研究者データベース

相原 徳孝 (アイハラ ノリタカ)

  • 医学研究科脳神経外科学分野 准教授
メールアドレス: aiharamed.nagoya-cu.ac.jp
Last Updated :2024/04/24

研究者情報

学位

  • 博士(医学)

J-Global ID

研究キーワード

  • 脳出血   神経移植   モニタリング   脳腫瘍   

研究分野

  • ライフサイエンス / 脳神経外科学

研究活動情報

論文

書籍

  • 術中脳脊髄モニタリングの指針 2022
    (担当:分担執筆範囲:脳幹聴覚誘発電位(B A E P)pp96-100)診断と治療社 2022年
  • NS NOW 低侵襲時代の頭蓋底手術
    村上信五; 相原徳孝 (担当:分担執筆範囲:Middle cranial fossa approach:聴神経腫瘍 pp82-92)メジカルビュー社 2009年
  • 脳神経外科大系
    (担当:分担執筆範囲:神経外傷 総論 中枢神経系の再生医学 pp49-53)(株)中山書店 2005年
  • 脳の科学
    (担当:分担執筆範囲:脳出血に対する神経細胞移植研究 pp175-180)(株)星和書店 2003年

MISC

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2010年 -2012年 
    代表者 : 山田 和雄; 片野 広之; 間瀬 光人; 梅村 淳; 相原 徳孝; 谷川 元紀
     
    最近、増加している頚動脈狭窄の手術適応、 CEA と CAS の使い分け、無症候例の症候化機構解明を目的に研究を計画した。まず石灰化との関係では CEA は全例で対応可能だが、 CAS は全周性石灰化例には困難であることを示した。また症候例でプラーク内血管新生が多いことを HIF1-αと VEGF の免疫染色で示した。また無症候例の症候化率を全例登録前向き調査で検討し、内科的治療のみでは 2.4%/年程度であることを示した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2006年 
    代表者 : 間瀬 光人; 山田 和雄; 相原 徳孝
     
    脳脊髄液の産生に関与するといわれるアクアポリン1(AQP1)の水頭症モデルにおける変化を調べ,病態との関連を検討した. 雄のWister ratを用い,20%カオリン懸濁液0.05mlを大槽内注入して水頭症を作成した.MRIを施行し,2,4,9週後に灌流固定した.AQP1 mRNAの発現をin situ hybridization法で,蛋白の発現を免疫染色法で調べ,sham controlと比較した.一部の動物では4週間後に脳室・皮下腔シャント術を施行し,9週間後にシャントの影響についても検討した. カオリン注入後,MRIでは時間経過とともに側脳室は拡大した.sham control群では,脈絡叢にAQP-1 mRNAの発現を認めた.カオリン注入ラットでは2週間後に脈絡叢と脳底部にAQP-1 mRNAの強い発現がみられ,4週と9週ではさらに増強した.シャント術後は同部でのAQP-1 mRNAの発現は減少した.AQP-1蛋白の発現はカオリン注入2週間後に脈絡叢および脳底部に認めた.その後9週間後まで発現はみられたが、明らかな増加は認めなかった.場所は上皮細胞よりもapical membraneに強くみられた.シャント術後,脈絡叢での発現は減少したが脳底部での発現にはあまり変化がみられなかった. 水頭症においてAQP-1 mRNAの発現が増強したことは,髄液産生を増加させ水頭症を悪化させる可能性があり,生体防御の観点からは逆の反応である.ただ蛋白の発現は増加しておらず,水頭症の悪化を避けるために,mRNAから蛋白への転写が抑制された可能性がある.この仮説はシャント後に遺伝子と蛋白の発現抑制がみられたことからも支持される.以上の結果はAQP-1が水頭症の治療に新たな役割を果たす可能性を示している.脳底部にAQP1発現細胞が出現したが,この細胞の由来は種々の検索を行ったが不明で,今後の課題である.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2006年 
    代表者 : 山田 和雄; 片野 広之; 相原 徳孝; 間瀬 光人; 浅井 清文
     
