研究者データベース

矢木 真穂 (ヤギ マホ)

  • 薬学研究科生命分子構造学分野 講師
Last Updated :2025/04/29

研究者情報

学位

  • 博士(薬学)(名古屋市立大学)

ホームページURL

科研費研究者番号

  • 40608999

ORCID ID

J-Global ID

研究キーワード

  • アミロイド線維   ガングリオシド   神経変性疾患   糖脂質   NMR   アミロイドβ   アルツハイマー病   

研究分野

  • ライフサイエンス / 薬系分析、物理化学
  • ライフサイエンス / 構造生物化学
  • ライフサイエンス / 生物物理学

経歴

  • 2022年 - 現在  自然科学研究機構生命創成探究センター准教授(兼任)
  • 2022年 - 現在  名古屋市立大学大学院薬学研究科講師
  • 2018年 - 2022年  生命創成探究センター助教
  • 2015年 - 2018年  分子科学研究所生命・錯体分子科学研究領域助教
  • 2014年  岡崎統合バイオサイエンスセンター特任助教
  • 2013年  英国ケンブリッジ大学化学科博士研究員
  • 2011年  大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設)特任助教
  • 2010年  日本学術振興会特別研究員(PD)

学歴

  • 2007年04月 - 2010年03月   名古屋市立大学   大学院薬学研究科   創薬生命科学専攻博士後期課程
  • 2005年04月 - 2007年03月   名古屋市立大学   大学院薬学研究科   創薬生命科学専攻博士前期課程
  • 2001年04月 - 2005年03月   名古屋市立大学   薬学部   製薬学科

所属学協会

  • 日本核磁気共鳴学会   日本生物物理学会   日本生化学会   日本糖質学会   日本蛋白質科学会   日本薬学会   

研究活動情報

論文

講演・口頭発表等

MISC

受賞

  • 2024年10月 名古屋市立大学 令和6年度名古屋市立大学理事長賞 研究B
  • 2024年10月 名古屋市立大学 大学院薬学研究科 令和5年度 名古屋市立大学大学院薬学研究科 教員個人評価 優秀賞
  • 2020年07月 自然科学研究機構 第10回自然科学研究機構若手研究者賞
     アミロイド形成タンパク質の分子集合機構
  • 2018年03月 日本薬学会 日本薬学会奨励賞
     NMR分光法を基軸としたタンパク質の構造ダイナミクスと分子集合メカニズムの解明 
    受賞者: 矢木真穂
  • 2011年06月 the Protein Science Society of Japan Young Scientist Award
     
    受賞者: 矢木真穂
  • 2011年06月 第11回日本蛋白質科学会年会 若手奨励賞
     ガングリオシドクラスターを舞台とするアミロイドβの構造転移と分子間相互作用 
    受賞者: 矢木真穂
  • 2010年05月 the Japanese Biochemical Society, Chubu Branch Incentive Award
     
    受賞者: 矢木真穂
  • 2010年05月 第74回日本生化学会中部支部例会 奨励賞
     ガングリオシドクラスターに結合したアミロイドβのNMR構造解析 
    受賞者: 矢木真穂
  • 2007年05月 the Japanese Biochemical Society, Chubu Branch Incentive Award
     
    受賞者: 矢木真穂
  • 2007年05月 第71回日本生化学会中部支部例会 奨励賞
     アミロイドβペプチド-GM1ガングリオシド複合体の安定同位体利用NMR解析 
    受賞者: 内海真穂
  • 2007年03月 Physical Pharm Forum, the Division of Physical Sciences, the Pharmaceutical Society of Japan The Highest Award
     
    受賞者: 矢木真穂
  • 2007年03月 日本薬学会物理系薬学部会フィジカル・ファーマフォーラム2007 最優秀賞
     アミロイドβペプチド-GM1ガングリオシド相互作用系の安定同位体利用NMR解析 
    受賞者: 内海真穂

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 科学技術振興機構:戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
    研究期間 : 2022年 -2025年 
    代表者 : 矢木 真穂
     
    本研究では、生命分子の複合体形成におけるアッセンブリー補助メカニズムの本質を取り入れたシステムを構築することで、複数種類のタンパク質のアッセンブリーを制御する戦略を確立します。過渡的に生成する集合中間体を安定化することにより、ビルディングブロックとしてのタンパク質が規則正しく集積したヘテロ超分子構造体を創成し、新規機能創出のプラットフォームとして利用することを目指します。
  • クマムシ由来非ドメインタンパク質の分子ネットワークの実体解明
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A)
    研究期間 : 2022年06月 -2024年03月 
    代表者 : 矢木 真穂
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特別推進研究
    研究期間 : 2019年04月 -2024年03月 
    代表者 : 藤田 誠; 藤田 大士; 矢木 真穂
     
