研究者データベース

林 秀敏 (ハヤシ ヒデトシ)

  • 薬学研究科細胞情報学分野 教授
メールアドレス: hhayashiphar.nagoya-cu.ac.jp
Last Updated :2024/04/24

研究者情報

学位

  • 博士(薬学)(東京大学)

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J-Global ID

研究キーワード

  • ユビキチン化   上皮間葉転換   ドラッグ・リポジショニング   小胞体ストレス   がん分子標的薬   TGF-beta   脱ユビキチン化   糖・脂質代謝   炎症   生活習慣病   細胞性ストレス   

研究分野

  • ライフサイエンス / 薬系衛生、生物化学
  • ライフサイエンス / 腫瘍生物学

経歴

  • 2008年04月 - 現在  名古屋市立大学大学院薬学研究科教授
  • 1996年01月 - 2008年03月  名古屋市立大学大学院薬学研究科准教授
  • 1996年09月 - 1998年03月  The Hospital for Sick Children In Toronto客員研究員
  • 1992年05月 - 1995年12月  名古屋市立大学薬学部講師
  • 1990年04月 - 1992年04月  名古屋市立大学薬学部助手
  • 1989年01月 - 1990年03月  金沢大学薬学部教務職員
  • 1987年04月 - 1988年12月  帝京大学薬学部助手

学歴

  • 1982年04月 - 1987年03月   東京大学大学院薬学系研究科   Graduate School of Pharmaceutical Sciences
  • 1978年04月 - 1982年03月   東京大学   薬学部   薬学科

所属学協会

  • 国際サイトカイン学会   米国細胞生物学会   日本脂質生化学会   日本生化学会   日本免疫学会   日本分子生物学会   日本癌学会   日本薬学会   

研究活動情報

論文

MISC

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2020年04月 -2023年03月 
    代表者 : 林 秀敏
     
    ヒトTRB1遺伝子は染色体8q24.13領域に位置し、そのごく近傍の8q24.21領域にはがん原遺伝子c-Mycが位置している。TRB1とc-Mycはともにがんの悪性化を促し、がん化に伴うエネルギー物質の代謝リプログラミング作用など機能類似性が見出されている。さらに、AMLや前立腺がん、大腸癌の一部などでは染色体8q24領域の増幅が報告され、腫瘍の形成や悪性化と連関することが示唆されている。また、c-MycとTRB1とが共増幅する場合も知られている。そこで、TRB1の新たな発がんメカニズムを検証するため、c-Mycとのクロストークについて解析を進めた。 c-Mycは様々な遺伝子の転写を正にも負にも制御することが知られている。c-Myc応答領域を含むプロモーター依存的なレポーターアッセイにより、正に制御するLSD1(lysine specific demethylase 1)の転写はTRB1によって増強し、負に制御するp21の転写をTRB1はさらに抑制することを明らかにした。また、c-Mycの標的遺伝子のmRNAレベルの発現においても同様の結果が得られた。 次に、プルダウンアッセイにより細胞内での両者の相互作用も確認することができた。c-Mycの正の転写活性はMAXと呼ばれるパートナーとヘテロ二量体を形成することで誘起されるが、TRB1はこのc-Myc-MAXの結合を増強した。 さらに、TRB1をノックダウンしたところ、c-Mycの発現がmRNA、タンパクレベルで低下するとともに、c-Mycの標的遺伝子のmRNAレベルも低下し、これはc-Mycの過剰発現で一部レスキューできることが明らかとなった。 以上のことからTRB1はc-Mycの発現、そしてその活性を増強することで、がんの悪性度を高め、バイオマーカーとしての候補、もしくはがん治療における重要な標的となること可能性が考えられた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 井上 靖道; 林 秀敏
     