    本研究では、まずオリゴデンドロサイトに特異的なセリンプロテアーゼと考えられているmyelencephalon-specific protease(MSP)の虚血モデルと外傷モデルでの発現をmRNAと蛋白レベルで検討した。その結果、虚血周囲白質で虚血後3-7日をピークに、MSPがオリゴデンドロサイト様細胞に特異的に発現することを明らかにした。この場合白質での発現が白質への直接的な虚血によるものか、皮質虚血からの浮腫水の波及によるものかが問題となる。そこで白質損傷は全く起こらず、浮腫水のみが白質に波及する凍結脳損傷モデルを作成し、同様の検討を行った。その結果やはり損傷後5日目をピークとして、損傷部位と繊維連絡のある白質でのMSP mRNAと蛋白の発現がみられた。またMSP蛋白とオリゴデンドロサイトのマーカーであるCNPaseとの2重染色を行ったところ、MSP陽性細胞が確かにオリゴデンドロサイトであることを明らかにした。これらの結果から、MSPは白質に波及した浮腫水によってオリゴデンドロサイトに何らかの刺激がもたらされ、発現したものと判断された。またMSPの蛋白形成と分解の過程を推察するため、ウエスタンブロットを行ったところ、MSPには19kDaの低分子だけでなく、37,40,50kDaの高分子分画が存在すること、また37kDaの高分子分画は凍結損傷後6時間と5-7日目に2つの産生のピークがあることを明らかにした。これらは損傷初期の神経連絡を介したオリゴデンドロサイトへの刺激と、損傷後しばらくしてからの浮腫水の波及によるオリゴデンドロサイトへの刺激の2つの種類があることを示唆した。これらと類似の結果はくも膜下出血モデル、脳出血モデルでも得られた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2004年 -2005年 
    代表者 : 片野 広之; 間瀬 光人; 梅村 淳; 相原 徳孝; 山田 和雄; 浅井 清文
     
    MSP (myelencephalic-specific protease)はラット、ヒトの脳、脊髄白質に多く含まれ、特にオリゴデンドロサイト、マイクログリア、ニューロンに多く認められ、トリプシン様の活性を持つことから基底膜や他の細胞外マトリックス構成分を変成させoligodendrocyteの増殖、突起の伸展分化やミエリンの水解・代謝あるいは神経成長やシナプス可塑性などのremodelingに関与している可能性がある。昨年度までに、われわれは、小泉塞栓子法によるラット中大脳動脈閉塞虚血モデルを作製し、MSP mRNAの発現をin situ hybridization法によって確認した。MSPは梗塞周囲のペナンブラに相当する部位のオリゴデンドロサイトや脳梁、白質線維にそって特異的に発現し、損傷3時間後から発現がみられ、24時間から3日をピークに減衰した。MSP (mBSP)蛋白抗体を作製し蛍光二重染色を行うとmRNAと同じ細胞に発現しており、蛋白発現のピークは7日目にみられた(Mol Brain Res 126:129-136,2004)。また、ラット凍結脳損傷モデルでは、MSP mRNAは脳挫傷直下のオリゴデンドログリア,損傷部周囲の脳梁、白質線維に沿って損傷後7目をピークに発現していた。MSP蛋白蛍光二重染色にてmRNA発現細胞と一致して蛋白発現が同じく7日をピークにみられ、オリゴデンドロサイトのマーカーであるCNPase発現細胞とも一致が確認された。Western Blottingでは、19kD(3時間ピーク)と37,40,50kD(6時間と5日にピーク)の比重の異なるfragmentの発現がみられ、前駆型や修飾型などの存在が考察された(J Neurotrauma; 22:501-510,2005)。これらの結果から、MSPが脳虚血後の脱髄、オリゴデンドロサイトあるいはaxonの損傷修復(ミエリンの再髄鞘化や神経突起の成長)に関与する可能性が示され、細胞外にも発現がみられたことからMSPはミエリン関連蛋白や細胞外マトリックス蛋白のturnoverに関連していることが示唆された。白質線維の損傷に際しての発現をさらに分析するために、Marmarouらのラットびまん性脳損傷モデルを改良したモデルですでに我々は鍍銀染色とAPP染色で軸索損傷を組織学的に証明している(Restr Neurol Neurosci 16:9,2000)が、約20%の致死率であったことから、より再現性の高いfluid percussion injuryを用いたびまん性脳損傷を用いて、Dragonfly社のfluid percussion injury装置を実験室に設置することとした。本装置を用いてKitaらの方法(Int J Legal Med 113:221-228,2000)をもとに、ウィスターラット頭頂部に骨窓を開けてcentral fluid percussion(最大陽圧100mg、最大陰圧160mg)を加えることにより、くも膜下出血、脳梁や脳幹点状出血、脳室内出血を認め、電顕的に軸策損傷が観察されるびまん性脳損傷の作成が可能である。残念ながら、本研究の期間内には結果を出せなかったが、このラットを用いてMSPのmRNAおよび蛋白について発現を確認し、引き続き、MSPのliposomeを用いた脳室内遺伝子導入を進めた後、siRNAによる抑制による影響について検討する予定である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2003年 -2004年 
    代表者 : 山田 和雄; 相原 徳孝; 間瀬 光人; 片野 広之
     
