日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2023年04月 -2026年03月
代表者 : 三河 須美子; 森本 浩之; 浅井 勇人; 植木 孝俊
R5年度では、vモデルラットにて強制運動負荷が胃でのghrelin産生に及ぼす影響の検討を行い、次に、側坐核における末梢神経障害によるミクログリア活性化の病理と、運動がghrelinの産生増進しミクログリアの活性化を抑制する分子機序を解明した。
成獣ラット(8週齢オスWistarラット)にて、正中神経を剖出後、ピンセットで挫滅することにより末梢神経障害モデルラット(正中神経挫滅モデルラット)を作出した。そして、手術直後、1日、7日、10日、14日後にリハビリテーション介入群、対照群で、筋力(握力)回復をラット用握力測定装置により、手指の精緻制御機能の回復を2分間の餌ペレット把持回数により評価した。リハビリテーション介入は、介入群ラットをトレッドミルに乗せ、5分間運動、5分間休憩、5分間運動、5分間休憩、5分間運動の反復運動を手術1日後より毎日1セットずつ14日間、課した。
ここでは、手術1日、7日、10日、14日後(各日のリハビリテーション介入前)に、ラットから血液を採取、脳を剖出し、血中の活性型ghrelin(アシル化ghrelin)濃度をELISAで、側坐核を含む脳内ミクログリア活性化動態を抗Iba1抗体と抗CD68抗体による免疫組織化学的染色で、側坐核の炎症反応に伴うTNFα産生をELISAで解析することにより、リハビリテーション介入が消化管からのghrelin産生に及ぼす影響、ghrelinの産生増進と側坐核ミクログリア活性化並びに側坐核の炎症反応との連関を検討した。そして、ghrelin産生、側坐核の炎症反応抑制、上記手指の精緻制御機能(餌の把持)の相関を解明した。