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鵜川 眞也 (ウガワ シンヤ)

  • 医学研究科機能組織学分野 教授
メールアドレス: ugawamed.nagoya-cu.ac.jp
Last Updated :2024/03/19

研究者情報

学位

  • 大阪大学神経機能形態学講座/博士(医学)

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J-Global ID

研究キーワード

  • 味覚   上皮型ナトリウムチャネル   聴覚・平衡覚受容チャネル   機械刺激受容チャネル   一次繊毛   感覚器   酸感受性イオンチャネル   

研究分野

  • ライフサイエンス / 神経科学一般
  • ライフサイエンス / 耳鼻咽喉科学
  • ライフサイエンス / 病態医化学
  • ライフサイエンス / 解剖学

学歴

  •         -   大阪大学   医学部

所属学協会

  • 日本神経科学学会   日本神経化学会   日本解剖学会   

研究活動情報

論文

MISC

受賞

  • 2005年 日本神経化学会最優秀奨励賞
  • 2001年 日本解剖学会奨励賞

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2027年03月 
    代表者 : 鵜川 眞也; 岩崎 真一; 柴田 泰宏; 島田 昌一; 熊本 奈都子; 村上 信五; 植田 高史
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 渡辺 正哉; 渋谷 正史; 鵜川 眞也; 植田 高史
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2020年04月 -2023年03月 
    代表者 : 熊本 奈都子; 鵜川 眞也; 澤本 和延
     
    ASIC1aは水素イオンで開く陽イオンチャネルであり、脳では、神経細胞に発現し、シナプス小胞から神経伝達物質とともに開口放出された水素イオンをシナプス後膜にて受容することで、神経情報伝達に関与している。一方、虚血時には、嫌気性解糖の亢進により病変局所に水素イオンが蓄積するが、これに応答して開いたASIC1aは、細胞内へ陽イオンを流入させ、細胞の興奮に働く。虚血時に活性化されたASIC1aが成体脳海馬神経新生にどのような影響を与えるかを明らかにする。我々はまず、新生ニューロン特異的ASKC1a欠損マウスを用い、ASIC1aが虚血脳において神経幹/前駆細胞の増殖、生存に与える影響を検討した。新生ニューロン特異的ASIC1a欠損マウス(Nestin-CreERT2/lox-ASIC1a-loxマウス)にTMX(タモキシフェン)を5日間連続腹腔内投与し、神経幹/前駆細胞のASIC1aを欠損させた。最後のTMX投与の3日後に左側中大脳動脈永久閉塞MCAOを行って梗塞巣を作製した。その3日後にBrdUを単回腹腔内投与し、2時間後に脳を摘出、BrdUの蛍光免疫染色を行い、BrdU陽性(増殖)細胞の数を評価した。同様の脳虚血モデルマウスを用い、12時間ごとにBrdUを計6回 腹腔内投与し、BrdU最終投与から28日後に脳を摘出、BrdUの蛍光免疫染色を行い、BrdU陽性細胞(生存細胞)の数をカウントした。MCAOでは中大脳動脈支配領域である線条体と大脳皮質に梗塞巣が形成されるが、C57BL6系マウスは梗塞巣の大きさにばらつきがあり、データに個体差があるため、現在N数を増やして野生型マウスの脳虚血モデルマウスと比較検討中である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2019年04月 -2023年03月 
    代表者 : 近藤 貴子; 鵜川 眞也; 田辺 賢一; 稲垣 彰; 三好 規之
     
    感音性難聴の発症・進行には、食生活、酸化ストレスおよび生活習慣病など様々な要因が影響することがわかっている。ただし、腸内環境を改善する ことで宿主に有益な効果をもたらす難消化性食品成分である「プレバイオティクス」が感音性難聴に有効であるかは未知である。2021年度の計画では、早発性進行性難聴モデ ル(DBA/2Jマウス)を用いて、プレバイオティクスであるフラクトオリゴ糖(FOS)を投与し難聴進行抑制を検討するためにABR検査を用いた機能的解析をする予定であった。しかしながらコロナ感染対策に伴う共同研究の実施困難など動物実験が実施できなかった。また、動物飼育の拠点変更のため、本年度は施設利用の手続きなどを行った。そのため、早発性進 行性難聴モデルの既存サンプルを用いて、聴覚神経に発現するたんぱく質レベルでの解析に留まり、1年の延長申請を行った。本年度の計画であった機能的解析は実施 できなかったが、ABR機器の整備や手技取得が完了した。 その他、FOSが短鎖脂肪酸の増加を介して感音性難聴に影響しているのかを検討するために(1)FOS摂取有無の群間で内耳の有毛細胞や聴覚神経に発現する短鎖脂肪酸に関連するたんぱく質を免疫染色した。 (2)FOS摂取有無の群間で内耳の聴覚神経生存率の違いを確認するため、脳幹試料を用いて短鎖脂肪酸に関連するマーカー(FFARsなど)を用いて定量的解析を行った。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2019年04月 -2023年03月 
    代表者 : 稲垣 彰; 鵜川 眞也; 山村 寿男; 関谷 真二
     
