研究者データベース

橋谷 光 (ハシタニ ヒカル)

  • 医学研究科細胞生理学分野 教授
メールアドレス: hasitanimed.nagoya-cu.ac.jp
Last Updated :2024/04/24

研究者情報

学位

  • 名古屋市立大学医学研究科/博士(医学)

J-Global ID

研究キーワード

  • 下部尿路   ペリサイト   細胞内カルシウム   平滑筋   

研究分野

  • ライフサイエンス / 医療薬学
  • ライフサイエンス / 生理学

学歴

  • 1993年04月 - 1997年03月   名古屋市立大学   医学研究科
  •         - 1991年   九州大学   医学部

所属学協会

  • 日本排尿機能学会   日本平滑筋学会   日本生理学会   

研究活動情報

論文

MISC

受賞

  • 2014年05月 American Urological Society The Journal of Urology, Best reviewer 2014
     
    受賞者: 橋谷 光
  • 2010年05月 American Urological Society The Journal of Urology, Best reviewer 2010
     
    受賞者: 橋谷 光
  • 2000年 三井生命厚生事業団 医学研究助成
  • 2000年 上原記念生命科学財団 研究奨励金
  • 1997年 上原記念生命科学財団 ポストドクトラルフェローシップ
  • 1994年 第1回日本神経因性膀胱学会学会賞

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2020年04月 -2023年03月 
    代表者 : 福田 裕康; 橋谷 光; 中森 裕之; 三井 烈
     
    骨粗鬆症の指標である骨密度の変化を検討するため、若年期で骨粗鬆症を発症するモデルとして性成熟していない3週齢と老年期で骨粗鬆症を発症するモデルとして性成熟した6カ月齢で卵巣摘出したモルモットを用いた。結果、6カ月以上で性成熟したモルモットで卵巣摘出術を行った場合、その後6カ月以上で脛骨で有意な骨密度の低下を観察することができた。卵巣摘出したモルモット脛骨の骨密度の変化は、骨全体を測定して骨塩量・骨密度を測定したのち長軸方向に全長20分割して検討したところ骨幹端部で骨密度の低下を観察した。また、マイクロCTによる骨構造の解析からも骨粗鬆症を確認できた。しかしながら、これらの結果から研究に用いるモルモットは一年以上の飼育が必要であることがわかり、そのため十分な数を確保することができなかった。 一方、骨粗鬆症における骨代謝異常の背景には、骨組織における代謝と血流の不均衡が存在することが示唆されることから、骨組織の血流を担う栄養動脈の収縮制御機構を検討した。雌モルモット脛骨栄養動脈の神経性収縮は、交感神経および5-HT作動性血管収縮神経によって調節されていることを報告した。さらにいずれの神経においても伝達物質として5-HTが機能しうることが示唆されたため、外因性のセロトニンとの関係について明らかにした。低濃度の外因性5-HT投与は神経性収縮を増大させたが、グアニチジン存在下では神経性収縮の増大を認めず減弱させた。このことは外因性のセロトニンが交感神経に取り込まれ収縮を増大させ、5-HT作動性血管収縮神経には負のフィードバックがおこり神経性収縮を減弱させたことを示唆し、5-HTによる血管収縮制御が雌における骨代謝に重要な役割を果たしていることを示した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2020年04月 -2023年03月 
    代表者 : 橋谷 光; 西川 信之; 中森 裕之; 三井 烈
     
