研究者データベース

河田 成人 (カワタ シゲト)

  • 理学研究科自然情報系 教授
メールアドレス: kawatansc.nagoya-cu.ac.jp
Last Updated :2024/04/24

研究者情報

学位

  • 理学博士

ホームページURL

科研費研究者番号

  • 50195103

J-Global ID

研究キーワード

  • 表現論   有限群   

研究分野

  • 自然科学一般 / 代数学

所属学協会

  • 日本数学会   

研究活動情報

論文

講演・口頭発表等

  • Tensor products and almost split sequences
    Shigeto Kawata
    The Ninth China-Japan-Korea International Conference on Ring and Module Theory (Incheon National University, 韓国) 2023年08月 口頭発表(一般)
  • 群環上のScott加群とテンサー積について
    河田成人
    2021年度日本数学会秋季総合分科会 2021年09月 口頭発表(一般)
  • 群環の概分裂完全列とテンサー積について
    河田成人
    2019年度日本数学会秋季総合分科会 2019年09月 口頭発表(一般)
  • 群環上の直既約加群のヴァーテックスについて
    河田成人
    2017年度日本数学会秋季総合分科会 2017年09月 口頭発表(一般)
  • 群環の Auslander-Reiten連結成分とヴァーテックス
    河田成人
    2016年度日本数学会秋季総合分科会 2016年09月 口頭発表(一般)
  • 有限群のブロックにおける高さ0の表現加群とAuslander-Reiten連結成分について
    河田成人
    2015年度日本数学会秋季総合分科会 2015年09月 口頭発表(一般)
  • 群環のAuslander-Reiten成分とテンサー積について
    河田成人
    2011年度日本数学会秋季総合分科会 2011年09月 口頭発表(招待・特別)
  • 群環におけるAuslander-Reiten成分とトレース写像が分裂する加群について
    河田成人
    2010年度日本数学会秋季総合分科会 2010年09月 口頭発表(一般)
  • 群環の自明なソースを持つ加群とAuslander- Reiten quivers
    河田成人
    2009年度日本数学会秋期総合分科会 2009年09月 口頭発表(一般)
  • Heller lattices and Auslander-Reiten quivers for integral group rings
    Shigeto Kawata
    XII International Conference on Representations of Algebras and Workshop (Nicolaus Copernicus University, Torun, Poland) 2007年08月 口頭発表(一般)
  • 群環のHeller格子の直既約性について
    河田成人
    2005年度日本数学会秋季総合分科会 2005年09月 口頭発表(一般)
  • On Auslander-Reiten components for integral group rings of p-groups
    Shigeto Kawata
    The 9th International Conference on Representations of Algebras (Beijing Normal University) 2000年08月 口頭発表(一般)
  • On Auslander-Reiten components and simple modules for group algebras
    Shigeto Kawata
    “Representation theory of finite groups” Conference in Oberwolfach 1996年04月
  • Module correspondence in Auslander-Reiten quivers for finite groups
    Shigeto Kawata
    International Conference on Representation Theory of Groups and Related Topics (The University of Manchester Institute of Science and Technology,England) 1988年07月

MISC

  • Knorr格子とテンサー積について
    河田 成人 数理解析研究所講究録2252 「有限群のコホモロジー論とその周辺」 15 -26 2023年05月
  • Scott加群の概分裂完全列とテンサー積について
    河田 成人 数理解析研究所講究録2134 「有限群のコホモロジー論とその周辺」 45 -51 2019年11月
  • 群整環上の表現加群のヴァーテックスについて
    河田 成人 数理解析研究所講究録2061 「有限群のコホモロジー論とその周辺」 48 -55 2018年04月
  • 群環の表現加群のヴァーテックスとAuslander-Reiten連結成分について
    河田 成人 数理解析研究所講究録2053 「有限群・代数的組合せ論・頂点作用素代数の研究」 111 -118 2017年10月
  • 河田 成人 数理解析研究所講究録1872「 有限群とその表現,頂点作用素代数,代数的組合せ論の研究」 140 -150 2014年01月
  • 群環のHeller格子について
    河田 成人 数理解析研究所講究録1564 「群論とその周辺」 70 -75 2007年07月
  • 群環の自明なソースをもつ加群とAuslander-Reiten列について
    河田 成人 数理解析研究所講究録1251「有限群のコホモロジー論の研究」 130 -138 2002年02月
  • 群環の射影加群とAuslander-Reiten列について
    河田 成人 数理解析研究所講究録1140「有限群のコホモロジー論の研究」 80 -85 2000年04月
  • 河田 成人 数理解析研究所講究録877「Representation Theory of Finite Groups and Algebras」 34 -40 1994年06月
  • KAWATA Shigeto 数理解析研究所講究録799「Representation Theory of Finite Groups and Finite Dimensional Algebras」 32 -45 1992年08月

