研究者データベース

平嶋 尚英 (ヒラシマ ナオヒデ)

  • 薬学研究科生体超分子システム解析学分野 教授
メールアドレス: hirashimphar.nagoya-cu.ac.jp
Last Updated :2024/04/24

研究者情報

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プロフィール

  • アレルギー担当細胞であるマスト細胞の細胞内情報伝達と分泌機構とその周辺に関する基礎と応用・展開研究を行っています。

    研究が少しでもアレルギー疾患の克服につながることを願っています。

研究キーワード

  • 可視化解析   人工細胞   分泌   マスト細胞   エクソサイトーシス   アレルギー   

研究分野

  • ナノテク・材料 / ナノマイクロシステム
  • ナノテク・材料 / ナノバイオサイエンス
  • ライフサイエンス / 薬系分析、物理化学
  • ライフサイエンス / 細胞生物学
  • ライフサイエンス / 生物物理学

経歴

  • 2006年04月 - 現在  名古屋市立大学大学院薬学研究科生体超分子システム解析学分野教授
  • 2013年04月 - 2017年03月  名古屋市立大学大学院薬学研究科Graduate School of Pharmaceutical Sciences薬学研究科長(学部長兼任)
  • 1998年01月 - 2006年03月  名古屋市立大学薬学部生体超分子システム解析学分野助教授
  • 1994年08月 - 1998年12月  東京大学薬学部神経生物物理学講座助手
  • 1986年10月 - 1994年07月  九州大学薬学部薬品物理化学講座助手

学歴

  • 1986年04月 - 1996年09月   東京大学大学院   薬学系研究科博士後期課程
  • 1984年04月 - 1986年03月   東京大学大学院   薬学系研究科博士前期課程
  • 1980年04月 - 1984年03月   東京大学   薬学部

所属学協会

  • 米国細胞生物学会   日本アレルギー学会   日本バイオイメージング学会   日本生化学会   日本分子生物学会   日本生物物理学会   日本薬学会   

研究活動情報

論文

書籍

  • 楯, 直子; 平嶋, 尚英 (担当:共著範囲:)培風館 2021年09月 ISBN: 9784563085681 vi, 269p
  • 物理系薬学Ⅲ
    平嶋 尚英 (担当:共著範囲:)東京化学同人 2016年11月
  • 薬学生のための基礎シリーズ7 基礎化学
    培風館 2014年 ISBN: 9784563085575
  • 免疫学辞典
    平嶋 尚英 (担当:共著範囲:イオノマイシン)東京化学同人 2001年
  • 医学&サイエンスシリーズ 細胞内シグナル伝達がわかる
    平嶋 尚英 (担当:共著範囲:Ca2+のシグナル伝達における役割)羊土社 2000年
  • 情報生物学シリーズ3.カルシウムシグナリング
    平嶋 尚英 (担当:共著範囲:カルシウムの物理化学的性質)培風館 1997年

MISC

受賞

  • 2000年03月 日本薬学会 日本薬学会奨励賞
     神経・免疫系におけるエクソサイトーシスの分子機構 
    受賞者: 平嶋 尚英

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 鈴木 亮; 平嶋 尚英
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
    研究期間 : 2020年07月 -2023年03月 
    代表者 : 平嶋 尚英
     
    人工系(細胞サイズの巨大リポソーム)と生細胞系(好塩基球 RBL-2H3)の融合
    巨大リポソームと好塩基球の融合を、細胞融合装置(ECFG21、ネッパジーン)を、Saitoらの方法を用いて行った。Saitoらの実験条件では、融合のための直流パルスの印加によって細胞サイズの巨大リポソームが壊れることが判明したため、まずは、直流パルスの印加によって巨大リポソーム崩壊が誘導されない直流パルスの条件を決定した。 次に、巨大リポソームの膜を蛍光色素NBDで標識したホスファチジルエタノールアミン(NBD-PE)で可視化し、RBL-2H3と融合させた。交流電圧、直流パルスの条件を検討し、いくつかの条件で、巨大リポソームとRBL細胞が融合したように見える条件を見出した。しかしながら、蛍光顕微鏡による蛍光標識リン脂質のRBL細胞膜への拡散が認められず、巨大リポソームとRBL細胞の融合の確証が得られなかった。 そこで、RBL細胞の方も蛍光で可視化するために、RBL細胞に含まれる分泌顆粒を赤色蛍光リソトラッカーで染色して融合させたが、分泌顆粒の巨大リポソーム内への拡散が認められず、融合の確証が得られなかった。 現在、RBL細胞をHoechst33342で核染色し、巨大リポソームは膜をNBD-PEで、内部の水層を水溶性の蛍光色素であるカルセインで染色し、巨大リポソームとRBL細胞の融合を3種の蛍光色素の位置関係を解析することによって検証する系の確立を行っている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2019年04月 -2022年03月 
    代表者 : 鈴木 亮; 平嶋 尚英
     
