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梅澤 直樹 (ウメザワ ナオキ)

  • 薬学研究科精密有機反応学分野 教授
メールアドレス: umezawaphar.nagoya-cu.ac.jp
Last Updated :2024/04/24

研究者情報

学位

  • 博士(薬学)(1999年03月 東京大学薬学系研究科)

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J-Global ID

研究キーワード

  • 分子プローブ   ポリアミン   ペプチド   

研究分野

  • ライフサイエンス / 薬系化学、創薬科学

経歴

  • 2022年11月 - 現在  名古屋市立大学大学院薬学研究科 精密有機反応学分野教授
  • 2007年06月 - 2022年10月  名古屋市立大学大学院薬学研究科准教授
  • 2005年06月 - 2007年05月  名古屋市立大学大学院薬学研究科講師
  • 2002年04月 - 2005年05月  名古屋市立大学大学院薬学研究科助手
  • 1999年 - 2002年  ウィスコンシン大学マディソン校化学科博士研究員

学歴

  • 1994年04月 - 1999年03月   東京大学   大学院薬学研究科
  •         - 1994年   東京大学   薬学部   薬学科

所属学協会

  • 日本化学会   日本薬学会   アメリカ化学会   

研究活動情報

論文

書籍

MISC

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 梅澤 直樹
  • 科学技術振興機構:戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
    研究期間 : 2021年 -2024年 
    代表者 : 梅澤 直樹
     
    タンパク質は、種々の官能基を適切に配置することで、洗練された機能を生み出します。しかし、その部分構造を抜き出したペプチドは、様々な立体構造をとるため、タンパク質に匹敵する機能は得られません。本研究では、可逆的共有結合を用いて、熱力学的に制御された、多様な立体構造をもつペプチド群を調製し、優れた機能をもつペプチドを効率的に見出します。タンパク質間相互作用阻害あるいは触媒機能をもつ分子を開発します。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2020年04月 -2023年03月 
    代表者 : 樋口 恒彦; 梅澤 直樹; 久松 洋介; 池田 慎一
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年04月 -2020年03月 
    代表者 : 樋口 恒彦; 梅澤 直樹; 久松 洋介
     
    化学発光分子の中で、酵素活性等に応答できるものの多くはフェノキシドの生成を引き金にするため、中性条件ではほとんど発光しないことが課題であった。本研究では、フェノール性水酸基のオルト位に分子内水素結合を与えるアミド基を配置し水酸基のpKaを低下させることを着想した。対応する分子Aを合成しその発光に関するpHプロファイルを計測することで、アミド基のない化合物Bより酸性側に移動し、中性条件で発光可能であることが確認できた。また、時間当たりの発光強度がAがBの30倍大きい特徴も有していた。AのN-HをN-Meに変換しNH-O水素結合を形成しないものではBに近い性質を示し、水素結合の効果を明確に示した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 梅澤 直樹; 吉川 研一; 吉川 祐子; 梅原 崇史; 井上 勝央
     
    ポリアミンは、複数のアミノ基をもつ有機カチオンで、あらゆる生物に含まれる。ポリアミンは、柔軟な構造をもち、多彩な生理活性を示す。我々は、ポリアミンの固相合成法の開発を進めている。開発している方法はペプチド化学に基づくもので、固相合成したポリペプチド中のアミド結合を固相上で還元してポリアミンとし、逆相HPLC を用いて精製する。 本研究では、分岐および環状ポリアミン固相合成法の改良、 合成したポリアミンの機能評価、を進めた。ポリアミンの機能評価は、1) DNA二本鎖との相互作用、2) リシン特異的脱メチル化酵素阻害作用、3) タンパク質熱変性の阻害、4) リボザイム活性に対する作用、を検討した。
  • ペプチド活性の細胞内光制御:エピジェネティクス関連酵素LSD1活性を光制御する化学ツールの創製
    旭硝子財団:自然科学系研究奨励
    研究期間 : 2016年04月 -2017年03月 
    代表者 : 梅澤 直樹
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 梅澤 直樹
     
