鈴木 貞夫 (スズキ サダオ)
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名古屋大学大学院(予防医学講座)博士課程在学中に,JACC Studyの立ち上げに参画して以来,一貫してコホート研究に取り組んでいます.JACC(北海道八雲町),J-MICC(岡崎市)の大規模コホートで仕事をしてきましたが,最終的なデータ解析や論文作成だけでなく,コホートの立ち上げ,現場や関係省庁との折衝などの運営に関することや,データの流れとデータベース構築に関すること,データの使用範囲や論文作成者の優先順位のことなど,色々経験してきました.あと,コホート研究は長い時間がかかるので,担当者の入れ替わりで事情が分からなくなること,時代とともに倫理観や指針が変化することなど,固有の難しさもあります.
今までの経験を生かして,岐阜県を中心とした比較的広域のコホート(GCOP)を立ち上げました.これは「心理的要因」を含む要因が,様々なアウトカムとどのように関連するかを調査するコホートです.各地で進行中のコホート研究で,心理的要因に興味のある方は,ご連絡をいただければ幸いです.自分としては,おそらくこれが最後のコホート研究になります.今までに得たノウハウを次代につなげていくこともこれからの課題としたいと思います.
コホート以外では,名古屋市から依頼された「HPVワクチンと接種後症状の関連」についての研究(名古屋スタディ)があります.疫学的,科学的な内容だけでなく,社会とのつながりのあり方や結果の伝え方,また,最終的な目標を達成するための戦略,他分野との協力体制など,たくさん学ぶことがありました.
名古屋スタディでは,ワクチンが接種後の症状のリスクを上昇させるような結果は出ていません.同じ名古屋データを使用して,異なる結果を出している論文もありますが,きちんと議論を尽くして,妥当な結果を示せるようにしたいと考えます.
教育は疫学の方法論的,数理的なところを担当しています.この分野で医師国家試験の作問に8年間携わりました.分母を意識することは広く「公衆衛生マインド」ともいえることで,臨床でも必要な考え方です.エビデンス,臨床疫学などを通じ,このような考え方を伝えていきたいと思います.