研究者データベース

矢木 宏和 (ヤギ ヒロカズ)

  • 薬学研究科多階層生命機能解析学 准教授
Last Updated :2025/04/16

研究者情報

学位

  • 博士(薬学)(名古屋市立大学大学院薬学研究科)

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J-Global ID

プロフィール

  • 糖鎖の役割に興味をもって、研究を行っています。

    どうぞよろしくお願いいたします。

研究キーワード

  • バイオ医薬品   細胞生物学   蛋白質科学   糖鎖生物学   Neuroscience   Glycobiology   

研究分野

  • ライフサイエンス / 機能生物化学
  • ライフサイエンス / 構造生物化学
  • ライフサイエンス / 分子生物学
  • ライフサイエンス / 細胞生物学
  • ライフサイエンス / 薬系分析、物理化学
  • ライフサイエンス / 薬系衛生、生物化学

経歴

  • 2023年04月 - 現在  名古屋市立大学大学院薬学研究科 多階層生命機能解析学分野准教授(PI)
  • 2021年10月 - 2023年03月  名古屋市立大学大学院薬学研究科
  • 2013年10月 - 2021年09月  名古屋市立大学大学院薬学研究科講師
  • 2009年06月 - 2013年09月  名古屋市立大学 薬学研究科(研究院)助教
  • 2009年04月 - 2009年06月  自然科学研究機構 生理学研究所日本学術振興会特別研究員(PD)
  • 2008年04月 - 2009年03月  名古屋市立大学 薬学研究科(研究院)日本学術振興会特別研究員(PD)

学歴

  • 2005年04月 - 2008年03月   名古屋市立大学 大学院薬学研究科 博士後期課程   Graduate School of Pharmaceutical Sciences
  • 2003年04月 - 2005年03月   名古屋市立大学 大学院薬学研究科 博士前期課程   Graduate School of Pharmaceutical Sciences
  • 1999年04月 - 2003年03月   名古屋市立大学 薬学部 薬学科   Medicin   Medicin

所属学協会

  • 日本バイオイメージング学会   日本細胞生物学会   日本蛋白質科学会   日本薬学会   日本糖質学会   日本生化学会   

研究活動情報

論文

書籍

  • 糖鎖生物学 : 生命現象と糖鎖情報(北島健,佐藤ちひろ,門松健治,加藤晃一編)
    矢木宏和; 加藤晃一 (担当:分担執筆範囲:免疫と糖鎖(III);獲得免疫)名古屋大学出版会 2020年
  • 医薬品/化粧品/食品分野におけるHPLC・GC分析テクニック
    矢木宏和; 加藤晃一 (担当:分担執筆範囲:HPLCを用いた抗体医薬の糖鎖解析)技術情報協会 2020年
  • 矢木宏和; 加藤晃一 (担当:分担執筆範囲:バイオ・抗体医薬品における糖鎖解析技術)情報機構 2019年12月 ISBN: 9784865021806 viii, 278p
  • Modern Magnetic Resonance, 2nd Edition (G.A.Webb ed.), NMR characterization of the dynamic conformations of oligosaccharides
    K.Kato; H.Yagi; T.Yamaguchi Springer International Publishing 2018年
  • Glycobiophysics (Y.Yamaguchi and K.Kato ed.), Structure and dynamics of immunoglobulin G glycoproteins
    H.Yagi; S.Yanaka; K.Kato Springer Nature Singapore 2018年
  • NMR in Glycoscience and Glycotechnology (K.Kato and T.Peters ed.), Stable isotope labeling of glycoproteins for NMR study
    Y.Yamaguchi; H.Yagi; K.Kato RSC Publishing (Cambridge) 2017年
  • 糖鎖の新機能開発・応用ハンドブック~創薬・医療から食品開発まで~ HPLCマッピング法による糖鎖プロファイリング
    矢木宏和; 加藤晃一 エヌ・ティー・エス 2015年
  • 次世代医薬開発に向けた抗体工学の最前線「NMR法による抗体の高次構造」
    矢木宏和; 加藤晃一 シーエムシー出版 2012年
  • バイオ医薬品開発における糖鎖技術 「多次元HPLCマッピングによる糖タンパク質糖鎖の定量プロファイリング」
    矢木宏和; 加藤晃一 シーエムシー出版 2011年
  • Experimental Glycoscience: Glycochemistry, Release of N-glycans by enzymatic methods
    N.Takahashi; H.Yagi; K.Kato Springer (Japan) 2008年
  • Comprehensive Glycoscience (J.P.Kamerling ed.),The two-/three-dimensional HPLC mapping method for the identification of N-glycan structures
    N.Takahashi; H.Yagi; K.Kato Elsevier (Oxford) 2007年

