Japan Society for the Promotion of Science:Grants-in-Aid for Scientific Research
Date (from‐to) : 2023/04 -2026/03
Author : 宮崎 景; 若林 英樹; 高橋 徳幸; 後藤 道子; 末松 三奈; 梅村 絢美
本研究はオランダにおいて実証されている「ポジティヴヘルス」という新しい健康概念とその実践法を、骨格はそのままに日本版に再構築し、導入しその効果を検証するために、以下の2つを目的としている。① ポジティヴヘルスの6つの次元と44の指標をベースに、日本版ポジティヴヘルスの「次元」と「指標」を再構築する。② 日本版ポジティヴヘルスに基づく日本版「クモの巣ツール」を用いた実践が医療、介護の現場で有用かを検証する。
この目的を達成するための混合研究を計画したが、本年度は「ポジティヴヘルスの6つの次元と44の指標をベースに、日本人の健康観を再構築する質的研究を行った。具体的には、「ポジティヴヘルスの診療に携わった医療/介護者(医師、看護師、理学療法士、福祉環境設計士)を対象とした研究(研究①)、及び健康の概念に関わる専門家として僧侶を対象者とした研究(研究②)の二つを施行した。それぞれSnow ballサンプリングで対象者を集め、個別インタビューによる半構造化面接を行い、逐語録をSCAT(Steps for Coding and Theorization)にて解析した。取得した情報としては、2つの健康の定義(WHO、ポジティヴヘルス)に対する肯定的、否定的意見、日本人特有の健康観、幸福観、ポジティヴヘルス実践時の経験、オランダ版ポジティヴヘルスの6つの次元と44の指標に対する意見などが挙げられる。それぞれ、学内の研究会での発表を終え、学会発表、論文化に向けて準備中である。研究①は2024年6月に開催される第15回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会(浜松)において発表予定で、演題登録済みである。