    分子を限られた空間に捕捉すると、溶液や固体状態では見られない新しい性質や反応性が発現し、さらに新たな観測手段でその構造を解析することができる。本研究では、この知見をタンパク質分子に応用する。すなわち、人工的なケージにタンパクを空間捕捉し、(1)タンパクの性質を制御する。(2)タンパクの反応性を制御する。さらには、(3)タンパクの新しい構造解析手法を創出することを目的とする。 当初の計画通り、タンパク質の性質・機能制御、さらにはタンパク質の高効率構造解析法の創出に適したタンパク質包接技術の開発とその基礎的データの収集を行った。その結果、(1)再現性の高い調製プロトコルの確立、(2)想像を超えるタンパク質安定化、リフォールディングによる特異な機能制御を達成した。また、(3)包接したタンパク質の構造の解析を行った。 1.タンパク包接の新技術開発: タンパク質を球状錯体へ包接する新たな手法を開発し、多様な天然タンパク質を包接することに成功した。従来法で必須であったタンパク質の改変が不要となり、また精製不要なワンポットでの包接により、天然構造を保持したままタンパク質を球状錯体ケージへ包接可能となった。 2. 包接によるタンパク質の機能制御: タンパク質を包接することで、その性質・機能を制御できることを見出した。包接したタンパク質の安定性を評価すると、熱および有機溶媒に対する安定性が飛躍的に向上することがわかった。 3.包接したタンパク質の構造解析: 包接したタンパク質のNMR構造解析を行った。従来の包接手法と異なり、本研究では球状錯体の一義的な内部空間にタンパク質を包接できるため、その構造を詳細な解析が可能となった。タンパク質を錯体ケージへと包接し、三次元NMRでピークの帰属を行い詳細な解析を行った。得られた構造から、タンパク質が天然構造を保持したまま包接されたことがわかった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2019年04月 -2023年03月 
    代表者 : 加藤 晃一; 矢木 真穂; 谷中 冴子
     
    免疫グロブリンG(IgG)の3次元構造ダイナミクスを原子レベルで解析するために、これまで技術基盤を整えてきたNMR分光計測実験と分子動力学(MD)シミュレーションを本格的に実施した。特に本年度は、抗体医薬のフレームワークとなるヒトIgG1のFc領域を対象に、細胞工学的手法により糖鎖とアミノ酸の生合成経路を改変した動物細胞を用いて、フコシル化やガラクトシル化をふくむN型糖鎖構造をコントロールしつつ、効率的に均一安定同位体標識を施した一連の試料を調製した。多次元NMR計測により、Fcの各グライコフォームについて糖鎖とポリペプチド鎖に由来するシグナルの観測・帰属を推進した。帰属の確定したNMRシグナルをプローブとして、糖鎖構造の改変に伴う分子の動的構造変化を捉えた。一方、ヒトIgG1-Fcの各グライコフォームを対象にMDシミュレーションを実施した。分子構造が柔軟な糖鎖をモデル分子として、MDシミュレーションの結果により得られた構造アンサンブルを包括的に取り扱うアプローチ法を確立した。これによりNMRデータとMDシミュレーションの結果を統合し、Fcの分子構造中の糖鎖-タンパク質の相互作用ネットワークをとらえる基盤を構築することができた。さらに、水素-重水素交換質量分析法により、Fab中に存在するFcγ受容体IIIの結合部位が抗原認識に伴って構造変化をきたし、それによりIgGの受容体親和性が向上することが明らかとなった。また、IgGのFabの中にはFcγ受容体のみならず、補体系第一成分C1qに対する相互作用部位も隠されていることを明らかにした。 こうして得られた情報に基づいてエフェクター分子との結合能を向上させるための分子設計戦略を検討した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(S)
    研究期間 : 2018年06月 -2023年03月 
    代表者 : 杉山 正明; 中川 洋; 矢木 真穂; 佐藤 衛; 齋尾 智英; 苙口 友隆
     