    カルシウム感知受容体(calcium sensing receptor, CaSR)の内耳における機能解析を目的とした研究であり、そのため、引き続き、遺伝子の機能解析にとって強力な手法であるノックアウトマウスの作成を試みている。CaSRのノックアウトによりカルシウムの代謝異常のため、体制致死になるという既報告に基づき、機能解析には副甲状腺ホルモンも同時にノックアウトするダブルノックアウトマウスを、Crisper技術を用いて作成を試みている。しかし、ダブルノックアウトマウスの作成には困難があり、現在もまだ、解析に利用可能なマウスは得られていない。 このような経過から、同時に以前我々のグループが発表した薬理学的な方法による機能低下についても検討を行っている。以前の報告では、ラット内耳にCaSRの拮抗薬を注入することで聴力への影響が観察された(Minakata T, Inagaki A et al., Front Mol Neurosci. 2019)。これは内リンパ液で低く抑えられるカルシウムイオンの濃度調節が聴力において強い影響を持つこと示すデータであるが、次の段階を見据え、本知見のさらなる臨床応用を目指して、鼓室内にCaSRの拮抗薬と同様にベンゼン環を有するステロイド剤(プレドニゾロン)投与し組織移行性を検討する臨床試験法に基づく臨床研究を立案し、実施した。タンデムマススペック法を用いた移行濃度の測定の予備実験では組織移行性について良好な結果を示唆する結果が得られ、現在結果の詳細な解析、統計処理などを行っている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2019年04月 -2023年03月 
    代表者 : 柴田 泰宏; 鵜川 眞也; 窪田 泰江; 太田 裕也
     
    過活動膀胱や神経因性膀胱における頻尿を抑制するための薬剤には抗コリン薬およびβ3受容体作動薬などが使用されている。しかし、いずれの薬剤も排尿筋上の受容体をターゲットとしており、膀胱の伸展刺激を受容して尿意の起点となるであろう膀胱の感覚神経をターゲットとした薬剤は未だに無い。これは尿意を受容する本態として想定されている機械刺激受容について不明な点が多いためである。これらを明らかにするため、私たちは線虫の機械刺激受容体の哺乳類ホモログであるASICファミリーに注目し、ASICファミリーのノックアウトマウスおよびノックインマウスを用いてその膀胱における分布と機能の詳細を検討することを計画した。私たちは、ASIC4が排尿機能に与える影響を観察するため、ASIC4ノックアウトマウスを用いたvoid spot assayによる排尿行動解析を行った。生理的条件下において、8週齢から12週齢の野生型マウスおよびASIC4ノックアウトマウスの比較を行ったところ、ノックアウトマウスではプライマリースポット面積が小さくなる傾向があること、またスポット数が増大する傾向にあることから、野生型マウスと比較してASIC4ノックアウトマウスの最大膀胱容量は小さく、また頻尿を呈していることが示唆された。また、当研究室でまだ得られていないASIC2ノックインマウスおよびAISC2ノックアウトマウスをCRISPR/Cas9システムを用いて作出するための準備として、off-targetの少ないgRNAのベクターを設計するとともに、ノックインマウス作出のための遺伝子供与ベクターの設計を行った。相同アーム長は1kbp、ノックインに用いるTag配列はVSV-G配列を用いることとした。現在、本学の実験動物研究教育センターと協力し、次年度に繰り越した予算にて動物の作出を計画している。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年04月 -2021年03月 
    代表者 : 鵜川 眞也; 宇佐美 真一; 柴田 泰宏; 島田 昌一; 熊本 奈都子; 野口 佳裕; 村上 信五; 植田 高史
     
    酸感受性イオンチャネル(ASIC: acid-sensing ion channel)は、哺乳類機械刺激受容チャネルの有力候補分子である。我々は、本研究において、サブタイプ1a、1b、4の3種類がマウスの内耳有毛細胞に発現していることを見出した。また、ASIC1bが感覚毛の先端付近に局在していることを示唆する形態学的知見が得られ、これらのサブタイプが、何らかの形で、機械刺激電流の惹起に関与していると思われた。それぞれの遺伝子欠損(KO)マウスにABR(聴性脳幹反応)検査を施行したところ、ASIC1bおよびASIC4 KOマウスに、軽度から中等度の難聴を認めた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年04月 -2020年03月 
    代表者 : 神谷 武; 鵜川 眞也; 植田 高史
     
    我々は消化管運動調節に関与する新規イオンチャネル候補として、酸感受性イオンチャンネル4(ASIC4)の消化管における発現とその機能について検討した。X-gal染色ではASIC4がマウスの空腸から遠位結腸にかけて筋間神経叢に発現し、さらに興奮性および抑制性両神経細胞への発現を認めた。ASIC4ノックアウト(KO)マウスと野生型マウスを比較すると、消化管輸送能ではKOマウスで遅延がみられた。両者の摘出腸管をマグヌス法で測定すると、KOマウスではアセチルコリンに対する収縮反応は小さく、高濃度ニコチンに対する弛緩反応は認めなかった。この結果、ASIC4は下部消化管運動に関与する可能性が考えられた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年04月 -2020年03月 
    代表者 : 柴田 泰宏; 鵜川 眞也; 佐々木 昌一
     
