水野 幸太郎; 坂根 理司; 小田 梨紗; 松井 琢哉; 山田 健
気管支学 2014/05 (NPO)日本呼吸器内視鏡学会
背景. 超音波気管支鏡ガイド下経気管支針吸引(EBUS-TBNA)が一般的手技となり、縦隔鏡検査は施行機会が減っている。目的. 当科における縦隔鏡検査の現状と今後の方向性を検討した。対象. 当科で2007年1月から2012年12月までに施行した縦隔鏡検査14例の成績を検討した。結果. 目的病変はリンパ節4Rが8例、2Rが2例、2Lが2例、1が1例、縦隔伸展肺病変が1例であった。12例で縦隔鏡検査前に1例のEBUS-TBNAを含む気管支鏡下生検を行っていたが診断が得られなかった。縦隔鏡検査により14例中13例で組織診断が得られた。肺癌の縦隔リンパ節転移が5例、肺癌の縦隔伸展が1例、結核が2例、悪性リンパ腫、サルコイドーシス、珪肺症、IgG4関連疾患、正常リンパ節が1例ずつであった。診断が得られなかった1例は生検時のリンパ節からの出血で組織採取を断念した。生検し得た13例に周術期合併症はなかった。検査時間は53.2±16.8分(19〜93分)、術後在院日数は2.7±1.5日(1〜6日)であった。結論. 今回の検討では縦隔鏡検査の診断率は92.9%であった。縦隔鏡検査前にEBUS-TBNAを施行した症例は1例のみであり、優劣を比較することはできないが、諸家の報告によるEBUS-TBNAの診断率85〜96%と比して同等であったことから非劣性であると判断される。縦隔鏡検査は全身麻酔を要するが検査時間や入院日数からは比較的低侵襲であると判断される。豊富な検体量が診断に寄与するサルコイドーシスや悪性リンパ腫、さらには微小病変、気管に接していない病変、軟骨と重なる病変などEBUS-TBNAの診断率が低下する条件を満たす病変の診断においては縦隔鏡検査が優位となることがあり、今後も必要とされる手技である。(著者抄録)