    H30年度は研究計画に沿い「試料調製」に関しては「調製環境」「必要な測定機器の整備」「調製条件の検討・予備発現」、「中性子溶液散乱」に関しては「MurD・Hefを用いた測定条件確認のための試験中性子溶液散乱測定」、「計算機解析法」に関しては「計算機環境の整備」「ソフトウェア開発」「試験解析」を行った。以下、具体的に記載する。 【試料調製】MurDはドメインライゲーション法の確立を進めている。ライゲーションのためには変異導入が必要となるが、この変異導入によるダイナミクスの変化は起こらない事をNMRを用いて確認した。Hefはスプリットインテイン法を用いて3つのドメインライゲーションに成功した。これは世界的に見て非常に価値が高い成果である。Tr-Ubもユビキチン結合酵素を用いてドメインライゲーションに成功した。更に4つのドメインを持つPDIファミリー蛋白質のER-60の高純度精製に成功した。今後はこの蛋白質も研究対象に加える予定である。必要機器として質量分析器の導入を行い、既に重水素化蛋白質の重水素化率検定に利用している。 【中性子溶液散乱測定】J-PARCのBL02を用いて、MurDおよびHefの必要濃度・測定時間等の予備検討実験を行った。濃度50mg/mLの試料の場合、6時間程度で内部ダイナミクスが測定可能であることを確認した。この成果は論文に公表予定である。また、Hefはドメイン蛋白質であるMurDとは異なったIDP特有の運動が観測された。 【計算機】専用の計算環境確立のために機器導入を行い、免疫に関する蛋白質を用いたMD計算により動作確認を行った。更に今後の大きな蛋白質に対応するために租視化MD法の確立を進めている。 以上より、H30年度は今年度以降の研究に必要となる技術の確立・装置の導入を滞りなく進めた。また、それらを用いた予備実験の中から公表に値する成果も創出できた。
  • タンパク質分子を取り巻く環境を考慮した構造解析によるアミロイド形成機構の解明
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2019年04月 -2022年03月 
    代表者 : 矢木 真穂
  • タンパク質分子を取り巻く環境を考慮した構造解析によるアミロイド形成機構の解明
    文部科学省:基盤研究(C)
    研究期間 : 2019年04月 -2022年03月 
    代表者 : 矢木真穂
  • 細胞再現系での蛋白質の構造・ダイナミクスの解明
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2018年04月 -2019年03月 
    代表者 : 杉山 正明; 矢木 真穂; 長田 裕也; 井上 倫太郎; 藤井 紀子
     
    細胞再現系の構築のために「1.HSA(Human Serum Albumin)の発現系の確立」「2.75%重水素化蛋白質の発現系の確立」「3.重水素化高分子の合成系の確立」に着手した。1に関しては通常は生体(血清)から抽出しているが、今回は重水素化のために大腸菌発現系の確立を目指している。そのためには、発現ベクターの構築・発現確認・発現条件の最適化が必要となる。今回、研究期間は短かったが発現条件の最適化まで既に進めることができた。困難な点は仮にHSAが発現したとしても、HSAは多くのS-S結合で3次元立体構造を形成しているため、正確に3次元構造を取らせるための発現条件の最適化である。現在、正確な3次元構造を取っているHSAの発現は確認できており、大量発現への条件最適化の段階である。2に関しては75%の重水素化蛋白質の大量発現を行い、その大腸菌破砕溶液をストックしてある。これから、サイズ選別を行い模倣系構築のためのサイズ別蛋白質ストックの構築方法の検討に入る段階である。また、75%αBクリスタリンの高濃度系=水晶体模倣系を用いた中性子小角散乱測定は既に行った。現在、データ解析の段階である。3に関しては、重水素化率を指定したポリエチレングリコールの合成に成功しており。高分子クラウダーへの応用に進める段階である。これらはこれ間にない細胞模倣系を構築し中性子散乱技術を用いて任意の蛋白質を希薄系と同様の測定を目指す本計画における根幹をなす技術であり、これらの開発を順当に進める事が出来た。また、これらの技術は他の中性子小角散乱測定においても非常に有用であり、その広範囲での利用が期待される。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2017年04月 -2019年03月 
    代表者 : 矢木 真穂
     
    アミロイドβタンパク質(Aβ)は、βシート構造が規則正しく多数積み重なったアミロイド線維を形成して脳内に蓄積することにより、アルツハイマー病の発症を惹起すると考えられている。しかしながら、これまでに線維伸長を誘起するタンパク質間相互作用の実体を分子構造論の観点から捉えた研究例はない。申請者は、アミロイド線維の伸長末端に特異な柔構造が形成されているものと想定し、核磁気共鳴法 (NMR) や電子顕微鏡による単粒子解析法を用いて、Aβ線維の伸長末端の動的立体構造を解明し、線維の伸長末端を標的とした創薬基盤の構築へと展開することを目指した。 本年度は、国際宇宙ステーション「きぼう」を利用した微小重力環境下におけるアミロイド線維形成に関して構造解析を実施した。チオフラビンTアッセイの結果、微小重力環境下においては、Aβの線維化の速度は地上に比べて遅いことが判った。また、固体NMR解析およびクライオ電子顕微鏡解析の結果、微小重力環境下において形成したアミロイド線維は、地上で形成したものと構造が異なることが判った。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2015年04月 -2019年03月 
    代表者 : 加藤 晃一; 矢木 真穂; 山口 拓実; 矢木 宏和; 佐藤 匡史; 谷中 冴子
     
