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植木 孝俊 (ウエキ タカトシ)

  • 医学研究科統合解剖学分野 教授
Last Updated :2024/04/26

研究者情報

学位

  • 医学博士

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J-Global ID

研究キーワード

  • 包括脳ネットワーク   神経幹細胞   神経細胞死   虚血   骨形成因子   Fra-2   EGF   幹細胞療法   PD98059   in vivoイメージング   PET   神経新生   ギャップ結合   bFGF   MAPキナーゼ   connexin-43   精神・神経疾患   アストロサイト   

研究分野

  • ライフサイエンス / 解剖学
  • ライフサイエンス / 代謝、内分泌学
  • ライフサイエンス / 基盤脳科学
  • ライフサイエンス / 神経科学一般 / 病態神経科学

経歴

  • 2009年 - 2013年  浜松医科大学医学部解剖学講座神経機能学分野准教授

研究活動情報

論文

MISC

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2021年04月 -2026年03月 
    代表者 : 杉浦 健之; 太田 晴子; 近藤 真前; 酒井 美枝; 藤掛 数馬; 仙頭 佳起; 植木 美乃; 植木 孝俊
     
    本研究では、体性感覚や内受容感覚に注意が向いている際に現れる脳血流量の変化を指標とした脳機能検査の確立を目的としている。痛み感覚・体性感覚検査として、定量的感覚検査が適切であるか、脊髄のwind-up現象のような痛みの伝導増強機能を評価するとされるtemporal summation(TS)、下行性疼痛制御機能を評価するとされるcentral pain modulation(CPM)の評価を行なった。16名の健常人で、繰り返しの刺激で痛みの強度(VAS)が増加したものは75%(12名, VAS+12~+145 %)、痛み負荷条件(VAS>60, 11名)のうち、痛み強度の軽減が確認できたものは、36%(4例, VAS-3~-39 %)であった。 研究結果に与える影響を調査するため、外来を受診した慢性疼痛患者の検査結果を評価した。ICD-11で一次性慢性痛に分類された患者は61人(①慢性一次性筋骨格系痛(n=27)が最も多く、②慢性一次性全身痛(n=17)、③慢性一次性頭痛・顔面痛(n=16)、慢性一次性内臓痛(n=1))であった。患者特性に関して、慢性一次性全身痛では、日常生活での不自由度、不安・抑うつスコアーが他に比べて高く、頭痛・顔面痛では、痛み強度と痛みに対する破局化思考が高い傾向にあった。精神科医の診察で、一次性慢性痛の約6割の患者(61人中、37人)に、何らかの精神疾患(うつ病、双極性障害、身体症状症など)や発達障害(ADHD、ASD)が診断されたことは重要な知見である。一方、二次性慢性痛では、2割の患者(44人中、10人)にしか、精神疾患や発達障害は診断されなかった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2019年04月 -2023年03月 
    代表者 : 石田 和人; 植木 孝俊; 松下 光次郎
     
    本研究課題における昨年度の取り組みにおいて、高脂肪食の継続的投与により、実験動物(マウス)が、抑うつ様行動を示すようになることを確認した。さらに今年度は、脳卒中後うつに着目したリハビリテーションの効果についても、検討を加えることを着想し、高脂肪食投与後、脳出血を引き起こすことで、脳卒中後うつマウスモデルの確立を目指すこととした。しかし、先行研究では、脳内にコナゲナーゼを微量注入して作成された脳出血マウスにおいて、4週間ほど経過するのみで、抑うつ様行動を呈することが報告されていたため、今年度の第一段階として、脳出血マウスの作成を試み、本モデルが抑うつ様行動を示すか否かについて検討することとした。その結果、マウスによっては、典型的な運動麻痺の様相を呈する脳出血マウスを作成することができたが、十分な運動麻痺を惹起させられないマウスもあり、障害程度がばらつく結果であった。今後、検討を重ねて、再現性の高い脳卒中モデルを作成するとともに、それ自体により、抑うつ様行動を示すか否かを、まず自験例で確認したい。さらには、昨年度、検討した継続的な高脂肪食投与と脳出血マウス作成を併用することにより、脳卒中後うつモデルが作成できるかどうかを検討し、同モデルに対するリハビリテーションの効果を検討したい。肥満、脂質代謝異常、インスリン抵抗性など、いわゆる生活習慣病の因子を加えて検討することにより、実際にヒトで生じている抑うつの病態にせまる検討が可能となるものと考える。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2019年06月 -2022年03月 
    代表者 : 佐藤 康二; 植木 孝俊
     