    蓄尿期における、膀胱収縮に起因する求心性神経活動を記録する実験系を開始した。麻酔下ラットで、片側の骨盤神経を近位端で切断して求心性神経活動を記録し、遠心性神経の関与を調べるため、対側骨盤神経を維持ないし切断した。対側切断例においては、膀胱平滑筋の自発活動に由来する一過性膀胱内圧上昇(TPRs)に対応して求心性神経活動の上昇を認め、いずれもL型カルシウムチャネル阻害薬(ニフェジピン)静注により抑制された。対側維持例では、特に蓄尿相後半で大きなTPRsと対応する求心性神経活動を認め、アトロピン静注により大きなTPRsのみ抑制されて、対側切断例と同様の内圧および神経活動が残存した。膀胱平滑筋の進展により放出される内因性弛緩物質である副甲状腺ホルモン関連蛋白 (PTHrP)の静注により、対側神経の維持/切断に関わらず、TPRsと対応する求心性活動が抑制された。蛍光免疫染色では、PTHrP受容体は膀胱平滑筋と血管平滑筋には発現しているが、神経線維には発現していなかった。PTHrPは、蓄尿期に低レベルの遠心性副交感神経作用がある状態でも膀胱平滑筋の収縮を抑制し、収縮に起因する求心性神経活動を抑制することが示された。 尿道の平滑筋・粘膜層および横紋筋層の血流を担う細動脈における神経性収縮制御を、ラットおよびマウスを用いて検討した。尿道細動脈の神経性収縮は交感神経により生じたが、ノルアドレナリン(アルファ受容体)ではなくATP(P2X受容体)が主要な役割を担っていた。神経性収縮は神経性一酸化窒素(NO)合成阻害により増強した。アルファ受容体刺激により収縮を生じた状態では神経性の弛緩を認め、神経性NO合成阻では抑制されなかったが非選択的NO産生阻害により強く抑制され、CGRP受容体阻害では弛緩の後半相が抑制された。神経性弛緩には血管内皮細胞におけるNO産生が重要な役割を担っていることが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2019年04月 -2022年03月 
    代表者 : 服部 友紀; 橋谷 光; 高橋 広城
     
    腸管由来の敗血症(穿孔性腹膜炎、腸管壊死など)は他の感染巣が原因の敗血症と比較して予後不良である。敗血症の病態では血管内皮が障害されるという報告は多い。血管内皮から放出される重要な血管拡張因子には一酸化窒素(NO)、プロスタグランディン(PGs)、血管内皮由来過分極因子(EDHF)がある。EDHFは血流調節因子として最も重要視されているが「過分極」という電位反応を確認する必要があり、その実験系の困難さから NOやPGsに比較して研究は進んでおらず、未だに正体も不明のままである。敗血症病態でのEDHFの報告に至っては皆無の状況である。我々は細動脈での電位測定を行える設備・環境と技術・経験を備えているため、今回敗血症時のEDHF機能を膜電位変化によって確認し、EDHFの障害と治療経過との関連について確認するというするという世界初の試みに挑戦している。 初年時は、敗血症モデル動物としてウサギを用いて、 ①エンドトキシン投与による敗血症モデル ②CLP法(麻酔科に開腹手術を行い盲腸を結紮・人為的に穿孔させて腹腔内感染・汎発性腹膜炎を惹起させる)による敗血症モデルを作成し、腸間膜動脈を用いた微小電極法によりEDHF反応の障害の有無を確認する、ことを計画した。(その後、ヒトでのコントロール及び腹膜炎手術後の大網内細動脈におけるEDHF反応を確認する研究を進める) 実際のところ、敗血症モデル動物として当初はウサギの予定であったが共同研究者との協議の結果、Ratを使用することとした。Rat(コントロール)の胃大網動脈及び脾動脈のEDHF成分はapaminnで抑制される成分が主であることを確認した。またNO成分についてはフェニレフリン収縮下の弛緩反応で確認した。敗血症モデルRatのためエンドトキシンを20mg/kgivから開始し、5mg/kg ivが適切の様だが例数を重ねている段階である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2017年04月 -2021年03月 
    代表者 : 橋谷 光; 西川 信之; 三井 烈
     