    脳出血後の神経再生による機能回復を図る研究のため、ラット脳出血モデルを開発した。本モデルはコラゲナーゼ注入による自然脳出血であり、ヒト脳出血モデルとして有用である。また脳出血により内包障害が確実に、同程度に起こるので、内包機能障害モデルとして有用であった。出血後の片麻痺をビデオ行動量分析装置で解析し、脳出血後の運動量の低下が起こることを明らかにした。また、メタアンフェタミンによる回転運動誘発試験では、血腫量が多いほど回転運動も多く見られることを明らかにした。本モデル動物の組織学的検索では、出血側の黒質でミオイノシトールトランスポータの発現亢進があり、同部位にはマクロファージ/マイクログリアの浸潤がみられ、その後神経変性が起こることを明らかにした。この線条体出血後の黒質変性が、メタアンフェタミン誘発回転運動と関連することを明らかにした。また出血周囲脳ではBDNFのmRNAならびに蛋白発現が起こり、神経幹細胞移植に適した環境を提供していることを明らかにした。ついで神経幹細胞移植実験を行ったところ、神経幹細胞の明らかな生着が見られること、周囲脳とネットワークを形成する傾向があることをあきらかにした。しかし、その生着率は、胎仔脳組織細胞を移植した場合に比べ低く、またネットワーク形成も十分ではないことが明らかとなった。そこで、生着率の向上とより高い機能改善を図るため、骨髄細胞など別のドナーとなりうる細胞の調整、遺伝子導入神経幹細胞の調整と移植実験を準備したが、計画期間中にはこれらのデータを得るまでには至らなかった。また、免疫抑制剤の投与による効果の解析、神経突起(軸索)のガイダンスにより運動神経の軸索誘導をはかり、皮質脊髄路を再構築し、片麻痺を改善する実験までは期間の関係で至らなかった。
  • アンチセンス法を用いた活性化マイクログリア制御による頭部外傷後神経変性防止の試み
    研究期間 : 2003年 -2004年
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2002年 -2004年 
    代表者 : 谷川 元紀; 山田 和雄; 間瀬 光人; 相原 徳孝; 山本 憲一; 竹内 洋太郎; 金井 秀樹; 丹羽 裕史
     
    既に脊髄損傷後の逆行性変性へのアポトーシスの関与が示唆されている。現存するアポトーシス抑制効果を示す薬剤は、副作用などの面で臨床応用に耐えない。低体温療法は重症頭部外傷の治療の応用として脊髄損傷にも一部の施設において適応され一定の効果を得たとの報告が散見され、また、胸腰部大動脈置換術に脊髄の低体温を適応し虚血による障害を軽減したとの報告も見られる。が、いずれも基礎データに乏しいことは否めない。そこで、我々はラット脊髄損傷モデルにおける神経細胞死へのアポトーシスの関与と、それに対して低体温療法を適応し、その有効な施行法の確立とラット脊髄損傷モデルに対する影響の比較検討を試みた。冷却法としては、ブランケットを用いた全身の低体温や硬膜外または髄腔内の冷生理食塩水灌流による局所冷却を試した。しかしながら、ラットにおいて一定時間低体温を保つことが困難であったためと考えられるが、残念ながらいずれの方法を用いても有意な結果は得られなかった。一方、我々は損傷部位周辺における浸透圧調節遺伝子(SMIT)やmyelincephalic-specific protease(MSP)の発現亢進を明らかにした。これらの結果から、これらによる神経組織の二次損傷の可能性とそのアポトーシスとの関連が推測され、今後それらの機構を解明し、抑制することで神経組織保護を実現できる可能性があると考えている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2002年 -2003年 
    代表者 : 山田 和雄; 谷川 元紀; 相原 徳孝; 間瀬 光人
     