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2019年04月 -2023年03月 
    代表者 : 河田 成人
     
    Gで有限群を表し、pは有限群Gの位数を割り切る素数とする。完備離散付値環Rの極大イデアルはπで生成され、その剰余体k = R/πRは標数がpであるとする。有限群Gの完備離散付値環R上の整数表現において、Scott 加群と呼ばれるRG-加群は重要な役割を果たす。Gのp-部分群Qに対し、Qをヴァーテックスとして持つScott RG-加群Sとは、自明なRQ-加群を誘導して得られる置換RG-加群の直既約因子であって、そのheadとsocleが自明な加群となっているものである。なお、直既約RG-表現加群Vに対し、Gの部分群の集合 { H≦G : VはH-射影的 } には極小なものが一意的に存在するが、この極小部分群をVのヴァーテックスと呼ぶ。直既約加群を点とし既約写像を矢と見なして構成されるAuslander-Reiten有向グラフにおいて、Sを含む安定連結成分Θは半平面的に無限に広がる格子型の形状をしており、SはΘの端点に位置していることが知られていた。このΘについて考察を進め、特に、Θを構成する直既約RG-表現加群LがΘの端点に位置しなければ、LのヴァーテックスはQのGにおける正規化群のSylow p-部分群であることを示した。さらに、kG-加群L/πLの直既約分解において、全ての直既約因子はQ-射影的であり、その中の少なくとも一つの直既約因子のヴァーテックスはQであることも確かめた。また、Scott RG-加群Sで終わるRG-表現加群の概分裂短完全列とScott kG-加群S/πSで終わるkG-表現加群の概分裂短完全列について並行して調べ、それらの構造や性質および類似性などについて研究した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2014年04月 -2018年03月 
    代表者 : 河田 成人; 兼田 正治; 古澤 昌秋; 馬場 良始
     
    有限群Gの完備離散付値環R上の群環RGの無限表現型のブロックBの整数表現におけるAuslander-Reiten有向グラフの連結成分を研究した。特にBに属する直既約表現加群Lで、Lを簡約化したモジュラー表現加群Mも直既約であるものに注目した。BのAuslander-Reiten有向グラフの連結成分でLを含むものをCとする。もしLが高さ0であれば、Cの形状はA無限型であること、すなわち、半無限に広がる格子型か半無限に伸びる筒状であることを証明した。また、LとMが共通のヴァーテックスQを持てば、CのヴァーテックスもQであることを示した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2011年04月 -2015年03月 
    代表者 : 兼田 正治; 谷崎 俊之; 柳田 伸顕; 手塚 康誠; 古澤 昌秋; 橋本 義武; 河田 成人
     
    Gを正標数pのreductive代数群,Pをそのparabolic部分群,Tをそのmaximal torusとし,G_1をGのFrobenius kernelとする。阿部紀之との共同研究により,p-regular weightを最高 weightとするG_1P-Verma modulesのG_1T-modulesとしての構造を,pが十分大きいときに決定した。H.H. Andersenとの共同研究では,正標数のG_2型のG/B上のline bundlesのcohomologyを明らかにし,M. Grosとの共同研究では,1の冪根での量子群のFrobenius splittingを構成した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2011年 -2013年 
    代表者 : 河田 成人; 兼田 正治; 馬場 良始
     
