本研究の目的は、搬送にかかるリソースに重点を置いた定量的なトリアージスケール(Neonatal Extricartion triage; NEXT)が従来型と比較して有用であるかを明らかにすることである。そのために ① NEXTは搬送トリアージとして妥当性・信頼性のある基準か ② 単一施設のNICU避難においてNEXTは従来型に比べ有用か ③ 地域内複数のNICUの避難が必要な状況でもNEXTは従来型に比べ有用か について検証している。
令和3年度は、 ① NEXTは搬送トリアージとして妥当性・信頼性のある基準か について取り組んだ。当院NICUで従来型とNEXTによる評価が行われた患児を後方視的に電子カルテから抽出し、NEXTの構成概念妥当性と検者間信頼性を検証した。この結果従来型トリアージ、NEXTともに、NICUにおける重症化スコアであるNeonatal Therapeutic Intervention Scoring System (NTISS)と高い基準関連妥当性を示し、かつNICUに勤務する医師及び看護師間で高い検者間信頼性を持つことが示された。 さらにNEXTが従来型トリアージに比べて、より広く患者を分類できる(一部のスコアに患者が固まり、患者の順位決定を妨げることをさけることができる)可能性が示唆された。この結果を、Prehospital and Disaster Medcine誌に報告した( PMID: 35388784.)。