認められなかった。ニューロプシン分子のプロセッシングを受ける前のプレ体では、この酸味受容体に対する機能修飾は全く認められず、プロセッシングを受けた後の活性型のニューロプシンがpH5.0で酸味受容体の応答を抑制した。この抑制機構はリバーシブルで投与したニューロプシンをバッファーで洗い流すとその抑制効果も消失した。 一般に味覚では順応が起こり、同じ味覚刺激でも一定の時間さらされていると、その味覚に対する感受性が低下してくる。我々は、最近ラット有郭乳頭から新たに酸味受容体イオンチャネルの新しいサプユニット(ASIc2b)を同定した。このASIc2bサブユニットがASIC2aと同一の味蕾細胞に共存していることを、免疫組織化学法により証明し、さらにASIC2bが酸味受容体応答の順応の度合いを調節していることをASIC2aとASIC2bを同時にアフリカツメガエル卵母細胞に発現させた系を用いて証明した。ASIC2aとASIC2bイオンチャネル複合体が酸味受容体として味蕾で機能し、pHの低い状態ではアミロライド感受性が失われることを示した。この特性は、実際の酸味受容体の生理学的特性とよく一致するものであった。また、ヒト味覚受容体をコードしている遺伝子の中で3種類の遺伝子群hT2R3、hT2R4、hT2R5にアミノ酸変異を伴う遺伝子多型が存在することを示したが、さらにヒト味覚受容体遺伝子hT2R16にも多様性が存在することを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2000年 -2002年 
    代表者 : 島田 昌一; 植田 高史; 平林 義章; 村上 信五; 鵜川 眞也
     
    味覚受容体遺伝子の産業面での応用として、味覚受容体遺伝子を発現させた味覚センサーを開発し、新しい味覚修飾物質をスクリーニングした。その結果、酸味受容体遺伝子の応答を抑制する物質として、セリンプロテアーゼのニューロプシンを同定した。トリプシンなどの他のプロテアーゼでは、この酸味受容体に対する修飾機能は認められなかった。ニューロプシン分子のプロセッシングを受ける前のプレ体では、この酸味受容体に対する機能修飾は全く認められず、プロセッシングを受けた後の活性型のニューロプシンがpH5.0で酸味受容体の応答を抑制した。この抑制機構はリバーシブルで投与したニューロプシンをバッファーで洗い流すとその抑制効果も消失した。 一般に味覚では順応が起こり、同じ味覚刺激でも一定の時間さらされていると、その味覚に対する感受性が低下してくる。我々は、最近ラット有郭乳頭から新たに酸味受容体イオンチャネルの新しいサブユニット(ASIC2b)を同定した。このASIC2bサブユニットがASIC2aと同一の味蕾細胞に共存していることを、免疫組織化学法により証明し、さらにASIC2bが酸味受容体応答の順応の度合いを調節していることをASIC2aとASIC2bを同時にアフリカツメガエル卵母細胞に発現させた系を用いて証明した。ASIC2aとASIC2bイオンチャネル複合体が酸味受容体として味蕾で機能し、pHの低い状態ではアミロライド感受性が失われることを示した。この特性は、実際の酸味受容体の生理学的特性とよく一致するものであった。また、ヒト味覚受容体をコードしている遺伝子の中で3種類の遺伝子群hT2R3、hT2R4、hT2R5にアミノ酸変異を伴う遺伝子多型が存在することを示したが、さらにヒト味覚受容体遺伝子hT2R16にも多様性が存在することを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1999年 -2000年 
    代表者 : 島田 昌一; 鵜川 眞也; 植田 高史
     
    本研究はMDEG1イオンチャネルの第二膜貫通部位に人工的な点変異を導入し、この陽イオンチャネルが開いたまま閉じない状態を作り出し、このgain of functionの特殊なチャネルをトランスジェニックマウスに発現させて、味覚障害や神経変性症のモデル動物を作成することが目的である。 MDEG1の430番目のグリシン残基をPCR法を用いて様々なアミノ酸に置換し、電気生理学的に解析した結果、フェニルアラニンに置換させたものが最も効果的にチャネルが開いたままの状態になることを明らかにした。さらにミュータントイオンチャネル(MDEG1-G430F)を発現させた細胞に、選択的な細胞死が起こることを確認した。このMDEG1-G430FのcDNAにopsinのプロモーター・エンハンサー領域をつなげて岡部らと共同研究でトランスジェニックマウスを作成した。現在そのトランスジェニックマウスがどの様な障害をきたしたか、形態学的、生理学的な解析を進めている。 また、堀本らと共同研究で、このMDEG1-G430Fミュータントに、がん特異的プロモーターを組み込んだものを、リポゾーム法を用いて、転移がんモデルマウスに投与し、がん細胞の選択的な細胞死を引き起こすモデルマウスを作成した。
  • 神経 特異的新規V-ATPaseサブユニットの解析
    研究期間 : 1999年 -2000年 
    代表者 : 植田高史
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1998年 -2000年 
    代表者 : 島田 昌一; 植田 高史; 平林 義章; 藤森 修; 鵜川 眞也; 植田 弘美
     
    塩味や酸味の受容体遺伝子の単離、同定とその機能を解析する目的で本研究を始めた。塩味と酸味の受容体に関しては生理学的にはアミロライド感受性陽イオンチャネルの特性を有すると考えられているため、味蕾が豊富に分布するラット有郭乳頭よりcDNAライブラリーを作製し、アミロライド依存性陽イオンチャネル遺伝子ファミリーと相同性を有する遺伝子のスクリーニングを行った。その結果、これらのcDNAの中で、酸味受容体遺伝子(MDEG1)を同定した(Nature,1998,395:555-556)。さらに酸味受容体イオンチャネルの他のサブユニットのcDNAをクローニングするためにラット有郭乳頭cDNAライブラリーをスクリーニングし、酸味受容体イオンチャキルを形成する新たなサブユニットとしてMDEG2を同定した。MDEG2に対する抗体をウサギで作成し、免疫組織化学法により詳細な局在を検討したところ、MDEG2はMDEG1と同一味蕾細胞に共存して発現していることが分かった。次にMDEG2をMDEG1と同時にアフリカツメガエル卵母細胞に発現させた系を用いて膜電位固定法により電気生理学的に機能を解析したところ、MDEG2がチャネル全体の脱感作を調節するサブユニットであることを証明した。さらに、ポイントミューテーションによるMDEG2のアミノ酸残基の人工的置換実験の結果、第二膜貫通部位のグリシン残基をフェニルアラニンに置換すると、その他のチャネルの特性を全く変えることなくMDEGイオンチャネルの脱感作現象が完全に消失することが分かった。一般に味覚では順応という現象があり、同じ味覚刺激に一定の時間さらされていると、その味覚に対する感受性が低下してくる。MDEG2サブユニットはMDEG酸味受容体チャネルの脱感作を調節することから、酸味応答の順応を調節するサブユニットであると考えられた。また、実験結果からMDEG2の構造の中でも481番目のグリシン残基が、チャネルの脱感作や順応に、重要なアミノ酸残基であることを明かとした。

その他のリンク

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