講演・口頭発表等

  • 糖転移酵素によるタンパク質特異的な糖鎖修飾機構  [招待講演]
    矢木宏和
    第93回日本生化学会大会 2020年09月 シンポジウム・ワークショップパネル(公募)
  • 積荷受容体が認識するパスポート配列タグの付加に伴うα2,3シアリル化の亢進  [招待講演]
    矢木宏和
    第42回 日本分子生物学会年会 2019年12月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
  • The molecular mechanisms underlying protein-specific glycosylation  [招待講演]
    Hirokazu Yagi
    Invited Seminar at UGSF 2019年11月
  • Structural characterization of the circadian clock protein complexes composed of KaiA, KaiB and KaiC by integrative structural approaches  [招待講演]
    Hirokazu Yagi; Yasuhiro Yunoki; Ken Morishima; Kentaro Ishii; Reiko Murakami; Lionel Porcar; Anne Martel; Rintaro Inoue; Kazuki Terauchi; Susumu Uchiyama; Masaaki Sugiyama; Koichi Kato
    第3回 J-PARC国際シンポジウム 2019年09月
  • Molecular mechanisms underlying protein-specific glycosylation pattern formation by tagging with a MCFD2-binding motif sequence recognized by cargo receptor  [招待講演]
    Hirokazu Yagi
    第92回 日本生化学会大会 2019年09月
  • 糖転移酵素の局在に着目したタンパク質特異的な糖鎖修飾機構の解析  [招待講演]
    矢木宏和
    第38回 日本糖質学会年会 2019年08月
  • Integrative structural approaches for understanding conformational dynamics of oligosaccharides and glycoproteins  [招待講演]
    Hirokazu Yagi; Tatsuya Suzuki; Takumi Yamaguchi; Saeko Yanaka; Koichi Kato
    10th Asian Community of Glycoscience and Glycotechnology Conference 2018年11月 口頭発表(招待・特別)
  • タンパク質の糖鎖修飾の特異性を決定する分子メカニズムの解明  [招待講演]
    矢木 宏和
    第91回日本生化学会 2018年09月 口頭発表(招待・特別)
  • Assembly and disassembly mechanisms of proteasome revealed by multilateral biophysical approaches.  [招待講演]
    Hirokazu Yagi; Maho Yagi-Utsumi; Tadashi Satoh; Koichi Kato
    Fourth Polish-Korean Conference on "Protein Folding: Theoretical and Experimental Approaches" 2018年09月 口頭発表(招待・特別)
  • NMRと計算科学の統合による糖鎖の3次元構造ダイナミクスの解析  [招待講演]
    矢木宏和; 鈴木達哉; 谷中冴子; 山口拓実; 加藤晃一
    第27回日本バイオイメージング学会学術集会 2018年09月 口頭発表(招待・特別)
  • Integrative structural biology approaches for understanding conformational dynamics of oligosaccharides and glycoproteins  [招待講演]
    Hirokazu Yagi; Saeko Yanaka; Yogo Rina; Tatsuya Suzuki; Takumi Yamaguchi; Masaaki Sugiyama; Koichi Kato
    第55回日本生物物理学会年会 2017年09月 口頭発表(招待・特別)
  • 糖タンパク質糖鎖の機能解明のための構造生物学的アプローチ法の開発と応用  [招待講演]
    矢木 宏和
    第26回日本バイオイメージング学会学術集会 2017年09月 口頭発表(招待・特別)
  • 糖タンパク質糖鎖の構造解析法の開発と糖鎖機能解析への応用  [招待講演]
    矢木 宏和
    第2回G-CHAINセミナー 2017年09月 口頭発表(招待・特別)
  • The characterization of the laminin-binding glycans on -dystroglycan catalyzed by several causative gene products of dystroglycanopathy  [招待講演]
    Hirokazu Yagi; Saeko Yanaka; Yogo Rina; Tatsuya Suzuki; Takumi Yamaguchi; Masaaki Sugiyama; Koichi Kato
    1st International Conference on the Glycobiology of Nervous System 2017年09月 口頭発表(招待・特別)
  • 糖タンパク質における糖鎖の生物機能と高次構造への影響  [招待講演]
    矢木 宏和
    14) 第58回(平成29年度)日本生化学会中国・四国支部例会 2017年05月 口頭発表(招待・特別)
  • Development and application of glycosylation-profiling techniques for functional glycomics in the nervous system  [招待講演]
    矢木 宏和
    11th International Symposium on Cell Surface Macromolecules 2017年02月 口頭発表(招待・特別)
  • Functional analysis of enzymes involved in the formation of laminin-binding glycans displayed on α-dystroglycan  [招待講演]
    矢木 宏和
    BMB2015 2015年12月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
  • Application of N-glycosylation profiling by using HPLC mapping  [招待講演]
    Hirokazu Yagi; Saeko Yanaka; Yogo Rina; Tatsuya Suzuki; Takumi Yamaguchi; Masaaki Sugiyama; Koichi Kato
    糖鎖科学中部拠点/日本ウォーターズ共催セミナー 2015年08月 口頭発表(招待・特別)
  • 神経系における糖鎖の機能解明のための糖鎖プロファイリング技術の開発と応用  [通常講演]
    矢木 宏和
    第34回 日本糖質学会年会 2015年07月 口頭発表(招待・特別)
  • Lewis X構造を有するN型糖鎖はNotchシグナル経路を介して神経幹細胞の増殖を制御している  [招待講演]
    矢木 宏和; 齋藤 拓也; Yu K. Robert; 加藤 晃一
    第35回日本分子生物学会年会 2012年12月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
  • The functional significance of the N-glycans in the differentiation of neural stem cells  [通常講演]
    矢木 宏和
    第34回日本神経科学大会 2011年09月 口頭発表(招待・特別)
  • Development of multi-dimensional HPLC mapping for N-glycans and its application for functional glycomics  [招待講演]
    Hirokazu Yagi; Noriko Takahashi; Koichi Kato
    98th Indian Science Congress 2011年01月 口頭発表(招待・特別)
  • 糖タンパク質糖鎖の機能解明のための構造解析技術の開発と応用  [招待講演]
    矢木 宏和
    第1回触発型有機化学研究会 口頭発表(招待・特別)