    本年度は、プロテアソームの触媒コア粒子を構成するαリング形成中間体に着目した。これまでのプロテアソームの形成中間体の構造研究は、主に酵母を中心に行われてきたが、本研究では創薬への展開を目的として、ヒト由来のものを対象とした。その結果、ヒトプロテアソームのαリングを構成するαサブユニットのうち、α1-α6は単量体と2量体の平衡で存在するのに対して、α7のみがホモ7量体のリング構造が2つ重なったホモ14量体構造を形成することを見出した。また、α7ホモ14量体構造の立体構造情報に基づいた分子設計を通じて、単量体およびシングルリングの構造を安定化させたα7形成中間体を創成した。これにより、αリング形成中間体の精密な構造機能解析が可能となった。 次に、上記のプロセスを通じて創出したα1-α7のプロテアソーム形成中間体とアッセンブリーシャペロンのin vitro相互作用解析を行なった。その結果、ヒトPAC3/PAC4ヘテロ2量体は隣り合うα4-α5-α6の相互作用を介助することが明らかとなり、それら3つのサブユニットが正しく配置することを促すマッチメーカーとして働いているものと考察された。さらに、構造情報を活用したin silico創薬研究を行うことを目的として、ヒトPAC3の結晶構造解析およびNMR解析を行った。その結果、0.96オングストロームの超高分解能でその結晶構造を決定することに成功した。またNMR解析により、α6サブユニットの結合部位と予想されるループ構造が柔軟な構造をとることを明らかにした。これにより、in silicoドラッグスクリーニングを行ううえで、シャペロン分子の構造ダイナミクスを十分に考慮する必要があることが明らかとなった。以上の研究を通じて、プロテアソームアッセンブリー系を標的とする阻害剤設計に重要な知見を得ることが出来た。
  • アミロイド線維の伸長末端の3次元構造情報に基づく重合機構の理解および創薬展開
    文部科学省:若手研究(B)
    研究期間 : 2017年04月 -2019年03月 
    代表者 : 矢木真穂
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    研究期間 : 2013年06月 -2018年03月 
    代表者 : 加藤 晃一; 山口 拓実; 佐藤 匡史; 栗原 顕輔; 矢木 真穂; 矢木 真穂; 谷中 冴子
     
    生命現象の特質は、タンパク質や糖鎖をはじめとするシステムを構成する多数の分子素子がダイナミックな離合集散を通じて秩序構造を形成し、外的環境との相互作用を行いつつ、自律的に時間発展していくことにある。生命分子素子が自律的に柔軟かつロバストな高次秩序系を創発する仕組みを理解することは、生命科学の重要な課題である。 我々は、多面的かつ統合的なアプローチを展開し、生命分子集団の原子レベルでのミクロな振る舞いが、一定の秩序のもとに自己組織化して細胞の活動を制御し、高次生体機能を発動する仕組みを理解することができた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2015年04月 -2017年03月 
    代表者 : 矢木 真穂
     
    固体NMR法を用いて、リン脂質膜および糖脂質クラスターに結合したアミロイドβ(Aβ)の構造解析を行った。その結果、脂質膜上において、AβのN末端領域は特定の二次構造をとらないが、C末端領域はβストランドを形成していることが明らかとなった。この構造は、Aβがαへリックス構造からクロスβシート構造へと至るα-β転移の過程で一過的に生じる中間体構造であると考えられる。また、家族性変異型Aβについて、NMR解析および速度論的解析を実施した。その結果、1アミノ酸残基の置換によって引き起こされるAβのガングリオシドクラスターへの結合特性の変化が、アミロイド凝集核の構造形成に影響を与えることが示された。
  • ガングリオシド糖脂質クラスター上におけるアミロイドβの構造転換の精密解析
    文部科学省:若手研究(B)
    研究期間 : 2015年04月 -2017年03月 
    代表者 : 矢木真穂
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2012年10月 -2015年03月 
    代表者 : 加藤 晃一; 山口 拓実; 矢木 宏和; 佐藤 匡史; 矢木 真穂; 矢木 真穂
     