    成体脳神経新生は、近年、その障害が、うつ病や統合失調症などの精神疾患の病態生理に与ることが示唆されており、早期診断への有用性に鑑み、その動態をin vivoで画像化する技術の開発が俟たれていたが、これまでに神経幹細胞の動態をin vivoで描出するためのPETなどの技術はなかった。ここでは、神経幹細胞上の受容体様膜タンパク質CD133に特異的に結合する化合物による成体脳神経新生のPETイメージング技術を創出した。また、うつ病モデルマウスにて同トレーサーによるPETイメージングを実施し、その神経幹細胞障害をin vivoでリアルタイムに観察、定量的に評価することに成功した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2018年04月 -2022年03月 
    代表者 : 佐久間 英輔; 植木 孝俊; 井上 浩一; 和田 郁雄; 若林 健二郎; 河 命守
     
    Wistarラット:雄:胎生15日、出生後0~14日齢、28日齢、2歳齢を用いてASIC1a 2a(original probe; 13ZZ probe named Rn-Asic2-O1 1899-2506 of NM_001034014.1)を用いてmRNAの局在を確かめた。小脳形成期における顆粒細胞の小脳皮質外層から内層への移動に一致した状態でその発現が移動していくのが確認できた。その事から、ASIC2aは出生後の小脳神経回路の構築の際に細胞移動が生じる場合にシナプスでの神経伝達の増強に関与しており、ASIC1aは常にシナプスでの神経伝達の基本になって維持されている事が示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年04月 -2021年03月 
    代表者 : 三河 須美子; 植木 孝俊
     
    本研究では、fractalkine(FKN)から可溶性FKNを産生する病態プロテアーゼADAM10の活性を、in vivo にてMRIで画像化するためのMRIスイッチング・プローブを創製した。そして、ニューロン・ミクログリア共培養系における可溶性FKNの産生を、MRIスイッチング・プローブを設計・合成し、NMRにてリアルタイムで定量的に解析することに成功した。また、統合失調症の培養脳スライスモデルを調製し、そこでの炎症反応の生起に伴うミクログリアでの遺伝子発現変化を解析し、ミクログリアの活性化に関与する脳内因子を同定した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年04月 -2019年03月 
    代表者 : 植木 孝俊
     
    本研究では統合失調症病態脳で発症初段階に脳内ミクログリアが賦活す る神経病理を解明するとともに、ミクログリアの活性化をin vivoで画像化するためのMRI技術を創出し、その統 合失調症早期診断への応用を図ることを目的とし研究を行った。ここでは、ミクログリアの活性化が、隣接する ニューロンにおけるfractalkineの代謝産物と、それによるCRXCR3受容体の賦活で生起することに着目し、 fractalkineの代謝酵素の活性化の病理と、その酵素活性を描出するプローブの創成を行った。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年11月 -2018年03月 
    代表者 : 池中 一裕; 飯野 正光; 小泉 修一; 伊藤 啓; 植木 孝俊; 大木 研一; 加藤 隆弘; 金丸 和典; 清水 健史; 竹林 浩秀; 田中 謙二; 橋本 浩一; 山崎 良彦; 井上 和秀; 岡部 繁男; 尾崎 紀夫; 神庭 重信; 吉良 潤一; 高坂 新一; 福山 秀直; 坂内 博子; 中島 欽一; 今井 啓雄; 松井 広; 立川 正憲; 掛川 渉
     
