研究者データベース

白根 道子 (シラネ ミチコ)

  • 薬学研究科分子生物薬学分野 教授
Last Updated :2025/04/25

研究者情報

学位

  • 博士(薬学)(東京大学)

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研究キーワード

  • 膜接触部位   PDZD8   神経科学   細胞生物学   脳神経疾患   オルガネラ   Protrudin   FKBP38   

研究分野

  • ライフサイエンス / 神経科学一般
  • ライフサイエンス / 細胞生物学

経歴

  • 2017年  名古屋市立大学大学院薬学研究科教授
  • 2007年  九州大学 生体防御医学研究所Medical Institute of Bioregulation准教授
  • 2006年  九州大学 生体防御医学研究所Medical Institute of Bioregulation助教授
  • 2004年  九州大学 生体防御医学研究所Medical Institute of Bioregulation助手
  • 2003年  科学技術振興機構 さきがけ研究者
  • 2000年  日本学術振興会 特別研究員

学歴

  •         -   大阪大学理学部生物学科 卒業   School of Science

所属学協会

  • 日本薬学会   日本神経科学会   日本生化学会   日本分子生物学会   

研究活動情報

論文

講演・口頭発表等

  • 脂質輸送タンパク質PDZD8 によるエンドソーム成熟機構  [招待講演]
    白根道子
    日本薬学会第142 年会 演 2022年03月
  • オルガネラ間膜接触部位複合体と神経精神疾患の関連機構
    白根道子
    第44 回日本分子生物学会年会 2021年12月
  • 神経恒常性維持における脂質輸送を介したエンドソーム成熟
    白根道子
    第93 回日本生化学会大会 2020年09月
  • 膜接触部位を介したエンドソーム成熟の機構
    白根道子
    第92 回日本生化学会大会 2019年09月
  • Regulatory mechanism and function of neuronal endomembrane system  [招待講演]
    Shirane, M
    US-Japan Brain Research Collaborative Program 2013年 口頭発表(招待・特別)
  • Escape of proteins from mitochondria upon mitophagy  [招待講演]
    Shirane, M
    International Symposium on Mitochondria 2013 2013年 口頭発表(招待・特別)
  • Protrudin-binding sphigolipid regulates Rab11-dependent synaptic function via interaction with sphingolipid  [招待講演]
    Shirane, M
    Hot Spring Harbor Symposium 2008年 口頭発表(招待・特別)
  • Protrudin Interacts with Rab11-GDP and Induces Neurite Formation by Directional Membrane Trafficking  [招待講演]
    Shirane, M
    US-Japan Cooperative Research Workshop on Mouse Models for Cell Cycle and Ubiquitin-mediated Degradation 2006年 口頭発表(招待・特別)

MISC

受賞

  • 2010年 日本学術振興会賞
     
    受賞者: 白根 道子

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2020年04月 -2023年03月 
    代表者 : 白根 道子
     
    皮質脊髄路は随意運動を担う神経回路で、中枢神経系の中で最も長い軸索を有する。遺伝性痙性対麻痺(HSP)は、皮質脊髄路の運動神経が損傷する軸索変性症である。その主な原因としてヘアピンドメインを有する一群の小胞体(ER)膜構造制御タンパク質 の不全がよく知られているが、さらに近年、ERと後期エンドソーム(LE)間の膜接触部位(Membrane contact sites、MCSs)の関連が示唆されている。近年、高解像度光学技術の開発とMCSs繋留タンパク質の相次ぐ発見によりMCSs研究は急速に進展しているが、その個体における生理機能には未知の部分が多い。そこで本研究で、ER膜構造とER-LE MCSsが、神経細胞の恒常性維持にどのように関与しているのか、分子レベル・細胞レベル・個体レベルで明らかにし、軸索変性の発症機構の解明に繋げることを目標とした。 本研究の成果として、期間中に原著論文2報と総説1報が受理された。 1. *Shirane, M., Shoji, H. Hashimoto, Y., Katagiri, H., Kobayashi, S., Manabe, T., Miyakawa, T., and Nakayama, K. I., Protrudin-deficient mice manifest depression-like behavior with abnormalities in activity, attention, and cued fear-conditioning, Mol. Brain, 13: 146 (2020) (*Co-correspondence) 2. *Shirane, M., M. Wada, M., Morita, K., Hayashi, N., Kunimatsu, R., Nakatsumi, H., Ohta, K., Tamura, Y., and Nakayama, K. I., Protrudin and PDZD8 contribute to neuronal integrity by promoting lipid extraction required for endosome maturation, Nat. Commun., 11: 4576 (2020) (*Co-correspondence) 3. Shirane, M., Lipid Transfer Dependent Endosome Maturation Mediated by Protrudin and PDZD8 in Neurons, Front. Cell Dev. Biol., 8: 615600 (2020)
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    研究期間 : 2020年04月 -2022年03月 
    代表者 : 白根 道子
     