    種差による膀胱粘膜筋板の有無と粘膜収縮性の関係性から、粘膜筋板が粘膜の収縮要素であることを明らかにし、交感神経は排尿筋、粘膜筋板いずれにおいても直接的に筋弛緩を生じないことを論文発表した。 ブタ膀胱においてアンジオテンシンII(ATII)は、1nMから粘膜筋板を収縮させ、その作用はATR1拮抗薬であるCandesartanにより完全に抑制された。またATIIは粘膜筋板の自発カルシウムトランジェントの頻度を10pMから促進した。一方、排尿筋ではATIIによる収縮は10μMにおいてもカルバコール収縮の10%程度であり、ATIIの膀胱の収縮要素に対する効果は、粘膜筋板において圧倒的に優位であることが示された(投稿中)。 マウスおよびモルモット膀胱のPDGFRα(+)細胞は、排尿筋層ではSK3チャネルを発現するが、粘膜では発現していなかった。排尿筋層のSK3(+)PDGFRα(+)細胞は自発的およびP2Y受容体刺激に応答して細胞内カルシウム濃度上昇を示したが、隣接せず排尿筋平滑筋の自発カルシウム上昇を抑制しないことを論文発表した。 PDGFRα(+)細胞はマウス腎盂にも分布しており、腎盂近位部から腎杯の筋層に分布するSK3(-)PDGFRα(+)細胞は、従来非定型平滑筋細胞として認識されて来た腎盂尿管蠕動のペースメーカー細胞と同一の細胞であると考えれられた。またマウス精のう粘膜にはSK3(-)PDGFRα(+)細胞とPDGFRα(-)細胞が分布しており、いずれもP2Y受容体刺激に応答して細胞内カルシウム濃度上昇を示した(リバイス中)。 マウス膀胱粘膜の細動脈における交感神経性収縮はtadalafil(10nM)およびmirabegron(100nM)により抑制され、これらの薬剤による膀胱機能改善作用には粘膜細動脈の拡張を介した血流増加の関与が示唆された(投稿準備中)。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2015年04月 -2019年03月 
    代表者 : 林 篤正; 太田 啓介; 武谷 三恵; 橋谷 光; 中村 桂一郎; 上村 慶一郎
     
    排尿筋は主に自律神経の作用により尿を排出する時に収縮し、蓄尿する時に弛緩している。近年、神経以外にも排尿筋の収縮を調節する機能が発見されている。我々は排尿筋束内に存在する間質細胞は自身にKチャネルを豊富に発現していることを見出し、その存在部位の特徴から周辺の排尿筋細胞の収縮を抑制すると想像したが、しかしその間質細胞を興奮させても周囲の排尿筋細胞に抑制性変化は伝えられなかった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2014年04月 -2017年03月 
    代表者 : 橋谷 光; 西川 信之; 三井 烈
     
    排尿筋および粘膜筋板の自発収縮制御における膀胱の内在性弛緩機構の役割を調べた。伸展により排尿筋から放出されるPTHrPは粘膜筋板よりも排尿筋で強い抑制を示した。カルシウム透過性伸展活性化TRPV4チャネルは排尿筋および粘膜筋板に発現し、TRPV4からのカルシウム流入はBKチャネルを選択的に活性化して自己制御システムとして機能していることが示唆された。SKチャネル開口薬は排尿筋、粘膜筋板で活動電位の後過分極を延長したことから、SKチャネルはPDGFRα陽性細胞のみならず平滑筋にも発現していると考えられた。これら内在性弛緩機構のアップレギュレーションは低活動膀胱を来しうると考えられた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 橋谷 光; LAM Michelle; MICHELLE Lam
     