    ドイツのグリア研究コンソーシアムと連携し、日独若手研究者の共同研究を目的とした国際グリア若手の会(YoungGlia)を2015年度から立ち上げた。2015年度は日本、2016年度はドイツでYoungGliaを行い、研究提案、審査を経て計11件採択した。助成グループは1-2年間の共同研究を行った。相互交流に必要な旅費、滞在費を助成した。2017年度には報告会を日本で行った。この会にはカナダ、アメリカからの若手研究者も招聘し、YoungGliaを日独の二国間から多国間への取り組みへと発展させた。若手研究者同士が自由な発想に基づき、共同研究提案を行うことは画期的である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 佐藤 康二; 植木 孝俊; 森 則夫
     
    研究代表者らは、これまでに統合失調症患者で脳内ミクログリアが病的に活性化していることをPETで確認している。そこで本研究では統合失調症病態脳で発症初段階に脳内ミクログリアが賦活する神経病理を解明するとともに、ミクログリアの活性化をin vivoで画像化するためのMRI技術を創出し、その統合失調症早期診断への応用を図ることを目的とし研究を行った。ここでは、ミクログリアの活性化が、隣接するニューロンにおけるfractalkineの代謝産物と、それによるCRXCR3受容体の賦活で生起することに着目し、fractalkineの代謝酵素の活性化の病理と、その酵素活性を描出するプローブの創成を行った。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2013年06月 -2018年03月 
    代表者 : 福山 秀直; 植木 孝俊; 岡戸 晴生; 植木 美乃
     
    人のイメージングで、統合失調症、自閉症スペクトラム、うつ病などについて多くの成果が得られた。 分子イメージング技術の開発においても成果が得られ、脳内ミクログリアの活性化が亜鉛フィンガータンパク質ZFN804AのSNPに関連付けられ、報酬系に掛かる前頭前野腹内側のシナプス伝達調節に、アストロサイトによるグルタミン酸取り込みの低減とミクログリアの病的賦活が関与することを見出した, 。統合失調症病態脳では発症初段階にミクログリアの毒性転化を惹起するADAM10などの病態プロテアーゼが活性化することを観察し、それらプロテアーゼの脳内動態をMRIでリアルタイムに解析するためのMRI機能プローブを創製した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2013年06月 -2018年03月 
    代表者 : 池中 一裕; 小泉 修一; 吉良 潤一; 尾崎 紀夫; 神庭 重信; 竹林 浩秀; 大木 研一; 植木 孝俊; 山崎 良彦; 田中 謙二; 岡部 繁男; 福山 秀直
     
    新学術領域「グリアアセンブリ」総括班としては研究内容の公開を目指して、5回の公開シンポジウム(その内2回は国際シンポジウム)を開催した。また包括脳シンポジウムと次世代脳プロジェクトにおいて、他領域と合同シンポジウムを開催した。この活動により、日本においてグリア研究の重要性がさらに広く認知された。また班員間の研究連携を目指して、研究成果報告会とワークショップをそれぞれ5回ずつ開催した。さらに、研究支援班を設定し、班員への新技術支援を行った。これにより、領域として大きな成果を上げることができた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2014年04月 -2017年03月 
    代表者 : 尾内 康臣; 植木 孝俊
     
    これまでのin vivo研究での知見は主に神経傷害型ミクログリアを観察することが多く、神経保護性に関するミクログリア活性は不明であった。活性化ミクログリアのタイプとそれら疾患の病態と関連も不明であり、脳内ミクログリア活性の画像的動態モニタリングが待たれていた。我々は、ミクログリア活性の動態評価をin vivoでMRIとPETにより行うことのできる評価系、すなわち、MRIを用いたfractalkine産生依存性MRプローブの作製とPETと用いた活性化ミクログリアCB2受容体リガンドのin vivo二重生体画像法を開発し評価した。いずれの画像法もより選択性のあるプローブ改良が望まれた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2014年04月 -2017年03月 
    代表者 : 尾内 康臣; 間賀田 泰寛; 植木 孝俊; 寺田 達弘
     