    プロトルーディン(Protrudin)はわれわれが発見した小胞体(ER)膜局在のエンドソーム輸送制御タンパク質で、神経軸索伸長を促進し、ERと後期エンドソーム(LE)間の膜接触部位 (Membrane contact sites、MCSs)繋留に中心的な役割を果たす。本研究ではそのER-LE MCSs複合体因子のPDZD8について、生理機能の解析を行った。PDZD8変異マウス神経系の表現型を解析するために、行動バッテリー解析を行った。その結果、精神疾患用の複数の行動異常を見いだした。また脳のリピドーム解析を行った。その結果、特異的な脳領域で特異的な脂質の異常蓄積を見いだした。それらの異常の原因機構について、詳細な解析を行った。 *Shirane, M. and Kamiguchi, H., Molecular machinery regulating organelle dynamics during axon growth and guidance. Seminars in Cell and Developmental Biology, 2022, S1084-9521(22)00058-1 (*Co-corresponding author)
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2013年05月 -2018年03月 
    代表者 : 中山 敬一; 中山 啓子; 白根 道子; 後藤 由季子
     
    われわれは1)低増殖、2)低代謝、3)低酸化の三条件が組織幹細胞の一般的な通則であることを仮定し、全身の組織幹細胞におけるp57、Fbw7、Fbxl5の重要性を明らかにすることを本研究の目的とした。研究の過程でCDK阻害分子p57の発現が最も幹細胞特異的であることを発見したため、p57陽性細胞系統追跡マウスを解析したところ、造血幹細胞や神経幹細胞、腸管幹細胞で特異的な発現パターンを確認した。さらに遺伝子破壊実験や系統追跡実験を行い、p57の細胞周期停止作用や幹細胞性に対する影響を見積もり、その生物学的重要性を確認した。さらにがん幹細胞においてもp57は必須であることを実証した。
  • PKDの活性制御機構とモノアミン分泌への関与
    文部科学省:基盤研究(B)
    研究期間 : 2015年 -2017年 
    代表者 : 白根 道子
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2010年04月 -2016年03月 
    代表者 : 木村 實; 丹治 順; 高田 昌彦; 中村 克樹; 大塚 稔久; 青木 茂樹; 高尾 英正; 下地 啓五; 後藤 政実; 吉浦 敬; 中田 安浩; 阿部 修; 増本 智彦; 徳丸 阿耶; 松村 明; 桐野 衛二; 寺田 一志; 佐藤 典子; 笠井 清登; 橋本 亮太; 丹羽 真一; 加藤 忠史; 鈴木 道雄; 入谷 修司; 根本 清貴; 富田 博秋; 村山 繁雄; 赤津 裕康; 高尾 昌樹; 齊藤 祐子; 尾藤 晴彦; 吉村 由美子; 松崎 政紀; 古田 寿昭; 岡戸 晴生; 斎藤 泉; 貝淵 弘三; 長谷川 成人; 饗場 篤; 椎名 伸之; 五十嵐 道弘; 西岡 朋生; 渡辺 雅彦; 小池 正人; 阪上 洋行; 重本 隆一; 深澤 有吾; 﨑村 建司; 森 寿; 三品 昌美; 小林 和人; 柳川 右千夫; 上村 匡; 石原 健; 能瀬 聡直; 飯野 雄一; 宮川 剛; 高雄 啓三; 虫明 元; 片山 統裕; 田中 徹; 井上 和秀; 岡部 繁男; 狩野 方伸; 藤山 文乃; 伊佐 正; 影山 龍一郎; 藤田 一郎; 吉田 明; 西川 徹; 貫名 信行; 深井 朋樹; 岩坪 威; 山森 哲雄; 岡澤 均; 田中 啓治; 柿木 隆介; 津田 一郎; 北澤 茂; 銅谷 賢治; 高橋 良輔; 池中 一裕; 祖父江 元; 長谷川 寿一; 太田 順; 齊藤 実; 門松 健治; 喜田 聡; 真鍋 俊也; 富田 泰輔; 岩田 淳; 村上 郁也; 筒井 健一郎; 花川 隆; 平井 宏和; 美馬 達哉; 礒村 宜和; 鮫島 和行; 星 英司; 宮田 麻理子; 柚崎 通介; 田中 真樹; 深田 正紀; 鈴木 匡子; 久場 博司; 桝 正幸; 木下 専; 杉原 泉; 白根 道子; 山本 亘彦; 西条 寿夫; 南部 篤; 内匠 透; 山下 俊英; 桜井 武; 玉巻 伸章; 畠 義郎; 原田 彰宏; 尾崎 紀夫; 坂井 克之; 久保 義弘; 中澤 敬信; 田中 謙二; 武井 延之; 等 誠司; 加藤 隆弘; 加藤 総夫; 白尾 智明; 泰羅 雅登; 岡野 栄之; 関野 祐子; 岡本 泰昌; 小松 英彦; 宮田 卓樹; 高橋 淑子; 西田 眞也; 富永 真琴; 寺田 一志
     