    生理活性物質の活性を「光」を用いて制御する方法が注目を集めている。光で活性化できる化合物を用いれば、時間的・空間的に生命現象を制御できるためである。ペプチドがもつ多様な機能を光で制御できれば、多彩な研究に役立つと考えられる。我々は、光を用いて機能を制御できる「光応答性ペプチド」を設計・合成する一般的方法論の開発を目指して研究を進めている。本研究では、我々が提案する光応答性ペプチド開発に必要な、「光照射により切断されるユニット」、「効率的に環状ペプチドを合成する方法」の開発を中心に進めた。光応答性ペプチドは、基礎研究に役立つツールとしてだけではなく、副作用の少ない医薬品開発への応用も期待できる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2011年 -2012年 
    代表者 : 樋口 恒彦; 梅澤 直樹; 加藤 信樹
     
    本研究は、従来ほとんど有効な利用がなされてこなかったカテナン構造、ロタキサン構造を、生理活性化合物に導入し、必要な場所で光や還元などにより除去することによって、生物活性など有用な活性の抑制された状態から、活性な状態に変換することに利用する、新しい概念・戦略に関するものである。主にカテナン構造を有する分子についての検討を進めた。活性を制御するために、固形ガン組織中で見られる高還元的環境で環構造が切断されると考えられる大環状ジスルフィドを採用した。異なった2つの環状分子からなるカテナンを合成する報告例は、従来ほとんどない。大環状生理活性化合物のモデルとして、まず、ω-ヒドロキシ長鎖脂肪酸のラクトン体を用い、 大環状ジスルフィドとのカテナン形成を検討した。上記ラクトン体は、紫外光吸収性などがなく検出が困難だったため、次に環内に蛍光団を組み込んだ大環状化合物を用いた。さらに、ジチオール分子にも、クラウンエーテルと高い親和性を持つと考えられるカチオン性の部位を組み込んだものを用いることとし合成を進め、改良型のジチオール分子の合成に成功した。効率的カテナン合成についても直前まで研究は進展している。これらの検討は、本手法の基礎研究として役立つことが期待される。
  • 産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 探索タイプ
    研究期間 : 2011年04月 -2011年 
    代表者 : 梅澤 直樹
     
    本研究の目的は、実用的「発蛍光型ヒスタグ標識プローブ」の開発である。筆者が開発した蛍光プローブを可視光励起型に改変すると同時に、機能向上を行ない、実用的な試薬を開発する。達成目標として、1 ヒスタグの位置に左右されずに標識できる、2 細胞イメージングに適した可視光で励起できる、3 ヒスタグとの結合に伴い、20倍以上の蛍光強度変化が起きる、の3点を掲げ、新規蛍光プローブの開発を進めた。その結果、目標1及び2を達成することができたが、目標3の達成には至らなかった。過去に筆者が開発した蛍光プローブ群は全て、ヒスタグの位置により標識効率が大きく異なるという制限をもっていた。今回、目標1の達成に成功したことは大きな進展といえる。また、目標3の達成には至らなかったものの、その達成に向けた基盤となる結果を得た。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2008年 -2011年 
    代表者 : 樋口 恒彦; 梅澤 直樹; 加藤 信樹; 今泉 祐治
     
    任意の標的分子に対して、複数の化学平衡反応により経時的に親和性の高い分子を構築することを目指す本研究について次のような成果を得た。ホルミル基を3つ有するscaffold 1を用いて、複数のアミンとヘミンを共存させてアミン/アルデヒド.イミン平衡反応を行い、ヘミンの存在下に増加した生成物が、他の生成物より高いヘム親和性を示し、比較的高い抗マラリア活性も示した。水溶性を高めたscaffold 2の開発を行い平衡反応に用いた。ポルフィリン骨格にホルミル基前駆体を4カ所導入したscaffold 3を開発した。さらにscaffold 1と、剛直な屈曲したジアミンとの平衡反応を行うことにより、大きなケージ型超分子を選択的に得ることに成功した。
  • ヒスタグ配列を認識する「発蛍光型」タンパク質標識試薬の開発
    財団法人 武田科学振興財団:薬学系研究奨励
    研究期間 : 2009年04月 -2010年03月 
    代表者 : 梅澤 直樹
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2009年 -2010年 
    代表者 : 梅澤 直樹
     
    研究代表者が開発した「発蛍光型のヒスタグ((His)_6)標識蛍光試薬」の問題点を解明/克服し、実用的なタンパク質蛍光標識法の確立をめざして研究を進めた。最大の問題点である「N末端に存在しないヒスタグとの結合が弱い」という問題点は、ヒスタグ認識部位である金属錯体の性質に起因することを明らかとした。より優れた認識部位を探索し、N末端以外に存在するヒスタグを認識する金属錯体を見出した。
  • 産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 地域事業 地域イノベーション創出総合支援事業 シーズ発掘試験
    研究期間 : 2009年 -2009年 
    代表者 : 梅澤 直樹
     