    白質損傷後の脳機能再生を図るため、遺伝子導入したシュワン細胞を脳内移植し、脳機能変化をみることを本研究の主眼として始めた。本年度は白質損傷モデルとして、脳梁損傷モデル、凍結損傷による脳梁機能障害モデル、虚血性脳梁損傷モデルを用いて上記試みの準備研究を進めた。まずラット凍結脳損傷モデルを用い、白質オリゴデンドロサイト活性の指標として、MSP遺伝子と蛋白の発現を検討した。MSP(Myelencephalon-specific protease)は新規のセリンプロテアーゼで、白質のオリゴデンドロサイト、ミクログリア、神経細胞に多く存在し、ミエリンの代謝に関与することが知られている。その結果、凍結損傷後1-3日して損傷直下の白質にMSPmRNAと蛋白陽性のオリゴデンドロサイトが出現し、浮腫の進展に応じて、損傷遠隔部位の白質まで、陽性細胞が出現することを確かめた。また、mRNAと蛋白の発現は同時に並行して変化することも確かめられた。ついでラット脳虚血モデルを用いて、MSPの発現を検討すると、虚血周囲の白質に虐血後1-3日して発現することが認められた。これらの所見から、各種の白質損傷モデルでは損傷に応じてオリゴデンドロサイトの活性化がおこり、これが損傷後のミエリン修復に関与することが明らかとなった。同時にbrain derived neurotrophic factor (BDNF)およびinterferon gammaを組み込んだレトロウィルスベクターを作成し、それを用いてWisterラットから採取したシュワン細胞に遺伝子導入した。遺伝子導入されたシュワン細胞をジェネシチン(G418)でセレクションをかけながら、シングルコロニーを採取してシングルクローンとした。そうして得られた遺伝子組み換えシュワン細胞のシングルクローンのうち、増殖などに問題の無かったものを選択して増殖させ、移植の準備段階は整えることができた。研究期間は終了してしまったが、次の段階として作成した遺伝子組み換えシュワン細胞をラット脳梁損傷モデルに移植するなど、今後も研究を継続していく予定である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2002年 
    代表者 : 山田 和雄; 島田 昌一; 相原 徳孝; 間瀬 光人; 浅井 清文; 真砂 敦夫; 加藤 康二郎
     
    ラット脳虚血モデルでのアクアポリン4型遺伝子と蛋白は虚血の3-7日目をピークとして発現がみられた。また局在の検討ではアストロサイトにその局在があり、急性期には血管周囲足での発現が消失し、細胞体での発現が増強し、アクアポリン蛋白のターンオーバーが起こっていることが示された。さらに浮腫の強い部分で遺伝子、蛋白とも発現が強く、浮腫の発生とともに吸収にも関与することが示された。同様な所見は凍結脳損傷モデルでも示され、細胞外浮腫の消長に応じて、アクアポリン4型がダイナミックに変化していることが明らかになった。一方、培養グリア細胞に低酸素負荷を加えると、1,4,5,8型など各種のアクアポリンが発現することを明らかにし、その制御機構を明らかにした。オスモライト・トランスポータであるミオイノシトール・トランスポータの発現は、ラットくも膜下出血ではくも膜下腔に接する脳組織の神経細胞にみられ、脳組織の浸透圧変化に対応していることが示された。また、くも膜下出血急性期におこる全脳虚血のため、海馬にも発現がみられ、虚血性の浸透圧変化にも反応することが示された。ミオイノシトール・トランスポータの発現が有益な反応か否かは完全に解明することはできなかったが、慢性期にはその反応が消失することから、一過性の反応と考えられた。ラット線条体出血後には黒質の変性が起こることを明らかにしているが、この際、黒質神経細胞にもミオイノシトール・トランスポータの発現が起こることを明らかにした。しかしその生理学的意義については不明であり、解析を進めている。また、神経幹細胞をラット線条体出血後に移植すると、黒質の変性が修飾され、ミオイノシトール・トランスポータ発現が変化することを解析している。
  • てんかん焦点形成におけるN-cadherinの役割とその制御による治療法の開発
    研究期間 : 2001年 -2002年
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1999年 -2000年 
    代表者 : 山田 和雄; 岩田 明; 相原 徳孝; 間瀬 光人; 島田 昌一; 加藤 泰治; 松本 隆
     