    現代日本においてアレルギー疾患は、大きな社会問題になっている。アレルギー疾患は、「多様性」に富んでいるため、対処療法が主な治療手段となっている。本研究は、このようなアレルギー疾患の「多様性」の原因について、アレルギー原因細胞の1つであるマスト細胞の分泌顆粒に存在する「不均質性」に着目し、アレルギー応答調節メカニズムの解析を行った。そして、アレルギー応答は、マスト細胞の不均質な分泌顆粒による個々の顆粒の分泌反応により複雑に調節されていることが明らかになった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2018年04月 -2021年03月 
    代表者 : 平嶋 尚英
     
    (1)CRISPR-Cas9によるOrai-2ノックアウト-マスト細胞による解析:Orai-2が細胞内Caイオン動態およびエクソサイトーシスによる分泌にどの程度寄与しているかをより正確に評価するために、CRISPR-Cas9によってOrai-2をノックアウトしたマスト細胞株(RBL-2H3細胞)の構築を試みた。構築したノックアウトのためのプラスミドを、RBL-2H3細胞に導入し、共発現するGFPの蛍光を指標に、クロ-ニングを行ったが、Orai-2のノックアウト株は得られなかった。現在、さらに3種類の配列を組み込んだノックアウトのためのプラスミドを構築し、現在、クローニングを行っている。 (2)Orai-2の活性化機構の解明:ERにはOraiを活性化するCa2+センサー蛋白質であるSTIMが2つ(STIM-1とSTIM-2)が存在する。そこで、蛍光蛋白質CFPとYFPをORAI-2とSTIM-1(または-2)と結合させた蛋白質の発現系を用いて、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)イメージングによってORAI-2とSTIMの相互作用を単一細胞で明らかにするために、発現プラスミドの構築とRBL-2H3細胞への導入まで確認した。 (3)分泌顆粒内のCa2+濃度動態:分泌顆粒が細胞内Caストアとして機能するかどうかを検証するために、分泌顆粒内と細胞質のCa2+濃度動態を測定する。蛍光蛋白質ベースのCaセンサー(GCaMP、RCaMP)に、分泌顆粒に局在させるためのシグナル配列であるHuman Growth Hormone(hGH)のsignal Sequence(ss)部分を結合させたキメラ遺伝子(hGH-ss-G(R)CaMP)を作製し、RBL-2H3細胞に発現させることに成功した。
  • 分泌細胞における新しいカルシウムストアとCa2+放出の誘導機構
    文部科学省:科学研究費補助金
    研究期間 : 2018年 -2021年 
    代表者 : 平嶋 尚英; 大学院薬学研究科
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2016年04月 -2019年03月 
    代表者 : 鈴木 亮; 平嶋 尚英; 中村 亮介
     
    現代日本においてアレルギー疾患は、大きな社会問題になっている。国民の半数近くが何らかのアレルギー症状を示すと考えられており、その割合は増加の一途をたどっている。本研究は、このようなアレルギー疾患の原因について、アレルゲンとIgEの親和性に着目しマスト細胞の活性化調節機構や細胞間相互作用を介したアレルギー応答調節メカニズムの解析を通して明らかにすることを試みた。そしてアレルゲン親和性による、開口放出、転写制御、細胞間相互作用などに関して新たな知見を得た。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 鈴木 亮; 平嶋 尚英
     
    マスト細胞の分泌制御に極めて重要な役割を持つ細胞内カルシウム動態、特に分泌顆粒に局在するカルシウムチャネルORAI-2が制御する分泌メカニズムの解明を試みた。マウス耳介組織を用いた解析からORAI-2は培養細胞の分泌顆粒だけでなく、生体内マスト細胞においても分泌顆粒に同様の局在が観察された。さらに、各種バイオセンサーを用いた画像解析や生化学的な解析から、マスト細胞の抗原刺激に伴い、ORAI-2はSTIMやtubulinと相互作用を強め、ORAI-2が発現する分泌顆粒において脱顆粒を起こしていることが明らかになった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2014年04月 -2017年03月 
    代表者 : 平嶋 尚英
     