    過活動膀胱に悩む患者が多数存在する一方で、尿意を受容する機構についての全体像は未解明の部分が多い。私たちは機械刺激受容体候補遺伝子である酸感受性イオンチャネルファミリーを中心に解析を行ってきた。そのなかで、ASIC4 遺伝子が膀胱平滑筋層に発現していること、および、アフリカツメガエル卵母細胞をもちいた発現系で機械刺激の一種である浸透圧変化によってASIC4を介した流入電流が増減することを見いだした。このことからASIC4が膀胱における機械刺激受容に何らかの役割を果たしていることが推察された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年04月 -2020年03月 
    代表者 : 熊本 奈都子; 鵜川 眞也
     
    酸感受性イオンチャネル1a(acid-sensing ion channel 1a: ASIC1a)は、水素イオンで開く陽イオンチャネルである。我々は、TagRFP-V5-ASIC1aノックインマウスを免疫組織染色することで、ASIC1a蛋白質が成体脳海馬神経新生初期から発現してることを見いだした。また、ASIC1a発現抑制やASIC1a阻害剤が海馬新生ニューロンの発達を抑制することが明らかになった。これらのことより、正常成体脳において、ASIC1aが海馬神経新生の制御に関与することが示された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年06月 -2019年03月 
    代表者 : 鵜川 眞也; 柴田 泰宏; 島田 昌一; 熊本 奈都子; 植田 高史
     
    われわれは、マウス蝸牛有毛細胞に発現する新規メカノセンサー候補ASIC-Xの解析に着手した。電気生理学的に検討したところ、ASIC-Xのリーク電流は、強い水流刺激によって増大したが、浸透圧刺激には応答しなかった。また、ASIC-Xを強制発現させた細胞に直接、機械刺激を加えたが、チャネル活性は増強しなかった。ノックアウトマウスを作出し、蝸牛有毛細胞の機械刺激電流を測定したが、特に異常は認められなかった。その一方で、ASIC-Xはナトリウムイオンに選択性を示すことが明らかとなり、メカノセンサーとしてではなく、リーク型ナトリウムチャネルとして何らかの生理機能を果たしていることがわかった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年04月 -2019年03月 
    代表者 : 植田 高史; 柴田 泰宏; 鵜川 眞也; 津嶋 宏美
     
    マウス味蕾において酸感受性イオンチャネル1a(ASIC1a)は味細胞ではなくP2X2/3陽性の神経線維に豊富に発現していた。この神経線維の投射元の膝神経節ニューロンでは水素イオンによりATP応答性が種々の程度に変化していた。この変化は主にP2X2とP2X3によってもたらされ、P2X3単独発現細胞ではリガンドに対する応答が酸によって抑制される一方、P2X2/3発現細胞では抑制されず、さらにASIC1aの有無で様々な応答の修飾が観察された。シナプス伝達を介したIII型味細胞による酸味の伝達に水素イオンが神経伝達修飾因子として働き、その伝達にASIC1aが関与している可能性が示された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年04月 -2019年03月 
    代表者 : 稲垣 彰; 鵜川 眞也; 蒲谷 嘉代子; 富永 真琴; 村上 信五
     
    カルシウムイオンは生体の機能に重要な筋肉や神経などで重要な役割を果たしていることが知られている。聴覚機能に重要な内耳でも徐々にその機能が明らかにされているが、未解明な部分も多い。網羅的に検討することで、内耳におけるカルシウムイオンの制御メカニズムを明らかにし、薬剤による新たな機能制御につなげることを目指した。その結果、カルシウム感受性受容体の分布を新たに同定し、聴覚に必要不可欠なことを明らかにした。本研究は内耳においてカルシウムイオンの恒常性の維持がどのように行われているかそのメカニズムの一端を明らかにし、それが薬理学的に調節できることを示した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年10月 -2018年03月 
    代表者 : 塚本 義則; 堤内 要; 石田 康行; 鵜川 眞也
     
    生活習慣病の中で最も罹患者数が多い高血圧は、その原因が塩分の摂り過ぎに由来し、この高血圧を予防するには塩分の摂取を低減することが重要なことは自明の理ではある。しかし、単なる減塩では味が味気なくなるという問題が伴う。そこで、我々はこの問題を解決する手段として、塩味を増強する塩味増強方法の開発により減塩をしてもおいしい塩味を享受できる技術開発を試みた。具体的には、ヒトの塩味受容体遺伝子をアフリカツメガエルの卵母細胞に注入・発現させた塩味受容体タンパク質をセンサーとして、塩味増強物質を農作物、発酵食品、食品素材等を対象に探索した結果、1種類の農作物より塩味を有意に増強する物質を見出すことに成功した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 辻田 麻紀; 鵜川 眞也
     
    生体内コレステロールの排出機構の主となる肝-胆管-小腸軸とは別のTICEと呼ばれる小腸を介した循環からの直接的な排出機構が注目されている。本プロジェクトは我々が小腸吸収上皮細胞基底膜に局在を確認したSR-BI受容体のTICEでの役割を検討する事を目的としている。本研究期間に小腸特異的なSR-BI欠損モデル動物を交配により作成・比較できる複数の遺伝子改変マウスを確保するに至った。またマウスリポ蛋白質に対するratモノクローナル抗体の作成にも成功した。更にin vivoでの代謝測定に必要なマウス血漿プールを得た。今後これらを用いて小腸を介する血中LDLとHDLからのコレステロール排出を評価する。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年04月 -2017年03月 
    代表者 : 近藤 貴子; 鵜川 眞也; 橋野 えり
     