    TGF-betaは増殖因子として発がんに関わる一方で、がんの悪性化を促すといった作用を持つことが知られている。しかしながら、その相反する生理作用がどのように制御されているかについては未だ不明なままである。本研究では、メチルトランスフェラーゼSET8がその作用を媒介する一つのSmadコファクターであることを見出した。また、がん抑制遺伝子p53がTGF-betaのがん抑制的な作用をフォローアップするコファクターであることも明らかにした。
  • 新規がん遺伝子TRBファミリー分子による発癌作用の分子基盤の解明
    基盤研究 (C)
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 林 秀敏
  • ストレス誘導性分子TRB1, TRB3によるストレス制御と疾患発症の分子メカニズム
    基盤研究 (C)
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 林 秀敏
  • メタボリックシンドロームにおけるストレスとサイトカインシグナルのクロストーク
    基盤研究 (C)
    研究期間 : 2009年04月 -2012年03月 
    代表者 : 林 秀敏
  • 腫瘍細胞に高発現するdecoy kinase TRB3の機能解析
    特定領域研究「がん特性」
    研究期間 : 2006年04月 -2008年03月 
    代表者 : 林 秀敏
  • ストレスセンサー分子TRBによる脂肪細胞の機能制御
    特定領域研究「アディポミクス」
    研究期間 : 2006年04月 -2008年03月 
    代表者 : 林 秀敏
  • 新規kinase様タンパクTRBファミリーによる細胞の増殖・分化の制御
    基盤研究 (C)
    研究期間 : 2006年04月 -2008年03月 
    代表者 : 林 秀敏
  • 外的ストレスにおけるCHOP依存的な細胞死の分子基盤
    基盤研究 (C)
    研究期間 : 2004年04月 -2006年03月 
    代表者 : 林 秀敏
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2006年 
    代表者 : 小野嵜 菊夫; 林 秀敏; 瀧井 猛将
     
    関節リウマチ(RA)は、原因不明の多発性関節炎を主体とする進行性炎症性疾患である。種々の研究から、関節滑膜細胞から産生されるIL-1が本疾患に重要な役割を果たしていることが明らかにされている。極めて興味深いことに、西欧では17世紀までは関節リウマチ(RA)の記載はなかった。今日、タバコとRAの関係が疫学的に証明されている。タバコはアメリカ大陸発見後にアメリカから西欧に取り入れられた。本研究は、タバコの成分や化学物質とRAとの関係を明らかにすることを目的とする。 コラーゲン誘導性の関節炎(CIA)モデルを用いて、タバコの煙抽出物(CSC : cigarette smoke condensate)が関節炎の発症を増強するか検討した。実験は、DBA/1Jマウスに、不完全アジユバントに溶かした抗原(ウシII型コラーゲン)+結核死菌で初回免疫し、3週間後に抗原のみを投与し、関節の腫脹を測定するものである。初回感作時に抗原のみ、抗原+主流煙CSC、抗原+結核死菌、抗原+結核死菌+CSCの組み台わせで検討した。その結果、抗原のみに比べ、抗原+CSCで関節の腫脹が強まる傾向が見られた。また、抗原+結核死菌にくらべ抗原+結核死菌+CSCで、関節の腫脹の発生が早まる傾向が見られた。 また、ヒトRA患者由来線維芽細胞様滑膜細胞株MH7Aをin vitro培養下、主流煙、副流煙で刺激したところ、共に用量依存的にIL-1α,IL-1β,IL-6,IL-8のmRNAの発現が誘導された。以上の結果は、Realtime PCR法を用いて確認された。また、TNFα刺激によるこれらサイトカインのタンパクの発現もCSC添加により増強された。また、多環芳香属化合物(Ah)の受容体(AhR)アンタゴニスト、α-ナフトフラボンを用いた実験により、これらサイトカインmRNAの誘導は部分的にAhRに依存的していること、IL-1α,IL-1β,IL-8 mRNAの発現誘導には新規蛋白質の合成が必要であることが明らかになった。
  • 内分泌攪乱物質による免疫応答の攪乱作用
    特定領域研究 (A) (2)「内分泌撹乱物質の環境リスク」
    研究期間 : 2002年04月 -2004年03月 
    代表者 : 林 秀敏
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2004年 -2004年 
    代表者 : 小野嵜 菊夫; 林 秀敏; 千葉 拓
     