    細胞サイズの巨大リポソームに特定の分子を認識することで、エクソサイトーシス様の機構によって分泌されるシステムを構築するために、巨大リポソーム膜にCaチャネル(Orai-1)を組込むことを試みた。Orai-1の恒常的な活性化変異体を大腸菌にGST結合分子として発現させ、単離・精製に成功した。しかしながら、リポソームの組成、巨大リポソームの調製法を種々試みたが、十分量のOrai-1を組みこむには至らなかった。
  • 単一巨大リポソームによる開口放出様の膜融合の可視化解析
    研究期間 : 2015年 -2017年 
    代表者 : 田所 哲; 帝京; 学; 薬学部
  • ビデオレート生物発光イメージング法による骨形成関連タンパク質の分泌動態解析
    研究期間 : 2014年 -2017年 
    代表者 : 鈴木 崇弘; 歯学部
  • 小脳プルキンエ細胞におけるリアノジン受容体を介した樹状突起形成制御機構の解明
    研究期間 : 2013年 -2016年 
    代表者 : 田中 正彦; 薬学研究科
  • 次世代バイオ・ナノ遺伝子ベクターの構築と医療薬学への展開
    研究期間 : 2012年 -2016年 
    代表者 : 中西 守; 愛知; 薬学部
  • 人工エキソ/エンドサイトーシス系の界面解析と標的特異的分泌/取り込み系への展開
    研究期間 : 2013年 -2015年 
    代表者 : 田所 哲; 帝京; 学; 薬学部
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2011年 -2013年 
    代表者 : 平嶋 尚英
     
    マスト細胞は炎症性メディエーターを放出して、アレルギー反応において重要な役割を果たしている。このメディエーターの開口放出は細胞内Ca2+濃度上昇によって誘導される。Ca2+流入は主にCRACチャネルを介したストア作動性Ca2+流入である。CRACチャネルのひとつであるOraiには3つのアイソフォームがあるが、我々は、Orai-2が主に分泌顆粒に局在することを見出した。 Ora-2をノックダウンすると、細胞内Ca2+ストアからのCa2+放出が抑制され、また脱顆粒も抑制された。マスト細胞では、Orai-2は細胞内Ca2+ストアからのCa2+放出に影響して、脱顆粒を制御している。
  • 細胞サイズのプロテオリポソームを用いた人工分泌細胞の刺激-分泌連関
    研究期間 : 2011年 -2012年 
    代表者 : 田所 哲; 薬学研究科
  • グルタミン酸脱炭酸酵素の誘導型遺伝子欠損マウスを用いたGABA神経伝達機構の研究
    研究期間 : 2010年 -2012年 
    代表者 : 柳川 右千夫; 医学系研究科
  • 小脳プルキンエ細胞が複雑かつ秩序立った形態の樹状突起を形成する分子機構の解析
    研究期間 : 2010年 -2012年 
    代表者 : 田中 正彦; 名; 薬学研究科
  • 免疫・神経クロストークの分子イメージングと医療への展開
    研究期間 : 2008年 -2011年 
    代表者 : 中西 守; 愛知; 薬学部
  • 顕微光学法による神経-免疫シナプス構築の分子機構とその機能解析
    研究期間 : 2008年 -2010年 
    代表者 : 古野 忠秀; 薬学部
  • グルタミン酸脱炭酸酵素の遺伝子改変マウスを利用したGABA神経伝達機構の研究
    研究期間 : 2006年 -2008年 
    代表者 : 柳川 右千夫; 医学系研究科
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 萌芽研究
    研究期間 : 2006年 -2008年 
    代表者 : 中西 守; 古野 忠秀; 平嶋 尚英
     
    生体への安全で効率的な遺伝子製剤によるナノデリバリーシステムの開発は、遺伝子治療や再生医療の基盤となる重要な研究課題である。本研究では正電荷コレステロール誘導体を素材とした非ウイルスベクター(正電荷リポソーム)の開発・推進とナノデリバリーシステムの独創的な構築を行った。非ウイルスベクターとしてコレステロール骨格の側鎖末端に水酸基を持つ誘導体を開発し、また、これら非ウイルスベクターに微生物が産生する界面活性物質(バイオサーファクタント; MEL-A)を包摂させると遺伝子導入効率が顕著に増大することを明らかにした。また、レーザ顕微光学技術を駆使して、標的細胞への遺伝子導入の分子メカニズムを追究した。その結果、バイオサーファクタント包摂正電荷リポソームは、標的細胞の形質膜(細胞膜)との膜融合を促進させ、細胞質内に移行後はバイオサーファクタント(MEL-A)が細胞内膜系との膜融合を促進させつつ、効率のよく、遺伝子を核内に輸送することを分子イメージング法により解明した。この新技術は安全性が高く、遺伝子導入効率においても既存の非ウイルスベクターを大きく凌駕しており、ナノバイオ医療の推進につながると判断された。また、本技術はin vivoでも効率的なナノ遺伝子ベクターであることを明らかにした。さらに、再生医療の基盤技術と結びつけるため、ES細胞を神経細部へ特異的に分化誘導にする手法の開発を行った。そして、テトラサイクリンの存在下で、ES細胞の転写活性をスイッチングするTet-on systemの開発に成功し、マウスES細胞を効率よく神経細部へ分化する技術を確立した。この新技術とバイオサーファクタント(MEL-A)包摂非ウイルスベクターによる遺伝子導入技術とを組み合わせて、先端医療(遺伝子治療、再生医療)ヘナノ遺伝子ベクター法の展開に成功した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2006年 -2008年 
    代表者 : 平嶋 尚英; 田中 正彦; 田所 哲; 中西 守; 古野 忠秀
     
