日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究
研究期間 : 2021年04月 -2025年03月
代表者 : 奥田 悠介
食道表在癌のうち、粘膜内癌(pT1a癌)に対しては内視鏡切除、粘膜下層浸潤癌(pT1b癌)に対しては外科手術が標準治療であるが、現在の内視鏡観察のみでは深達度診断はしばしば困難である。予備実験によりpT1a癌症例とpT1b癌症例の血清中の血管新生因子X,Yの発現が有意に異なることを踏まえ、本研究を立案した。pT1症例のうち,pT1b,脈管侵襲もしくはリンパ節転移のうち一つ以上を満たす症例は手術適応群,それ以外は内視鏡治療適応群と定義した。
まずはX, Yの血清エクソソーム中、腫瘍組織中における発現を追加検討した。内視鏡治療適応群15例,手術適応群5例の血清からエクソソームを抽出し、タンパク質濃度を測定した。血清エクソソーム含有XとYは内視鏡治療適応群に比べて手術適応群で有意に高値を示した:血清エクソソーム含有X (pg/ml): 内視鏡治療適応群,77.1 + 36.9 vs. 手術適応群,737.6 + 1362.4, P = 0.030; 血清エクソソーム含有Y (pg/ml): 内視鏡治療適応群, 18.6 + 18.4 vs. 手術適応群, 51.3 + 43.5, P = 0.014。
また、切除後組織検体中のRNA発現についても内視鏡治療適応群19例,手術適応群10例を用いて検討を行った。標準化因子に対するXとY相対的発現は内視鏡治療適応群に比べて手術適応群で有意に高値を示した:X (2-ΔCT×1000): 内視鏡治療適応群,7.95 + 4.99 vs. 手術適応群,51.49 + 81.78, P = 0.026; Y(2-ΔCT×1000): 内視鏡治療適応群, 8.71 + 7.64 vs. 手術適応群, 25.55 + 28.50, P = 0.027。
さらに、多施設共同前向き観察研究を立案し、2021年11月より開始した。