    2年間の本研究で、クモ膜下出血モデルラットでは頭蓋内圧が一過性に上昇するため脳灌流圧が低下し、一過性脳虚血が起こることを明らかにした。また、血管破裂部位では血管攣縮が起こり、これも虚血に関与することを明かにした。さらにこの結果、虚血に脆弱な海馬では出血の2日後にCA1領域でTUNEL陽性細胞が出現し、アポトーシス様の細胞死が起こっていること、またアポトーシス関連遺伝子と蛋白の発現を検討すると、アポトーシスを促進するbax、bcl-x、iceなどがCA1、CA3で出現することを明らかにし、bax/bcl-2のアンバランスがCA1でのアポトーシスの発現に関与していることを明らかにした。さらに、これらの発現が低体温によって制御されるか否かを検討した。その結果、低体温はHSP70でみた虚血ストレスの発現部位を低下させ、その過程でc-junの発現を遅らせたり低下させたりすることを明らかにしたが、アポトーシス関連遺伝子の発現には影響を与えないことを明らかにした。アポトーシスの最終共通過程であるcaspaseについてはICEについて発現をみたが、やはりくも膜下出血でその発現が増加していることが明らかとなった。また脳内での主要な水チャンネルであるaquaporin 4とオスモライトトランスポーターであるsodium myoinositol cotransporter(SMIT)についてもその遺伝子発現を検討したが、とくにSMITの発現が虚血部位を中心に認められることを明らかにし、またaquaporin 4は出血後3-5日後にその発現がピークに達することを明らかにした。これらの変化は遺伝子発現において特に顕著にみられるが、蛋白発現にも差があることが示された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1999年 -2000年 
    代表者 : 真砂 敦夫; 岩田 明; 相原 徳孝; 加藤 泰治; 山田 和雄; 間瀬 光人; 小松 裕明; 真砂 敦夫
     
    温熱療法は悪性グリオーマ治療法の一つとして有望視さ,臨床応用も試みられている.しかしその坑腫瘍機構の詳細は不明であった.我々はすでに,特定のグリオーマ細胞株(AA172)では温熱刺激によりG1期で停止し,アポトーシスが誘導されることを示した.その際にアポトーシス関連因子であるbax mRNA,bax蛋白およびp53蛋白が増加すること,また同時にcyclin dependent kinase inhibitors (CKIs)の一つであるp21の発現を伴うことを明らかにした(Fuse T et al,Biochem BIophys Res Commun.1996).これは温熱療法の理論的裏付けとして重要な意味を持つものと考えられる.一方p53がmutant typeのグリオーマ細胞株(T98G)でも温熱刺激によりアポトーシスに陥る.この細胞株ではp53の誘導なしにp21mRNAと蛋白の発現が亢進することからCKIsへのシグナル伝達にp53とは独立した経路があることを明らかにした(Fuse T et al,Neurosurgery 1998).このようにp21はグリオーマ細胞の増殖制御に関わる重要な因子であり,治療上keypointとなる遺伝子である. 今年度はグリオーマの薬物治療に研究を発展させ,p21発現へ及ぼす影響を検討した.Prostaglandin A seriesは細胞増殖抑制効果がin vitroおよびin vivoにおいて示されており,坑腫瘍剤としての効果が期待されているが,その分子生物学的な作用機序は明らかではなかった.我々はグリオーマA172細胞株を用いて,Prostaglandin A1の坑腫瘍効果を解析した.Prostaglandin A1の投与でグリオーマ細胞はG1期で停止し、細胞増殖は抑制された.これはp21の発現亢進とcyclin Eの制御という2つの異なったメカニズムにより引き起こされることを明らかにした(Tanikawa M et al,J Biol Chem 1998). 現在我々は,温熱治療とともにグリオーマ細胞へのp53およびp21遺伝子導入による坑腫瘍療法を目標に研究を進めている.
  • アンチセンス法を用いたオリゴデンドロサイト機能抑制による中枢神経移植効果の改善
    研究期間 : 1999年 -2000年
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1998年 -1999年 
    代表者 : 間瀬 光人; 松本 隆; 相原 徳孝; 山田 和雄; 真砂 敦夫; 加藤 泰治; 岩田 明
     
