日本学術振興会:科学研究費助成事業
Date (from‐to) : 2021/04 -2025/03
Author : 岩崎 真一; 南方 寿哉; 江崎 伸一; 蒲谷 嘉代子; 藤本 千里
1.突発性難聴、前庭神経炎患者の唾液を用いたウイルス再活性化の解析
突発性難聴、前庭神経炎患者に加えて、急性の顔面神経麻痺であるベル麻痺とハント症候群患者の急性期、慢性期における唾液中のHSV-1, -2,VZV, HHV-6,-7,EBVのウイルスDNA量についてのRT-PCR法での解析については、名古屋市立大学医学部の倫理審査委員会の承認を経て、解析をすすめている。現時点までに、約70名の症例の唾液を集め、RT-PCR法で解析を行っている。唾液中にウイルスを認める患者は、顔面神経麻痺の急性期ではある程度認められるものの、突発性難聴、前庭神経炎の患者では認められていない。一方で、突発性難聴の重症例においてEBV陽性の患者が多くみられた。
2.ウイルス再活性化によるウイルス性内耳炎モデル動物の作製と病態解析
ウイルス性内耳炎動物モデルでは、まずは、弱毒化した単純ヘルペスウイルス(HSV-1,HSV-2)をマウスの中耳に投与することで、一側性の内耳炎を引き起こし、その聴覚障害および前庭障害につき、それぞれ聴性脳幹反応(ABR)とロタロッドで客観的な機能評価を行い、いずれも障害が生じていることを確認した。ウイルス接種後約1週間で内耳障害がピークに達し、その後、回復することが確認された。モデル動物の内耳の組織学的解析について、現在進めているところである。ウイルス再活性化による内耳炎モデルについては、HF-10の耳介から感染させ、再活性化を試みているが、成功に至っていない。