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富永 真琴 (トミナガ マコト)

  • なごや先端研究開発センター 特任教授
Last Updated :2025/10/25

研究者情報

J-Global ID

プロフィール

  • 循環器医として数年勤務するも、基礎生理学研究を始めて20年。京都大学、生理研、カリフォルニア大学サンフランシスコ校、筑波大学、三重大学と巡って2004年に生理研(岡崎統合バイオサイエンスセンター)に戻ってきました。TRPチャネルという興味深い研究対象と出会い、温度受容・侵害刺激受容の分子機構解明を目指しています。

研究キーワード

  • 包括脳ネットワーク   統合脳・分子脳科学   容積感受性C1^-チャネル   センサー   心筋   CFTR   神経生理学   炎症性疼痛   感覚神経   可塑性   熱   モルモット   RT-PCR   C1チャネル   痛み受容   リン酸化   神経科学   パッチ・クランプ   VRL-1   痛み受容体   PKC   脳・神経   イオンチャネル   脳   P2Y_1受容体   温度受容   プロトン   生理学   VR1   ATP   痛み   カプサイシン受容体   

研究分野

  • ライフサイエンス / 神経科学一般
  • ライフサイエンス / 医療薬学
  • ライフサイエンス / 生理学

経歴

  • 2006年 - 2009年  大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設)教授
  • 2006年 - 2007年  大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設) 岡崎統合バイオサイエンスセンター教授
  • 2007年  自然科学研究機構(岡崎共通研究施設) 統合バイオセンター教授
  • 2001年 - 2002年  三重大学 医学部Faculty of Medicine教授
  • 2000年 - 2001年  筑波大学 基礎医学系Institute of Basic Medical Sciences講師
  • 2000年  筑波大学 医学部講師
  • 1994年  岡崎国立共同研究機構助手
  • 1994年  岡崎国立共同研究機構・生理学研究所助手

研究活動情報

論文

MISC

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2026年03月 
    代表者 : 後藤 勝正; 江川 達郎; 富永 真琴
     
    健康長寿を目指して運動が推奨されている。継続的な運動の実施には、運動器である骨格筋の機能の維持向上が重要であるのは疑いの余地はない。したがって、加齢に伴う骨格筋量と機能の低下すなわち骨格筋老化に対する適切な予防はもちろん改善策が未確立であり、早急に解決が望まれている。本研究では、加齢に伴い骨格筋の機械的刺激受容機構が機能不全(感度不良)となり、日常生活活動レベルでは筋タンパク合成が十分に活性化しないことが骨格筋老化の原因であると仮説を立て、ピエゾチャネルをはじめとする機械的刺激感受性イオンチャネルに着目し、運動の効果発現における骨格筋の機械的刺激受容機構を解明し、機械的刺激受容機構の活性化による運動効果獲得策とその増強法を開発するとともに、骨格筋老化の克服策の確立に向けた知的基盤を形成することを目的とする。研究は4年計画で実施され、本年度はその2年目にあたる。実験には、マウス筋芽細胞由来C2C12細胞および実験動物(C57BL/6J雄性マウス)を用いた。C2C12細胞を用いた培養細胞実験により、TRPV4ノックダウンは筋管細胞へ分化を部分的に抑制することが確認され、TRPV4の機能低下は骨格筋萎縮の要因になり得ることが示唆された。また動物実験では、骨格筋の可塑性発現に伴うピエゾチャネルの発現量の変化に対する加齢(老化)の影響を追究に着手した。今年度は、生後24カ月齢のマウスを用いて、過負荷による共同筋腱切除に伴う機能的過負荷による筋肥大(骨格筋増量)効果は加齢により減弱することを確認し、現在ピエゾチャネルの機能解析を行っている。2024年度以降に、廃用性筋萎縮とその後の再成長、骨格筋の壊死-再生サイクルに及ぼす加齢の影響を検討すべく準備を開始した。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)
    研究期間 : 2009年 -2009年 
    代表者 : 富永 真琴
     