    神経接着因子として知られている免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)は神経細胞の軸索ガイダンスや特異的シナプス形成において重要な役割を果たしている。本研究では、IgSFに属するDSCAMやSDKがどのように胎児期の内耳および蝸牛神経において発現しているかを遺伝子およびタンパク質レベルで解析した。SDKは蝸牛神経のみに発現していたが、DSCAMは有毛細胞にもMyosin Vllaと共発現していた。また、DSCAMは軸索誘導因子であるNetrin1とも共発現し、これらのタンパク質は直接的な相互作用をしていた。したがって、DSCAMが蝸牛神経の軸索ガイダンスに関与している可能性が示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2014年04月 -2017年03月 
    代表者 : 柴田 泰宏; 佐々木 昌一; 鵜川 眞也
     
    私たちはこれまでに胎児ラットの前立腺原器である泌尿生殖洞を成体雄ラットの前立腺被膜下に移植することで得られる間質増生主体の前立腺肥大症モデルを作成し研究してきた。その結果、GDNF(grial cell-derived neurotrophic factor)が正常前立腺に比較して前立腺肥大モデルに高発現していることが確認された。ヒト前立腺由来の細胞株へGDNFを投与した結果、間質由来成分の増殖能が増大した。また、ヒト前立腺肥大症組織において、前立腺体積とRETの発現が相関する傾向が見られた。これらより、前立腺肥大の発生機序の1つにGDNFシグナル系が関与していることが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2013年04月 -2017年03月 
    代表者 : 神谷 武; 植田 高史; 鵜川 眞也; 鹿野 美千子
     
    酸感受性イオンチャネル5(ASIC5)は、近年新規胆汁酸センサーとして報告されたが、上部消化管での発現については不明である。我々は、食道における新規酸感受性機械受容チャネル候補としてASIC5の発現について検討した。RT-PCR法ではASIC5遺伝子断片はマウス食道中、下部に発現が多く、全長クローニングにより新規のスプライシングバリアントを認めた。他の候補としてTGR5についてもHET-1Aヒト正常食道上皮細胞株を用いて精査したが、その発現は認められなかった。特異的な抗体がないためタンパクレベルでの発現が未解析であるが、ASIC5が食道で重要な役割を担っている可能性が考えられた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 植田 高史; 鵜川 眞也; 島田 昌一
     
    マウス下垂体において、前葉と中葉に酸感受性イオンチャネル(ASIC)1と4が、後葉に一過性受容体電位型チャネルバニロイド2 (TRPV2)チャネルが分布していた。プロトン(水素イオン)による刺激は、ASIC1はもちろんのこと、ASIC4をも活性化した。TRPV2のアゴニストprobenecidは、下垂体初代培養細胞において、全細胞の約12%で細胞内カルシウム濃度の上昇とともに、全体として細胞外へのATPの放出を引き起こした。ATPは後葉細胞から傍分泌され、周囲に存在するバゾプレッシンニューロンの働きを調節することが知られており、TRPV2がこの内分泌調節機構に関わっている可能性が示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 塚本 義則; 鵜川 眞也; 大西 素子; 堤内 要; 石田 康行
     
    酸味受容体遺伝子候補ASICs(acid-sensing ion channel:1a,1b,2a,2b,3),PKD1L3及びPKD2L1遺伝子をアフリカツメガエルの卵母細胞に単独及び共発現させたものをセンサとして電気生理学的アッセイ法を用いて、ASIC1aと1bの単発現と共発現系において酸味抑制あるいは増強効果を示す物質候補を探索してきた結果、各々の統計学的有意差を伴って、納豆A、麦味噌、米味噌、イソフラボン及び炭化水素資化性菌培養液の界面活性画分の分子量3500以上の透析内液画分に酸味抑制効果、また、納豆Bの分子量3500以上の透析内液画分に酸味増強効果を有する成分の存在を見出した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2011年04月 -2015年03月 
    代表者 : 辻田 麻紀; 横山 信治; 鵜川 眞也
     
    TICEは小腸を介するコレステロールの搬出機構であり、近年注目されている肝臓を介さないコレステロール排出経路である。我々はマウス尾側静脈より3Hコレステリルエ-テルを含むマウスHDLを注入した。SR-BIはHDLコレステロールの受容体であるが、この受容体欠損マウスでは肝臓や副腎だけでなく小腸の放射標識も野生型マウスと比較して有意に低下した。更にマウス小腸吸収上皮細胞を4%PFAにて固定化し、免疫組織蛍光法でSR-BIの局在を確認した。共焦点顕微鏡を用いた観察では小腸吸収上皮細胞の尖端と基底膜が染色され、小腸に局在するSR-BIのHDLコレステリルエステル排出への関与が推察される結果が得られた。
  • 聴覚受容体遺伝子の機能解析および難聴モデルマウスの作製
    研究期間 : 2011年04月 -2015年03月 
    代表者 : 鵜川眞也
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2012年04月 -2014年03月 
    代表者 : 柴田 泰宏; 佐々木 昌一; 鵜川 眞也; 濱川 隆; 小島 祥敬; 郡 健二郎
     