    ヒトリコンビナンントTNFαに炭素鎖9のアームを持つシアル酸をアシルアジド法により結合させた新規TNFαを作成し、その生物活性についてin vivoにおける活性を中心に詳細に検討した。 1.TNFα1分子に糖鎖が1分子結合したL NeuAc-TNFαと1.5分子結合したH NeuAc-TNFαが作成できた。 2.L929細胞に対する致死活性,U937細胞に対する増殖抑制活性、ヒト線維芽細胞TIG-1に対する増殖促進活性は、L NeuAc-TNFαで約1/3に、H NeuAc-TNFαでは約1/10に低下していた。A375細胞に対するアポトーシス誘導活性も低下していた。 3.HepG2におけるNF-κBの活性化、TIG-1細胞からのIL-6の誘導活性も同程度低下した。 4.マウスにMethA細胞を移植し抗癌活性を調べた結果、元のTNFαに比べL NeuAc-TNFαの抗癌活性は増強された。 5.TNFα投与群では出血性壊死が認められたが、L NeuAc-TNFαでは全く認められなかった。 6.マウスに対する急性毒性活性は、元のTNFαに比べL NeuAc-TNFαの活性は低下した。 7.L NeuAc-TNFをマウスに投与した時に誘導される血中のIL-6誘導活性、血中グルコース濃度低下活性、NO誘導活性は、それぞれ、元のTNFαの約1/2に低下,変わらず、約1/5に低下した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2002年 -2004年 
    代表者 : 小野嵜 菊夫; 林 秀敏; 千葉 拓; 滝井 猛将
     
    IL-1シグナル伝達機構:ヒトメラノーマ細胞株A375に対するIL-1の増殖抑制における系において以下の点が明らかになった。IL-1による増殖阻害の過程に関与するp38MAPKの下流に位置する転写制御因子CHOPが誘導する新たなタンパクTRB3を見出した。TRB3遺伝子のプロモータ部位を解析し、CHOP-ATF結合領域が重要であること、さらに、TRB3はCHOPの転写活性を抑制することを明らかにした。 IL-1Rファミリーの発現制御:IL-1Rファミリーで、細菌や菌体成分に反応してIL-1同様のシグナルを伝達するToll like receptor 2(TLR2)の肝細胞における発現制御は、IL-1により増強される。TGFBはIL-1のレセプター発現を抑制することにより、IL-1によるTLR2発現を抑制することを前年までに明らかにした。さらに線維芽細胞においても、TGFBがIL-1のレセプター発現を抑制することが明らかになった。 IL-1α遺伝子発現制御機構:IL-1αを構成的に産生しているヒトメラノーマ細胞株を用い解析した結果、IL-1α遺伝子のプロモーター部分のGC rich部位と転写因子Sp1が重要であることを前年までに明らかにした。さらに、Sp1とHDAC1(ヒストンデアセチラーゼ1)との結合がIL-1遺伝子の転写に重要であることが明らかになった。また、ヒト線維芽細胞様滑膜細胞におけるIL-1αの転写活性化をエストロジェンがエストロゲンレセプターαを介して増強させることを明らかにした。 糖鎖導入IL-1:前年までに、シアリルガラクトースを結合させたIL-1αの作製し、in vivoにおいて選択性を示すIL-1αを作成できた。さらに、TNFαにも同様にしてシアル酸を結合させることが出来た。In vivoにおいて抗腫瘍活性が増強されたTNFαを作成できた。
  • TGFβの情報伝達分子Smadタンパクの分解によるシグナル伝達の制御機構
    基盤研究 (C)
    研究期間 : 2001年04月 -2003年03月 
    代表者 : 林 秀敏
  • 担癌状態におけるTGFβを介した免疫抑制作用の基礎的研究
    特定領域研究 (a) (2)「がん治療」
    研究期間 : 1999年04月 -2001年03月 
    代表者 : 林 秀敏
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2001年 
    代表者 : 小野嵜 菊夫; 瀧井 猛将; 林 秀敏
     
