日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2020年04月 -2023年03月
代表者 : 杉浦 克哉
2種類の研究を進めた。第1に、英語の心理動詞の歴史調査を行った。具体的にはpleaseとworryの歴史調査を行い、初期の英語でそれらが表した意味や選択した項の特性を調査した。Pleaseは14世紀に、worryは17世紀に非代名詞名詞を主題項として選択したため、pleasing, worryingの名詞前位修飾構造がそれぞれ14世紀、19世紀に現れたと主張した。研究成果として次の2つを発表した。
杉浦克哉 (2022) 「英語史におけるpleasingの名詞前位修飾構造の出現について」『言語の本質を共時的・通時的に探る: 大室剛志先生退職記念論文集』,pp. 212-222, 開拓社, 東京./杉浦克哉 (2022) 「英語史におけるworryの意味変化に関するコーパス調査」『愛知学院大学教養部紀要』, pp. 35-42.
第2に、英語の現在分詞・過去分詞が後位修飾する名詞句の研究を進めた。具体的には、現在分詞が後位修飾する名詞句を含めた非定形V-ing構文で、動詞が副詞の左方位置を占める用例を収集し、非定形V-ing構文を動詞移動の観点から分析した。また、名詞句+分詞の構造形として独立分詞構文を調査した。具体的には古英語の現在分詞・過去分詞独立分詞構文の分布を調査した。研究成果を次の2つの学会で2022年5月に発表する予定である。
Katsuay Sugiura (2022) "Dative and Nominative Absolute Constructions in Old English," ELSJ International Spring Forum 2022, online./杉浦克哉 (2022)「非定形Ving構文にお ける動詞移動の歴史的発 達: 非定形Vingと副詞の語順に焦点を当てて」, 日本英文学会第 94 回大会, オンライン開催.