    冷刺激で尿意が誘発される原因として膀胱と皮膚との間に関連痛類似の仕組みがあるのではないかと推測し研究を開始した。膀胱と皮膚へ2種類の逆行性神経トレーサーを投与した結果、これらを同時に含む神経細胞体をL6-S1の後根神経節に確認し、一部にTRPM8の発現を認めた。さらに、皮膚への冷刺激およびmenthol皮下投与により、膀胱知覚神経の活動電位が記録された。これらの結果から、膀胱と皮膚へ軸索を二重に投射するTRPM8陽性の知覚神経の存在が示された。これにより皮膚知覚の一部が中枢神経に至る過程で膀胱知覚と混同され、区別のできない形で認識されていることが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2010年 -2011年 
    代表者 : 島田 昌一; 八木田 和弘; 石田 雄介; 鵜川 眞也
     
    酸感受性イオンチャネル(ASIC)遺伝子ファミリーは、感覚器や神経系に幅広く発現し、内耳にも発現している。我々はASIC2aの430番目のグリシン残基をフェニルアラニンに置換することにより、機能増強型(gain of function)のチャネルを作成した。このチャネルは常に開いているため、培養細胞に強制発現すると、細胞死を引き起こす。この点変異を導入したトランスジェニックラットを作成した。このトランスジェニックラットには、明らかに歩行の異常が認められ、平衡感覚の障害もしくは、小脳失調の可能性が考えられた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 植田 高史; 島田 昌一; 鵜川 眞也; 石田 雄介; 島田 昌一; 石田 雄介
     
    マウス鼻腔上皮細胞において一部の細胞がCO_2に応答し細胞内カルシウム濃度の上昇を引き起こした。この細胞は、水素イオンにはそれほど応答せず、水素イオンに応答する陽イオンチャネルである一過性受容体電位型チャネルバニロイド1(TRPV1),酸感受性イオンチャネル(ASIC) 1a, 1b, 2a, 2bおよび3の発現は認められなかった。低pHよりもNaHCO_3に応答する細胞が多いことから、重炭酸イオンによる活性経路が示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2009年 
    代表者 : 島田 昌一; 村上 信五; 鵜川 眞也; 石田 雄介
     
    我々は内耳の有毛細胞にASIC1b(Acid sensing ion channel 1b)が発現していることを見いだした。in situハイブリダイゼーション法による解析ではASIC1bは、外有毛細胞に強く発現し、内有毛細胞にも発現が認められた。さらに、免疫組織化学法を行ったところ、ASIC1bイオンチャネルは有毛細胞において感覚毛がクチクラプレートに接する部分にのみ限局して分布していることが分かった。そこでASIC1bのノックアウトマウスを作成し聴覚検査を行ったところ、まだ予備実験の段階ではあるが部分的な難聴を示した(東京医科歯科大学喜多村教授との共同研究)。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 石田 雄介; 鵜川 眞也; 植田 高史; 島田 昌一; 田中 克幸; 梶田 健二
     
    本研究の目的は、味覚経路に発現する温度感受性TRPが中枢ではなくすでに末梢のレベルで味覚に影響を及ぼすことを証明し、更にその影響を解析することである。この研究は昨年度から引き続き行われており、以下に本年度の成果とその重要性について説明する。(1)トレーサーFast Bluev (FB)による舌を支配する鼓索神経の標識:当初トレーサーにはDiOを考えていたが、実際に使用して比較してみるとFBによる標識のほうがコントラストもよく調子が良かった。マウス舌前方(鼓索神経領域)にFBを局注し、舌に分布する神経線維を順行性にトレースすることで舌を支配する膝神経節の神経細胞体を同定できた。(2)マウス膝神経節における温度感受性TRP (TRPV1)の発現:昨年度の研究から、マウス膝神経節において温度感受性TRP蛋白のひとつTRPV1が発現していることが示唆されていた。トレーサーFBを用いて舌を支配する膝神経節の細胞体を同定した上で、TRPV1の免疫染色を行ったところこれらのシグナルは一部重なっていた。以上の結果から味覚伝達経路にはTRPV1が発現していることが示唆された。(3)さまざまな温度の味溶液で舌を刺激した場合に誘発される鼓索神経応答の電気生理学的検討:舌を刺激する五つの味溶液(甘味・酸味・苦味・うま味・塩味)を用意し、さらにそれらの温度を低いものから高いものまで設定して、鼓索神経whole nerve recordingを行った。その結果、一般的に42℃(高温)、100℃(低温)では舌の表面温度である25QCよりも活性が抑制された。しかし塩味の場合は10℃では同様に25℃よりも活性が抑制されたが、TRPV1が活性化する42℃の高温条件ではむしろ鼓索神経の応答は増強された。このことから高温下ではTRPV1が活性化して(後、何らかのメカニズムを経て)塩味による味覚神経の応答を増強することが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 島田 昌一; 城 卓志; 鵜川 眞也; 石田 雄介
     