    本年度の研究成果は以下のとおりである。 1.様々なヒト由来細胞株(単球系;U937,THP-1、骨髄系;HL60、肺胞上皮系;A549、肺線維芽細胞系;MRC-5)を用いて、結核菌の細胞傷害活性に感受性の高い細胞株を検索した結果、MRC-5が高い感受性を示した。 2.結核菌のMRC-5に対する細胞傷害性は、感染細胞からのLDHの遊離と細胞の死滅率が相関していること、DAPIによる核膜の染色像がアポトーシス像と異なること、アポトーシス阻害剤で細胞障害活性が阻害されなかったことから、アポトーシスではないことが明らかとなった。 3.ヒト型、トリ型結核菌のそれぞれの強毒・弱毒株と、副作用があることが報告されているBCGワクチンのPasteur株と副作用のないTokyo株を用いて、細胞傷害活性を検討した結果、動物実験で報告されている毒力相関した結果が得られた。 4.結核症、非定型抗酸菌症の臨床分離株を用いて、MRC-5細胞に対する細胞障害活性を検討した。結核症の臨床分離株は実験室株であるH_<37>Rvより強い活性を示した。また、日和見感染をする非定型抗酸菌症患者からの分離株は弱い活性しか認められなかった。 5.多剤耐性結核菌の毒力を本実験系で検討した結果、感受性株と同等の毒力を有していることが明らかとなった。 以上のように、本実験系は、ワクチン株の副作用の評価に、また、臨床分離株の毒力の評価に利用できることが示唆された。尚、本研究の成果をまとめてJ. Inerferon and Cytokine Rcs.誌に報告した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1999年 -2001年 
    代表者 : 小野崎 菊夫; 瀧井 猛将; 林 秀敏
     
    IL-1は、免疫、炎症、造血、内分泌等の生体反応や細胞の増殖分化の調節に重要な役割を果たしている.本研究では、ヒトメラノーマ細胞A375に対するIL-1の増殖抑制機構を中心とするIL-1のシグナル伝達機構in vitro, in vivoにおけるIL-1Rおよびそのファミリー遺伝子の発現調節機構を明らかにする.本研究により、以下の点が明らかになった。 1)アンチザイムの翻訳がIL-1刺激により促進され、それにはAZ遺伝子翻訳内部分が関与していることが示唆された。 2)CHOPは、IL-6の転写を亢進することにより、IL-1による増殖抑制作用に寄与していた。 3)CHOPは、P38MAPK非依存的な機構で、NF-IL-6,AP-4,ISRE, NF-kB等の種々の転写因子の活性も増強した。 4)さらにCHOPは他のC/EBPファミリー転写制御因子の安定化の制御にも関係していることが明らかになった。 5)IL-1感受性株A375-6からIL-1耐性株A375-R8が得られているが、ともにTNFにより増殖は抑制される。しかし、TNFによりA375-R8のみにアポトーシスが誘導された。解析の結果、A375-6では、P38MAPKを介する増殖抑制の系が主であり、R8ではP38MAPKを介さないアポトーシス系も働いていること、さらに、A375-6に存在する代謝回転の速い抗アポトーシス因子が、R8では欠損していた。 6)ヒト線維芽細胞に対して、チロシンキナーゼ阻害剤がIL-1RIの発現を抑制するが、それは翻訳以降の過程に作用していた。 7)IL-1Rファミリーで、細菌やその成分のシグナルを伝達するTLR2,TLR4のmRNA発現を調べたところ、マウスの肝細胞でLPS, IL-1,TNFなどの刺激によりTLR2のmRNA発現が増強されたがTLR4のmRNA発現には変化がみられなかった。従って、IL-1R, TLR2,TLR4の遺伝子発現制御機構は、それぞれ異なっていることが明らかになった。さらに、TLR2のmRNAの発現にはNF-kBが重要であることが明らかになった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2000年 -2000年 
    代表者 : 小野嵜 菊夫; 瀧井 猛将; 林 秀敏
     