    科学研究費助成事業によって推進される個別研究者と、脳の遺伝子、分子、回路、システムから行動、病態、計算理論などの分野の「新学術領域研究」に所属する研究者からの要望に応えて、最先端の研究リソース・技術を提供した。また、異分野の研究者が共同で実施する研究を積極的に支援し、異分野交流ワークショップの開催、若手研究者育成支援を行った。これにより、研究分野を融合する独創的な成果を多数挙げることに貢献した。
  • 細胞内膜系制御の破綻による神経疾患発症の機構解明
    武田科学振興財団:生命科学研究助成
    研究期間 : 2013年 -2013年 
    代表者 : 白根 道子
  • FKBP38によるミトコンドリア品質管理とパーキンソン病との関連
    文部科学省:挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2013年 -2013年 
    代表者 : 白根 道子
  • 細胞内膜系調節によるシナプス制御の分子機構
    文部科学省:新学術領域研究
    研究期間 : 2011年 -2012年 
    代表者 : 白根 道子
  • 神経機能制御における小胞膜輸送システムの関与
    文部科学省:若手研究(S)
    研究期間 : 2008年 -2012年 
    代表者 : 白根 道子
  • 神経におけるリサイクリング小胞の機能解析
    文部科学省:新学術領域研究
    研究期間 : 2009年 -2010年 
    代表者 : 白根 道子
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2008年 -2010年 
    代表者 : 白根 道子; 中山 敬一
     
    本研究では、Protrudin-FKBP38-Rab複合体による小胞膜輸送制御機構と、神経発生、神経機能調節における作用機序を解明することを目的としている。特に神経細胞の分化、移動、構築、機能制御に焦点を当て、膜シャペロンタンパク質FKBP38と膜輸送制御タンパク質ProtrudinによるRab-GTPaseファミリーの制御機構を解明する。特に、Rab-cycleの時空間的な調節機構について解析する。そして、ヒトの二分脊椎などの神経形成不全や遺伝性痙性対麻痺などの神経疾患の病因への関与を解明し、さらに治療への応用を目指している。 本年度は、Protrudin結合脂質スルファチドについて、神経細胞樹状突起スパインへの関与を調べた。さらに、シナプス結合への関与を解析した。 またProtrudinノックアウトマウスを作製した。そして、神経疾患との関係について解析した。スルファチド欠損マウスと神経科学的な異常について比較した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2008年 -2010年 
    代表者 : 白根 道子; 中山 敬一
     