    生体では神経伝達物質やホルモンなど様々な細胞から多様な生理活性物質が分泌される。開口放出はその分泌機構の中で最も重要なものである。神経細胞では、神経伝達物質が細胞膜近傍のアクティブゾーンと呼ばれる特殊な構造から分泌されるが、このような構造が神経細胞以外の細胞で、存在しかつ機能するかどうか不明であった。我々はマスト細胞というアレルギー誘発物質を分泌する細胞では、ELKSと呼ばれるタンパク質が刺激後細胞膜付近に移動して、分泌を正に制御することを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特定領域研究
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 平嶋 尚英
     
    平成19年度は,昨年度開発したエクソサイトソーム改良と大リポソーム内のCaイオン濃度上昇による内包小リポソーム膜と大リポソーム膜との膜融合誘導を試みた。 (1)エクソサイトソーム(小リポソーム内包大リポソーム)の改良 Yamazakiらの方法により小リポソーム含有のGiant liposomeを作成した。作成条件を検討することによって,1ステップで小リボソーム含有のGiant liposomeが多数生成する条件を見出した。一方,Giant liposome作成時に別途調製した小リポソームをまぜる2ステップ法では,内包小胞をエクストルーダによってサイズをそろえることによって,粒径の均一な小胞含有Giant liposomeを作成できた。 (2)Caイオノフォアによる刺激応答 Giant liposomeのCa濃度を上昇させるために,Giant liposomeにCaイオノフォアであるイオノマイシンを導入した。Giant liposome内にCa感受性蛍光色素であるOregon green BAPTAを導入した。外液のCaイオン濃度を上げることによって,リポソーム内にCaイオンを導入した。実際,Ca感受性蛍光色素の蛍光強度変化が観測された。しかし,多くの場合Ca濃度上昇後のGiant liposomeの安定性が著しく低下した。次に,Giant liposome内のCaイオン濃度上昇により内包小リポソームと大リポソームの膜融合を誘導するために,負電荷をもつリン脂質ホスファチジルセリンを含有した脂質組成でエクソサイトソームを調製した。イオノフォアと外液Ca濃度の上昇による刺激により,一部のエクソサイトソームで,内包小リポソームと大リポソームの融合による内包リポソームの消失に伴う蛍光強度の現象が観測された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 萌芽研究
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 平嶋 尚英; 田中 正彦
     
    ラット好塩基球株(RBL2H3細胞)は、細胞表面にIgE受容体をもち、この受容体DNP (dinitrophenyl)基を認識するIgEを結合させることによって、DNP基で修飾したCHO細胞を特異的に認識し、それに向かって分泌する系を構築した。CHO細胞にはあらかじめ分泌されたヒスタミンに応答するようにヒスタミン受容体(H1受容体)を発現させた。。 ヒスタミン受容体(H1受容体)を発現させたCHO細胞は、ヒスタミンに反応し、細胞内のCaイオン濃度上昇がおきることを確認した。 CHO細胞のDNP基修飾は、弱アルカリ性存在下に、DNBS(dinitro-benzene-sulfonic acid)と混ぜ、37℃でインキュベーションすることによって、細胞表面のアミノ基にラベルすることによって行ったが、細胞毒性が強くラベルできなかった。そこで、リン脂質であるホスファチジルエタノールアミン(PE)にDNP基を修飾し、CHO細胞の細胞膜に取り込ませる方法を試みた。その結果、細胞膜をほぼ均一にDNP-PE修飾できた。 そこで、あらかじめFura-RedをロードしたDNP修飾したヒスタミン受容体安定発現CHO細胞とDNP修飾をしていないヒスタミン受容体安定発現CHO細胞に対して、抗DNP-IgEを結合させたRBL2H3細胞を加えた。しかしながら、DNP修飾したCHO細胞において、RBL細胞から分泌されたヒスタミンによって細胞内のCa濃度上昇が見られた細胞は検出できなかった。 ラベルしたDNP量や細胞間のコンタクトの強度を考慮して再検討を行う必要がある。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特定領域研究
    研究期間 : 2005年 -2006年 
    代表者 : 平嶋 尚英
     