    IL-1は、免疫、炎症、造血、内分泌等の生体反応や細胞の増殖分化の調節に重要な役割を果たしている。本研究では、ヒトメラノーマ細胞A375に対するIL-1の増殖抑制機構を中心とするIL-1のシグナル伝達機構、in vitro,in vivoにおけるIL-1Rおよびそのファミリー遺伝子の発現調節機構、IL-1の構成的な産生機構を明らかにする。本年度の研究によって、以下の点が明らかになった。 1)アンチザイム(AZ)の翻訳がIL-1刺激により促進されることを示唆する結果が得られた。これは新しいAZの発現制御系である。現在、どの遺伝子部分がそれに関与しているか解析中である。 2)CHOPは、p38MAPK非依存的な機構で、IL-1で誘導されるIL-6の産生増強に重要な役割をたしていること、CHOPの作用は、他の転写制御因子との相互作用を介していることが明らかになった。 3)IL-1感受性株A375-6からIL-1耐性株A375-R8が得られているが、ともにTNFの増殖抑制作用に感受性である。しかし、TNFによりR8のみにアポトーシスが誘導された。解析の結果、A375-6株に存在する抗アポトーシス因子が、R8では欠損していることが明らかになった。 4)IL-1Rファミリーで、細菌やその成分のシグナルを伝達するTLR2,TLR4のmRNA発現を調べたところ、マウスの肝細胞でLPS,IL-1,TNFなどの刺激によりTLR2のmRNA発現が増強されたが、TLR4のmRNA発現には変化がみられなかった。以上の結果、IL-1R,TLR2,TLR4の遺伝子発現制御機構は異なることが明らかになつた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1996年 -1997年 
    代表者 : 小野嵜 菊夫; 瀧井 猛将; 林 秀敏
     
    IL-1は、免疫、炎症、造血などの種々の生体反応や、細胞の増殖分化に重要な役割を果たしている。本研究では、ヒトメラノーマ細胞(A375)に対する増殖抑制の系を中心に、IL-1のシグナル伝達系を明らかにする。本研究により、以下の点が、明らかになった。 1)IL-1による増殖抑制は、ポリアミン合成酵素ODCの活性制御因子、アンチザイムAZの転写の増加とともに、フレームシフト以外の翻訳以後の調節により増加するAZ蛋白によるODC活性の低下が重要であることが明らかになった。また、IL-1により活性化されるp38MAPキナーゼが、AZの翻訳以降のレベルで関与していることが明らかになった。さらに、細胞周期制御因子、p53,p21,p16などの発現やRbのリン酸化はIL-1処理により変化が見られなかった。 2)IL-1感受性、耐性株を細胞融合させたところ、IL-1の増殖阻害活性に対する感受性が優性であった。また、耐性株で見られるIL-1α、IL-6の恒常的産生も優性であった。従って、耐性株では、増殖抑制に至るシグナル伝達系が変異を起こしていること、感受性株でサイトカイン産生がみられないのは、産生に関与する因子の異常によるものではないことが明らかになった。 3)ヒトメラノーマの悪性化の指標である細胞接着分子の発現、IL-8やマトリクス金属酵素の産生、マトリゲルへの浸潤能について調べたところ、いずれも耐性株の方が感受性株よりも昂進しており、耐性株は、メラノーマの悪性化機構を調べる上で、よいモデルとなることが明らかになった。 4)LPSをマウスに注射すると、肝臓でのIL-1R1 mRNAの発現レベルが上昇するが、それには、IL-1,IL-6並びにグルココルチコイドが相乗的に働くことが明らかになった。さらに、肝細胞表面上のIL-1R分子数が、IL-6とグルココルチコイド処理により増加することが明らかとなった。
  • インタ-ロイキン1の構成的産生ヒトメラノ-マ細胞の癌原性及び転移能に関する研究
    重点領域研究 (2)「がん生物」
    研究期間 : 1994年04月 -1996年03月 
    代表者 : 林 秀敏
  • インタ-ロイキン1の細胞増殖阻害作用に対する耐性獲得機構の解析
    奨励研究 (A)
    研究期間 : 1994年04月 -1996年03月 
    代表者 : 林 秀敏
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1995年 -1996年 
    代表者 : 小野嵜 菊夫; 古谷 泰二; 桑島 淳二; 林 秀敏; 千葉 拓
     