    本研究では、神経細胞の分化、移動、構築、機能制御における、膜輸送制御複合体のFKBP38-Protrudinによる作用機序を解明するために、以下の研究を行った。ヒトの神経管形成不全や遺伝性痙性対麻痺などの神経疾患の病因への関与を解明し、治療への応用を目指した解析を行った。 上記目的のために、プロトルーディンノックアウトマウスを作製した。そのマウスを用い、神経細胞における膜輸送の異常、脂質分布の異常、神経疾患の発症、神経・グリア接着の異常について解析した。そして小胞膜輸送制御の神経疾患との関連を解析した。 そしてプロトルーディンを介した輸送システムが樹状突起スパインにおいても重要であること、およびそのシステムに関与する新たなシグナル脂質を発見した。プロトルーディンはFYVEドメインという脂質結合モチーフを有している。典型的なFYVEドメインはイノシトールリン脂質のPI(3)Pと特異的に結合することが知られているが、プロトルーディンのFYVEドメインは意外なことに硫酸化糖脂質と結合した。そして、樹状突起スパインにおいて膜融合促進に働くことがわかった。 近年、樹状突起スパインにおいてRab11-positive recycling endosomeがAMPA receptorの輸送に重要との報告がなされているが、プロトルーディンはRab11の制御分子であることから、プロトルーディンノックアウトマウスを用いてAMPA receptorの輸送の異常を調べたところ、輸送不全が認められた。よって、プロトルーディンは、Rab11と硫酸化糖脂質との結合により、小胞膜の融合と輸送を制御し、AMPA receptorの輸送を促進することが明らかになった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2008年 -2009年 
    代表者 : 西山 正章; 白根 道子; 松本 雅記; 束田 裕一
     
    高等真核生物の初期発生における細胞周期の高速回転時において、DNA複製チェックポイントの中心分子であるp53の存在は危険である。つまり正常発生時に容易にDNA複製チェックポイントが活性化され、結果としてp53依存性アポトーシスが誘導される危険を伴う。それ故、初期発生においてはp53を不活化し、有害なアポトーシスを抑制する機構が存在するはずである。p53機能の制御については転写レベルや翻訳後修飾などの観点から研究が進んできたが、そのエピジェネティック制御については今までよく分かっていなかった。 われわれはプロテオミクス解析により、クロマチンリモデリング因子Duplin/CHD8がp53に結合することを見出した。さらにCHD8はピストンH1とも結合し、p53/CHD8/ピストンH1三量体がDNA上に形成されることが明らかとなった。つまりCHD8が存在するとp53にヒストンH1がリクルートされ、クロマチン構造が変化してp53の転写活性化能は失われる。 CHD8は発生初期に高発現し、成長に伴ってその発現は急速に低下するので、発生初期に重要な役割を果たしていることが示唆された。CHD8のノックアウトマウスは発生早期にアポトーシスの異常な亢進によりマウス胚が死亡する。このときp53も同時に欠損させるとこのアポトーシスは回避され、マウスは延命した。これらの遺伝学的証拠はCHD8が発生初期におけるp53の強力かつ生理的な抑制因子であることを示している。 これらの結果より、初期発生においてCHD8はクロマチン上に結合しているp53すらも抑制できる強力な「抗p53最終機構」として、p53の暴走を防ぐことにより正常な発生を保証していると考えられた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2009年 
    代表者 : 中山 敬一; 白根 道子
     
    神経細胞は、神経突起と呼ばれる突起を有している。われわれは中枢神経系に高発現している新規タンパク質Protrudinを同定し、このタンパク質が神経細胞の突起形成を促すマスター分子であることを突き止めた。さらにこのタンパク質が突起を形成する分子メカニズムを明らかにした。Protrudinは膜リサイクリングに関わるRab11のGDP型とリン酸化依存的に結合し、Protrudinの発現抑制は神経突起伸長を阻害した。つまりProtrudinはRab11依存的な膜リサイクリングを制御することによって神経突起伸長に必要な指向性膜輸送をコントロールしていることが明らかとなった。
  • 神経変性疾患における膜輸送システムの関与の解析
    文部科学省:基盤研究(B)
    研究期間 : 2007年 -2007年 
    代表者 : 白根 道子
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 白根 道子; 中山 敬一; 松本 雅記
     