    本研究では消化管において、それぞれの酸感受性イオンチャネルがどの様な部位に局在し、pHのセンシングに関与しているかについて検討した。消化管では摂食時や空腹時に管腔内の食物量に応じて胃酸の分泌、粘液の分泌等が適切に調節され、食物の消化を促進すると同時に消化管自身が酸によって障害されないように制御されている。このような消化管内の酸の適切なバランスを制御するためには、酸のセンサーが重要な役割を果たしていると考えられる。我々は消化管の酸のセンシングに関与している分子の一つとして、食道粘膜上皮細胞では上皮性ナトリウムチャネルのδサブユニットが存在していることを見いだした。また粘膜固有層に分布する酸感受性の神経終末としてはacid sensing ion channels(ASICs)やtransient receptor potential channel-vanilloid subfamily member 1(TRPV1)を発現する神経を認めた。これらの酸のセンサーを発現する神経終末は、迷走神経と脊髄神経に由来するものであった。さらに我々は、6-amidino-2-naphthyl p-guanidinobenzoate dimethanesulfonateがASICsの選択的阻害薬として作用することをアフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いて証明した。この薬剤は、酸感受性イオンチャネルが消化管での酸のセンシングにどの様に関与しているのかを薬理実験や生理実験を通して解析するための有力なツールとなる可能性がある。また、この薬剤の研究は、酸による内臓痛に対する鎮痛薬の開発にもつながると考えられる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2004年 -2005年 
    代表者 : 島田 昌一; 鵜川 眞也
     
    内耳は微小器官であり生化学的な研究が難しく、内耳に特異的に発現する遺伝子の多くは重要な機能を担っているにも関わらずその研究が立ち遅れてきた。本研究では内耳の有毛細胞の感覚毛に特異的に局在する聴覚を受容する機械刺激応答性イオンチャネル遺伝子の同定を目指し、マウス内耳有毛細胞cDNAライブラリーを作製し、TRPファミリーおよびASICファミリーと相同性を示す遺伝子をスクリーニングしてきた。これらの中でASICファミリーに属する遺伝子のスプライシングバリアントが、内耳有毛細胞に発現していることを見いだした。ウサギを用いて特異的な抗体を作製し、免疫組織化学的な解析を行ったところ、このクローンは蝸牛の内有毛細胞と外有毛細胞の感覚毛に特異的に蛋白が局在していた。さらに、免疫電顕法で詳しく解析すると有毛細胞の感覚毛の根本に免疫陽性構造の局在が認められた。また、このクローンのイオンチャネルとしての特性をアフリカツメガエル卵母細胞に発現させて解析してみると、陽イオンチャネルの活性が浸透圧に感受性を示すことが明らかになった。また、薬理学的にこのイオンチャネルはアミロライドで抑制されることが分かった。これらの結果から、このイオンチャネルは内耳有毛細胞の感覚毛に発現し、機械刺激感受性(浸透圧感受性)を示し、アミロライドで抑制されることから、聴覚受容に関与する機械刺激応答性イオンチャネルの有力候補であることが分かった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2002年 -2005年 
    代表者 : 平林 義章; 植田 高史; 植田 高史; 島田 昌一; 藤森 修; 鵜川 眞也; 平林 義章
     
    味覚の受容体の中でも苦味、甘味、旨味の受容体遺伝子はGタンパク質と共役して味覚を伝達する。本研究では第1に、推定される苦味、甘味、旨味の味覚受容体を単離し、HEK細胞発現系を用いて味物質との対応関係を解析する。第2に、機能解析に困難を要するGタンパク質αサブユニットi(Gαi)を介して機能するGタンパク共役型受容体(GPCRs)の機能の解析を、受容体に適合したGαのキメラを使用することにより実現させることにある。我々はヒト苦味受容体であるT2R遺伝子ファミリーに属する4種類の遺伝子で多様なcoding single-nucleotide polymorphysms(cSNPs)が存在することを明らかにした。また、甘味とうま味の味覚受容体遺伝子であるT1R受容体遺伝子ファミリーにおいて、スプライシングバリアントが存在することを見いだした。次に、T2R受容体がどの様な種類のG蛋白と共役可能かをキメラG蛋白を用いて解析した。苦味受容体としてはmT2R5とhT2R16を用いて、それぞれのリガンドであるサイクロヘキサミドとサリシンに対する応答性を解析したところ、gustducin、transducin、Gαi2などのG蛋白と少なくともmT2R5とhT2R16は共役可能であることがわかった。また、G蛋白のC末端のβ6シート、α5ヘリックス、extreme C terminusが苦味受容体とG蛋白との共役に重要な部位であることがわかった。さらにこれらのG蛋白を介したシグナルは味蕾細胞においてPLCβ2、IP3受容体を経て細胞内のカルシウムイオンを上昇させて陽イオンチャネルであるTRPM5を活性化させる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2002年 -2005年 
    代表者 : 島田 昌一; 村上 信五; 鵜川 眞也; 植田 高史
     