MISC

産業財産権

  • 加藤 晃一, 矢木 宏和, 山口 拓実, ヤン ゲンエイ  公立大学法人名古屋市立大学, 大学共同利用機関法人自然科学研究機構  201703001857827044
  • 特願2018-047235:糖タンパク質の糖修飾  
    矢木宏和, 齋藤泰輝, 加藤晃一
  • 特願2017-132312:糖タンパク質の生産方法  
    矢木宏和, 本田怜奈, 加藤晃一
  • 特願2020-168032:がんを認識する新規抗体  

受賞

  • 2018年09月 日本生化学会奨励賞
     
    受賞者: 矢木 宏和
  • 2017年09月 日本バイオイメージング学会奨励賞
     
    受賞者: 矢木 宏和
  • 2015年08月 日本糖質学会奨励賞
     
    受賞者: 矢木 宏和
  • 2015年08月 名古屋市立大学大学院薬学研究科長表彰
     
    受賞者: 矢木 宏和
  • 2013年08月 日本糖質学会ポスター賞受賞
     
    受賞者: 矢木 宏和

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2024年04月 -2027年03月 
    代表者 : 加藤 晃一; 矢木 宏和
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2023年04月 -2026年03月 
    代表者 : 城村 由和; 木戸 丈友; 矢木 宏和; 菱田 友昭
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2023年04月 -2026年03月 
    代表者 : 矢木 宏和; 池田 和貴; 仲地 ゆたか
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2026年03月 
    代表者 : 安藤 弘宗; 鈴木 健一; 木塚 康彦; 矢木 宏和
     
    【研究目的1】細胞膜内層の微小領域の実像解明に向けて、PIP2の機能性プローブの合成を実施した。PIP2の細胞膜での動態への影響を最小限にするために脂質部分を非修飾としイノシトール部の水酸基に機能性官能基を導入したプローブを設計し、イノシトール部の修飾経路を検討した。その結果、位置選択的な水酸基保護を可能とする反応条件を見出すことができ、これを利用したPIP2イノシトール部のモデル化合物の合成において、一定の成果を得ることができた。 【研究目的2】糖鎖―糖鎖相互作用の様式と意義解明に向けて、ガングリオシド―ガングリオシド間のホモな糖鎖―糖鎖相互作用の一般性を検証するため、ガングリオシドの亜系列の内、ホモ相互作用を調査していない亜系列の蛍光プロ―ブを合成し、1分子イメージングにより有意にホモダイマーが形成されることを確認した。加えて、糖鎖部の水酸基がアセチル化されたガングリオシドの蛍光プローブの合成を検討し、酵素によるアセチル基転移反応を応用した合成経路を確立し、アセチル化ガングリオシド蛍光プローブの合成を完了した。また、N型糖鎖間のホモ相互作用およびN型糖鎖―糖脂質糖鎖のヘテロ相互作用を解析するためにN型糖鎖とセラミドを複合したキメラ糖脂質の合成を検討し、リンカーを介した糖鎖とセラミドの複合化に成功した。 【研究目的3】微小領域形成を強化したガングリオシドの開発に向けて、ガングリオシド糖鎖部分による細胞膜中でのガングリオシドホモダイマー化の阻害を検討した。ホモダイマーを形成するガングリオシドの糖鎖部分を添加することにより、細胞膜でのホモダイマーが阻害されることを確認し、微小領域形成能の評価系に有効な知見を得た。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2026年03月 
    代表者 : 井坂 雅徳; 前山 順一; 立野 一郎; 矢木 宏和
     
    A群連鎖球菌は、劇症型と呼ばれる敗血症性ショックを引き起こす原因菌である。この劇症型に至る原因は、いまだに解明されていない。劇症型への発症機序を探るため病理組織を観察すると、この細菌が表皮と真皮の間に留まり移動しないこと、好中球などの免疫細胞が患部へ浸潤せず働いていないことが先行研究により明らかとなっている。 好中球の患部への浸潤には、好中球膜上の糖鎖CD162と血管内皮細胞上の糖鎖結合タンパク質セレクチンとの接着と相互作用が必須である。我々はこの点に着目し、劇症型株の培養上清から好中球浸潤を抑制する糖タンパク質を新たに見出した。新たに見出した糖タンパク質の立体構造や機能は未知である。そこで本研究はA群連鎖球菌が分泌する糖タンパク質のセレクチン阻害による免疫回避機構を解明する。 この研究を解析するために、まず糖タンパク質の糖鎖構造の全容を明らかにする。そのために、今年度は劇症型A群連鎖球菌培養上清に発現する糖タンパク質の精製及びその条件検討を実施した。 劇症型として分離された臨床分離株1529及びゲノム株SF370株の培養上清より、硫安沈澱法、透析、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーを実施した。その結果、培養上清より陽イオン交換クロマトグラフィーで最終精製を行うことで、糖鎖結合タンパク質の分子量に相当したタンパク質が精製できることが確認できた。今後この精製方法によりタンパク質を量的に確保して糖タンパク質の糖鎖切断を実施しようと試みている。
  • タンパク質に組み込まれた糖鎖修飾コードの解明と糖鎖修飾制御
    科学技術振興機構(JST):創発的研究支援事業(フェーズ1)
    研究期間 : 2023年04月 -2026年03月
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2023年06月 -2025年03月 
    代表者 : 矢木 宏和
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2021年04月 -2025年03月 
    代表者 : 矢木 宏和; 甲賀 大輔
     