    2007年に海馬錐体細胞でTRPV4遺伝子、蛋白質が発現し、脳温を感知して活性化して細胞膜の静止膜電位を脱分極させて神経の興奮性を制御していることを報告した(J.Neurosci.2007)ので、マウスの海馬近傍に直径500μm程度の温度プローブを挿入して、自由行動下で持続的に脳温度を測定した。マウスは、1日の内で36-39度と3度にわたる脳温度変化を示し、睡眠時に低下し、活動時に上昇した。睡眠中で脳温度の低いマウスに刺激を与えて覚醒させたところ、覚醒と同時に脳温度の上昇を観察した。マウス脳での局所脳温度の測定に関する報告はなく、挿入温度プローブを改良して自由行動下での連続的脳温度測定を進めている。 昆虫も外部温度を感知して生存しており、西洋ミツバチからAmHsTRPA遺伝子をクローニングしたところ、哺乳類TRPA1のいくつかの刺激化合物と34度以上の侵害性熱刺激によって活性化することが明らかになった。脳に加えて触角に遺伝子の発現を確認した。 脳の温度変化が病態時にどのような意義をもつかを解析するために、脳ミクログリアでの種々の温度感受性TRPチャネル遺伝子の発現を解析した。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(A))
    研究期間 : 2007年 -2009年 
    代表者 : 富永 真琴; 稲田 仁
     
    TRPM2の活性化はインスリン分泌をもたらすことから、活性薬は糖尿病治療薬になると考えられる。そこで、TRPM2を強制発現させた細胞で細胞内Ca2+濃度の上昇を指標としてTRPM2に作用する化合物のスクリーニングを行った。その結果、活性化物質は発見できなかったが、2-APB(2-aminoethoxydiphenyl borate)が既知の阻害物質より低濃度で早いキネティクスで可逆的にTRPM2活性を阻害することが明らかとなった。2-APBは、リガンドで活性化した電流のみならず、熱によって活性化したTRPM2電流も同様に抑制した。 TRPM2のインスリン放出への関与を確認する目的で、TRPM2欠損マウスの解析を開始した。TRPM2欠損マウスから調整した膵臓β細胞は温度刺激による細胞内Ca2+濃度上昇が起きないことを確かめた。経口グルコース負荷試験を行い、野生型マウスと比較してTRPM2欠損マウスで血糖上昇が大きく、低下もゆるやかであることがわかり、個体レベルでの血糖コントロールにTRPM2が重要な働きをしていることが強く示唆された。現在、より詳細な解析を進めているところである。 セルソーターを用いて、マウスリンパ球の分取を行った。温度刺激での細胞内Ca2+濃度の変化を観察したところ、Tリンパ球、Bリンパ球とも細胞内Ca2+濃度の上昇が観察された。現在、さらにリンパ球をサブクラ...
  • 文部科学省:科学研究費補助金(特定領域研究)
    研究期間 : 2006年 -2009年 
    代表者 : 富永 真琴; 岡田 泰伸; 鍋倉 淳一; 東原 和成; 若林 繁夫; 上田 陽一
     
    1)総括班会議を複数回開催し,評価委員の参加も得た。そして,特定領域研究の推進方向,平成19年度,平成20年度の方針について議論し,具体的な活動計画を策定した。 2)平成19年8月および12月に公募および計画班員による班会議を開催し,個々の班員の研究内容を発表して意見交換を行った。さらに,関連分野の研究者を招聘して特別講演を行った。 3)平成19年8月に班員以外への研究領域の周知を目的として公開シンポジウムを開催した。 4)情報発信のために解説した特定領域のホームページを利用して特定領域発足の意義,研究の進展状況の周知を行った。 5)研究領域の若手研究者の鼓舞と情報交換を目的として,平成19年8月と平成20年2月に「若手の会」を開催した。 6)関連学会においてセルセンサーをテーマとしたシンポジウムを開催するよう企画し,平成19年12月の日本生化学会日本分子生物学会合同大会,平成20年3月の日本生理学会大会において計画班員が中心となって「Cell Sensor」に関するシンポジウムを行った。平成20年度に開催される諸学会についても,セルセンサーシンポジウムの開催計画を立てた。 5)特定領域「細胞感覚」の方針,目的,研究内容の周知を目的としてニユースレター誌「CELLSENSOR」2号,3号を作製した。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(特定領域研究)
    研究期間 : 2006年 -2009年 
    代表者 : 富永 真琴; 福見 知子; 稲田 仁; 曽我部 隆彰
     