    味覚の感受性はヒトにより大きな個人差がある。どの様なメカニズムで、個人個人において味覚の感受性に、差が生じるかは未だ不明な点が多い。我々は、味覚受容体遺伝子の塩基配列の解析結果から、4種類の苦味受容体遺伝子においてそれぞれアミノ酸配列に変異を伴う遺伝的多型が存在することを発見した。このことは味覚受容体蛋白の構造が個人によって異なることを意味していると同時に、個人の味覚受容体のアミノ酸配列が異なるのが原因で味を呈する物質に対する感受性や選択性が個人で異なる可能性を示唆している。この遺伝的多型が存在する4種類の苦味受容体の機能を調べるため、まず最初にガストデューシンとGα16のキメラGタンパク質を作成し、カルシウムイメージング法を用いてそれぞれの苦味受容体cDNAをHEK細胞に強制発現し検討し、特定のリガンドを検索した。この結果、サリシンに応答を示すhT2R16の機能解析に成功した。今回の我々の遺伝子の解析で、hT2R16はcoding SNPを有し、172番目のアミノ酸残基が、アスパラギンとリジンのものが存在することが分かつたので、この両者のhT2R16cDNAをHEK細胞に強制発現させて、リガンドの応答性を詳しく検索した。hT2R16の172番目のアミノ酸残基がリジンのものとアスパラギンのものとでは、サリシンに対する応答性にはほとんど差は見られなかった。またhT2Rl6のcoding SNPを有する被検者の苦味物質に対する感受性を調べたが、このSNPに関しても大きな差は認められなかった。今後このシステムを使って我々が確認したcSNPを有するhT2R4やhT2R5についても同様の方法で解析し、味覚受容体遺伝子と味覚感受性の個人差との関係を明らかにしていく。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2003年 -2004年 
    代表者 : 植田 高史; 島田 昌一; 鵜川 眞也; 平林 義章
     
    我々は新規のCO_2受容体を同定するため、いくつかの実験を平行して行った。第1に「嗅覚系CO_2受容細胞の同定と解析システムの構築」では、carbonic anhydrase(CA)の遺伝子発現をラットの発育過程で確認した。次に剥離したラット嗅上皮に様々な濃度のCO_2を処理できるようなシステムを考案し、実験を重ねているが、残念ながら今現在までにポジティブな応答は観察できていない。第2にCA陽性の細胞の分布は、嗅覚受容体の分布と類似している点から嗅覚受容体の中にCO_2に応答する受容体があることが予想された。Gタンパク質に共役した嗅覚受容体の研究の最大の問題はその機能解析にあり、既に報告されている受容体ですら、ある研究室では再現してその応答を見ることが困難なことが報告されている。我々は、まずこのような既に報告されている嗅覚受容体mOR-EGを譲り受け、この機能の解析ができるように工夫した。その結果、マウスのGα15という様々な受容体に結合するGタンパク質αサブユニットを用いた嗅覚受容体の解析系を構築することに成功した。さらに鼻腔上皮にはTAS2Rと呼ばれる味覚受容体として単離された受容体も存在していることが報告された。TAS2Rは嗅覚受容体と同じロドプシン型Gタンパク質共役型受容体(GPCR)に所属し、さらにそのほとんどの機能が未だ明らかとなっていない、嗅覚受容体と良く似た遺伝子である。嗅覚受容体は1000近くあるのに対してTAS2Rは数十個しかない。我々はこの遺伝子を単離し、さらにはこの遺伝子の機能を解析するシステムを構築することに成功した。他の嗅覚受容体や味覚受容体の解析にも成功してるので、本研究の結果は今後この研究課題についての一助となる。
  • 新規痛覚受容体の単離と機能解析
    研究期間 : 2002年 -2004年
  • 苦味・甘味センサーの開発と味覚(酸味・塩味・苦味・甘味)修飾物質のスクリーニング
    研究期間 : 2001年 -2003年
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2000年 -2002年 
    代表者 : 島田 昌一; 植田 高史; 平林 義章; 村上 信五; 鵜川 眞也
     
    味覚受容体遺伝子の産業面での応用として、味覚受容体遺伝子を発現させた味覚センサーを開発し、新しい味覚修飾物質をスクリーニングした。その結果、酸味受容体遺伝子の応答を抑制する物質として、セリンプロテアーゼのニューロプシンを同定した。トリプシンなどの他のプロテアーゼでは、この酸味受容体に対する修飾機能は認められなかった。ニューロプシン分子のプロセッシングを受ける前のプレ体では、この酸味受容体に対する機能修飾は全く認められず、プロセッシングを受けた後の活性型のニューロプシンがpH5.0で酸味受容体の応答を抑制した。この抑制機構はリバーシブルで投与したニューロプシンをバッファーで洗い流すとその抑制効果も消失した。 一般に味覚では順応が起こり、同じ味覚刺激でも一定の時間さらされていると、その味覚に対する感受性が低下してくる。我々は、最近ラット有郭乳頭から新たに酸味受容体イオンチャネルの新しいサブユニット(ASIC2b)を同定した。このASIC2bサブユニットがASIC2aと同一の味蕾細胞に共存していることを、免疫組織化学法により証明し、さらにASIC2bが酸味受容体応答の順応の度合いを調節していることをASIC2aとASIC2bを同時にアフリカツメガエル卵母細胞に発現させた系を用いて証明した。ASIC2aとASIC2bイオンチャネル複合体が酸味受容体として味蕾で機能し、pHの低い状態ではアミロライド感受性が失われることを示した。この特性は、実際の酸味受容体の生理学的特性とよく一致するものであった。また、ヒト味覚受容体をコードしている遺伝子の中で3種類の遺伝子群hT2R3、hT2R4、hT2R5にアミノ酸変異を伴う遺伝子多型が存在することを示したが、さらにヒト味覚受容体遺伝子hT2R16にも多様性が存在することを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1999年 -2000年 
    代表者 : 島田 昌一; 鵜川 眞也; 植田 高史
     