    (1)FKBP38ノックアウトマウスにおける異常およびRabの関与の解析 FKBP38とRabとの機能的連関を解析する。FKBP38ノックアウトマウスにおけるRabの発現パターンを解析した。また、FKBP38ノックアウトマウス細胞抽出液を用いて、Rab23活性を測定する。FKBP38ノックアウト細胞を用いて、細胞内膜輸送について検討した。 (2)ProtrudinとRabおよび膜輸送との機能的連関の解析 Rabとprohudinとの機能的連関を解析する。Protrudinはマルチドメインタンパク質であるが、変異protrudinを作製し、ドメイン機能解析を行う。また、変異protrudinのRab結合能、Rab制御能、細胞内局在、膜輸送、神経突起形成能などに関して解析した。 (3)ProtrudinノックアウトマウスにおけるRab活性、膜輸送、神経突起伸長の解析 マウス個体におけるRab制御と神経突起形成との関係を解析するために、protrudinノックアウトマウスを作製し、Rabllや他のRabについて発現パターンの変化を解析した。また、protrudinノックアウトマウス細胞抽出液を用いて、Rab活性を測定した。また、各種神経突起マーカーを用いて神経突起形成に関して詳細に観察した。Protrudinノックアウト細胞を用いて、細胞内膜輸送に異常がないか検討した。Protrudinノックアウトマウスで神経管形成に異常がないか解析した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 白根 道子; 中山 敬一; 松本 雅記
     
    (1)FKBP38ノックアウトマウスの形態異常・神経細胞異常の詳細な観察 FKBP38ノックアウトマウスの脳や脊髄において、神経細胞突起の異常な伸長が認められた。FKBP38ノックアウトマウスの中枢神経系において、異常のある神経細胞の種類、分化段階、領域を特定した。 (2)FKBP38ノックアウトマウスにおける膜輸送関連分子の解析 発生期の神経管形成に膜輸送制御分子であるRabの異常が関係することが知られている。そこで、FKBP38ノックアウトマウスにおけるRabの発現パターン、Rabタンパク質量の変化などを解析する。さらに、Rabタンパク質のユビキチン化、プロテアソーム依存的分解について解析した。 (3)ProtrudinとRabとの関係の解析 FKBP38とprotrudinによる膜輸送制御の作用機構を検討する。Protrudinドメイン解析などを行い、Rabとの機能的関連、リン脂質との機能的関連、Rabタンパク質のプロテアソーム依存的分解などについて検討した。さらに、膜輸送との関係について検討した。 (4)Protrudinノックアウトマウス作製とFKBP38及び膜輸送への関与の解析 Protrudmノックアウトマウスを作製し、神経管形成、FKBP38やRabや膜輸送について解析した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 松本 雅記; 中山 敬一; 白根 道子
     