    表皮ケラチノサイトのcDNAライブラリーからTRPV4細胞内ドメインと結合する蛋白質をYeat two-hybrid法を用いて探索し、ENH(Enigma Homologue)が結合することを見いだした。フラグメシトを用いた免疫沈降法によって,TRPV4アミノ末端とENHのLimドメインが経都合することが明らかとなった。HEK293細胞にENHを共発現させると4αPDDによるTRPV4電流は増大した。この電流増大はLimドメインを欠失したENHを共発現させた細胞では見られなかったことから,ENHとの結合によってTRPV4活性が制御されているものと考えた。このENHによるTRPV4機能増強はPMAによってPKCを活性化させると消失することから,PKCによる蛋白質リン酸化がENHによるTRPV4制御機構を阻害するものと推定した。このPMAの効果は、PKCepsilon阻害物質の影響を受けたことから,特にPKCepsilonが関与しているものと結論した。 新生仔マウスの表皮を野生型マウスとTRPV4欠損マウスで比較したところ,TRPV4欠損マウスで角化層が顕著に厚くなっていた。新生仔マウスを色素truidin blueに浸したところ,アセトンで角化層を除去した場合、TRPV4欠損マウスでより多くの色素沈着が観察された。皮下にビオチンを注入して漏出を観察したところ,野生型マウスではビ...
  • 文部科学省:科学研究費補助金(萌芽研究)
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 富永 真琴
     
    新生仔マウスの表皮ケラチノサイトと後根神経節細胞の共培養系を確立した。その共培養の細胞に温度刺激を加えて、細胞内Ca2+濃度の変化を観察した。40度までの温度刺激によって両細胞で細胞内Ca2+濃度増加が観察された。しかし、ケラチノサイトに比べて神経細胞で細胞内Ca2+濃度増加の遅れがみられ、平均して1.2秒の遅れであった。この遅れは、ケラチノサイトから感覚神経細胞に情報が伝達されるという仮説を支持する結果である。ケラチノサイトからは種々の刺激に応じてATPを放出することが知られている。そこで、ATP受容体阻害剤であるPPADSもしくはsuraminで前処理したところ、感覚神経細胞での細胞内Ca2+濃度増加のみが特異的に阻害された。この結果から、温度刺激によってケラチノサイトからATPが放出されて感覚神経に発現するATP受容体に作用することが強く示唆された。温度刺激によるケラチノサイトからのATP放出をより直接的に検出する目的で、HEK293細胞にイオンチャネル型ATP受容体P2X2をバイオセンサーとして強制発現させて、ケラチノサイトと共培養した。ケラチノサイトに温度刺激を加えるとP2X2活性化によると考えられる特徴的な内向き整流性を有する膜電流の活性化が観察された。野生型マウス、TRPV3欠損マウス、TRPV4欠損マウスのケラチノサイトを調整して実験を行ったところ、TRPV3...
  • 文部科学省:科学研究費補助金(特定領域研究)
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 富永 真琴; 曽我部 隆彰
     
    体温近傍の温度で活性化するTRPV4の脳での発現を調べたところ、海馬でmRNAの強い発現が観察された。海馬神経細胞の単離培養系を確立して,TRPV4の発現と機能を検討した。TRPV4は海馬神経細胞およびグリア細胞に蛋白質レベルでの発現が確認され,シナプスでの発現が強く示された。パッチクランプ法でも単離海馬神経細胞においてTRPV4活性化電流が観察され,TRPV4が海馬で機能していることが示唆された。TRPV4は体温下で恒常的に活性化していると考えられ,温度上昇によって単離海馬神経細胞での細胞内・Ca^<2+>濃度の増加が観察された。野生型マウスとTRPV4欠損マウスで海馬神経細胞の静止膜電位を調べたところ,室温では約62mVで差がみられなかっだが,37度では野生型マウスの海馬神経細胞でより大きな脱分極がみられ(約-51mV),TRPV4欠損細胞より約5mV浅かった。海馬神経細胞に発現するTRPV4は体温で活性化して細胞を脱分極させて,神経の興奮性を制御しているものと考えられた。 TRPV4が体温調節中枢である視床下部神経細胞にも発現していることを発見した。そこで,視床下部に発現するTRPV4が直接温度を感知して体温調節に関わっていると想定して,視床下部でのTRPV4機能を解明する目的で,ラット脳cDNAライブラリーを用いてTRPV4N末と結合する蛋白質をYbast Two-h...
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2002年 -2002年 
    代表者 : 富永 真琴
     
