日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
研究期間 : 2018年04月 -2021年03月
代表者 : 玉木 長良; 小川 美香子; 酒井 晃二; 納谷 昌直; 真鍋 治; 久下 裕司; 板谷 慶一; 真鍋 徳子; 益田 淳朗
加齢に伴い動脈硬化(プラーク)の形成が進むが、プラークが破綻することで、心筋梗塞や脳梗塞が生じる。プラークの不安定化のメカニズムはまだ不明な点が多い。これまでの検討では、不安定プラークの描出にはマクロファージ活性を示す18FDGやカルシウム動員を示すNa18Fの集積が有効とされ、PETが利用され始めている。
そこで本研究では炎症細胞浸潤、Ca動員を反映するFDGとNaF-PETを用いた分子機能解析、石灰化やプラーク内出血などのCTによる微細な形態解析、さらには水拡散、脂質コア、シアストレスなどMRIを駆使した機能解析を統合的に行うことで、血管疾患の活動性や病変の進展を映像化し、治療戦略に繋げることを目指す。まず動脈硬化モデルマウスおよび家兎を用いて、免疫病理組織学的検討に加え、オートラジオグラフィや小動物用PETを用いてPETやCTでプラークの病態をどのように映像できるか検討する。他方臨床例では融合画像法を活用して頸動脈プラーク病変に応用し、一部病理組織所見と対比して検討を進める。後半には冠動脈プラークの評価を目指し、最適画像収集法や解析法を導入する。さらにはPET/MRI一体型装置を用いて、不安定プラークの病態をどの程度把握できるか、についても考察する。最終的には、最新の画像融合技術を利用し、頸動脈や冠動脈プラークにおける病態情報を統合的に解析する。
動物実験での検討結果を臨床例に活かし、経過観察,治療前後での評価に応用することで、プラークの不安定性評価や治療戦略のための最適な包括的映像法の確立を目指す。