    本課題は、代表研究者が開発した「ヒスタグ(His6)と選択的に結合し、発蛍光する試薬」を改良し、電気泳動ゲル用染色試薬としての実用化を進める。従来技術のほとんどは、「発蛍光する」という性質を持たないため、信頼性の高い検出が困難であった。既に開発している試薬は、ヒスタグとの結合が弱いため感度が低く、実用的とはいえない。本課題では蛍光試薬とヒスタグとの結合を強めることで、実用性の高い試薬を開発する。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2008年 -2009年 
    代表者 : 樋口 恒彦; 梅澤 直樹; 加藤 信樹
     
    平成21年度は以下のように検討を行った。 マンガンサレンに反応補助基を分子内に導入し、そのカタラーゼ様活性を飛躍的に高めることを目的とし、本年度は、昨年度合成した塩基性官能基を導入したマンガンサレン錯体を中心に、カタラーゼ様活性以外の活性、すなわちペルオキシダーゼ(Pox)様活性及びスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)様活性について検討した。その結果、Pox様活性は、カタラーゼ様活性と相関があったが、官能基を導入したものは、カタラーゼ様活性と比較して相対的に低く、抗酸化化合物として好ましい特性を有していることがわかった。また、SOD様活性をチトクロムc法で測定したところ、単純なMnサレン錯体と比較して同等かそれ以上の活性を有していることもわかった。これにより、合成した錯体類は、カタラーゼ様活性とSOD様活性を併せ持つことが確認できた。さらに、ヒト培養細胞の過酸化水素毒性からの防御活性を検定したところ、10μMで十分な防御を行えるということがわかり、実際の生体系でも、高い抗酸化活性を発揮することが明らかとなった。 次に、当研究室で開発した安定なチオレート配位鉄ポルフィリンであるSR錯体、及び硫黄への水素結合が存在するSR-HB錯体の酸化還元電位(Fe^/Fe^)を比較するとSR-HBの方が予想通り高電位であった。しかし、意外にも(Fe^/Fe^)側の電位は、水素結合型の方が低電位であり、これは他の誘導体との比較でも、一般的であることがわかった。すなわち、鉄2価と4価の間の電位差が、水素結合により小さくなることを示し、水素結合の新しい効果と考えられる。ペルオキシドとの反応においても水素結合型の方が高い触媒活性を示し、水素結合が協奏機能を与えることを示した。今回見いだしたチオレート軸配位子への水素結合の効果は、酵素の合目的性を表す結果となり意義深いと考えられる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 樋口 恒彦; 梅澤 直樹; 加藤 信樹
     
    これまで合成した分子は、光回転部位の軸部分と結合しているベンゼン環の間には、90℃まで回転しない回転障壁があることが分かったので、その間にアセチレンを挟み、自由回転できるような設計も行った。回転部位の前駆体となるアントラセン誘導体の10位の位置に薗頭カップリングにより、アセチレンを導入することに成功した。その後の反応であるDiels-Alder反応も問題なく進行した。現在は光学分割を行う段階まで進んでいる。 また、色素の片面を遮蔽する役割を担うブロックユニットは、当初のものが遮蔽面積が十分でないことや、スクシニミド部分に結合しているターフェニル基が回転し得る点が不十分と考えられたので、構造の改良を行うことにした。より剛直なキノン型の構造をDiels-Alder反応で導入しようと考え、5環性の剛直な分子を合成し、Diels-Alder反応を試みたが、高温条件や、ルイス酸を用いた条件においても、アントラセン誘導体との間で反応は進行しなかった。そのためブロックユニットの導入は、元のマレイニミド型に戻すこととした。 次に、分子の一方向回転を回転する実験として、ネマティック液晶に光学分割したキラルな分子を混合し、液晶層にねじれを与えて偏光を生じさせ、それによって偏光顕微鏡で観測できるようになったパターンを使用することとした。それへの光照射によって回転に関係するマクロな動きに繋がるかどうかの検討を加えた。その結果、偏光顕微鏡で観測できる縞模様などが見られ、液晶層のねじれを起こすことには成功した。光照射によってその変化も見られたが、照射により発生する熱による影響が大きく、温度を一定に制御しての観測が必要と思われた。回転が明確に示せれば、応用範囲が広いので意義深いと考えている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 梅澤 直樹
     