    TRPV1の制御機構の解明(感覚神経終末レベルでの可塑性)を目指した。炎症関連メデイエイターの1つである細胞外ATPによるPKCを介したTRPV1機能の制御機構を昨年度に報告し、PKCによってリン酸化される2つのセリン残基を同定したが、ブラジキニンによってもB2受容体を介して同様のTRPV1活性化温度閾値の低下が起こることを見出し、この急性炎症性疼痛の発生メカニズムが広くGqに共役した受容体活性化で起こることを証明した。さらに、ATPとTRPV1の機能連関がin vivoで起こっていることを、野生型マウスとTRPV1欠損マウスを用いた行動解析から明らかにした。そして、代謝型ATP受容体のP2Y_2 subtypeが強く関与していることが判明した。 発痛物質カプサイシンはまた、逆説的に鎮痛薬としても使われており、その細胞レベルのメカニズムの1つとして細胞外Ca^<2+>依存性の電流減少(脱感作)が推定されている。私たちは、TRPV1チャネルを通して流入したCa^<2+>がカルモジュリン(CaM)と結合してTRPV1に作用して脱感作を起こすことを明らかにし、CaM結合部位を同定した。この部位を欠く変異体では細胞外Ca^<2+>依存性の急性の脱感作が全くみられなかった。この部位に作用する物質は新たな鎮痛薬として機能することが推測される。 TRPV1は痛み受容体であるとともに温度受容...
  • 文部科学省:科学研究費補助金(特定領域研究)
    研究期間 : 2002年 -2002年 
    代表者 : 富永 真琴
     
    カプサイシン受容体VR1(TRPV1)は6回膜貫通型のイオンチャネルで、生体で痛みを惹起する複数の刺激、カプサイシン・酸(プロトン)・熱(43度以上)によって活性化する。VR1は末梢感覚神経に強く発現するが中枢神経系にもその発現が認められる。視床下部は内部環境の物理的(温度・浸透圧)及び化学的(pH・ホルモンレベル)性質に直接反応する調節中枢と考えられていることから、末梢感覚神経で痛み刺激受容に関わる受容体が中枢神経においても重要な生理機能を担っている可能性を示唆する。そこで、これまでに全く知られていない痛み刺激受容体の脳における機能を解明するために、脳におけるVR1発現を検討し、また、VR1機能制御の分子機構を解析した。この制御機構が脳における機能解明につながるものと期待される。さらに、脳に発現する新たなVR1類似蛋白質を探索した。 ラット脳において、視床下部にはVR1の発現を認めなかったが、黒質に強い発現を認め、tyrosine hydroxylaseと共発現していた。こうした発現解析からはVR1の脳における機能を解明することは難しいと考え、現在、遺伝子欠損マウスの行動解析を精力的に進めている。次に、細胞外ATPが代謝型P2Y1受容体を介してPKC依存的にVR1機能を制御することを明らかにしてきたが、代謝型受容体とカプサイシン受容体VR1の機能連関をさらに追求して、発痛物...
  • 文部科学省:科学研究費補助金(特定領域研究(A), 特定領域研究)
    研究期間 : 2001年 -2002年 
    代表者 : 富永 真琴
     
    TRPV1の制御機構の解明(感覚神経終末レベルでの可塑性)を目指した。炎症関連メデイエイターの1つである細胞外ATPによるPKCを介したTRPV1機能の制御機構を昨年度に報告し、PKCによってリン酸化される2つのセリン残基を同定したが、ブラジキニンによってもB2受容体を介して同様のTRPV1活性化温度閾値の低下が起こることを見出し、この急性炎症性疼痛の発生メカニズムが広くGqに共役した受容体活性化で起こることを証明した。さらに、ATPとTRPV1の機能連関がin vivoで起こっていることを、野生型マウスとTRPV1欠損マウスを用いた行動解析から明らかにした。そして、代謝型ATP受容体のP2Y_2 subtypeが強く関与していることが判明した。 発痛物質カプサイシンはまた、逆説的に鎮痛薬としても使われており、その細胞レベルのメカニズムの1つとして細胞外Ca^<2+>依存性の電流減少(脱感作)が推定されている。私たちは、TRPV1チャネルを通して流入したCa^<2+>がカルモジュリン(CaM)と結合してTRPV1に作用して脱感作を起こすことを明らかにし、CaM結合部位を同定した。この部位を欠く変異体では細胞外Ca^<2+>依存性の急性の脱感作が全くみられなかった。この部位に作用する物質は新たな鎮痛薬として機能することが推測される。 TRPV1は痛み受容体であるとともに温度受容...
  • 文部科学省:科学研究費補助金(特定領域研究(C))
    研究期間 : 2001年 -2001年 
    代表者 : 富永 真琴; 富永 知子
     