    AD脳における新生ニューロンと活性化ミクログリアのクロストークの関係を検証するために、ミクログリアの活性化にかかわる分子群を調べ、AD類似モデル動物(SAMP8マウスと[11C]PIB陽性自然発症認知症マカクサル)を用いて検討した。SAMP8マウスでは、NestinプロモーターLAT4システムと[18F]dFMTを用いることで、神経新生のイメージングが可能だったが、シグナルは小さく、ex vivoの死後脳イメージングが必要だった。in vivo画像化ではCB2Rリガンドを用いると可能だったが、認知症モデルでの神経新生とミクログリア活性を同一個体での観察に改良プローブが必要であることが分かった
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2013年04月 -2016年03月 
    代表者 : 岩田 泰秀; 森 則夫; 植木 孝俊; 和久田 智靖; 横倉 正倫; 髙橋 太郎
     
    本研究では、fractalkine(FKN)から可溶性FKNを産生する病態プロテアーゼ活性を、in vivoにてMRIで画像化するためのMRIスイッチング・プローブを創製した。そして、ニューロン・ミクログリア共培養系における可溶性FKNの産生を、paramagnetic relaxationの原理に基づくMRIスイッチング・プローブを設計・合成し、NMRにてリアルタイムで定量的に解析することに成功した。また、ここでは、統合失調症の培養脳スライスモデルを調製し、そこでの炎症反応の生起に伴うミクログリアでの遺伝子発現変化を解析することによって、ミクログリアの活性化に関与する脳内因子を同定した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2011年04月 -2014年03月 
    代表者 : 佐藤 康二; 森 則夫; 松崎 秀夫; 植木 孝俊; 中村 和彦
     
    活性化ミクログリアが統合失調症初発患者脳で確認されたことから、ミクログリアの活性化を惹起する脳内因子の賦活が統合失調症の病態早期に起こると考えられた。そこで、本研究では統合失調症の病態早期におけるミクログリア活性化の仕組みを解明することを目的として、ミクログリアが特異的に緑色蛍光タンパク質を発現する遺伝子改変マウスの胎仔を、poly(I:C)に感染させることで統合失調症マウスモデルを作製した。さらに、それに独自の蛍光機能プローブを投与することにより、炎症反応過程の初段階におけるカスパーゼ1によるIL-1β前駆体からのIL-1βのプロセシングを、二光子励起レーザ走査型顕微鏡を用い画像化した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2011年04月 -2014年03月 
    代表者 : 尾内 康臣; 植木 孝俊; 小川 美香子; 間賀田 泰寛
     
    アルツハイマー病の脳内のβアミロイド蓄積の程度が必ずしも認知活動と並行しないことが指摘されているため、βアミロイド生成の上流にあるγセクレターゼの活性の生体画像化を試みた。その結果、γセクレターゼ活性依存的に発生するように設計したMRIプローブはin vitro系ではうまくシグナルを発生したが、生体実験ではシグナルが得られず、より効率に細胞内移行を示し高シグナルを出すプローブが必要であると結論した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2011年 -2013年 
    代表者 : 尾内 康臣; 植木 孝俊
     
    精神神経疾患では神経の発育や変性などに神経幹細胞が変化していると報告されているが、各種疾患における神経幹細胞の関与についてよく知られていなかったため、in vivoで神経幹細胞の挙動をモニタリングできるシステムを開発することを試みた。その結果、新規遺伝子発現レポーターシステムとアミノ酸トランスポーターを導入することでPETを用いて、神経幹細胞を特異的に描出するシステムを構築することができた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2010年 -2012年 
    代表者 : 岩田 泰秀; 中村 和彦; 鈴木 勝昭; 植木 孝俊; 竹林 淳和; 吉原 雄二郎; 横倉 正倫
     
    アルコール依存症の認知機能障害の基盤に、前頭葉における神経傷害、白質の軸索走行異常、活性化ミクログリアの増加が示唆されている。本研究では、アルコール依存症患者の生体における前頭葉傷害の詳細を明らかにする目的で、現在断酒中のアルコール依存症患者10名と対照10名を対象に、拡散テンソル画像法、ポジトロン断層法による活性型ミクログリアの分子イメージング、同じくポジトロン断層法による脳神経活動イメージングを行い、認知心理学検査バッテリーにより評価される前頭葉機能との関連性について検討した。その結果、いずれの画像所見においても患者群と対照群との間に有意な差を認めなかった。今後、更に例数を増やし、再検討することが必要と考えられる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 植木 孝俊; 古川 弘
     