    有限群の整数表現(完備離散付値環上の表現)において、Lを高さ0の表現加群とし、SをLのソースとする。Lを含むAuslander-Reiten有向グラフの連結成分の形状がA無限型と呼ばれる半平面的に広がる格子状かもしくは半無限に伸びる筒状であることと、Sを含む連結成分の形状がA無限型であることとが同値であることを確かめた。また、Lを簡約化して得られるモジュラー表現加群(正標数の体上の表現加群)が直既約である場合には、Lで終わる概分裂列の中間項が直既約となることが分かった。さらに標数が2の場合では、奇数階数の表現加群を含む連結成分の形状がA無限型であることも証明することができた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2007年 -2010年 
    代表者 : 兼田 正治; 谷崎 俊之; 柳田 伸顕; 手塚 康誠; 古澤 昌秋; 橋本 義武; 河田 成人; 浅芝 秀人
     
    Gを正標数のreductive代数群,Pをそのparabolic部分群とし,WをGのW_PをPのWeyl群としよう。Ye Jiachenとの共同研究により,rankGが2以下の時,われわれは,G/P上でKaroubian complete exceptional sequence を構成するcoherentsheaves E_w,w/in W/W_P, をG_1Pの表現論を用いて実現した。G_1はGのFrobeniuskernel。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2007年 -2010年 
    代表者 : 河田 成人; 兼田 正治; 浅芝 秀人; 加戸 次郎; 兼田 正治; 住岡 武; 加戸 次郎; 浅芝 秀人
     
    有限群の整数表現において、係数環として十分大きな完備離散付値環を考えると、直既約なモジュラー表現加群のHeller整数表現加群は直既約であることの証明を正しく与えることができた。また、無限表現型のブロックに属する自明なソースを持つ整数表現加群を含むAuslander-Reiten有向グラフの連結成分の形状はA 無限型であり、自明なソースを持つ加群は連結成分の端に位置することを示した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2008年 
    代表者 : 大城 紀代市; 吉村 浩; 飯寄 信保; 越谷 重夫; 西田 憲司; 花木 章秀; 小池 寿俊; 久田見 守; 菊政 勲; 山形 邦夫; 佐藤 眞久; 浅芝 秀人; 河田 成人; 馬場 良始; 丸林 英俊; 久田見 守; 菊政 勲; 河田 成人
     
    研究代表者のHarada 環の構造論、Nakayama環のclassification, skew matrix ringの基礎理論を広範な応用を視野に入れて研究し、より進化した形の理論に仕上げることができた。これらの理論を基盤にして分担者の馬場との共同で"Classical Artinian Rings and RelatedTopics"なる専門書を作成した。この本は2009 年にシンガポールのWSPC社から出版されることになった。この本の完成により本研究も研究代表者の長年の研究も完結をみた
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2008年 
    代表者 : 浅芝 秀人; 兼田 正治; 住岡 武; 河田 成人; 加戸 次郎; 兼田 正治; 住岡 武; 河田 成人; 加戸 次郎
     
    可換環k上の線型圏に関する, 群の自由作用を仮定しない, 一般的な被覆理論を作り, 導来同値のための被覆理論を精密化した.その応用として, 2つの圏R, S に群G が作用するとき, Rに対するG 安定な傾部分圏E が存在して, E とS の間に弱G 同変な圏同値があれば, R とSは導来同値になることを証明した.さらにこの被覆理論を深化させCohen-Montgomery 双対性の圏論的一般化を行った.また, domestic 標準多元環による単純リー代数の実現を精密化し, 論文の初版の誤りを根本的に正して実現を完成させた.交付
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2004年 -2006年 
    代表者 : 古澤 昌秋; 兼田 正治; 河田 成人; 加戸 次郎; 市野 篤史; 谷崎 俊之; 津島 行男
     