    1)高純度リン酸化ペプチド精製技術の確立 細胞全抽出液の消化物を用いてIMAC担体や金属の選定、バッファー条件や洗浄回数などの系統的な最適化を詳細に行い、リン酸化ペプチド精製の回収率・特異性を大幅に改善した。さらに、Ga-IMACとFe-IMACのリン酸化ペプチド精製の特異性の差を見出し、この特性を利用した、tandemIMAC法を構築することでより網羅性の高い精製技術を構築した。その結果、現在、わずか100ug程度のタンパク質消化物から700種類におよぶリン酸化ペプチドに成功した。さらに、大規模なリン酸化ペプチド解析のために、種々のイオン交換クロマトグラフィー等とIMACの組み合わせを検討し、10000種類以上のリン酸化ペプチドの同定が可能となるシステムを構築した。また、ILAC法やiTRAQ法などの安定同位体標識法による定量技術を用いることで、実際にリン酸化ペプチドを定量可能かどうかを検証し、2検体間の定量的比較(SILAC法)や多検体間の比較(iTRAQ法)による定量法を構築した。 2)定量的リン酸化プロテオーム解析の応用 上記、定量的なリン酸化ペプチドの大規模解析システムの構築を完了したため、細胞周期やシグナル伝達研究への応用を試みた。細胞周期の解析例としては、非同調細胞とM期同調細胞の比較を行い、3000種類以上のリン酸化ペプチド(約1500種類のタンパク質に相当)の定量を行い、多数のM期特異的なリン酸化を見出した。また、EGF刺激たよって引き起こされるリン酸化の大規模定量解析をiTRAQ法との併用によって遂行し、10000種類にリン酸化の経時変化をとらえることに成功した。これらの大規模データをもとに、各々の新規リン酸化タンパク質について詳細な解析を行うとともに、文献情報とのリンクやモチーフ解析などを行うことで、細胞周期やシグナル伝達における新たな知識発見が可能であることが示された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 西山 正章; 白根 道子; 松本 雅記
     
    p53は細胞周期停止やアポトーシスを誘導する転写因子であると岡時に、最も有名な癌抑制遺伝子産物の一つである。p53機能の制御は転写レベルや翻訳後修飾などの観点から研究が進んできたが、申請者は最近p53機能に対するエピジェネティックな制御機構を発見した(投稿中)。クロマチンリモデリング因子CHD(Chromo-Helicase-DNA binding domain protein)は修飾されたヒストンに結合し、ATP依存的なヌクレオソーム形成や移動を行うと考えられている分子ファミリーである。CHDは種を超えて保存されており、ヒトではCHD 1〜9の9つのメンバーが存在するが、その機能はまだ不明の点が多い。申請者らはその中の一つCHD8/Duplinについてノックアウトマウスを作製したところ、胎生早期にアポトーシスの異常な亢進によりマウス胚が死亡することを発見した[Nishiyama M, et. al., Mol. Cell. Biol.(2004)]。そこでCHD8の欠損がなぜアポトーシスを引き起こすかという分子機序を解明する過程で、申請者は、CHD8がヒストンH1をリクルートすることによってクロマチン構造の変化を起こし、p53の転写活性を抑制することを見出した。 さらにp53/CHD8ダブルノックアウトマウスでは、胎生早期におけるアポトーシスが回避され、マウスは延命した。これらの遺伝学的証拠はCHD8がp53の強力かつ生理的な抑制因子であることを示している。つまりCHD8はp53の暴走を防ぐ制御因子であり、その閾値を設定しているものと考えられた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2006年 
    代表者 : 白根 道子
     
    (1)FKBP38とプロテアソームの結合解析 FKBP38結合タンパク質複合体解析の結果、プロテアソームのほぼ全てのコンポーネントを同定した。その他に、ユビキチン、Hsp90複合体、いくつかの機能未知のタンパク質が同定された。これらの結果より、FKBP38がユビキチン・プロテアソーム経路に関与していることが予想された。申請者は293T細胞において、内在性のFKBP38とプロテアソームが確かに結合していることを確認した。また、FKBP38のプロテアソーム結合部位を同定した。さらに、Far-Western法によりプロテアソームのFKBP38結合サブユニットを特定した。特定されたサブユニットについてリコンビナントタンパク質を作製し、細胞内および試験管内でFKBP38との結合を確認した。 (2)FKBP38とプロテアソームが結合する細胞内部位の同定、およびFKBP38によるプロテアソームの局在制御への関与の解析。 細胞にタグを付加したFKBP38とプロテアソームを共発現させ、両者が共局在する細胞内部位を同定した。また、FKBP38のミトコンドリア局在に伴ってプロテアソームがミトコンドリアに局在変化するか調べた。 (3)FKBP38によるプロテアソーム活性制御の解析。 予備的研究によりFKBP38ノックアウトマウスを作製したが、本研究でコントロールマウスおよびFKBP38ノックアウトマウスのPEFのタンパク質抽出液を用い、試験管内でプロテアソーム活性を測定した。
  • 膜輸送分子Protrudinによる神経突起形成の解明と神経再生への応用
    科学技術振興機構:戦略的創造研究推進事 さきがけ
    研究期間 : 2003年 -2006年 
    代表者 : 白根 道子
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2005年 
    代表者 : 白根 道子; 中山 敬一
     