    セリン/スレオニンフォスファターゼであるcalcineurinはT細胞活性化に関与し,免疫細胞の分化・発達,免疫系疾患の病態に重要な役割を果たしている.FK506(tacrolimus)は新しい免疫抑制剤として臓器移植において臓器生着率向上に多大な貢献をしているが,その免疫抑制効果はFK506かimmunophilinと結合後,さらにcalcineurinと複合体を形成しcalcineurin活性が抑制されることによるとされている.calcineurinは中枢神経系特に海馬,線条体,大脳皮質にも多く分布しており,一方FK506にはグルタミン酸毒性,局所脳虚血,一過性全脳虚血に対する神経保護効果があることが近年報告されてきている.またcalcineurin活性化型遺伝子を導入した細胞において血清除去下では著名なアポトーシスが誘導され,そのアポトーシスはBcl-2との直接結合により抑制されることが報告された.これらから,種々の脳損傷後に起こってくるアポトーシスにもcalcineurinが関与している可能性があると考えた.本研究ではラットの再現性のあるびまん性軸索損傷モデルを用いて,calcineurin投与によってimmediate early gene,アポトーシス関連遺伝子,APP(amiloid precursor preotein)の発現に変化があるか調べた.しかしながら,本実験モデルでは有意な発現変化をとらえるには至らなかった.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1997年 -1999年 
    代表者 : 山田 和雄; 神谷 健; 岩田 明; 相原 徳孝; 山下 伸子; 山田 和雄
     
    本研究の主目的はでは血管内に挿入したカテーテルから頭蓋内圧を推定することであり3年間の研究を行った。平成9年度の動物を用いた基礎研究で血管内圧の変化から頭蓋内圧を推定することが可能になった。平成10年度はヒトの脳血管内手術時に血管内圧を測定し、同時に腰椎クモ膜下腔に留置したカテーテルから頭蓋内圧を測定した。その結果、血管内手術用のカテーテルから血管内圧を測定することは可能であること、カテーテルを進めることにより、頭蓋内の各部位での血管内圧が測定可能である。それらに差のあることが明らかとなった。平成11年度には各種脳血管障害で血管内治療をする場合脳血管内圧と脳脊髄圧を測定し、両者を対比した。その結果、脳血管内圧、ならびにその波形から、ある程度頭蓋内圧を予想することが可能となった。この研究と平行して、本研究の基礎データを得るため試作したラットの硬膜外頭蓋内圧測定装置を用いて、水頭症モデル、くも膜下出血モデルで頭蓋内圧を測定し、頭蓋内圧とラット脳のストレス遺伝子、アポトーシス関連遺伝子の発現を検討し、いくつかの知見を得ることができた。とくに水頭症性の頭蓋内圧亢進では著しい頭蓋内圧亢進状態になるまで脳神経細胞は高頭蓋内圧状態に耐えられること、一方くも膜下出血モデルでは出血直後に頭蓋内圧が数分間体血圧近くまで上昇し、潅流圧低下による全脳虚血状態ができること、これに伴い脳神経細胞には著しいストレス反応がもたらされることが明らかとなった。さらに本年度は脳血管内治療を行った動脈瘤患者の髄液を採取して、prostaglandin D synthaseがヒト髄液内に産生されていることを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1997年 -1998年 
    代表者 : 山田 和雄; 岩田 明; 相原 徳孝; 中西 真; 加藤 泰治; 真砂 敦夫; 布施 孝久
     
    p21遺伝子の発現を各種脳損傷モデルで検討し、他の遺伝子発現との類似性と差異を検討した。その結果、局所脳虚血モデルではP21遺伝子は虚血後12-24時間後に最も強い発現を認め、発現部位は虚血部と周辺脳および虚血側海馬であった。この発現は即時遺伝子であるc-fosやc-jun、ストレス遺伝子であるhsp70の発現よりは遅れ、これらとは異なった細胞内シグナル伝達をしていることが示唆された。また発現細胞はニューロンが中心であり、p21蛋白の発現も同時にみられることをWestern blotにより確認した(Maturation Phenomenon II)。このp21発現はアポトーシスをきたす軽度脳虚血モデルでも検討したが、虚血側海馬で24時間から120時間にわたって発現が持続した(Neuro-report1997)。この時間には一部の細胞でアポトーシスはすでに完成していた。これらのデータから、p21は虚血損傷後の修復に関与すること、ならびにp21はアポトーシス回避のために働いていることが示唆された。同様な所見は外傷モデルでも得られた(Brain Res1998)。次にp21の発現を制御する物質をグリア細胞株の培養系で検索したところ、プロスタグランディン誘導体でp21遺伝子と蛋白の発現が増強され、この物質がp21を介したアポトーシス回避に利用できる可能性が示唆された(J Blochem1998)。p21を組み込んだアデノウイルスベクターを用いた脳内強制発現と治療実験については、現在施行中で、今だ結果が出ていない。
  • クモ膜下出血後のDINDとDNDとの関連及びその治療
    研究期間 : 1996年 -1998年

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