    ヒト前立腺組織標本では様々な方向に走行するα平滑筋アクチン陽性の平滑筋細胞がメッシュ状の構造を形成し、平滑筋細胞は典型的な紡錘形細胞以外に、複数の突起を有するものをしばしば認めた。平滑筋とは異なる層に存在するビメンチン陽性細胞の疎なネットワークが認められ、筋線維芽細胞であると考えられた。また細静脈壁は扁平で突起を有するペリサイトに覆われ、ペリサイトが多能性を有し様々な細胞に分化する事から、筋線維芽細胞の起源としての可能性が示唆された。 ペリサイトの多能性に着目した関連実験として、マウス膀胱粘膜の微小血管の各種壁細胞の識別を試みた。細動脈平滑筋はα平滑筋アクチン(+)、NG2(+)、PDGFRα(+)、細静脈ペリサイトはα平滑筋アクチン(+)、NG2(-)、PDGFRβ(-)、毛細血管ペリサイトはα平滑筋アクチン(-)、NG2(+)、PDGFRβ(+)あり、デスミンは全ての細胞で陽性であった。 加齢に伴い排尿頻度の増加と一回排尿量の減少を認め、細静脈自発収縮の頻度と振幅の減少を認めた。しかし自発一過性脱分極には明らかな変化を認めなかったことから、自発収縮の現弱は電気現象に依存しない収縮経路の変化によると考えられた。細静脈のペリサイト被覆率は加齢マウスで著明に増加しており、血管透過性の減少に伴う組織代謝産物の蓄積および血流からの栄養素の組織移行が低下していることが示唆された。またペリサイト被覆率が増加しているにもかかわらず細静脈の収縮性が低下していることから、ペリサイトの収縮能が現弱していると考えられ、表現型変化が示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2011年 -2012年 
    代表者 : 橋谷 光; 高野 博充; 三井 烈
     
    膀胱粘膜下細静脈の壁細胞はIP3依存性の小胞体Ca2+遊離により自発細胞内Ca2+濃度変動を生じ、L型Ca2+チャネルの自己再生的性質に依存した電気的結合により細胞間同期性を維持している。細静脈の自発収縮は組織代謝産物の能動的ドレナージに関わり、交感神経支配に加えて尿路上皮や排尿筋平滑筋などから放出される生理活性物質により制御される。細静脈壁細胞はNG2 (-)/αSMA (+)、毛細血管ペリサイトはNG2陽性(+)/α-SMA陰性(-)、細動脈平滑筋はNG2 (+)/αSMA (+)であり、細静脈壁細胞は細動脈および毛細血管壁細胞とは異なる発生起源ないし過程から生じることが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2010年 -2012年 
    代表者 : 橋谷 光; 鈴木 光; 窪田 泰江; 郡 健二郎; 三井 烈; 小室 輝昌
     
    間質細胞ミトコンドリアは Ca^<2+> バッファー機構として機能し、小胞体との Ca^<2+> シャトルを介して細胞内 Ca^<2+> ウエーブ形成に関与していたが、主要な ATP 産生源としては機能していない。ペリサイトは細胞内 Ca^<2+> オシレーター依存性に自発脱分極を発生し、電位依存性 Ca^<2+> チャネルを介して細胞間で同期することにより、膀胱粘膜下細静脈の自動性を駆動して組織代謝制御に重要な役割を果たすことが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 鈴木 光; 橋谷 光; 鬼頭 佳彦; 山本 喜通
     
    胃活動の歩調とり部位といわれる体部平滑筋組織をモルモット胃から摘出し、胃運動の主たる制御神経であるコリン作動性興奮神経と一酸化窒素(NO)作動性抑制神経の刺激によって胃の歩調とり活動がどのように変化するか電気生理学的に調べたところ、前者は主に緩電位の頻度を変化させることなく振幅を増大させ、後者は静止膜電位や歩調とり電位波形に変化させることなく歩調とり活動の頻度を低下させた。そこで、胃体部では神経がICC-IMの活動を変化させているが、興奮神経と抑制神経でその作用機序が異なることがわかった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2009年 -2010年 
    代表者 : 橋谷 光; 高野 博充
     