    本研究では、新規タンパク質蛍光ラベル化試薬を開発した。ヒスタグと呼ばれる短いペプチドと金属錯体との選択的かつ強固な結合を利用した。開発した試薬は、タンパク質との結合に伴い、蛍光強度が増大するという特長を持つ。同一の原理に基づき、紫外光励起可能なNTAC類と可視光励起可能なNTAF類の2群の新規試薬を開発した。これらの試薬は、ヒスタグを持つペプチド/タンパク質と選択的に結合し、蛍光強度が増大した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2007年 -2007年 
    代表者 : 樋口 恒彦; 梅澤 直樹; 加藤 信樹
     
    本研究は、酸化反応を触媒する一定の機能を有するポルフィリンやサレン金属錯体の分子内の適切な空間配置に、反応機構から反応の促進に働くと予想できる反応補助基(基質認識基を含む)を結合させる。これにより触媒本体と補助基の相乗的効果により、反応活性の格段の昂進を行うと同時に、反応選択性も大きく高まるような、新しい、より優れた触媒分子の創製を目的とする。 本年度は、まず多点水素結合に基づき基質認識を行う官能基をポルフィリン環に導入したものの金属(ルテニウムをはじめとする)錯体を合成した。特に認識部位をポルフィリン環の両面に備えたものの合成を検討した。これまでの2,6-ジアシルピリジンでは認識部位としてやや大きいので、尿素基を認識基として考え合成を進め、3位、5位にアルキルウレア基を導入したベンズアルデヒドを合成し、これよりポルフィリン環を構築する方法と、3,5-diazidophenyl基をメソ位に有するポルフィリンを合成してからアジド基をアルキルウレア基に変換する方法の両方を検討した。どちらのルートも目的物の一段階前までは合成できた。 次に反応補助基を導入したマンガンサレン錯体のカタラーゼ様活性を詳細に検討した。特に尿素基を導入したものに高い活性を観測しているが、これが触媒サイクルのどの段階に尿素基の効果が顕著に表れているかを明確にすることが重要と考え、高原子価オキソーマンガン中間体を効率よく捉えると考えられるABTSを基質として検討した。その結果、過酸化水素を酸化剤としてのABTSの酸化においても尿素基の明確な反応補助効果が認められ、活性種生成の段階を加速することが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 樋口 恒彦; 梅澤 直樹
     
    本研究に於いて以下の2つのサブプロジェクトを押し進めた。 (1)アミン-アルデヒド/イミンの化学平衡を利用して、Scaffoldとなるトリアルデヒド分子と数種のアミンあるいはヒドラジドおよび標的分子のN-アセチル-IleあるいはN-アセチル-Ile-Ala(アミロイドβ42のC末部分構造)を共存させ、平衡反応を起こさせた。本反応を収束させ、イミン部分を還元することにより構造を固定した。標的分子共存下によって経時的に増加する分子A、及び減少する分子Bをそれぞれ単離し構造を明らかにした。増加した化合物AとN-アセチル-Ileとの結合定数を求めると0.9×10^3M^<-1>と一定の結合力を有しており、一方、減少した化合物Bでは結合定数は1.5×10^2M^<-1>と低い値であった。このことより、提案した「化学進化的な合成化学」の概念に沿った結果が得られたと考えられる。 (2)マンガンサレン錯体のエチレンジアミン部位にシクロペンタン環を縮合させ、シクロペンタン環のマンガン原子側に種々の官能基を導入した化合物群を合成した。次にそれらを触媒として過酸化水素を酸素と水に分解するカタラーゼ様反応を行った。その結果、過酸化水素と親和性が高いことが知られている尿素基に高い反応促進効果が認められた。一方、0-0結合活性化を行うことも予想されたカルボキシ基では、逆に官能基のないものより活性は大きく低下した。基質である過酸化水素を分子認識し得る尿素基の高い効果は、酵素と同様に基質認識能による反応効率化によると推測された。反応補助基としては例のなかった尿素基の有用性を初め明らかにすることができた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2006年 
    代表者 : 樋口 恒彦; 梅澤 直樹
     