    本研究では、糖鎖が担う生体機能の発現メカニズムを分子複合体の立体構造解析を通じて解明し、得られた構造情報をもとに糖鎖認識系を標的とする創薬の基盤構築を行った。特に、糖タンパク質の細胞内運命決定システムにおける選別的な輸送と分解の分子メカニズムを明らかにすることに成功している。さらには、免疫系糖タンパク質としての抗体について迅速な構造解析を実現するための技術基盤を確立した。これを応用することにより、様々な生産基材で作成した抗体の溶液中における高次構造情報を取得し、抗体医薬の開発に資する知見を得ることができた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2012年04月 -2014年03月 
    代表者 : 加藤 晃一; 山口 拓実; 矢木 真穂; 佐藤 匡史
     
    真核生物のプロテアソームは、自発的に形成されるのではなく、アッセンブリーシャペロンの介助を受けて段階的に形成される。一方、古細菌のプロテアソームはサブユニットの自発的集合により形成される。最近、ゲノム解析からプロテアソームアッセンブリーシャペロンの古細菌ホモログとしてPbaBが見出された。しかし、古細菌のプロテアソーム形成におけるアッセンブリーシャペロン様タンパク質の役割は明確ではなかった。本研究を通じて、PbaBはプロテアソーム活性因子として働くことを突き止めることができた。さらに、PbaBと20Sプロテアソームからなる超分子複合体の作動メカニズムを解明するための糸口を見出すことができた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
    研究期間 : 2011年 -2012年 
    代表者 : 矢木 真穂
     
    アミロイド線維の形成メカニズムを分子構造論的に理解するために、線維末端における特異構造の解明を試みた。まずはじめに、精密構造解析を行う上で必要なアミロイド線維断片のデザインおよび作製に取り組んだ。アミロイド線維断片の小型モデルとして4~5分子のアミロイドβ(Aβ)を遺伝子工学的に連結したタンデム型Aβを作製し、Aβの線維末端に特異的に結合する抗体によって認識されること、および、モノマーAβの線維形成を促進する核として機能することを明らかとした。さらに分子シャペロンや特定のガングリオシドを組み込んだ脂質2重膜上において、Aβの線維伸長が抑制されることを明らかとした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
    研究期間 : 2009年 -2010年 
    代表者 : 矢木 真穂
     
    本研究は、動体認識の場としての糖脂質の役割に着目し、単一分子としてではなく糖脂質の分子集合体としての構造情報を捉えることを目的としている。本年度は、ガングリオシドを含有した小型のバイセルおよびナノディスクを調製し、糖脂質クラスターの構造情報を抽出することを試みた。糖脂質クラスターの糖鎖-糖鎖間のトランス相互作用の検出に向けたアプローチとして、生化学的実験により糖鎖-糖鎖相互作用の存在が提唱されているGM3およびGg3に着目し、それらを組み込んだバイセルをそれぞれ調製した。両者の混合比を工夫してNMR解析を行った結果、GM3とGg3の糖鎖間の相互作用を反映するスペクトル変化を観測することに成功した。また、糖鎖-糖鎖間のシスの相互作用の検出に向けたアプローチとして、異なる2種類の糖脂質の脂質部分をリンカーで化学的に連結したアナログを作製した。現在NMR法を用いた精密な解析を実施中である。 一方、糖脂質クラスター上におけるタンパク質の相互作用様式に関して分子科学的に理解するため、そのモデル系としてのGM1クラスターとAβの相互作用解析に取り組んだ。ABがαヘリックス構造からβシート構造へと構造転移する過程に関する構造的知見を得るため、AβとGM1ミセルの量比を系統的に変化させ、チオフラビンT蛍光観測、放射光VUV-CD計測および部位特異的安定同位体標識法と組み合わせたNMR解析を行った。その結果、Aβはミセルの量比に応じたAβ-Aβ分子間相互作用を通じて、C末端の構造がβ様構造へと変化することが明らかとなった。これより、ガングリオシドクラスター界面という限定された空間の中にAβが高密度で存在する条件下において、特異的な分子内および分子間相互作用が誘起されることを初めて明らかとすることができた。また、AβのC末端とガングリオシドクラスターとの相互作用様式は、クラスターを形成する糖鎖部分の有無や構造の違い、またクラスター面の曲率や密度によって影響を受けることを示すことができた。本研究の成果は、糖脂質クラスターを舞台とする分子会合現象に関して初めて構造的基盤を与えるものであり、糖脂質クラスターが担う多種多様な生体認識現象の分子構造論的な理解を促すものと考えられる。

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