    階数2のシンプレクティック群GSp(4)に付随した次数4のオイラー積を持つスピノル・エル函数及びそれを楕円モジュラー保型形式でひねった次数8のオイラー積を持つエル函数を研究対象とした. 前者については,相対跡公式によって,その函数等式の中心における特殊値を,ベッセル・モデルの絶対値の二乗で表示しようというプロジェクトを推進した.相対跡公式成立の鍵を握る基本補題のヘッケ環全体への拡張については,マクドナルド多項式の理論を用いることによって,単位元に関する退化した軌道積分とベッセル・モデルに関する一般化されたコシュトカ数を求めることに帰着されることが解った.また,エル函数の特殊値を相対跡公式の一辺として拾い上げる方法として,ノボドボルスキーの積分表示に基づく別の軌道積分を用いる可能性についても考察した.この軌道積分自体の計算は他の軌道積分よりも容易であり,上述のマクドナルド多項式の理論ともうまく整合していることが解った.また,特殊値の明示公式としては,これまでの二つの相対跡公式よりも有用と思われることも解った.しかし,ディストリビューションの具体的な対応については解明することが出来なかった.これを解決することを直近の重要な課題として研究を継続している. 後者に関しては,階数3の準分裂ユニタリー群のアイゼンシュタイン級数を用いた積分表示について考察した.次数8のオイラー積を持つエル函数については,特殊値のピリオド部分が,ジーゲル保型形式と楕円保型形式の重さの相対的な関係によって,大きく変わると予想されている.我々の積分表示は,その事象を説明できる可能性を秘めていることを確認した.また,局所函数等式はベッセル・モデルの一意性と深く関連しているのだが,現在までのところ公刊された完全な証明は無いと思われるので,これを与える作業も開始した.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2004年 -2006年 
    代表者 : 兼田 正治; 谷崎 俊之; 柳田 伸顕; 橋本 義武; 手塚 康誠; 河田 成人; 古澤 昌秋; 津島 行男
     
    当報告者は,Bezrukavnikov, Mirkovic, Rumynin(以下,BMRと略記)が最近得た,BeilinsonとBernsterinによる微分加群の局所化定理の,正標数版について考察を巡らした.彼らの用いた微分作用素の層\mathcal{D}は,Berthelotがかって定義したPD微分作用素というものの層で,これは彼が最近導入した,一連のarithmetic微分作用素の層の第0番目であることに注意して,橋本とRumyninとの共同研究により,一般のarithmetic微分作用素の層の簡単な表示を与えた.BMRの成功を鑑みるに\mathcal{D}のcentral reductionである構造層のそのFrobenius twist上のendomorphism ring\bar\mathcal{D}についてflag variety上で導来型局所化定理が成り立つかどうかを知りたい.これは,\mathcal{D}がflag varietyを与えるreductive group Gに対応し,\bar\mathcal{D}はGのFrobenius kemel G_1に対応すると考えられGの表現論においては,G_1の表現論が有効であるためである.実は,\bar\mathcal{D}について導来型局所化定理が成り立つこととfalg varietyの構造層のFrobenius morphismによるdirect imageがtilting層であることとがほぼ同値であることが分かり,projective spaceやGがSL_3のときのflag varietyでは,実際に,当該のdirect imageがtiltingであることを得た.更に,Yeとの共同研究ではGがSp_4のときにも上記結果が成り立つことが分かった.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2002年 -2004年 
    代表者 : 住岡 武; 浅芝 秀人; 津島 行男; 浅芝 秀人; 河田 成人; 加戸 次郎; 住岡 武
     