    これまでに全く知られていない痛み刺激受容体の脳における機能を解明するために、脳におけるVR1の発現を検討した。また、末梢神経における痛み刺激受容の制御機構を解明する目的で、炎症関連メデイエイターの1つである細胞外ATPのVR1機能に及ぼす効果を検討した。 ラットを潅流固定後、脳・脊髄と陽性コントロールとしての後根神経節と同時包埋し、抗VR1抗体を用いて間接蛍光抗体法によって脳・脊髄におけるVR1の発現を検討した。脊髄においては深層に陽性細胞を、また脳においては皮質を含めて広い範囲に陽性シグナルを観察した。In situ hybridization 法、他のマーカーとの多重染色によって陽性神経細胞種の同定を進めるとともに、単離培養細胞での電気生理学的な実験からVR1陽性細胞の機能解析を行う予定である。 VR1機能の細胞外ATPによる制御機構の解析は、VR1を発現させたHEK293細胞においてパッチクランプ法を適用して行った。細胞外ATPによってカプサイシン活性化、プロトン活性化電流は増大した。また、細胞外ATPによってVR1の熱活性化温度閾値は43度から35度に低下した。これは、細胞外にATPが存在すれば、体温でもVR1は活性化して痛みを惹起しうることを示す。この細胞外ATPによるVR1活性の制御は代謝型P2Y_1受容体を介して起こっていること、さらに、PMAによるPKCの直接...
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(C))
    研究期間 : 2000年 -2001年 
    代表者 : 富永 真琴
     
    分子生物学的手法と電気生理学的手法を組み合わせて痛み受容体の構造・機能協関の解明に迫る以下のようなアプローチで、痛み受容機構の分子メカニズムを解析した。 1. 点変異体を用いた酸感受部位の同定:酸(プロトン)によるVR1の活性化のEC_<50>が約pH5.4であること、プロトンが細胞外からのみ作用することから、VR1の細胞外ドメインの酸性アミノ酸を中性あるいは塩基性アミノ酸に変える点変異体を作成してパッチクランプ法を適用して機能解析を行った。その結果、第3細胞外ドメインの600番目のグルタミン酸がプロトンによるカプサイシン活性化電流及び熱活性化電流の制御に、648番目のグルタミン酸がプロトンによるVR1の直接の活性化に関与する重要な部位であることが明らかとなった。 2.VR1制御機構の検討:培養細胞を用いた異所的発現系でVR1活性の炎症関連メデイエイターによる制御機構を検討した。細胞外ATPによってカプサイシン活性化、プロトン活性化電流は増大した。また、細胞外ATPによってVR1の熱活性化温度閾値は43度から35度に低下した。これは、細胞外にATPが存在すれば、体温でもVR1は活性化して痛みを惹起しうることを示す。この細胞外ATPによるVR1活性の制御は代謝型P2Y_1受容体を介して起こっていること、さらに、PMAによるPKCの直接活性化、PKC阻害剤の効果の検討等から細胞外...
  • 文部科学省:科学研究費補助金(特定領域研究(A))
    研究期間 : 2000年 -2001年 
    代表者 : 富永 真琴
     