    膀胱壁伸展時の粘膜下微小循環の維持に関与していると考えられる粘膜下細静脈の自動性発生の細胞内機構について検討した。 細胞内電位と細静脈径変化の同時記録では、自発活動電位が自動収縮に先行して起こり、いずれの現象もカルシウム(Ca^<2+>)活性化塩素イオンチャネルおよび電位依存性Ca^<2+>チャネル阻害剤により抑制された。細胞内Ca^<2+>イメージングにより輪走・縦走平滑筋細胞において同期した自発Ca^<2+>濃度上昇が認められた。電位依存性Ca^<2+>チャネル阻害剤存在下においても個々の平滑筋細胞においてCa^<2+>Ca^<2+>濃度上昇が認められたが、細胞間の同期性が失われた。平滑筋とは異なる形態を有し、ネットワークを形成する細胞(血管周囲間質細胞)においても同期した自発細胞内Ca^<2+>濃度上昇が発生し、電位依存性Ca^<2+>チャネル阻害剤により同期性は失われたが個々の間質細胞における自発Ca^<2+>濃度上昇は抑制されなかった。以上の結果からは、平滑筋細胞と間質細胞のいずれが自動運動のペースメーカー細胞としての役割を果たしているかは特定できなかったが、小胞体からのCa^<2+>遊離が起点となり、電位依存性Ca^<2+>チャネルによる電気的細胞間連携により自動運動に不可欠な細胞間同期性がもたらされると考えられた。 細静脈の自発収縮は経壁電気刺激により頻度が増加し、その作用はα受容体阻害薬により抑制された。α受容体阻害下では神経刺激により自発収縮の頻度の低下および血管径の拡張を認める場合があり、抑制作用はプβ受容体阻害により拮抗された。外因性アセチルコリンは濃度依存性に自発収縮の頻度を増加させ血管径を減少させた。排尿筋層のみを除去した尿路上皮を含む標本でも自発収縮を認めたが、神経刺激により持続的な収縮が起こり、またカプサイシン投与により自発収縮の抑制が認められた。以上より細静脈の自発収縮は神経および尿路上皮から放出される生理活性物質により制御されることが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2007年 -2009年 
    代表者 : 橋谷 光; 鈴木 光; 窪田 泰江; 郡 健二郎; 曽爾 彊
     
    間質細胞は小胞体Ca^<2+>遊離およびミトコンドリア機能に依存した自発Ca^<2+>濃度上昇を生じ、核周囲ミトコンドリアを起点とするCa^<2+>濃度上昇の細胞内伝播を認めた。間質細胞と平滑筋細胞のCa^<2+>濃度上昇は時間的に相関せず、腎盂では非定形平滑筋がペースメーカー細胞として機能していた。Kit陽性間質細胞は閉塞膀胱で増加したが、Kitないし幹細胞因子欠損マウスで間質細胞の分布や平滑筋活動は変化していなかった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 鈴木 光; 橋谷 光; 鬼頭 佳彦
     
    胃平滑筋は自発活動していて、その歩調とりは胃壁を構成する平滑筋組織内に分布するカハールの介在細胞(ICC)によって行われていることが近年あきらかになった。自発活動の頻度は胃の部位により異なり、体部で最も速く、幽門部に行くにしたがって遅くなる。そこで、胃平滑筋の自発活動の膜電位依存性の部位による差異について検討した。胃を構成する平滑筋の膜性質は均一ではなく、静止膜電位は噴門部で浅く(~-50mV)幽門部で深い(~-70mV)。また、自発活動の頻度には電位依存性があり、脱分極で速くなり過分極で遅くなることが胃幽門部平滑筋において明らかにされている。そこで、胃各部から摘出した平滑筋組織を用いて、自発活動について調べたところ、胃のどの部位でも自発活動は見られ、さらに外液カリウム濃度を上げて膜を脱分極させると頻度は増大したので、活動頻度の部位差の一部は膜電位に依存していることがわかった。摘出した胃平滑筋の小標本を作製し、2本電極法により通電を行い、細胞膜電位を一定値に揃えて自発活動の頻度を比較したところ、同じ電位においても自発活動には部位差が見られたので、膜電位以外にも興奮の頻度を規定する未知因子があることがわかった。特に、歩調とり部位といわれる胃体部における平滑筋の自発活動頻度の膜電位依存性については詳しく調べたが、他の部位と比較し特徴的な性質は見られなかった。胃体部は胃運動の歩調とり細胞といわれているICCの分布が幽門部と異なることが報告されているが、自発活動の頻度とICCの関係で特徴的な事項は認められなかった。また、自発活動発生に重要な役割をもつミトコンドリアと筋小胞体(細胞内カルシウム貯蔵部位)の関与についても調べたが、部位による自発活動頻度の差異をうまく説明できなかった。以上の実験結果から、胃平滑筋における自発活動頻度の部位差は静止膜電位の違いに加え、未知因子によって決められることがわかった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2005年 -2006年 
    代表者 : 橋谷 光; 鈴木 光; 窪田 泰江; 郡 健二郎
     