    1.代数閉体上の有限次元多元環Aに対してその反復圏A^^^の非負自己同型gでg^2がA^^^の中山自己同型となるものによってΛ=A^^^/と表される自己入射多元環のあいだの導来同値について次の結果が得られた。Aは三角行列環(A_g__ 0__)の形に表され、II=B^^^/をもうひとつの同じタイプの多元環とするとき、A, Bに関する適当な条件の下で、tilting triple(A_g,T_0,B_h)で(A,T,B)もtilting tripleとなるようなものが存在すれば、AとIIは導来同値になる。ただし、T=(T_0【cross product】_ε_1A)【symmetry】(T_0【cross product】_,ε_2A),ε_1:=(1__0 0__0),ε_2:=(0__0 0__1)∈Aである。 2.巡回クイバーの道多元環上の冪零加群全体で定義されるホール代数をもちいて、特殊線形リー代数と一般線形リー代数を実現した。 3.すべての型の単純複素リー代数を、テイム遺伝多元環のホール代数から構成される退化組成リー代数のある剰余代数として実現した。 4.ディンキン図形Δがsimply-lacedである単純複素リー代数を、型Δのcanonical多元環Aのホール代数から構成される退化組成リー代数のある剰余代数L(A)として実現した。また、有界導来圏のシフトTによる商圏D^b(modA)/の直既約な対象の同型類全体から、完全列の代わりに三角を用いてL(A)に類似なリー代数を構成した。 5.上記canonical多元環に対するリー代数の構成法を一般化し、遺伝多元環に導来同値な多元環Bに対してもリー代数L(B)を構成した。このリー代数が導来同値の元での不変量になっているかどうかは現在研究中である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2001年 -2003年 
    代表者 : 河田 成人; 浅芝 秀人; 住岡 武; 津島 行男; 加戸 次郎
     
    アルティン環の表現論において有力なAuslander-Reitenの理論を,有限群の表現論の研究に応用しようと目論みつつ研究を進めてきた.特に,完備離散付値環上の表現(以下では整数表現とよぶ)に注目し,そのAuslander-Reiten列やAuslander-Reitenグラフ(以下,ARグラフと記す)に関して考察した.まず,位数が素数巾の有限群の整数表現において,ARグラフの連結成分で射影加群を含むものの形状は半平面上に広がる格子状であることを見いだした.またごく少数の例外を除いて,射影加群はそのARグラフの端点に位置することもわかった.また,"自明なソースをもつ加群"もARグラフの端点に位置するということをつきとめた.ここで自明なソースをもつ加群とは,部分群の自明な加群を誘導してできる加群の直既約因子として現れる重要な加群のことである.さらに,この結果とAuslander-Reiten理論の基本定理から,位数が素数の3乗以上の素数巾の有限群の完備離散付値環上の群環は無限表現型である,という有限群の整数表現における表現型についてのHeller-Reinerの定理の簡単な別証明をすることができた. また,分担者の津島行男は,対称群の表現論の深い理論を応用することによって,対称群のヘッケ環におけるブロック分解に関する興味深い結果を導いた. ところで,加群の射影性と入射性が同値となる多元環は自己入射的と呼ばれ,群環はそのなかでも注目されている具体例である.分担者の住岡武は,加群の"対"の概念を用いて入射性についての研究を押し進めた.また分担者の浅芝秀人は,一般の有限次元多元環において,直既約加群の同型類を基底とする自由アーベル群がなす整ホール代数について考察し,リー代数との関連性を追求した.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2000年 -2002年 
    代表者 : 山形 邦夫; 吉野 雄二; 前田 博信; 和田 倶幸; 河田 成人; 津島 行男; 合田 洋
     
    主として体上有限次元な多元環の表現についての研究を行った。その結果,本研究代表者と海外共同研究者の一人であるA.Skowronskiによる台変形理論を基礎にして次のような研究成果を得た. 1.有限次元群環に対して肯定的に知られているが一般の有限次元多元環に対しては未解決である問題「Auslander-ReitenクィバーがZA_∞連結成分をもてばワイルド多元環である」に関連した研究を行い,ZA_∞成分を有する多元環としてこれまで知られていた重要な例を含む定理を発見した。とくに単位元をもたない多元環に対しては,上記の問題が成立しない事実を発見した。 2.反復多元環のガロア群の構造を決定する問題の研究を行い,剛性をもつ自己同型群は,元の多元環の自己同型群とある内部自己同型群による半直積であることを証明した。 3.フロベニウス多元環の表現圏について研究を行い,反復多元環によるガロア被覆を有するフロベニウス多元環は安定同値で閉じていることを証明した。また反復多元環をガロア被覆としてもつフロベニウス多元環について,表現圏のARクィバーが三つ以上の一般標準的連結成分をもつ場合を決定し,ユークリッド型成分をもつフロベニウス多元環を決定した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1999年 -2000年 
    代表者 : 津島 行男; 河田 成人; 浅芝 秀人; 兼田 正治; 渡辺 アツミ; 越谷 重夫
     