    昨年度(17年度)は、マスト細胞におけるアクチン線維基盤とする分泌小胞の輸送機構ついて、研究を行った。本年度(18年度)は、より長距離の輸送を担うと考えられる微小管を基盤とした分泌小胞の輸送について検討を加えた。また、マスト細胞における分泌小胞と細胞膜の融合部位の特徴的な構造を明らかにすべく、アクティブゾーンタンパク質として重要な役割を果たすタンパク質であるELKSの発現と機能解析を行った。 (1)マスト細胞における微小管上の分泌小胞輸送機構 微小管上の輸送は、モータータンパク質としてはキネシンとダイニンが担当しているが、細胞中心部から細胞膜周辺への分泌小胞輸送機構を明らかにするために、キネシンの発現について調べたところ、KIF1A、KIF2、KIF3Aの発現が明らかとなった。 現在、RNAiを用いた各KIFのノックダウン株の作成を行っている。KIF3Aのノックダウンによって若干のエクソサイトーシスの阻害が認められた。 また、現在分泌小胞とKIFをつなぐタンパク質として、免疫沈降法によってKAP3およびRabタンパク質を網羅的に解析している。 (2)マスト細胞におけるアクティブゾーンタンパク質ELKSの発現と機能解析 神経細胞のアクティブゾーンタンパク質であるELKSは、同じくアクティブゾーンタンパク質であるbassoon、piccolo、RIMと結合し、極めて重要な役割を果たしている。そこで、まずマスト細胞での発現を確認したところ、RT-PCRおよびウエスタンブロットによってその発現が確認された。次にRNAiでELKSをノックダウンしたところ、50%程度の発現低下では、エクソサイトーシスに有意の減少は認められなかった。今後、さらに発現を落として、エクソサイトーシスや分泌小胞の動態を追究する。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 萌芽研究
    研究期間 : 2005年 -2005年 
    代表者 : 平嶋 尚英; 古野 忠秀; 中西 守
     
    平成16年度は、蛍光タンパク質のYFPを細胞膜へアンカーする方法としてGAP43のN末端配列を付加することによって細胞膜のラフト領域に局在化させることに成功した。また、Gタンパク質KrasのC末端配列を付加することによって非ラフト領域に局在化させることにも成功した。平成17年度は、ラット好塩基球株(RBL-2H3)とチャイニーズハムスターオバリー細胞(CHO)を用いて実験を行った。 (1)エクソサイトーシスに伴う膜脂質の動態の追究 GAP43のN末端配列を付加することによって細胞膜のラフト領域に局在化させたRBL2H3細胞を用いて、NBD標識したホスファチジルセリン(PS)とホスファチジルエタノールアミン(PE)を加えて、エクソサイトーシスに伴う、リン脂質の分布を調べた。その結果、エクソサイトーシスを誘導後、約5分でPS、PEともに細胞外側に移動することが明らかとなった。また、このような変化は、KrasのC末端配列を付加したYFPでも見られたが、GAP43のN末端配列を標識した場合の約50%にとどまっていた。これらのことは、エクソサイトーシスがラフト領域で主に起こっていることを示唆する。 (2)アポトーシスに伴う膜脂質の動態の追究 NBD標識PSしたCHO細胞を用いて、アポトーシスに伴う膜脂質の動態を調べた。アポトーシスを誘導させたが、ラフトおよび非ラフト領域のどちらの場合もPSの動態に大きな変化は認められなかった。アネキシンVを用いて細胞外側へのPSの露出は確認できた。従って、CHO細胞の場合はYFPを用いた測定系が機能していないと推察された。現在、原因を追究している。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2003年 -2005年 
    代表者 : 中西 守; 平嶋 尚英; 古野 忠秀; 手島 玲子; 鈴木 亮
     
    生体の免疫系と神経系はこれまで独立したシステムと考えられてきた。しかも、このようなシステムを追究する適切な手段がなく、これまではほとんどその研究がなされてこなかった。研究代表者らはこのような免疫系と神経系のクロストーク研究の突破口として、新生児マウスから神経節を単離し、神経成長因子の存在下で、神経初代培養細胞を継続培養する技術を確立した。そして、初代培養神経細胞として交感神経と感覚神経の両者を用いることを可能にした。これら初代培養神経細胞と免疫細胞(マスト細胞とリンパ球)をin vitroで共存培養し、両者の細胞間相互作用を顕微光学法で追究した。神経系から免疫系へは(マスト細胞)へは液性因子(サブスタンスP)を介してグロストークが起こっていることが明らかになった。本開発技術は免疫・神経連関を物理系薬学の立場から追究するのに有力な手段となった。開発したin vitro共存培養システムと顕微光学法により、末梢及び中枢での免疫・神経クロストークを多角的に機能解析した。また、その研究成果を薬学研究の発展・展開に結びつけた。具体的研究成果は、(1)神経節初代培養細胞と免疫細胞の共存培養法の確立、(2)多次元顕微光学システムを用いた、免疫系と神経系クロストークの機能解析、(3)神経細胞からマスト細胞への情報伝達にはサブスタンスPが関与、(4)神経細胞からTリンパ球への情報伝達にはノルアドレナリンが関与、(5)免疫系(マスト細胞)から神経系への逆方向の情報伝達にはATPが関与、(6)マスト細胞と神経突起は神経シナップス様の構造体を形成する、(7)これらシナップス様構造の形成には接着分子(蛋白質)のN-カドヘリンとSynCAMが重要な寄与をなしている等の多くの先端的な成果を世界に先駆け明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特定領域研究
    研究期間 : 2004年 -2004年 
    代表者 : 中西 守; 平嶋 尚英; 古野 忠秀
     