    昨年度までに最適化した超解像顕微鏡および電子顕微鏡の条件を活用し、培養細胞における糖転移酵素のゴルジ体内の詳細な局在を明らかにした。具体的には、Apexを融合した糖転移酵素を利用して、糖転移酵素の近傍の分子にビオチン標識を行い本標識をプローブとすることで、電子顕微鏡像において糖転移酵素の局在を明らかにすることに成功した。 特異的な糖鎖修飾を担う糖転移酵素の局在の要因を明らかにするために、近接依存性標識法により10種類を超える糖転移酵素の近傍分子の同定に成功した。また、蛍光タンパク質を融合した糖転移酵素をプローブとして、ゴルジ体分画小胞をセルソータで分離することに成功した。プロテオミクス解析により、こうしたゴルジ小胞に含まれるタンパク質を同定するとで、糖転移酵素と局在を共にする分子を明らかにすることができた。 一方で、哺乳動物細胞にフコース転移酵素9(FUT9)を過剰発現させるとLAMP-1に特異的にLewis X糖鎖の修飾が認められたことを契機として、LAMP-1中の29残基からなるセグメントがFUT9との相互作用を規定することを見出した。本セングメントは、他の糖タンパク質のC末端に連結させただけで、FUT9依存的なLewis X修飾をもたらすことから、糖鎖修飾を制御する分子コードとして活用できる可能性を示した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2021年04月 -2025年03月 
    代表者 : 矢木 宏和
     
    本年度は、ゴルジ体に存在する糖転移酵素の局在を明らにすることを目指して、各種電子顕微鏡画像(オスミウム浸軟法、免疫電子顕微鏡法、光・電子相関顕微鏡観察法)を取得するための固定化方法をはじめ試料調製条件の検討を行った。これにより、HEK293TやHeLa細胞といった培養動物細胞を対象にゴルジ体の電子顕微鏡3次元像を得ることに成功した。 細胞内において輸送過程にある糖タンパク質のみを選択的に観察するために、ビオチンの添加によって小胞体からの搬出を制御するRetention using selective hooksシステムを構築した。 モデル糖タンパク質として用いたエリスロポエチン(EPO)の細胞内の局在を調べた。パスポート配列の付加によりEPOがゴルジ体内の異なる領域に滞留するようになることを見出した。一方、パスポート配列付加によりEPOのガラクトシル化が亢進することも明らかとなった。近接依存性標識により、パスポート配列を付加したEPOとガラクトース転移酵素(B4GalT1)のいずれの近傍にも存在し得る分子としてNUCB1、NUCB2を同定した。興味深いことに、NUCB1の発現抑制によって、パスポート配列に依存したEPOのガラクトシル化とシアリル化の亢進が減弱することが明らかとなった。
  • ジストログリカンの糖鎖伸長終結因子グリセロールリン酸による生理的調節機能とがん悪性化機構に関する研究開発
    日本医療研究開発機構(AMED):革新的先端研究開発支援事業(PRIME)
    研究期間 : 2020年10月 -2024年03月
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2018年04月 -2022年03月 
    代表者 : 安藤 弘宗; 鈴木 健一; 矢木 宏和
     
    初年度である本年度は当初の計画に基づいて、各糖脂質プローブの合成に注力し、以下の研究項目を実施した。 1.ガングリオシドとの相互作用に基づいた脂質ラフト親和性蛋白質の同定のためのプローブ合成 申請者らが細胞膜動態解析の為に開発した蛍光ガングリオシドプローブの分子設計、合成経路を基にして、光応答性官能基を糖鎖部分に結合させた新たな標的蛋白質補足用プローブを合成した。初めにGM3の光応答性プローブを合成し、界面活性剤不溶画分への分配性、液体秩序相-液体非秩序相分配等の性状試験によって、プローブが天然のガングリオシドと同等の物理化学的特性を維持していることを確認した。次に細胞膜中での蛋白質との相互作用を1分子イメージングによって観測し、光照射によりガングリオシド-蛋白質複合体が架橋されることを確認した。この結果を受けて、さらに複雑なスフィンゴ糖脂質のプローブの合成を実施し、3種の新たなプローブの合成を完了した。 2.ガングリオシドによるホモリティックな糖脂質ドメイン形成の普遍性および形成因の解明に向けたプローブの合成 ガングリオシドのサブファミリーの内、これまで精査したガングリオ系とは異なる母核糖鎖構造を有するサブファミリーのプローブを合成を開始し、本年度において新たに4種のガングリオシドプローブを合成した。そのうち、一つのサブファミリーにおいても以上系列と同様のホモダイマー化が有意に進行することを細胞膜中での1分子イメージングにより明らかにした。さらに、糖鎖部分が鏡像異性体関係にあるラクトシルセラミドプローブの合成を完了した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2018年04月 -2022年03月 
    代表者 : 井坂 雅徳; 長谷川 忠男; 前山 順一; 立野 一郎; 青山 峰芳; 矢木 宏和
     