    (1)有限群上の置換加群の自己準同型環の研究 Iwahori-Hecke環については、その背景となっている対称群のモジュラー表現について成果を上げた。特に、Specht moduleの既約成分のいくつかを構成する手法を研究代表者津島がYoung diagram上のbranchと呼ばれる作用を用いて作りあげた。具体的には、第一にbar branch typeの場合にCarter-Payneの定理として知られていた成果を、pillar branch typeの場合にも拡張したことであり、第二には、各Specht moduleは既約成分として、対応するYoung diagramがもとのYoung diagramのbranchとなるものを有することを示したことである。これは、Jantzen-Schaperの定理とYoung diagramの綿密な解析により示された。一方、q-Schur algebraについても中山予想の類推が成り立つが、James-Mathasの証明には明らかなミスがある。これを修正し完全な証明を与えた。 (2)有限群上の直既約加群の研究 特筆すべきこととして、abelian Sylow p-subgroupをもつ有限群のとき、そのautomaizerの位数が素数ならば、principal p-blockについてはAlperin conjectureの正しいことが研究分担者の渡辺によって証明されたことである。さらに、これを用いてPerfect isometryに関するBroue conjectureが正しいことも示した。 (3)Lie型有限群のモジュラー表現の研究 Lie型群の表現論については、兼田によって幾つかの成果が得られた。特に単連結単純代数群上のコホモロジー群に関するAnderson-Haboushの定理の量子版を完成した。これは同時に、Kempfの消滅定理の量子版を導いた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1998年 -1999年 
    代表者 : 住岡 武; 浅芝 秀人; 河田 成人; 浅芝 秀人; 津島 行男; 奥山 哲郎; 加戸 次郎; 住岡 武
     
    環論及び表現論において,森田相対性は多方面に用いられ,非常に重要な研究対象である.1969年,Fullerは森田双対性の精密化として右アルチン環上、直既約入射イデアルの特徴付けを二つの射影イデアルの間の関係で幾つか与え,1992年に馬場及び大城はこの結果を半準素環に拡張した.本研究ではFuller及び馬場,大城による射影イデアルに関する幾つかの結果を森田,太刀川によって導入された加群の「対」の性質と融合させることにより一般の加群に対する理論に発展させた.これにより零下条件をもつ「対」の加群が有限Goldie次元をもつ条件や,有限余生生成入射加群の特徴付けを与えた.これらは射影イデアルから一般の過群への拡張にとどまらず,性質の本質を明かにし,更なる展開をも期待されると考えられている. 一方,多元環の表現論において強力な研究手段の一つであるAuslander-Reitenの理論を群環の表現論に応用するために、Auslander-Reiten有向グラフ(以下ARグラフ)とよばれるグラフについて考察した。ARグラフとは直既約加群の同型類を点に,既約写像を矢とみなして得られるグラフのことであるが、1995年にErdmannは有限群のモジュラ-表現の場合に,このグラフの形状を決定した.即ち,正標数の代数閉体上の群多元環のブロックがwild表現型ならば,そのARグラフの既約成分のtree classはA_∞であることを示した.この重要な結果を踏まえて、有限群の整数表現におけるARグラフの形状について研究を進め、群の位数がある素数の巾乗の場合に,ARグラフの既約成分で自明な格子加群を含むもののtree classはA_∞であることを示した.またARグラフは,概分裂列とよばれる完全列と密接な関係がある.この概分裂列について,整数表現における概分裂列とモジュラー表現における概分裂列との間にある関連性を見いだした.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1998年 -1999年 
    代表者 : 山形 邦夫; 横手 一郎; 田代 俶章; 和田 倶幸; 河田 成人; 前田 博信; 浅芝 秀人
     