    IL-1は生体防御、免疫、造血反応増強作用などの活性を持ち、臨床に用いられる可能性の高いサイトカインであるが、副作用も持っている。本研究では、ヒトリコンビナントIL-1αに合成オリゴ糖を化学的に結合させた糖鎖導入IL-1を作成し、副作用のないIL-1を作成することを目的とする。既に、マンノースダイマーを結合させ、in vivoで選択的活性を保持しているIL-1αを作成することに成功している。本研究では、以下の点を明らかにした。 1)マンノースダイマー導入IL-1の体内動態 マンノースダイマー導入IL-1αを^<125>Iで標識し、マウスに腹腔又は血管内投与し、体内動態を調べた。その結果、いずれの場合にも、糖鎖の入っていないIL-1に比べ、腎臓への分布が減少し、逆に肝臓への分布が増加した。他の臓器においては顕著な差は見られなかった。以上の結果、in vivoにおける選択的活性の発現は、臓器分布の差による可能性が示唆された。 2)マンノースダイマー導入IL-1の糖鎖結合部位の検討 マンノースダイマー導入IL-1をリジルエンドペプチダーゼで切断後、TOF-MASSを用いて糖鎖結合部位を調べた。その結果、糖鎖は、IL-1α,β両方で保存されている領域には結合していないが、IL-1αの表面に露出している領域に結合していた。 3)ガラクトース導入IL-1の作成 IL-1にガラクトースを結合させたIL-1を結合させたIL-1を作成できた。in vitroにおける種々の生物活性を調べたところ、どの活性も低下していたが、マンノース導入IL-1と比べた結果、活性の低下に差が認められた。これは、IL-1レセプターに対する親和性低下の差のみでは説明できず、導入する糖鎖の違いによりin vitroの活性に選択性が現れる可能性が示された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1994年 -1995年 
    代表者 : 小野嵜 菊夫; 瀧井 猛将; 林 秀敏
     
    インターロイキン1(IL-1)の細胞増殖抑制機構並びに耐性化獲得機構に関するIL-1のシグナル伝達機構について、ヒトメラノーマ細胞株A375を用い解析した。又、シグナル伝達に関与するI型IL-1レセプター(IL-1R)の発現機構をin vitro,in vivoにおいて解析した。 1.IL-1の増殖抑制活性の作用機構 IL-1Rを発現していない株A375-5にIL-1RcDNAをトランスフェクトさせ、IL-1R高発現株を用い解析した。その結果、IL-1処理により、ポリアミン合成酵素ODC活性が低下すること、ODCのmRNAに変化はないが蛋白量が減少すること、更にODCに結合し、ODC活性を抑制すると共に分解を促すアンチザイム(AZ)がIL-1により誘導されることが明らかとなった。 2.IL-1に対する耐性化機構 IL-1感受性株A375-6を長期培養中に耐性化したクローンを得、耐性化機構を解析した。耐性クローンはIL-1αを恒常的に産生しているので、感受性株にIL-1αの発現ベクターを、耐性株にIL-1αのアンチセンスの発現ベクターをトランスフェクトさせたが、いずれもIL-1に対する反応性に変化はみられなかった。従って、IL-1の発現のみでは耐性化には不十分であることが明らかとなった。 3.IL-1Rの発現制御 ヒト線維芽細胞株TIG1を用い、I型IL-1Rの発現制御を解析したところ、チロシンキナーゼがIL-1Rの恒常的発現に関与していることが明らかとなった。又、マウスにエンドトキシンを投与したところ、肝臓で著るしいIL-1RmRNAの発現増強がみられ、それには、IL-1やIL-6等の内因性サイトカインが関与していることが明らかになった。
  • サイトカインによる腫瘍細胞障害性機序の解析
    がん特別研究
    研究期間 : 1993年04月 -1994年03月 
    代表者 : 松島綱治
  • IL-1によるマウスT細胞株の増殖シグナル伝達機構の解析
    奨励研究 (A)
    研究期間 : 1992年04月 -1994年03月 
    代表者 : 林 秀敏
  • メラノーマ細胞株のIL-1産生とその増殖制御
    がん特別研究
    研究期間 : 1992年04月 -1993年03月 
    代表者 : 小倉 剛
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1992年 -1993年 
    代表者 : 小野崎 菊夫; 林 秀敏
     