    A群連鎖球菌は、咽頭炎や猩紅熱を引き起こす原因菌である。1987年にアメリカでこの細菌の劇症型症例報告が始まってから、日本国内でも同様の報告が増加している。劇症型への機序について様々な研究報告が出ているが、一向に完全解明に至っていない。A群連鎖球菌劇症型株は健常人でも検出され、劇症型株に感染することが発症に必須ではない疑問がある。そこで、劇症型が発症するにはA群連鎖球菌がヒトへ感染後、変化するための何らかの情報を受け取らなければならないと考えた。ここで外界情報を受け取る二成分制御因子の研究が進んでいるStreptococcus mutansに着目した。A群連鎖球菌と同属のこの細菌は、乳酸、酪酸を産生し、歯にバイオフィルムを形成して虫歯を増悪させる。この細菌の二成分制御因子は酸感受とバイオフィルム形成に関与する。同様の仕組みがA群連鎖球菌に存在するかを調べると、A群連鎖球菌の二成分制御因子の一つであるspy1588遺伝子欠損株は、バイオフィルム産生低下、酸抵抗性の低下を示した。我々は、酸を感受する二成分制御因子と、それに関連する遺伝子群に変異が劇症型に生じていると考え、研究を現在進めている。 本年度の研究は、spy1588遺伝子産物のSPY1588タンパク質の機能を探るべく、このタンパク質の遺伝子組み換え体作製を実施した。この遺伝子組み換え体をpETベクターに組み込み、大腸菌で発現させ、膜タンパク質として精製することができた。また、このタンパク質はヒスチジンキナーゼであるため、その活性測定を実施すると、キナーゼドメインに関与するアミノ酸部位のアミノ酸置換体で抑制することができた。また、酸性環境下でこの組換え体が自己リン酸化することも突き止めた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    研究期間 : 2017年06月 -2022年03月 
    代表者 : 清水 重臣; 田村 康; 細谷 孝充; 吉田 秀郎; 矢木 宏和
     
    1つのオルガネラの中には、異なる役割を担う場が存在し、本領域ではこれをオルガネラ・ゾーンと命名している。本研究では、「ミトコンドリアとゴルジ体の応答ゾーン」、「ミトコンドリアと小胞体、ゴルジ体の連携ゾーン」を中心に解析を行なった。 1、ゴルジ体ストレス応答ゾーン:このゾーンには、ゴルジ体ストレス時に、過剰な分泌たんぱく質の蓄積を抑制するためのGOMEDゾーン、プロテオグリカン型糖鎖修飾を行うプロテオグリカン・ゾーン、ムチン経路を担うムチン・ゾーンなどが存在する。(1)GOMEDに関しては、GOMEDを誘導できる低分子化合物を発見し、この化合物の作用機序を明らかにすることにより、ゴルジ体膜で起こっているストレス応答現象を概ね理解することに成功した。 (2)プロテオグリカン・ゾーンに関しては、これを制御するエンハンサーとしてPGSE-AとPGSE-Bを同定し、PGSE-Aに結合する転写因子の候補としてKLF familyの転写因子群を見出した。 (3)ムチン・ゾーンに関しては、このゾーンを増強する標的遺伝子とエンハンサー配列MGSEを同定した。 2、ミトコンドリア・小胞体(Mt-ER)連携ゾーン: 出芽酵母またはHeLa細胞のミトコンドリア,小胞体膜上に,split-GFP分子を標的化させることで任意のオルガネラ間コンタクトサイトを可視化,定量化する実験系の構築に成功した。これを定量化し,遺伝学スクリーニングと組み合わせることで,ミトコンドリア-小胞体間連携ゾーン形成に重要な役割を果たす新規因子の同定に成功した。また、①既存のERMES複合体が会合と解離を繰り返すこと、②適切なミトコンドリア分裂が不必要なERMES複合体の会合を阻害することでコンタクトサイトの数を調節すること、③小胞体ストレスが、ミトコンドリア-小胞体間コンタクトサイトの数を顕著に増加させることを明らかにした。
  • NMRと計算科学の統合による糖鎖の3次元構造ダイナミクスの体系的評価法の開発
    AMED:次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発
    研究期間 : 2016年09月 -2020年03月 
    代表者 : 矢木 宏和
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
    研究期間 : 2017年06月 -2019年03月 
    代表者 : 内橋 貴之; 飯野 亮太; 矢木 宏和
     
    高速AFM/全反射照明蛍光顕微鏡複合機にイメージスプリッティング光学系を組み込み、高速AFMと一分子FRETの同時計測が可能なシステムを開発した。糖鎖合成酵素K4CPと多糖分解酵素セルラーゼTrCel6Aの一分子FRET計測のための蛍光標識試料を調製し、糖鎖の伸張やセルラーゼの構造変化に伴うFRET効率の変化を計測することができ、同時観察用試料の調製法を確立した。これらの試料に対し、高速AFMと一分子FRETの同時観察を試みたが、様々な問題に直面し、期間内に成功には至らなかったが、現在、同時計測を可能にするための測定条件の確立を急いでおり、近い将来、同時計測が可能になると期待される。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    研究期間 : 2017年04月 -2019年03月 
    代表者 : 矢木 宏和
     