    自動車を初めとする工業製品は、盗難や製品の関わる事件などが起きた時に、当該物を特定できる情報がすぐに得られれば迅速な解決につながる。製品へ付加する除去困難な個別認証情報として増幅容易で配列決定も自動化できるDNAを利用することとし、昨年度に引き続き基礎的な検討を行った。 架橋剤による架橋をほどこした実際の塗装の0.8mgの塗膜片からのDNA抽出を、昨年開発した方法で行い、抽出液をPCRにより、45サイクル増幅を行った。得られた産物をクローニング法(得られたDNAを大腸菌のDNAに組み込み、その菌を増殖させた後に組み込んだDNAを含んだDNAを回収し、その配列をDNAシーケンサーにより解読する方法)によって配列解読を試みた。その結果、最初に塗装に加えたDNAと配列が全て一致することが確認できた。このことより、塗膜片0.8mgに含まれるDNA 0.8fmolという極微量のDNAの配列を解読できたことになり、本手法が基本的には用い得ることが、上記検討により確認された。 昨年度得られた結果として、100℃に5週間置いたDNA含有超微粒子中には、検出できるDNAが80分の1に減少した結果を得ていたため、今年度は、DNAの熱安定性を高める化合物の開発を検討した。好熱菌に含まれる、DNAの熱安定性を高めていると考えられている化合物を参考にして、類似の新規な数種類の化合物の合成を行い成功した。それらを含有させたDNA含有超微粒子の耐熱試験を行い、現在結果の解析を行っている。また、熱、水接触、油接触の長期耐久試験を行ったDNA含有塗装板の作成も既に行い、そこからの検出を試みている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2006年 
    代表者 : 梅澤 直樹
     
    筆者は、リン酸化されたセリンとトレオニンの化学的性質に着目したセリンートレオニンキナーゼの新規蛍光検出法の開発を進めている。具体的には、まず固相に担持した基質ペプチドに、キナーゼを作用させてリン酸化を行い、続く塩基性条件下でのリン酸基のβ脱離により、セリン及びトレオニン残基が炭素-炭素二重結合を有するように誘導化する。この二重結合はマイケル付加を受けやすいため、チオール基等をもつ蛍光性化合物の添加により、リン酸基を有していたセリン或いはトレオニン残基を蛍光性に変換するというものである。既に、固相としてビーズを用いた系で、本検出原理を用いたプロテインキナーゼA活性、カゼインキナーゼ活生の検出に成功しており、本検出原理の一般性が示されている。さらに、本検出系がキナーゼ阻害剤の評価にも用いうることが明らかとなっている。だが、幾つかの問題点が浮き彫りとなった。 本検出法最大の問題点は、基質ペプチドのリン酸化段階にある。現在はビーズに固定化したペプチドを基質としているが、巨大な酵素はビーズ内に浸透できず、基質ペプチドがリン酸化されないことが明らかとなった。そこで、固相としてガラスプレートの使用を計画した。プレートを用いた場合、酵素反応は固相表面で進行し、酵素サイズの影響を受け難いと考えられる。また市販のプレートリーダーを用いることで、大幅な集積化、ハイスループット化が可能になる。 ローダミンを蛍光団とする新規蛍光色素10種を設計、合成し、市販のプレートリーダーに適用可能で、本アッセイ系に適用しうる新規蛍光試薬の開発に成功した。ペプチドを担持する固相として、様々なプレートアレイを検討したところ、その表面加工により、非特異的な蛍光の強度が大きく異なることが明らかとなった。現在最適なプレートを探索中である。
  • 蛋白質-蛋白質相互作用の特異的阻害を目指したポルフィリン誘導体の合成と評価
    上原記念生命科学財団:研究奨励
    研究期間 : 2004年04月 -2005年03月 
    代表者 : 梅澤 直樹
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2003年 -2004年 
    代表者 : 梅澤 直樹
     