    インターロイキン1(IL-1)の増殖阻害作用に対し感受性のヒトメラノーマ細胞株A375-6と、長期培養により耐性を獲得した耐性クローンR8,R19を用いて耐性機構を調べた結果、以下のことが明らかになった。(a)、感受性株はIL-1を産生していないが、耐性株は微量のIL-1αを産生していた。それはmRNAでも確認された。(b)、耐性獲得はIL-1レセプターアンタゴニスト(IL-1Ra)の産生によるものではなかった。(c)、IL-1レセプターmRNA量は、感受性、耐性両株で差がみられなかった。従って、レセプターが発現していない為に耐性になった可能性は否定できた。(d)、TNFに対する感受性は感受性・耐性株で変化がなかった。しかし、IL-6に対してはIL-1耐性株のみが耐性であった。(e)、耐性株は微量のIL-6を産生していた。(f)、IL-1Ra添加により、耐性株でのIL-6産生は抑制された。従って、耐性株の産生するIL-1がオートクライン機構によりIL-6産生を誘導していることが示された。(g)、外から添加したIL-1により、感受性、耐性株ともIL-6産生が増加した。従って、IL-1レセプターを介するIL-6産生のシグナル伝達系は耐性株でも正常に維持されていた。(h)、IL-6レセプターmRNAは、耐性株R19では発現量が極めて少なかった。一方、レセプターに結合しているgp130のmRNAはいずれの株でも同程度発現していた。従ってR19の耐性は、IL-6レセプターが少ない為である可能性が示された。(i)、活性酸素の消去に関与し、TNFに対する耐性の原因の一つであるMn-SODのmRNAについて調べたところ、耐性株では発現量が増加していた。しかし、その作用に活性酸素が関よしていると考えられている抗癌剤、マイトマイシンやアドリアマイシンに対する感受性は、感受性・耐性両株間で差はみられなかった。従って、活性酸素に対する感受性の差が耐性の原因とは考えられない。(j)、感受性株にIL-1α cDNAをトランスフェクトさせ耐性が獲得できるか否かについては、現在検討中である。
  • 新しいタイプのリソゾーム膜ATPaseの精製及びその構造解析
    奨励研究 (A)
    研究期間 : 1990年04月 -1992年03月 
    代表者 : 林 秀敏
  • リソゾーム膜プロトンポンプの精製及びその構造解析
    奨励研究 (A)
    研究期間 : 1988年04月 -1990年03月 
    代表者 : 林 秀敏

社会貢献活動

  • 日本薬学会理事
    期間 : 2021年04月 - 現在
    役割 : その他
    種別 : その他
  • 薬学共用試験センター試験統括委員会委員
    期間 : 2012年09月01日 - 現在
    役割 : 助言・指導
    種別 : その他
    主催者・発行元 : 薬学共用試験センター
  • 愛知県薬事審議会委員
    期間 : 2018年08月 - 2021年03月
    役割 : その他
    種別 : その他
  • 名古屋市廃棄物処理施設専門委員会委員
    期間 : 2002年08月01日 - 2014年07月31日
    役割 : 助言・指導
    種別 : その他
    主催者・発行元 : 名古屋市
  • 環境省環境研究企画委員会分科会委員
    期間 : 2004年04月01日 - 2013年03月31日
    役割 : 助言・指導
    主催者・発行元 : 環境省
  • 日本薬学会誌「ファルマシア」編集委員・アドバイザー
    役割 : 編集
    種別 : 新聞・雑誌

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