    昨年度までに、CPの構成サブユニットであるα7とα6が7:1で含まれるヘテロオクタマーが形成されるヘテロ8量体の形成過程に関して、高速AFM解析によって2重リング構造を形成しているα7の14量体に対して単量体のα6が相互作用することで、2重リング構造が開裂し、α7の1重リング構造の中心にα6が結合しするプロセスを示してきた(Kozai et. al.Sci. Rep. 2017, 7: Article No. 15373. )。本年度はこうした開裂が他のサブユニット中で起きるかどうかを調べたところ、α6サブユニット以外では、唯一α4サブユニットに認められることをゲル濾過クロマトグラフィーと超分子質量分析にて明らかにした。一方で、α7の14量体のX線結晶構造をもとに、α7のN末端側のセグメントの欠失変異体やアミノ酸変異体を作成することで、α7の14量体形成を阻害したα7モノマー改変体を作成することに成功した。さらには、モノマー改変体α7に対して、各αサブユニットを加えたところ、α4とα6のみが特異的にα7変異体と多量体形成をすることを見出した。このようにして掲載された多量体をAFM解析や電子顕微鏡像で解析したところ、こうした2つのサブユニットからなる複合体はヘテロ14量体のダブルリング構造を形成していることを見出した(Sekiguchi et.al.Int. J. Mol. Sci. 2019, 20: Article No. 2308.)。このように、本研究では、超分子質量分析、高速AFM、および電子顕微鏡を利用することで、プロテアソームの中間体構造のキャラクタライズを通じて、自己組織化機構について新たな知見を得ることができている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2015年04月 -2019年03月 
    代表者 : 加藤 晃一; 矢木 真穂; 山口 拓実; 矢木 宏和; 佐藤 匡史; 谷中 冴子
     
    タンパク質分解装置であるプロテアソームは、約70種類のサブユニットからなる巨大で複雑な超分子複合体である。これらのサブユニットは自発的には正しい集合体を形成せず、アッセンブリーシャペロンと呼ばれる幾つかのタンパク質の介助によって集合している。本研究では、プロテアソームの中核的な構成要素であるαリングに着目し、一連の物理化学的手法を組み合わせた多元的構造生物学的アプローチを通じて、シャペロンを介したヒトαリング形成中間体の複合体モデルを精度よく構築することに成功した。これにより、プロテアソームアッセンブリー系を標的とする阻害剤の合理的設計を行うための基盤を整えることができた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 杉山 正明; 加藤 晃一; 矢木 宏和; 井上 倫太郎; 藤井 紀子; 高田 慎一
     
    生体高分子は、高濃度の多分散系=混雑系という環境下で機能している。そこで、中性子散乱法とタンパク質重水素化を組み合わせることで結晶や希薄溶液ではなくこの混雑環境下での生体高分子の静的・動的構造測定・解析手法の開発を行った。混雑系として水晶体中に注目し、構成タンパク質であるαBクリスタリンの75%重水素化法の確立を行い、中性子溶液散乱ではこの重水素化率のタンパク質は散乱的に不可視化されることを確認した。そこで、高濃度の75%重水素化αBクリスタリン溶液に希薄濃度の軽水素化αBクリスタリンを混合した系を調製し、高濃度中での軽水素化αBクリスタリンの選択的測定、静的・動的構造の解析を行った。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 矢木 宏和; 加藤 晃一; 杉山 正明; 佐藤 匡史; 山口 拓実
     
    先天性筋ジストロフィーの原因遺伝子産物の1つであるLARGEは2つの糖転移ドメインを有し、キシロースとグルクロン酸のリピート配列を形成する酵素である。本研究では、こうした2つの糖転移ドメインを有する糖転移酵素を対象にして、酵素がいかにして効率よく、一連の糖鎖伸長反応を行っているかという動的な作動メカニズムの解明を目指した。その結果、2つの糖転移ドメインを有する酵素は、各ドメインの配向を柔軟に変化させることにより、ドメイン間で基質糖鎖を受け渡し、糖鎖のリピート構造の伸長を効率的に行っていることを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2014年04月 -2016年03月 
    代表者 : 加藤 晃一; 矢木 宏和; 山口 拓実
     
    糖脂質は細胞膜上でクラスターを形成し、糖鎖-タンパク質間および糖鎖-糖鎖間相互作用を介して、細胞間コミュニケーションなど様々な生命現象に関与している。私たちは、糖鎖生物学、有機合成化学、構造生物学による融合研究を実施する一環として、人工設計した糖鎖化合物を開発し、細胞機能を制御することを試行した。本研究では、細胞膜上の糖鎖クラスターをモデルとし、神経細胞の分化に関わる糖鎖を応用したネオ糖脂質を合成することに成功した。このようにして作出したネオ糖脂質クラスターの生理活性を評価した結果、ネオ糖脂質が神経幹細胞に対して特異的に細胞死を誘導することを見出した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    研究期間 : 2014年04月 -2016年03月 
    代表者 : 矢木 宏和
     
    昨年度までに筋ジストロフィーの原因遺伝子産物(TMEM5、FKTN、FKRP、POMK、ISPD)のノックアウト細胞を樹立した。本年度は、これらノックアウト細胞にαジストログリカンを発現させ、質量分析により、リコンビナントタンパク質上の糖鎖の構造解析を行った。その結果、本糖鎖の還元末端構造であるリン酸化3糖構造(Man-(phospate)-GlcNAc-GalNAc)の先に、リビトールリン酸が2つタンデムに結合し、その還元末端にさらにキシロースとグルクロン酸が結合した配列を見出すことができた。ISPD、FKTNおよびTMRM5のノックアウト細胞にはリン酸化3糖構造先にリビトールリン酸の付加がおきていないことから、第一番目のリビトールリン酸の付加に関与していることが考えられる。またFKRPのノックアウト細胞にはリビトールリン酸1残基の付加が認められたことら、FKRPは2つ目のリビトール付加を担っていることが予想される。こうした結果は、ごく最近報告された論文(Kanagawa et al. Cell Reports 14, 2209–2223)の結果と一致するものであった。 その一方で、プルダウンアッセイにより、FKTN、FKRP、TMEM5が3者複合体を形成していること、TMEM5がLARGEと相互作用していることを明らかとした。先行研究により、LARGEとB4GAT1が相互作用していることが報告されていることから、ゴルジに存在する原因遺伝子産物は、大きな複合体を形成していることが考えられる。このような、ラミニン結合性糖鎖の生合成に関わる酵素群が複合体を形成し、複雑なラミニン結合性糖鎖の生合成過程を担っているものと予想される。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2013年04月 -2015年03月 
    代表者 : 矢木 宏和
     