    筆者は安全かつ高い汎用性を有するキナーゼ活性検出法の開発を目指し、リン酸化アミノ酸の化学的性質に着目した新規キナーゼ活性検出法を考案した。標的酵素群として、まずセリンートレオニンキナーゼを選択し、検出法の開発に着手した。 筆者の考案したキナーゼ活性検出法の概略を以下に示す。まず、キナーゼの基質ペプチドをビーズやプレートといった固相上に調製する。この固相担持ペプチドにキナーゼを作用させ、基質ペプチドをリン酸化した後、塩基処理すればリン酸基がβ-脱離し、炭素-炭素二重結合が生成すると考えられる。新たに生成した炭素-炭素二重結合は、マイケル付加反応の受容体となるため、チオール基を有する蛍光試薬と反応させれば、リン酸化セリン、トレオニンを蛍光性に誘導化できると考えた。 はじめに、新規蛍光試薬のデザイン合成を行った。合成に成功した化合物群の中から、β-脱離後のペプチドと速やかに反応し、反応前に比べ約10倍蛍光強度が上昇する化合物を見いだした。この蛍光変化により、本検出系のS/N比、感度、信頼性の向上が期待できる。また、本化合物は新規化合物であり、キナーゼ活性の検出以外にも利用できる可能性がある。 ビーズに担持したペプチドを基質として用い、本検出原理でキナーゼ活性を検出できるか検討した。キナーゼとしてプロテインキナーゼA(PKA)を用いたところ、種々の検討を要したものの、PKA活性を蛍光強度変化として検出可能な条件を見出した。また本検出法を用いたPKA阻害剤のスクリーニングも可能であった。さらに、ほぼ同様の条件でカゼインキナーゼI活性の検出にも成功し、本検出法が一般性を有していることも明らかとなった。今後、マイクロプレートに担持させたペプチドを用いた検討や、脱リン酸化酵素活性の検出など、更なる改良、応用を進めていきたい。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2000年 -2002年 
    代表者 : 樋口 恒彦; 水野 哲孝; 梅澤 直樹; 永井 慎一; 岸井 松司; 若林 明子; 植田 泰誠
     
    P450による代謝系に類似したあるいはそれを凌駕する効率の良い反応系は、通常莫大な労力のかかる代謝研究及び難代謝性の有害環境物質の酸化分解にも有用であることが期待できる。研究者らは強力な酸化反応系を開発してきているおり、これらを医薬化学、環境科学分野について役立てることを目指している。本年度、樋口らは開発してきた強力な酸化反応系であるルテニウムポルフィリン-ヘテロ環N-オキソド系について、さらに高度な反応系構築のための基礎として、生じている高い反応性の活性種の解明に重点を置き検討を行った。2,6-ジメチルピリジンN-オキシドの4位に各種の電子吸引性基、電子供与性基を有するものを調製して酸化剤として用い、共通のルテニウムポルフィリン触媒存在下にアルケン等の酸化を行った。その結果通常の酸化剤の場合とは異なり、電子供与性基を有するN-オキシドの方が反応性が高いことがわかった。また、アルカン-アルケンの競争反応を行ったところ、酸非存在下ではアルケンのエポキシ化選択性が極めて高く、ルテニウムポルフィリン-酸素分子系の場合には選択性はやや低かった。すなわち2つの系では異なった活性種が生成していることが示された。また、基質存在下にN-オキシドの脱酸素反応が進行することを見いだした。この知見も活性種解明およびより高効率な反応系の開発に重要なものと考えている。 一方水野らはルテニウムを含有するヘテロポリ酸が酸素分子を酸化剤として、アルケン、アルコール、アミン類を効率よく酸化できることを見いだした。これは酸化剤からの副生成物を与えない環境負荷の少ない反応系として有用と考えられ、今後有害物質の酸化除去、医薬代謝物の調製への応用が期待できる。

委員歴

  • 2017年03月 - 現在   日本化学会   東海支部代議員
  • 2016年03月 - 2017年02月   日本薬学会   東海支部監事
  • 2015年03月 - 2016年02月   日本薬学会   東海支部会計幹事
  • 2009年04月 - 2014年03月   日本薬学会 次世代を担う有機化学シンポジウム   世話人
  • 2013年 - 2013年   日本薬学会 第11回次世代を担う有機化学シンポジウム   実行委員
  • 2012年 - 2012年   有機合成化学協会   第45回酸化反応討論会実行委員
  • 2010年 - 2010年   日本化学会   東海支部若手研究者フォーラム実行委員長
  • 2010年 - 2010年   日本化学会   東海支部常任幹事
  • 2009年 - 2009年   日本化学会   東海支部幹事
  • 2008年 - 2008年   日本薬学会 第18回金属の関与する生体関連反応シンポジウム   実行委員
  • 2005年 - 2007年   日本化学会生体機能関連化学部会若手の会   幹事

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