    近年、パーキンソン病等の神経変性疾患、及び、大うつ病や統合失調症等の精神疾患の罹患脳にて神経幹細胞障害が確認され、神経幹細胞は、それら疾患の診断・治療のための分子標的として関心を集めている。そこで本研究では初めに、神経幹細胞特異的にPETトレーサー[ 18F] FMTを取り込ませることができる、レンチウィルスによる中性アミノ酸トランスポーターLAT4遺伝子発現系を構築することで、PETを用い、ほ乳動物にて神経幹細胞の成体脳内動態をリアルタイムに画像化するための動物評価系を創出した。そして、ラットにて移植神経幹細胞の脳内動態をPETにより画像化するとともに、ラットの脳室下帯(SVZ)と海馬歯状回(SGZ)に脳定位装置を用いてレンチウィルスを感染させ、それらに内在する神経幹細胞をPETにより画像化した。ここでは、また、培養神経幹細胞で増殖因子活性を呈する医薬候補化合物について、その成体脳神経新生に及ぼす影響をPETで定量的に解析した。次に、本研究では、大うつ病及び統合失調症の病態モデルマウスにて、SVZとSGZの神経幹細胞にレンチウィルスを感染させることで、それら精神疾患罹患脳における神経幹細胞の脳内動態、並びに成体脳神経新生障害の惹起の経過をin vivoで解析した。そして、当該マウスに抗うつ薬や向精神薬等を投与することで、大うつ病や統合失調症等の精神疾患の病態生理に神経幹細胞が与る仕組みを探究した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2009年 -2010年 
    代表者 : 鈴木 勝昭; 岩田 圭子; 岩田 泰秀; 須田 史朗; 植木 孝俊; 片山 泰一; 松崎 秀夫
     
    本研究の目的は、統合失調症患者の皮膚検体から線維芽細胞を採取して継代培養したのち多能性幹細胞へと誘導し、統合失調症特異的幹細胞を作出すること、そして、神経幹細胞やドパミン神経へと分化させ、その動態を調査することで統合失調症の『神経幹細胞機能不全仮説』を検証することにある。平成22年度における進捗を以下に示す。 【対象の選定】DSM-IV-TRの診断基準に基づき統合失調症と診断され、浜松医科大学附属病院精神神経科外来を受診中の成人患者を対象に、研究の目的と方法、予想される結果について患者本人及び保護者に書面を用いて説明し研究への協力を求めた。平成22年3月末の時点でも、患者本人と保護者の両者から同意が得られたケースがなく、残念ながら皮膚検体採取に至っていない。今後、引き続き研究への協力を募る予定である。 【iPS細胞からセロトニン神経への誘導】統合失調症の病態生理にあずかるセロトニン神経系の関与とその分子基盤を明らかにするためには、統合失調症患者由来iPS細胞よりセロトニン神経を調製し、その機能障害を検討することが一つの方法として考えられる。しかし、iPS細胞または胚性幹細胞からセロトニン神経へと分化させる技術はいまだ確立されていない。そこで、平成22年度は、マウス線維芽細胞よりiPS細胞を得た後に、それをセロトニン神経に分化させる方法を検討した。BALB/cマウス胎仔脳軟膜由来の線維芽細胞に、常法によりOct3/4、Sox2、Klf4をそれぞれ発現するよう調製したレトロウイルスを感染させ、LIF添加培地においてiPS細胞を樹立した。ついで、マウスiPS細胞を独自の間質細胞上に播種し、その2週間後に得られた神経幹細胞塊を分離、さらに、ShhとFGF8添加培地中で1週間培養を続けたものに、リポフェクション法によりLmxlbを強制発現させたところ、セロトニンの産生が認められ、セロトニン神経への分化が確認された。本研究の結果から、マウスiPS細胞からセロトニン神経への分化誘導が十分可能であることが示唆される。この技術をヒトiPS細胞で試みることにより、統合失調症患者皮膚由来のiPS細胞からのセロトニン神経作製が可能となることが推測される。今後、セロトニン神経の一層効率的な分化誘導を行うために、セロトニン神経のマーカーであるPet1の発現をさらに高める方法を検討する必要があると考えられた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2008年 -2010年 
    代表者 : 松崎 秀夫; 岩田 泰秀; 中村 和彦; 須田 史朗; 植木 孝俊; 岩田 圭子; 山本 茂幸
     