    遺伝子治療は遺伝病の根元的治療法になるだけでなく、癌やエイズの治療にも有効である。しかし、病原性ウイルスベクターによる遺伝子治療においては、不慮な事故例も報告されている。この問題を解決するため、研究代表者らは正電荷コレステロール誘導体を素材とした安全性の高い非ウイルスベクター(正電荷リポソーム)の開発に取り組んできた。代表者らの新規ベクターは高い安全性はもちろんのこと、遺伝子導入効率においても既存の非ウイルスベクターを大きく凌駕した。その上、正電荷リポソームにバイオ・サーファクタントを含有させると遺伝子導入効率が飛躍的に増大することを発見した。また、本年は、バイオサーファクタントMEL-Aに含まれる2個の脂質残基が不飽和にすると、飽和の場合と比較して、遺伝子導入効率が100倍以上も増大するというも画期的な研究成果をえた。そこで、このバイオ・サーファクタント含有リポソームの遺伝子治療に応用するための基礎データの蓄積、遺伝子導入機構の解明、ならびに、動物を用いた遺伝子治療の実験を行った。その結果、(1)バイオ・サーファクタントの分子構造(分子種)により遺伝子導入の効率が大きく増大することを発見した。(2)不飽和脂肪酸誘導体が画期的な遺伝子導入効果を与える。(3)共焦点レーザ顕微鏡を用いた実験から、MEL-Aはカプセル化した正電荷リポソーム・DNA複合体の細胞膜への吸着、細胞内への取り込み過程を顕著に促進した。(4)担がんマウスの実験から、バイオ・サーファクタント含有正電荷リポソームは遺伝子治療の研究に大きく寄与し、非ウイルスベクターとしてのがん遺伝子治療に有用である等の多くの画期的成果を得た。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特定領域研究
    研究期間 : 2003年 -2003年 
    代表者 : 中西 守; 古野 忠秀; 平嶋 尚英
     
    アデノシンデアミナーゼ欠損症(ADA欠損症)の患者に対して試みられた遺伝子治療の研究は、新しい医療の幕開けを告げるものであった。それ以来、遺伝子治療は遺伝病の根元的治療法になるだけでなく、癌やエイズの治療にも有効であると期待されており、今後の重要な医療技術の一つになることは間違いないであろう。しかし、遺伝子治療を受ける患者数の増加とともに、病原性ウイルスをベクターとして用いた場合の不慮事故の報告数が増加の一途をたどっている。この問題を解決するため、研究代表者らは正電荷コレステロール誘導体を素材とした安全性の高い非ウイルスベクター(正電荷リポソーム)の開発に取り組んできた。代表者らの新規ベクターは高い安全性はもちろんのこと、遺伝子導入効率においても既存の非ウイルスベクターを大きく凌駕した。その上、正電荷リポソームにバイオ・サーファクタントを含有させると遺伝子導入効率が飛躍的に増大することを発見した。そこで、このバイオ・サーファクタント含有リポソームの遺伝子治療に応用するための基礎データの蓄積、遺伝子導入機構の解明、ならびに、動物を用いた遺伝子治療の実験を行った。その結果、(1)バイオ・サーファクタントの分子構造(分子種)により遺伝子導入の効率が大きく増大することを発見した。(2)中でも、バイオ・サーファクタントMEL-Aが最も高い遺伝子導入効率を与えた。(3)共焦点レーザ顕微鏡を用いた実験から、MEL-Aはカプセル化した正電荷リポソーム・DNA複合体の細胞膜への吸着、細胞内への取り込み過程を顕著に促進した。(4)担がんマウスの実験から、バイオ・サーファクタント含有正電荷リポソームは遺伝子治療の研究に大きく寄与すると考えられた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特定領域研究
    研究期間 : 2002年 -2003年 
    代表者 : 中西 守; 古野 忠秀; 平嶋 尚英
     