    (1)FKBP38ノックアウトマウスにおいて、神経突起伸長異常の詳細な解析をした。 FKBP38ノックアウトマウスにおいて、異常な突起伸長を示す神経細胞が認められる時期および領域、細胞の種類などを特定した。様々な種類の神経突起の異常が認められた。例えば脊髄の分化した神経細胞の走行を観察したところ、背側の神経繊維が異常に伸長し、左右で交叉して反体側に伸びている。FKBP38ノックアウトマウスの中枢神経系の様々な領域において、異常のある神経細胞の種類、分化段階、領域を特定した。神経細胞の分化マーカーやニューロフィラメントの抗体などの、ilet1, MAP2, TUJ1, Nestin, SMI35, SMI52, CR50, calbindin, calretinin, Tbr1, Pax2などを用い、どの領域で、どの分化段階の、どの種類の神経細胞に異常が出ているのか、組織免疫染色にて詳細に解析した。 (2)FKBP38ノックアウトマウス細胞を用い、Protrudinの発現パターン、膜輸送の異常を検討した。 FKBP38は膜シャペロンであるため、結合分子の細胞内局在や活性を変化させている可能性が予想された。よって結合分子のProtrudinの局在や膜輸送における活性について検討した。異常の認められた神経細胞について、Protrudinの発現パターンを解析する(Protrudinは細胞内膜成分を輸送するため、特徴的なゴルジから突起先端への発現パターンを示す)。また、ProtrudinはRab11やSNAREタンパク質と結合することにより膜融合を促進するが、FKBP38ノックアウトマウス細胞抽出液を用い、Protrudinとそれらの膜融合関連分子との結合や細胞内局在の異常を解析した。また、FKBP38ノックアウトマウス細胞抽出液中のProtrudinに関して、コントロールマウスと比較して翻訳後修飾(リン酸化、ユビキチン化、安定性)に異常がないか検討した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2005年 
    代表者 : 白根 道子; 中山 敬一; 嘉村 巧
     
    (1)FKBP38ノックアウトマウスの形態異常の詳細な観察 FKBP38ノックアウトマウス胎児の脳や脊髄において顕著な形態異常を見出した。脳においては、medial cortexが短縮し、dorsal cortexとmedial cortexが複雑に重なり合って、thalamusが前方に入り込んだようになっていた。また、LGEとMGEが一様化していた。脊髄においては、canalが拡張しており、DRGが小さい、または消失していた。また、細胞が凝集したような細胞構築の異常な部位が各所に認められた。本研究では、これらの異常がどのような機序で発症したのか解析した。 (2)FKBP38ノックアウトマウスにおける領域形成関連分子の発現パターンの解析 FKBP38ノックアウトマウスにおいてさまざまな領域形成関連分子の発現パターンを調べることにより、異常発症の原因を推測した。Shh, Wnt, BMP, Pax6,Gli3,Mash1,Ilet1, calretininなどの主要な因子に関して、in situ hybridizationによるmRNAレベルでの発現パターン、またはimmunohistochemistryによるタンパク質レベルでの発現パターンについて調べた。 (3)FKBP38とその結合分子との機能的連関の解析 FKBP38結合分子を、yeast two hybrid screening及び哺乳類細胞株内でのpull-down assayにより探索、同定した。FKBP38ノックアウトマウスにおいて、それら結合分子について、どのような分子機構で関係しあっているのか調べた。FKBP38は分子シャペロンであるのでタンパク質レベルでの相互関係を解析した。それぞれのリコンビナントタンパク質を作製し、細胞内、または試験管内の実験系において、結合、細胞内局在変化、翻訳後修飾について調べた。翻訳後修飾についてはタンパク質安定性、リン酸化、ユビキチン化などについて解析した。

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