浅井 明倫; 杉浦 健之; 藤掛 数馬; 加藤 利奈; 太田 晴子; 祖父江 和哉
日本ペインクリニック学会誌 2020/02 (一社)日本ペインクリニック学会
2014年5月から2017年7月までに、脊髄くも膜下麻酔もしくは硬膜外併用脊髄くも膜下麻酔で管理された帝王切開症例540件のうち、硬膜穿刺後の頭痛(PDPH)を発症した25症例(4.6%)を対象として、五苓散の有効性について後ろ向きに検討した。PDPHに対して五苓散が投与された症例は12例(平均年齢34.5±3.9歳)で、いずれもツムラ五苓散エキス顆粒7.5g分3が投与されており、五苓散は頭痛の持続時間が長く、重症度が高い症例に使用されている傾向にあった。また、五苓散内服中の有害事象は認めず、頭痛の改善率は投与後24時間以内で58.3%、48時間以内では83.3%であった。帝王切開術後に発症した脊髄くも膜下麻酔に伴うPDPHに対し、五苓散は効果発現が速やかで有効な可能性がある。