日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2019年04月 -2023年03月
代表者 : 新居 富士美; 大島 操; 大石 昌也; 山邉 素子
今年度は2つの目的について整理した。第一は、非侵襲的ヘモグロビン濃度(以下,SpHb)測定機器を用いた看護研究の国内文献から当該分野における高齢者を対象とした研究課題を再度見直すことである。
医学中央雑誌Web(Ver.5)を用い,「SpHb」,「非侵襲的ヘモグロビン」を検索語に得られた7文献について要約表をもとに対象と使用目的・結果,SpHb測定の具体的方法を分析・整理した。結果,貧血の評価を検討する目的で妊婦健診や3歳児健診,外来小児患者,透析,全身麻酔下や集中治療領域で多様な対象や状況に用いられていた。高齢者のみを対象とした文献はなく,測定方法は灌流指標(PI)値や測定条件を明示した文献がある一方,条件が不明確な文献も認められた。高齢者を対象とするには加齢による循環器や血管の障害もあることをふまえて灌流指標(PI)値をはじめとしたSpHb測定の条件を明確にすることが必要不可欠である。これらの条件のもと測定条件を明確にし,訪問看護や高齢者施設,通所サービスという,高齢者ケアが展開されるさまざまな場において貧血のスクリーニングや継続評価をおこない,それらにもとづく看護活動への可能性が示唆された。以上における実績は「日本における非侵襲的ヘモグロビン濃度測定機器を用いた看護研究の文献検討」として投稿し、査読を経て掲載可となり、印刷中である。
第二に、データ収集の前段階としてSpHb測定機器を用いて訪問看護師がどのような体験をして何を考えたかについて実態把握をおこなった。これらの結果は実績として、「在宅治療療養中の高齢者に対して、非侵襲的ヘモグロビン濃度測定機器を用いた訪問看護師の体験」として記述をまとめているが、体験の構造化の図は討議後に再考を要し現在検討中である。