    本研究は、ウイルスを用いて成体サル脳で神経幹細胞特異的に細胞毒性遺伝子を発現させ、神経幹細胞を選択的に障害することによって、ほ乳動物の成体脳で見られる神経新生の担う役割を解明することを目的としている。本研究において作製されたウイルス発現系は,神経幹細胞特異的にin vivoで種々の遺伝子を発現するための有用な手段となると考えられる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2002年 
    代表者 : 植木 孝俊
     
    近年アストロサイトが外傷や低酸素負荷などのストレスに反応し、種々のサイトカイン等を産生することや、損傷脳においてギャップ結合の透過性に変化がみられることが報告されているが、ギャリップ結合の透過性と遺伝子発現を調節する分子機構は未だ明らかでなかった。本研究では、ギャップ結合蛋白の遺伝子発現を調節する分子機構、さらにはリン酸化等によりギャップ結合の透過性を調節する因子を同定することにより、アストロサイトのギャップ結合を介する情報伝達の意義を明らかにすることを目的とした。 申請者はこれまでに、アストロサイトのギャップ結合を構成するconnexin-43(Cx43)タンパク質の細胞内領域にMAPKによる特異的リン酸化部位があることを見出し、bFGFやEGFなどの増殖因子がMAPKの活性化によりCx43のCa^<2+>透過性を減少させることを、Ca^<2+>蛍光指示薬の一つであるFra-2を用い明らかにした。また、これらの増殖因子は、MAPKの活性化を介して、Cx43遺伝子の転写を抑制し、アストロサイトにおけるCx43タンパク質の発現を低減することを、MAPKの阻害剤をアストロサイトに投与することにより示した。 BFGF及びEGFはアストロサイトの増殖を促進するとともに、原形質性アストロサイトから線維性アストロサイトへの形態変化をもたらす。今回申請者により、増殖因子がMAPKの活性化を介してギャップ結合の発現を低減することが示されたが、ギャップ結合の発現の抑制はアストロサイト間の細胞接着を解消する一因となり、C6等のグリオーマ脳腫瘍細胞株では、ギャツプ結合の発現が低減していることが報告されていることから、筆者の研究が今後脳腫瘍細胞の増殖抑制研究の端緒となることが期待される。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2000年 -2002年 
    代表者 : 佐藤 康二; 渡部 和男; 植木 孝俊; 大野 浩司
     
    脳血管障害,アルツハイマー病等の神経疾患から国民を守るためには、神経細胞死の詳細な解析が必要である。しかし,神経細胞死と一口に言っても,その成因や発生領域によって多様な様相を呈することが知られている。そこで、本研究では,様々な動物モデルを用いることによって,多様な神経細胞死のメカニズムを解明することを目的とした。まず,スナネズミを用いた総頸動脈三分間虚血モデルにおいて,非常にゆっくりとした神経細胞死が海馬CA1領域に発生することを明らかとし,またその神経細胞死がプロサボシン由来の18merペプチドの静脈内投与によって抑制されることを明らかとした。更に,試行錯誤の結果,新規遺伝子(Kjr)をcloningすることに成功した。解析の結果、本遺伝子にコードされる蛋白質は,骨形成因子と結合する能力を有する分子であることが明らかとなった。骨形成因子の中枢神経系における働きについては解析が進んでおらず,本遺伝子の発見はこの領域に一石を投じるものとなろう。更に,in situ hybrdization法と免疫組織化学法をもちいて,本蛋白の局在を調べたところ,中枢神経系全体のアストロサイトに反応が観察されたが,特に海馬歯状回や脳室下帯等の神経幹細胞が存在する領域に存在するアストロサイトに強い発現を認めた。現在本遺伝子のノックアウトマウスを作成中であり,今後,虚血病態における本遺伝子の役割について解析を進めていく所存である。

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