    1.膀胱過活動を認めた尿流出路閉塞モルモット膀胱で、Kit・ビメンチン抗体陽性間質細胞(IC)は粘膜下層にびまん性に増加しており、粘膜・神経線維間の情報伝達亢進への関与が示唆された。電子顕微鏡下で豊富なミトコンドリアを有するICは相互にあるいは平滑筋・神経と近接していた。 2.ウサギ尿道ICの自発細胞内カルシウム(Ca)濃度変動は、L型Caチャネル非依存性Ca流入と、細胞内貯蔵部位からのCa遊離の協調により起こり、一酸化窒素(NO)により抑制、αアドレナリン受容体刺激により促進された。交差相関検定によりIC-平滑筋間の自発Ca濃度変動の約20%にのみ時間的相関を認め、ICは不確実なペースメーカー細胞であると考えられた。 3.モルモット膀胱(多筋線維束)標本で、NO供与体は自発収縮を亢進、サイクリックGMP(cGMP)は抑制、シルデナフィル(sild)は約65%の標本で収縮を抑制、残りに対して無効であった。No供与体はcGMP非依存性に単一筋線維束の活動電位の頻度を増加させ、Sildは無効であった。膀胱平滑筋に対してcGMPは抑制作用を、NOはcGMP非依存牲の興奮作用を有し、sildは筋線維東間の機能協調を阻害して抑制作用を示すと考えられた。 4.ウサギ陰茎海綿体組織のICはプロスタグランジン(PG)合成酵素であるCOX-2を発現しており、PGを遊離して平滑筋自動運動の発生および神経性ノルアドレナリンの作用を増強していることを示した。またNOによる抑制性神経筋伝達はおもに収縮蛋白のカルシウム感受性低下により起こることを示した。 5.モルモット膀胱平滑筋に存在するT型Caチャネルの開口は自発活動電位に先行する緩除脱分極を形成する一方、T型チャネルを介したCa流入は小コンダクタンスCa依存性カリウムチャネルを開口し静止膜電位の形成に関わっていることを示した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2003年 -2004年 
    代表者 : 橋谷 光; 鈴木 光
     