    本研究はMDEG1イオンチャネルの第二膜貫通部位に人工的な点変異を導入し、この陽イオンチャネルが開いたまま閉じない状態を作り出し、このgain of functionの特殊なチャネルをトランスジェニックマウスに発現させて、味覚障害や神経変性症のモデル動物を作成することが目的である。 MDEG1の430番目のグリシン残基をPCR法を用いて様々なアミノ酸に置換し、電気生理学的に解析した結果、フェニルアラニンに置換させたものが最も効果的にチャネルが開いたままの状態になることを明らかにした。さらにミュータントイオンチャネル(MDEG1-G430F)を発現させた細胞に、選択的な細胞死が起こることを確認した。このMDEG1-G430FのcDNAにopsinのプロモーター・エンハンサー領域をつなげて岡部らと共同研究でトランスジェニックマウスを作成した。現在そのトランスジェニックマウスがどの様な障害をきたしたか、形態学的、生理学的な解析を進めている。 また、堀本らと共同研究で、このMDEG1-G430Fミュータントに、がん特異的プロモーターを組み込んだものを、リポゾーム法を用いて、転移がんモデルマウスに投与し、がん細胞の選択的な細胞死を引き起こすモデルマウスを作成した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1998年 -2000年 
    代表者 : 島田 昌一; 植田 高史; 平林 義章; 藤森 修; 鵜川 眞也; 植田 弘美
     
    塩味や酸味の受容体遺伝子の単離、同定とその機能を解析する目的で本研究を始めた。塩味と酸味の受容体に関しては生理学的にはアミロライド感受性陽イオンチャネルの特性を有すると考えられているため、味蕾が豊富に分布するラット有郭乳頭よりcDNAライブラリーを作製し、アミロライド依存性陽イオンチャネル遺伝子ファミリーと相同性を有する遺伝子のスクリーニングを行った。その結果、これらのcDNAの中で、酸味受容体遺伝子(MDEG1)を同定した(Nature,1998,395:555-556)。さらに酸味受容体イオンチャネルの他のサブユニットのcDNAをクローニングするためにラット有郭乳頭cDNAライブラリーをスクリーニングし、酸味受容体イオンチャキルを形成する新たなサブユニットとしてMDEG2を同定した。MDEG2に対する抗体をウサギで作成し、免疫組織化学法により詳細な局在を検討したところ、MDEG2はMDEG1と同一味蕾細胞に共存して発現していることが分かった。次にMDEG2をMDEG1と同時にアフリカツメガエル卵母細胞に発現させた系を用いて膜電位固定法により電気生理学的に機能を解析したところ、MDEG2がチャネル全体の脱感作を調節するサブユニットであることを証明した。さらに、ポイントミューテーションによるMDEG2のアミノ酸残基の人工的置換実験の結果、第二膜貫通部位のグリシン残基をフェニルアラニンに置換すると、その他のチャネルの特性を全く変えることなくMDEGイオンチャネルの脱感作現象が完全に消失することが分かった。一般に味覚では順応という現象があり、同じ味覚刺激に一定の時間さらされていると、その味覚に対する感受性が低下してくる。MDEG2サブユニットはMDEG酸味受容体チャネルの脱感作を調節することから、酸味応答の順応を調節するサブユニットであると考えられた。また、実験結果からMDEG2の構造の中でも481番目のグリシン残基が、チャネルの脱感作や順応に、重要なアミノ酸残基であることを明かとした。
  • 内耳有毛細胞に存在する新規機械電気変換イオンチャネルの単離と機能解析
  • 内耳有毛細胞に存在する機械電気変換イオンチャンネルの単離と機能解析
  • かゆみ受容体の同定

社会貢献活動

  • 篤志解剖全国連合会43回総会出席
    期間 : 2013年03月27日 - 2013年03月27日
    主催者・発行元 : 地域団体・NPO
     サンポートホール高松 第1小ホール 献体業務を行う地域団体が年に一度会合し、討議等を行うものに出席
  • 第2回5大学連絡協議会出席
    期間 : 2013年02月26日 - 2013年02月26日
    主催者・発行元 : 地域団体・NPO
     名古屋商工会議所2階 名商グリル 不老会の主催で献体業務に関する話し合いを行った。
  • 第1回5大学連絡協議会出席
    期間 : 2012年07月17日 - 2012年07月17日
    主催者・発行元 : 地域団体・NPO
     名古屋商工会議所2階 名商グリル 不老会の主催で献体業務に関する話し合いを行った。

その他のリンク

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