    本研究では、バイオ・サーファクタント(微生物が産生する機能性脂質)の一つである糖脂質系のバイオ・サーファクタントMEL-A(mannosylerythritol lipid A)が、正電荷リポソームによる外来遺伝子の導入効率を著しく増大させることを明らかにし、この分野の研究にbreak-throughをもたらすとともに、特許を取得するに至った。さらにその導入効率増大の機構を明らかにするために、正電荷リポソームと外来遺伝子を単一細胞レベルでの可視化解析を行った。具体的には、その結果、(1)バイオ・サーファクタントを用いた高効率の非ウイルスベクターの開発。(2)バイオ・サーファクタントによる遺伝子導入機構の解明。さらに、(3)非ウイルスベクターによる外来遺伝子の導入機構(エンドサイトーシス、膜融合、核シグナルの寄与)の解明等を行った。これらの結果は、バイオ・サーファクタントが非ウイルスベクター(正電荷リポソニム)の遺伝子導入効率を顕著に上昇させる画期的な分子(物質)である。また、バイオ・サーファクタント含有リポソームの細胞内取り込みは、エンドサイトーシスを介在したものであるが、バイオ・サーファクタントの存在は標的細胞膜とリポソーム膜との融合を促進することにより導入効率を画期的に上昇させることが明らかになった。 上述のように、本研究で得られた結果は、バイオ・サーファクタントを用いた遺伝子導入のもつ可能性が極めて高いことを示唆するとともに、安全性の極めて高い遺伝子導入の非ウイルスベクターが開発されたと結論でき、がんの遺伝子治療に向けた新規非ウイルスベクターとして今後臨床面で大いに利用されるものと判断された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2002年 -2003年 
    代表者 : 鈴木 亮; 平嶋 尚英; 中西 守
     
    MAPキナーゼ(mitogen-activated protein kinase ; MAPK)は細胞の活性化に伴って細胞質から核に移行し、転写因子などの様々なシグナル蛋白質をリン酸化する。免疫細胞(T細胞、B細胞、マスト細胞)において、MAPKは細胞増殖、分化、死の制御に密接に関わっていることが知られている。本研究では、マスト細胞でのMAPKカスケードのダイナミクスに焦点を当てて研究を進めた。そして、(1)MAPKKK(Raf-1)は抗原刺激の約3分後に細胞膜へ移行し、約6分後に細胞質へ戻ること、(2)細胞膜でのRaf-1の分布は均一で細胞膜ミクロドメインとの明瞭な相関はみられないこと、(3)MAPK(ERK2)の核移行はRaf-1の細胞膜移行に遅れて始まること、(4)leptomycin B存在下ではERK2の核排出速度が遅くなること、(5)抑制性モチーフを持つ低親和性1gG受容体FcγRIIBを介したシグナルにより、細胞内カルシウムイオン濃度の持続相の消失とともにERK2の核移行の持続相も消失すること、(6)細胞質に局在するMAPKフォスファターゼHePTPを過剰発現すると、ERK2の核移行が阻害されること、(7)細胞質と核に存在するMAPKフォスファターゼVHRを過剰発現すると、ERK2の核排出が促進されること、(8)神経、免疫相互作用において、神経細胞活性化後、神経細胞によって活性化されたマスト細胞ではRaf-1の膜移行に次いで、ERK2の核移行も起こることが分かった。これらの結果から、MAPKカスケードのダイナミクスが時間的、空間的に、そしてERK2の核シャトルの分子機構の一端が明らかになった。さらに細胞間相互作用におけるMAPKカスケード蛋白質の機能の追究にも成功した。以上のように、本研究の遂行により、MAPキナーゼカスケードのダイナミクスの免疫応答による制御機構が明らかになった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 萌芽研究
    研究期間 : 2002年 -2003年 
    代表者 : 中西 守; 北本 大; 古野 忠秀; 平嶋 尚英
     
    遺伝子治療は21世紀の新しい医療の柱の一つとして位置づけられている。遺伝子治療は遺伝病の根元的治療法になるだけでなく、癌やエイズの治療にも有効であると期待されており、重要な医療技術の一つになることは間違いないであろう。しかし、遺伝子治療を受ける患者数の増加とともに、病原性ウイルスをベクターとして用いた場合の不慮事故の報告数が増加の一途をたどっている。この問題を解決するため、研究代表者らは正電荷コレステロール誘導体を素材とした安全性の高い非ウイルスベクター(正電荷リポソーム)の開発に取り組んできた。代表者らの新規ベクターは高い安全性はもちろんのこと、遺伝子導入効率においても既存の非ウイルスベクターを大きく凌駕した。その上、正電荷リポソームにバイオ・サーファクタントを含有させると遺伝子導入効率が飛躍的に増大することを発見した。そこで、このバイオ・サーファクタント含有リポソームの遺伝子治療に応用するための基礎データの蓄積、遺伝子導入機構の解明、ならびに、動物を用いた遺伝子治療の実験を行った。その結果、(1)バイオ・サーファクタントの分子構造(分子種)により遺伝子導入の効率が大きく増大することを発見した。(2)中でも、バイオ・サーファクタントMEL-Aが最も高い遺伝子導入効率を与えた。(3)共焦点レーザ顕微鏡を用いた実験から、MEL-Aはカプセル化した正電荷リポソーム・DNA複合体の細胞膜への吸着、細胞内への取り込み過程を顕著に促進した。(4)バイオ・サーファクタントを用いた正電荷リポソームは遺伝子治療の新規非ウイルスベクターとして大変有用であると考えられた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2002年 -2003年 
    代表者 : 平嶋 尚英
     