    体上有限次元な多元環の表現についての研究を行った。特に本研究では対称多元環の研究を中心に,リペタティブ多元環によって得られるフロベニウス多元環と対称多元環の構造およびそれらの表現圏の研究を行った。得られた主な研究成果は二点である。 第一は,対象多元環の構成法を発見し,新たな対象多元環のクラスを発見できたことである。これまで有限群環を除けば,対称多元環を構成する方法はほとんど知られていななったといってよい。実際,フロベニウス多元環の先駆者である中山正,東屋五郎は,多元環の対称性は基礎体に依存する性質なのだろうと予想して,対称多元環の構造決定は困難な問題と見ていた。私達の方法は任意に与えられた基礎体から構成するもので,まず基礎体の拡大体を構成し,有向サイクルを含まない任意の有限クイバーとその拡大体から多元環を構成し,その多元環のホッホシルト拡大環を構成すればよいというものである。さらに拡大環が対称になるための判定条件として基礎体とその拡大体のみに関するものを発見した。 第二の成果は,リペタティブ多元環から得られる有限次元対称多元環を決定できたことである。対称多元環とリペタティブ多元環の重要さを鑑み,表現論の基本的な定理を与えたといえる。さらに,リペタティブ多元環から有限次元多元環を得る際の自己同型を決定した。この研究には,代表者によるsocle変形理論と,第一の成果が基礎になっている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1997年 -1998年 
    代表者 : 津島 行男; 奥山 哲郎; 山形 邦夫; 河田 成人; 浅芝 秀人; 兼田 正治; 住岡 武
     
    (1) 有限群の直既約加群の研究 Alpenn-Dade予想の研究から出発したが、途中からこれと密接な関係を持つBroue予想の研究が活発となった。Broue予想の内、導来同値に関する部分は奥山、越谷によって、perfect isometryに関する部分は渡辺によってそれぞれ新たな知見が得られた。直既約加群の一般的事実については、河田がAuslander-Reiten componentsについて、体上の場合について知られていた定理が素数巾位数の有限群の場合には完備付置環上の場合にも成立することを示した。一般の有限群についても成り立つことを予想し、研究を行っている。 (2) 有限群上の置換加群の自己準同型環の研究 三として研究代表者である津島によって以下の結果が得られた。Hecke環については、 Hecke環を構成する基礎となる部分群の位数が基礎体の標数と互いに素の場合に、ブロックにおける指標の直交関係を古典的な場合の拡張として確立した。対称群の表現論においてはSpecht moduleのmodular成分の状態について幾つかの新たな事実が発見された。 (3) Lie型有限群の表現論 Lie型群の表現論については、兼田によって幾つかの成果が得られた。 まず、正標数のequivalent D-moduleについての基礎付けを行った。次にgood filtrationを持つ2つのmoduleのtensor productもgood filtrationを持つというO.Mathieuの有名な定理が、Lustzigのbasedmoduleの理論に含まれており、柏原のcrystal basesを使って初等的に証明できることを示した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1995年 -1995年 
    代表者 : 金信 泰造; 西尾 昌治; 河田 成人; 大嶋 秀明; 枡田 幹也; 河内 明夫
     
    1980年代の中頃から終わりにかけて,JonesやWittenらによって,コンパクトLie群に付随した3次元多様体の量子不変量が定義された.これはAtiyahらによって,(2^+1)次元位相的場の理論の枠組みで捉えられようとしており,理論物理との関係が注目されている.しかしながら,その定義があまりに抽象的すぎて実際の計算に適さない.本研究の目的は具体的にLiE群や3次元多様体が与えられたときの量子不変量を具体的に計算する方法をみつけだして実際に行なうことにより,量子不変量の位相的な性質を解明することにあった.特に,SU(2)に付随した量子不変量は,3次元多様体の枠付き絡み目表示を使って計算できる.これに関して具体的な計算機実験をパソコンの数式処理ソフトにより行ない,現在も進行中である. これと並行してVassilievによって始められた結び目の位相不変量であるVassiliev不変量の研究を行った.実際,量子不変量はVassiliev不変量として捉えることもできる.最近では3次元多様体の不変量として捉えることもできる.最近では3次元多様体の不変量としても拡張されている.HOMFLY多項式がVassiliev不変量においてどれくらい寄与するか,すなわち,いわゆるHOMFLY次元に関する研究を行った.さらに,位数5以下の結び目のVassiliev不変量の基底をConway多項式,HOMFLY多項式,Kauffman多項式を使って具体的に求めた.さらに,空間グラフであるテ-タ(θ)曲線の位数3のVassiliev不変量の基底を与えた.これについては,4項関係式の他に,グラフであることから,3項関係式がでてくるが,結局は,θ曲線に一意的に対応する3成分からなる絡み目の多項式不変量を用いてVassiliev不変量の基底が得られた.この際にも,パソコンを大いに活用した.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1994年 -1994年 
    代表者 : 河田 成人
     