    本研究では、神経細胞におけるLewis XやHNK-1糖鎖による特定のキャリアータンパク質への限定的な修飾が起こる仕組みに着目し、これら特異的な修飾が起こる機構について調査した。さらには、特定的な糖鎖に修飾されたタンパク質の相互作用分子を同定した。こうした相互作用を介して、特定の糖鎖修飾を受けた特定のタンパク質が細胞内にシグナルを発信している可能性を示すことができた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2012年10月 -2015年03月 
    代表者 : 加藤 晃一; 山口 拓実; 矢木 宏和; 佐藤 匡史; 矢木 真穂; 矢木 真穂
     
    本研究では、糖鎖が担う生体機能の発現メカニズムを分子複合体の立体構造解析を通じて解明し、得られた構造情報をもとに糖鎖認識系を標的とする創薬の基盤構築を行った。特に、糖タンパク質の細胞内運命決定システムにおける選別的な輸送と分解の分子メカニズムを明らかにすることに成功している。さらには、免疫系糖タンパク質としての抗体について迅速な構造解析を実現するための技術基盤を確立した。これを応用することにより、様々な生産基材で作成した抗体の溶液中における高次構造情報を取得し、抗体医薬の開発に資する知見を得ることができた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    研究期間 : 2012年04月 -2014年03月 
    代表者 : 矢木 宏和
     
    昨年度までの研究により、AGO61がα-dystroglycan(αDG)上のラミニン結合性を示す糖鎖の形成に関与し、脳の層形成において重要な役割を担っていることを明らかにしてきた。本年度は、αDG上の特定の位置に結合したマンノース残基へのN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)修飾をAGO61が担っていることを見出した。興味深いことに、そのGlcNAc修飾箇所は、これまでラミニン結合性糖鎖が発現していると報告されているスレオニン残基と一致していた。つまり、AGO61はαDG上のラミニン結合性を示す糖鎖が形成されるスタートとなる糖鎖構造を作る重要な酵素であることが明らかとなった。更には、質量分析により、ラミニン結合性糖鎖が結合し得るスレオニン残基上に、本糖鎖の還元末端構造であるリン酸化3糖構造(Man-(phospate)-GlcNAc-GalNAc)を見出すことができた。 本研究を通じて、AGO61の欠損に伴いαDG上のラミニン結合性糖鎖の形成不全が起こり、筋ジストロフィーが発症することを明らかにすることができた。以上の成果は、学術雑誌[Sci. Rep. 3, Article number:3288 (2013)]に掲載された。
  • 糖鎖とタンパク質の特定の組み合わせによって制御される神経幹細胞の分化制御機構の解明
    かなえ医薬振興財団:助成金科学研究費補助金
    研究期間 : 2012年04月 -2013年03月 
    代表者 : 矢木 宏和
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2011年 -2012年 
    代表者 : 水島 恒裕; 加藤 晃一; 矢木 宏和
     
    真核生物の20S プロテアソームは28 個のサブユニットから形成され、α(1-7)β(1-7) β(1-7)α(1-7)から成る4層の円筒型構造をとる。真核生物の20Sプロテアソームを試験管内で再構築することにより、複合体形成機構の理解とその利用を目指し、構成サブユニットの発現、精製系の構築および複合体の再構成を行った。その結果20Sプロテアソームはαサブユニットだけでは安定なリング構造を形成せず、βサブユニットが結合することによりαリングが安定化することが示された。また、プロテアソーム19S制御因子複合体の分子集合に関わる専用シャペロンHsm3、Hsm3-Rpt1-C複合体、Rpn14 E384AのX線結晶構造解析を行った。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2010年 -2011年 
    代表者 : 矢木 宏和
     
    本研究では、キシロース含有糖鎖の担う役割を解明することを目的としている。キシロース含有N型糖鎖の生合成にかかわる候補遺伝子(AGO61)の遺伝子欠損マウスは、胎生11.5日におけるAGO61欠損マウスの発達が顕著に遅れており、特に脳構造の形成が遅延していることを明らかにした。こうしたことから、キシロース含有糖鎖が神経系の発生に重要な役割を担っていることが予想された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
    研究期間 : 2009年 -2009年 
    代表者 : 矢木 宏和
     