    膀胱平滑筋の自発活動の機序 膀胱平滑筋において自発収縮、細胞内カルシウム濃度変動、膜電位変化を同時測定し相互関係を検討した。自発収縮は活動電位に伴う細胞内カルシウム濃度上昇によって起こり、活動電位の持続時間や振幅あるいは頻度を増加さる薬物は活動電位の変化に対応して収縮反応を増強し、一方活動電位を抑制する薬物は収縮反応も抑制した。サイクリックAMPおよびGMPを活性化薬は電気現象やカルシウム濃度変動に影響を与えずに自発収縮だけを抑制した。同様の環象はRhoカイネース抑制薬によっても見られ、膀胱の自発収縮は活動電位によって引き起こされるがRhoカイネースの活性化による収縮蛋白のカルシウム感受性増加が収縮の程度に関わっており、この経路がサイクリックAMPおよびGMPにより阻害される可能性が示された。 膀胱の間質細胞とギャップ結合の役割 免疫蛍光染色により間質細胞は膀胱平滑筋線維束外側、筋細胞間および筋線維束間に広く分布していることが確認された。間質細胞のカルシウム濃度変動は平滑筋とは同期しておらず、低頻度で緩やかな時間経過を持って起こりカルシウムチャネル拮抗薬に抵抗性であったので、膀胱における間質細胞が消化管の同種の細胞のようにペースメーカー細胞である可能性は低いと考えられた。自発カルシウム濃度上昇は筋線維束の両外側より起こり対側に伝搬し、ギャップ結合阻害薬およびカルシウムチャネル阻害剤で阻害されたが細胞内貯蔵部位の機能を阻害する薬物では抑制なかったので、膀胱平滑筋間の興奮伝達はギャップ結合を介した電気的連絡とこれを促進するカルシウムチャネルの自己再生的性質によって起こること考えられた。 尿道平滑筋の自動運動の発生機序 尿道平滑筋の自発脱分極とこれに対応する内向き電流は間質細胞から発生することが知られているが、自発収縮はこれらの電気現象を抑制する細胞内カルシウムポンプ阻害薬により消失せず、振幅はむしろ増強した。輪走筋からカルシウムポンプ阻害薬により持続時間の延長する自発脱分極と細胞内カルシウム濃度上昇が観察され、縦走筋から記録される自発活動電位もカルシウムポンプ阻害薬に抵抗性であった。またこれらの電気現象はカルシウムチャネル阻害剤により完全に抑制された。以上より尿道平滑筋の自動運動は間質細胞により歩調取りされているが、間質細胞の機能が阻害された場合には平滑筋自体に歩調取り機能が移行する可能性が示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    研究期間 : 2000年 -2001年 
    代表者 : 橋谷 光
     
    モルモット膀胱平滑筋における自発興奮の発生と組織内伝搬について検討した。筋組織標本に2本のガラス微小電極を刺入して電位変化を同時測定すると,筋線維の長軸方向に配列した細胞間では自発活動電位は同期していたが,単軸方向では時間のずれが認められた。また細胞内通電による電気緊張電位の検討から,長さ定数は長軸方向で単軸方向の約35倍であった。細胞内カルシウム濃度の上昇は筋線維束の最外側の細胞群から発生し、長軸方向へは速やかに伝搬するが,短軸方向へは活動電位と同程度の時間のずれを伴って徐々に伝わることがわかった。自発活動電位とカルシウム濃度上昇はカルシウムチャネル阻害剤で消失するが,細胞内カルシウム貯蔵部位を枯渇させるような処置を施しても消失しなかったので,膀胱平滑筋の自発興奮は基本的に活動電位の細胞間伝搬によると考えられた。細胞内に注入した蛍光色素の拡がりの検討からも細胞間伝達の方向性について電気現象やカルシウム信号の結果を支持する結果が得られた。免疫組織学的検討によりギャップ結合の存在が示唆され,ギャップ結合阻害剤により電気緊張電位と蛍光色素の拡がりは著明に抑制された。以上の結果から,モルモット膀胱平滑筋ではギャップ結合を介した自発活動電位の伝搬がカルシウム信号の伝搬をもたらして組織内興奮伝達に関わっており、その方向性は筋線維長軸方向に比べ短軸方向で悪いことが示された。 べータ受容体作動薬であるイソプロテレノールは膀胱平滑筋を過分極させて活動電位の発生を抑制した。この過分極はカリウムチャネル阻害剤では抑制されなかったがウワバインで抑制され、また低カリウムおよび高カリウム外液でも抑制されたのでナトリウムポンプの関与が推定された。イソプロテレノールは自発カルシウム濃度上昇も抑制したが、この作用は細胞内カルシウム貯蔵部位を阻害しても見られたのでカルシウムポンプは関与していないと考えられた。

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