    有限群の表現論の研究において,いわゆるAuslander-Reitenの理論が応用されだした.この理論は多元環の表現論を研究するときに大きな威力を発揮してくる.多元環は表現論的には有限表現型,tame表現型,wild表現型とに大別されるが,Auslander-Reitenの理論を駆使することにより,有限表現型の多元環についてはほぼ満足のいく結果が得られており,tame表現型の多元環についてもかなりの進展がみられている.そして現在は,wild表現型の多元環についての研究の端緒が見い出されようとしている段階である.ところで,多元環の中でも重要な位置を占める群多元環は,多くの場合,wild表現型であり,その表現の研究は注目されている. Auslander-Reitenの理論において,まず着目すべきことは,Auslander-Reiten quiverと呼ばれる有向グラフである.このAuslander-Reiten quiverは,直既約加群を点とし,既約写像を矢とするものであるが,このグラフを考察することにより,多元環の研究が進められる.ところで最近,K.Erdmannによって,群多元環のAuslander-Reiten quiverについて重要な結果が得られた.それは,群多元環がwildであればAuslander-Reiten quiverの連結成分(AR-component)の形は‘tube'か‘ZA_∞'に限るという事実である.本研究においては,このErdmannの重要な結果を踏まえて,有限群の表現の研究を押し進めた.特に既約加群のAR-componentの中における位置に注目して,既約加群と主直既約加群との関係を考察した.まだ満足のいく結果には遠いが,しかしある条件の下では既約加群はAR-componentの中で‘端'に位置することが分かった.今後は,もっと一般的に既約加群のAR-componentの中における位置について考察を進めることが課題とされる.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1991年 -1991年 
    代表者 : 奥山 哲郎; 河田 成人; 加戸 次郎; 住岡 武; 津島 行男; 原田 学
     
    本研究課題では、環の表現論と有限群のコホモロジィ理論における最近の進展を見すえ、有限群の表現論との関わり、互いの応用を研究することを目標とした。 研究実施計画(1)、(2)にそって、1.群環上のAuslanderーReiten図の形状の分類に取り組んだ。この形状の分類は群環の加群の研究の中心課題のひとつで多くの情報を与えるものである。(1).河田らを中心に、次元にある条件を与えて形状の分類を得た。研究方法はAuslanderーRecten列の構成にも応用でき興味深く今後さらに進展させたい。(2).奥山らを中心に、vertexが2種類以上の場合に分類を得た。主道具はgreen対応とclifford理論を発展させたもので新しい方法である。2.環の表現論における相対射影性,移入性の理論を発展させた。原田らを中心に、ある環の特性をこの概念を用いて特徴付け、新しい視点を加えた。群の表現論への応用の可能性をもち、ひきつづき研究を進めたい。 研究実施計画(3),(4)に関連して、群のコホモロジィ理論への表現論の応用に取り組んだ。津島,奥山らを中心に実行されたが,1.加群の相対射影被覆について新しい等式を得ることができた。この等式は計算を実行する際きわめて有効で広い応用をもつものである。2.実際にその応用として、ある種のクラスの有限群のコホモロジィ環の計算を実行した。特に、extraーspecial pー群の自明な加群の相対射影視覆について興味ある事実を発見した。この麦は一般の有限群のコホモロジィ環を決定する上で重要な位置を占めるもので,Carlsonの加群の指数についての問題を解決するための重要な一歩を与えると考える。 研究分担者間の協力は十分にでき,経費の多くをあてておこなった全国各地の研究者との交流・討論も有意義であった。研究課題の遂行にあたっての経費の補助に感謝します。

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