    熱受容体VR1,VRL-1がヘテロマーを形成する可能性の検討と冷刺激受容体遺伝子のクローニングを目標に研究を進めてきた。VR1,VRL-1はヘテロマーを形成しないことが明らかとなり、後者は未だ単離に至っていない(平成14年3月に米国のグループから遺伝子単離の報告がNature誌になされた)。 細胞外からのみ作用することが知られていたプロトンによるVR1活性化のEC_<50>がおよそpH5.4であることから、プロトンのVR1に対する作用には細胞外ドメインの酸性アミノ酸が関与することが推定された。そこで、それらの酸性アミノ酸を中性もしくは塩基性アミノ酸に変える点変異体を作製して電気生理学的な解析を行うことによって、第5,6膜貫通領域間の600番目のグルタミン酸がプロトンによるカプサイシン活性化電流、熱活性化電流の制御に、634番目のグルタミン酸がプロトンによるVR1の活性化に関与することが明らかとなった。この酸性アミノ酸の点変異によって活性化閾値が10度も低下した。 また、感作物質もしくは発痛物質として作用するATPがGqにcoupleする代謝型受容体活性化からPLC・PKC活性化を介してVR1活性を増大させることが明らかとなった。ATPはVR1の有効刺激であるカプサイシンやプロトン(低濃度)によって惹起された電流を著しく増大させるのみならず、熱による活性化温度閾値を43度から3...
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(C))
    研究期間 : 2000年 -2000年 
    代表者 : 小林 茂夫; 彼末 一之; 白木 琢磨; 松村 潔; 川岸 郁郎; 富永 真琴
     
    皮膚を冷却すると、冷受容器は冷線維に向心性のインパルスを発し、それが脳に届くと冷感が生じると考えられる。生理学では、冷受容器は温度を発火頻度(暗号)に変換するセンサー、脳は暗号を解読して皮膚温を検出すると捉えてきた。しかし、発火頻度は、温度変化に対し、閾応答、過渡応答を示すので、温度と頻度に1対1の関係はない。そこで、温度受容器をセンサーだとは考えにくい。これに対し、冷受容器それ自身が、皮膚温が閾より高いかどうかを比較し、高い時にインパルス(駆動信号)発するサーモスタットだと代表者は提案している。そのインパルスが,産熱効果器を駆動すれば,他の中枢なしに,温度調節が可能となる。 温度受容器をサーモスタットとするこの新しい概念の妥当性を検討するため,哺乳類,無脊椎動物,単細胞生物の研究者が集まり、生物種ごとのサーモスタットについての研究会を開催した(京都大学、2000年7月7日)。そこでは、サーモスタットの重要性,特徴,実体,遺伝子,さらにサーモスタットが駆動する自律性・行動性効果器などの問題点を議論した。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(特定領域研究(C))
    研究期間 : 2000年 -2000年 
    代表者 : 富永 真琴
     
    痛みは化学的・熱・機械的刺激によって感覚神経終末が活性化されることによって惹起されるが、遺伝子クローニングされた侵害性刺激受容体であるカプサイシン受容体(VR1)は異所生発現系における電気生理学的解析のみならずノックアウトマウスの解析からも多刺激痛み受容体として機能していることが明らかとなった。また、VR1遺伝子は視床下部・小脳・線状体・中脳等、脳内に発現することが報告されている。そこで、VR1の分子機構を解明することを第1の、VR1の脳における機能を解明することを第2の目的とした。有効刺激の1つであるプロトンによる活性化のEC50が約pH5.4であること、プロトンが細胞外からのみ作用することから、VR1の細胞外ドメインの酸性アミノ酸の点変異体を作成して機能解析を行いプロトンの作用部位を検討した。その結果、VR1の第3細胞外ループのグルタミン酸(E600)がプロトンによるVR1活性の制御に、別のグルタミン酸(E648)がプロトンによるVR1の直接の活性化に重要であることが明らかとなった。傷害部位から放出される炎症関連メデイエイターは感覚神経終末での痛み刺激受容を制御することが知られているが、そのメカニズムは明らかではない。メデイエイターの1つである細胞外ATPのVR1活性に対する作用を検討した結果、これまで知られているイオンチャネル型(P2X)受容体のみならず代謝型(P2Y)...
  • 文部科学省:科学研究費補助金(特定領域研究(A))
    研究期間 : 2000年 -2000年 
    代表者 : 富永 真琴
     
