日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2008年 -2009年
代表者 : 鳥居 修平; 亀井 譲; 鳥山 和宏; 高成 啓介; 佐滕 秀吉
【実験1】ラットの頭蓋骨骨膜を採取し、大網に縫合固定した。移植後1,2,3,4,5,6,7,8,9日目に、検体を採取して核内増殖抗原(PCNA)に対する免疫染色およびDNA断片化を証明するTUNEL染色を行った。結果は、PCNA染色では、移植後4日~5日目から陽性細胞が集簇した間葉系細胞でみられ、陽性細胞数は移植後6日目の類骨周囲でピークとなった。一方、TUNEL染色は、移植後4日目の、最も高密度となった間葉系細胞の集簇内でのみ陽性となった。
【実験2】ラットの頭蓋骨骨膜を採取して、大網に顕微鏡下で縫合固定した。移植後1,2,3,4,5,6カ月目に、検体を採取して軟レントゲン写真を撮影し、二重エネルギーX線吸収法(DXA法)にて骨塩量を測定した。またHE染色も行った。結果は、軟レントゲン写真では、経時的に骨陰影が丸みを帯びる傾向にあった。骨塩量は移植後2~3カ月でピークとなり、その後減少傾向を示し、移植後6カ月で有意に減少した。また、HE染色では、移植後1カ月では骨髄腔を有していたが、移植後2カ月以降ではみられなかった。
【実験3】ラットの頭蓋骨骨膜を採取し、大網に顕微鏡下で縫合固定して腹腔内に戻した。移植後1カ月後に骨膜付き大網弁を挙上後に腹部皮下移植した。再手術後1,2,3,4,5か月後に検体を採取してHE染色およびKossa染色を行った。経過とともに骨髄腔は減少し形態的に丸みを帯びる傾向がみられた。また、Kossa染色では再移植後5カ月まで良好な骨塩沈着を認めた。つまり、腹腔内で大網+骨膜でprefabricated flapが作成され、吸収されることなく皮下に移植できた。