    本研究では、神経系におけるキシロース含有糖鎖が関与する分子間ネットワークを明らかにすることを通じてこの糖鎖の担う機能の解明を目指している。 本年度はまずin situハイブリダイゼッションにより、aer61およびago61のmRNAはともにマウスの大脳、海馬、小脳に発現量が多く、また特にニューロンに発現していることが明らかとなった。今後、これらの遺伝子発現が多い部位に着目して糖鎖分析を行うことにより、キシロース含有糖鎖を探索する予定である。この2つのキシロース転移酵素様タンパク質のin vitro反応におけるキシロース転移活性を評価した。基質分子として、N型糖鎖の生合成過程に存在する一連の糖鎖を2-アミノピリジン誘導体を調製した。しかしながら現状では、大腸菌および動物細胞を用いて発現させたリコンビナントキシロース転移酵素様タンパク質の活性は検出できていない。酵素活性を持つには他のコファクター存在が考えられるため、今後これらキシロース転移酵素様タンパク質を導入した細胞に発現している糖鎖の構造を解析することにより、この酵素の活性評価を行う予定である。 さらにはaer61およびago61の遺伝子欠損マウスを樹立した。aer61の遺伝子欠損ホモマウスは正常に生まれてくるのに対し、ago61の遺伝子欠損ホモマウスは胎生致死であることを明らかにした。今後、ago61遺伝子欠損マウス胎生致死の原因を明らかにすることで、キシロース含有糖鎖の機能を明らかにしていく予定である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 矢木 宏和
     
    神経系には糖鎖を介した複雑な細胞間相互作用ネットワークが存在し、脳の高次機能発現に関与していると考えられる。本研究では、糖鎖プロファイリング技術を基盤とし、神経に発現している糖鎖を探索することを試みた。前年度までの研究により、モデル動物であるカタユウレイボヤの神経複合体にキシロース含有糖鎖が特異的に発現していることを見出し、そのキャリアータンパク質を同定した。本年度は、このキャリアータンパク質のノックダウンホヤを作成し、その表現系を観察しているところであるが、発生過程の途中においてホヤが死んでしまうため、今だ解析には及んでいない。 一方、このキシロース含有糖鎖はβ1,2-キシロース転移酵素によってその合成は担われていると考えられる。これまでにクローニングされているβ1,2-キシロース転移酵素の遺伝子は、植物由来のもののみであっため、シロイヌナズナのβ1,2-キシロース転移酵素と相同性を持つ遺伝子を探索し、2種類の遺伝子(aer61,aer61b)をホヤゲノムの中に見出した。さらに驚くべきことにホヤと同様に、ヒトをはじめとする高等動物にもシロイヌナズナのβ1,2-キシロース転移酵素と相同性を持つ遺伝子が2種類(aer61、ago61)存在していた。これら遺伝子のマウスの各組織における遺伝子発現量を調べたところ、ago61は脳特異的に、aer61は心臓、肺、脳に発現していることが、明らかとなった。このようにホヤからヒトまでβ1,2-キシロース転移酵素様遺伝子が保存されており、脳特異的に発現していることから、脊索動物の脳神経系においてこの糖鎖が普遍的な高次機能を担っているのではないかと考えている。 キシロース含有N型糖鎖の神経系における機能解明には、さらなる研究が必要であるが、本研究を通じて、この糖鎖が担う新たな分野を見出すことができた。

委員歴

  • 2024年09月 - 現在   The Journal of Biochemistry   Associate editor
  • 2023年09月 - 現在   Frontiers in Molecular Biosciences   Associate editor
  • 2023年09月 - 現在   FCCA   幹事
  • 2023年09月 - 現在   日本生化学会   評議員
  • 2023年07月 - 現在   日本糖質学会   評議員
  • 2022年10月 - 現在   日本細胞生物学会   代議委員
  • 2022年04月 - 現在   日本バイオイメージング学会   評議委員

担当経験のある科目

  • 物理系実習名古屋市立大学薬学部
  • 生命分子構造学特論名古屋市立大学大学院薬学研究科
  • 構造生物学名古屋市立大学薬学部
  • 物理化学名古屋市立大学薬学部

社会貢献活動

  • バイオ/抗体医薬品における糖鎖・タンパク質解析の基礎とバリデーション
    期間 : 2015年05月19日
    役割 : 講師
    種別 : セミナー・ワークショップ
    主催者・発行元 : 技術情報協会
    イベント・番組・新聞雑誌名 : 技術情報協会セミナー 抗体医薬品技術
  • 第1部 HPLCによる糖鎖の構造解析およびバリデーションの方法
    期間 : 2012年11月30日
    役割 : 講師
    種別 : セミナー・ワークショップ
    主催者・発行元 : 技術情報協会セミナー
    イベント・番組・新聞雑誌名 : 抗体/バイオ医薬品の各種分析法とバリデーション-ELISA/キャピラリー電気泳動/HPLC-

メディア報道

  • たんぱく質に「荷札」医薬量産
    報道 : 2020年06月
    発行元・放送局 : 日経BP
    番組・新聞雑誌 : 日経サイエンス
     新聞・雑誌
  • たんぱく質に「荷札」医薬量産
    報道 : 2020年03月30日
    発行元・放送局 : 日本経産産業新聞社
    番組・新聞雑誌 : 日経産業新聞
    朝刊6面 新聞・雑誌
  • 先天性筋ジストロフィー原因遺伝子の機能解明
    報道 : 2013年12月06日
    発行元・放送局 : 株式会社 科学新聞社
    番組・新聞雑誌 : 科学新聞
     新聞・雑誌
  • 筋ジス治療一歩
    報道 : 2013年11月22日
    発行元・放送局 : 中日新聞社
    番組・新聞雑誌 : 中日新聞
    第3面 新聞・雑誌

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