    従来用いられてきた鎮痛治療法に抵抗性の神経因性疼痛の発生には異なる神経可塑性が関与していると考えられている。これまでに、感覚回路の可塑的変化・痛覚伝達物質の変化・受容体の変化等が明らかにされてきている。そこで、最近その遺伝子クローニングがなされた痛み受容体であるカプサイシン受容体(VR1)およびそのホモログ(VRL-1)の可塑的変化を検討し、その機序を明らかにすることによって神経因性疼痛の発生基盤の本質に迫りたいと考えて本申請を行った。計画をした「VR1およびVRL-1の発現・機能変化の検討」は現在進行中である。もう一つの計画「VR1機能制御機構の解析」については、細胞外Ca依存性の脱感作機構に関してcalmodulin変異体を作成して解析している。他の側面からも制御機構の検討を行っており、プロトンとATPによる制御機構の検討を行った。プロトンはVR1を直接活性化するのみならずカプサイシン活性化電流、熱活性化電流を増大させる。VR1の細胞外ドメインの酸性アミノ酸の変異体解析によって、後者の機構に第3細胞外ループのグルタミン酸(E600)が重要な役割を果たしていることは明らかとなった(論文として発表)。炎症関連メデイエイターの1つである細胞外ATPのVR1活性に対する作用を検討した結果、これまで知られているイオンチャネル型(P2X)受容体のみならず代謝型(P2Y)受容体にも作用...
  • 文部科学省:科学研究費補助金(一般研究(A), 基盤研究(A))
    研究期間 : 1994年 -1997年 
    代表者 : 岡田 泰伸; 富永 真琴; 挟間 章博; 樫原 康博; 老木 成稔
     
    多くの細胞は自らの容積を常に一定に保つメカニズムを持ち、細胞内外の浸透圧環境の変化によって一時的に膨張や収縮を強いられても元の容積へと復帰する能力を持つ。例えば、細胞内での浸透圧活性物質の蓄積や細胞外低浸透圧化によって膨張を強いられた場合には、そののち速やかに正常容積へと戻るところの調節性収縮(RVD:regulatory volume decrease)で応答する。このような容積調節能は、糖やアミノ酸などの有機溶質の能動的吸収の過程で細胞内外に大きな浸透圧勾配を形成する小腸上皮細胞においてとりわけ重要である。1994年度は細胞容積調節に関与する上皮細胞Cl-チャネルの特性をシングルチャネルレベルで明らかにした。多剤耐性薬物排出ポンプMDRIすなわちP糖蛋白が浸透圧性膨張時には容積感受性Clチャネルに機能スイッチするとの「ポンプ/チャネルスイッチ仮説」と、P糖蛋白は容積感受性Cl-チャネルそのものではないが、このチャネルに対してのCキナ-ゼを介する制御因子であるという「Cキナ-ゼ仲介性制御因子仮説」が提出された。そこで1995年度は、内在性のP糖蛋白が浸透圧性細胞膨張時に本当に容積感受性チャネルやそのCキナ-ゼ仲介性制御因子として振舞うかどうかをヒト小腸上皮細胞株Intestine 407を用いて検討し、内在性P糖蛋白については両仮説ともあてはまらないことを明らかにした。19...
  • 文部科学省:科学研究費補助金(重点領域研究)
    研究期間 : 1994年 -1994年 
    代表者 : 富永 真琴; 岡田 泰伸
     
    上皮CFTR(Cystic Fibrosis Transmembrane Conductance Regulator)のIsoformの1つと考えられている心筋のcAMP依存性C1チャネルのモルモット心筋内分布を電気生理学的及び分子生物学的手法を用いて検討した。ヒトCFTR full sequenceをプロ-ブとしたモルモット心筋のNorthernmblotでは、心室筋では約6.5kbの位置にbandを認めるが、心房筋では認めなかった。ところが、RT-PCR法を用いてCFTRのR domainを増幅すると、心室筋・心房筋両方でbandを認め、心室筋の方が心房筋より増幅量が多かった。これは、心房筋でこのC1チャネル電流が小さいことと一致する。そこで、CompetitiveRT-PCR法を用いて、モルモット心筋各部でのCFTR遺伝子発現量を定量的に調べ、C1チャネル電流量と比較検討した。CFTR遺伝子量は左心室筋に比し、右心室筋で有意に少なく、心房筋ではさらに有意に少なかった。左心室筋では心内膜側心筋より心外膜側心筋で1.8倍と有意に多かった。左心室の心内膜側心筋と心外膜側心筋から得た単離心室筋細胞に対し、全細胞型パッチクランプ法を行うと、単位膜容量あたりのC1電流量はisoproterenolによるβ受容体刺激では、心内膜側心筋54.9pS/pF、心外膜側心筋70.6pS/pF...

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