Researchers Database

NAKAMORI Hiroyuki

    Graduate School of Medical Sciences Department of Cell Physiology Assistant Professor
Last Updated :2024/04/26

Researcher Information

J-Global ID

Research Areas

  • Life sciences / Physiology

Published Papers

MISC

Research Grants & Projects

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    Date (from‐to) : 2020/04 -2023/03 
    Author : 中森 裕之
     
    本研究の目的は、近位結腸の壁内神経系に存在するドパミン神経の運動制御における役割を解明することである。摘出したラットの近位結腸を用いて実験を行った。 これまでにドパミン神経が抑制性の遠心性神経に投射していることが示唆されたため、ビデオイメージング法によりターゲットとなる神経を同定した。一酸化窒素合成酵素阻害薬であるN^G-nitro-L-arginine(L-NA)は蠕動運動の発生を大きく減少させるため、腸管最大径を指標にした。ドパミン再取込阻害薬であるGBR12909は近位結腸の最大径を増加させ、D1様受容体拮抗薬SCH23390は最大径を減少させた。L-NAおよびテトロドトキシンにより、GBR12909による弛緩作用は抑制されたが、SCH23390の収縮作用は阻害されなかった。 D1様受容体が構成的活性化受容体である可能性を検討するために、ドパミン神経毒である6-hydroxydopamine(6-OHDA)を用いて、消化管のドパミン枯渇による影響を検討した。6-OHDA処置ラットでは、GBR12909は無効であったが、SCH23390の作用は認められた。これらの結果を論文にし、投稿予定である。 研究過程で、腸内分泌細胞から分泌されるglucagon-like peptide 1(GLP-1)が蠕動運動を亢進させることを見出したため、これについて詳しく解析した。GLP-1は内在性一次求心性神経に発現するGLP-1受容体に作用し、calcitonin gene-related peptideを放出させ、蠕動運動を亢進させることを明らかにした。また、短鎖脂肪酸による蠕動運動の促進にGLP-1が関与していることも示唆された。この成果を英文科学雑誌にて発表した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    Date (from‐to) : 2020/04 -2023/03 
    Author : 橋谷 光; 西川 信之; 中森 裕之; 三井 烈
     
    蓄尿期における、膀胱収縮に起因する求心性神経活動を記録する実験系を開始した。麻酔下ラットで、片側の骨盤神経を近位端で切断して求心性神経活動を記録し、遠心性神経の関与を調べるため、対側骨盤神経を維持ないし切断した。対側切断例においては、膀胱平滑筋の自発活動に由来する一過性膀胱内圧上昇(TPRs)に対応して求心性神経活動の上昇を認め、いずれもL型カルシウムチャネル阻害薬(ニフェジピン)静注により抑制された。対側維持例では、特に蓄尿相後半で大きなTPRsと対応する求心性神経活動を認め、アトロピン静注により大きなTPRsのみ抑制されて、対側切断例と同様の内圧および神経活動が残存した。膀胱平滑筋の進展により放出される内因性弛緩物質である副甲状腺ホルモン関連蛋白 (PTHrP)の静注により、対側神経の維持/切断に関わらず、TPRsと対応する求心性活動が抑制された。蛍光免疫染色では、PTHrP受容体は膀胱平滑筋と血管平滑筋には発現しているが、神経線維には発現していなかった。PTHrPは、蓄尿期に低レベルの遠心性副交感神経作用がある状態でも膀胱平滑筋の収縮を抑制し、収縮に起因する求心性神経活動を抑制することが示された。 尿道の平滑筋・粘膜層および横紋筋層の血流を担う細動脈における神経性収縮制御を、ラットおよびマウスを用いて検討した。尿道細動脈の神経性収縮は交感神経により生じたが、ノルアドレナリン(アルファ受容体)ではなくATP(P2X受容体)が主要な役割を担っていた。神経性収縮は神経性一酸化窒素(NO)合成阻害により増強した。アルファ受容体刺激により収縮を生じた状態では神経性の弛緩を認め、神経性NO合成阻では抑制されなかったが非選択的NO産生阻害により強く抑制され、CGRP受容体阻害では弛緩の後半相が抑制された。神経性弛緩には血管内皮細胞におけるNO産生が重要な役割を担っていることが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    Date (from‐to) : 2020/04 -2023/03 
    Author : 福田 裕康; 橋谷 光; 中森 裕之; 三井 烈
     
    骨粗鬆症の指標である骨密度の変化を検討するため、若年期で骨粗鬆症を発症するモデルとして性成熟していない3週齢と老年期で骨粗鬆症を発症するモデルとして性成熟した6カ月齢で卵巣摘出したモルモットを用いた。結果、6カ月以上で性成熟したモルモットで卵巣摘出術を行った場合、その後6カ月以上で脛骨で有意な骨密度の低下を観察することができた。卵巣摘出したモルモット脛骨の骨密度の変化は、骨全体を測定して骨塩量・骨密度を測定したのち長軸方向に全長20分割して検討したところ骨幹端部で骨密度の低下を観察した。また、マイクロCTによる骨構造の解析からも骨粗鬆症を確認できた。しかしながら、これらの結果から研究に用いるモルモットは一年以上の飼育が必要であることがわかり、そのため十分な数を確保することができなかった。 一方、骨粗鬆症における骨代謝異常の背景には、骨組織における代謝と血流の不均衡が存在することが示唆されることから、骨組織の血流を担う栄養動脈の収縮制御機構を検討した。雌モルモット脛骨栄養動脈の神経性収縮は、交感神経および5-HT作動性血管収縮神経によって調節されていることを報告した。さらにいずれの神経においても伝達物質として5-HTが機能しうることが示唆されたため、外因性のセロトニンとの関係について明らかにした。低濃度の外因性5-HT投与は神経性収縮を増大させたが、グアニチジン存在下では神経性収縮の増大を認めず減弱させた。このことは外因性のセロトニンが交感神経に取り込まれ収縮を増大させ、5-HT作動性血管収縮神経には負のフィードバックがおこり神経性収縮を減弱させたことを示唆し、5-HTによる血管収縮制御が雌における骨代謝に重要な役割を果たしていることを示した。


Copyright © MEDIA FUSION Co.,Ltd. All rights reserved.