    本研究では、細胞膜の蛋白質以外の膜成分、特に脂質二重層の両層間で非対称な分布をしているリン脂質やコレステロールがエクソサイトーシス過程に与える影響を追究することを目的とした。 (1)リン脂質非対称分布崩壊系の確立 脂質スクランブラーゼはリン脂質をその種類によらず生体膜の脂質二重層の方の層から他方の層へ移行させるカルシウム依存性酵素である。この酵素をマスト細胞株であるRBL-2H3細胞に過剰発現させ、リン脂質非対称分布崩壊系を確立した。 (2)リン脂質非対称分布のエクソサイトーシスにおける役割 上記(1)で得られた細胞を刺激してエクソサイトーシスを誘導し、どのような影響があるかを調べた。その結果、スクランブラーゼを過剰発現させた細胞では、エクソサイトーシスが顕著に抑制されるのが観察された。同様の結果をPC12細胞でも得た。 (3)コレステロールの役割 リン脂質とともに細胞膜の主要な構成成分であるコレステロールを細胞膜から除去する作用をもつmethyl-β-cyclodextrin(MBCD)の作用を調べた。その結果、MBCD処理によって、分泌顆粒と細胞膜の融合及び細胞膜のCaストア依存性Caチャネルが阻害されることが明らかとなった。(2)と併せてリン脂質やコレステロールがエクソサイトーシスにおいて重要な役割を果たしていることが直接的に証明された。 4)ラフト局在タンパク質flotillinの役割 コレステロールは、ラフトと呼ばれる細胞膜の構造の形成に深く関わっている。そこで、マスト細胞の活性化におけるラフト局在蛋白質flotillinの役割を検討した。flotillinの低発現株を樹立し、解析した結果、flotillinは同じくラフトに局在するチロシンリン酸化酵素Lynの活性を制御することによって、IgE受容体によるシグナル伝達を調節していることが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2000年 -2002年 
    代表者 : 中西 守; 古野 忠秀; 平嶋 尚英
     
    MAPキナーゼは細胞の分化・増殖の際に、中心的役割を果たす酵素である。抗原や細胞増殖因子などの刺激により活性化され、細胞外シグナルを核に伝達し、転写制御に関与する。しかし、刺激応答でのMAPキナーゼの核移行やMAPカスケードの活性化の分子機構についてはほとんど明らかにされていない。本研究では、MAPカスケードの3種類の蛋白質に着目し、細胞内動態の核移行のダイナミックを顕微光学法により追究した。具体的研究は2項目に大別できる。(1)MAPキナーゼカスケード蛋白質と蛍光蛋白質GFP(またはCFP、YFP、RFP)とのキメラ遺伝子の調製と細胞内発現。(2)MAPキナーゼの各シャトルとMAPキナーゼカスケード蛋白質の細胞内ダイナミックス。まず、蛍光性蛋白質GFPとMAPキナーゼ(ERK2)、MAPキナーゼ・キナーゼ(MAPKK ; MEK)およびMAPKKキナーゼ(Raf-1)とのキメラ蛋白質遺伝子(プラスミド)を調製し、それをラット好塩基球細胞株(RBL-2H3)に発現させ、MAPキナーゼカスケードの各種キメラ蛋白質を安定に発現する好塩基球細胞株を樹立した。次に、調製した好塩基球細胞株と共焦点レーザ顕微鏡を活用し、好塩基球の抗原刺激に伴うMAPキナーゼの核シャトル機構のダイナミックスを解析した。その結果、抗原刺激に伴いMAPキナーゼは数分で核内に移行するが、その後、再び速やかに核外に排出されることが明らかになった。また、MAPKKは速やかな核移行と核排出を行っているが、平均的には細胞質にその大勢が存在していることが判明した。一方、MAPKKキナーゼ(Raf-1)は抗原刺激に伴い細胞質から細胞膜にいったん移行するが再び細胞質に戻りMAPキナーゼカスケードの全体の制御に関与していることが明らかになった。この成果は、MAPカスケードの機能解明に対して重要な寄与をなすと判断された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2000年 -2002年 
    代表者 : 中西 守; 半田 哲郎; 平嶋 尚英; 大和田 智彦; 徳山 悟; 奥 直人
     
    正電荷コレステロールを素材とした非ウイルスベクター(正電荷リポソーム)の開発を行い、遺伝子治療における基盤技術の確立と展開を行った。同時に、外来遺伝子の細胞内動態を解析する顕微光学技術を開発し、遺伝子治療研究への展開を行った。特に、水酸基を末端に持った正電荷コレステロール誘導体の有効性を明らかにするとともに、非ウイルスベクターによる外来遺伝子の導入機構(エンドサイトーシス、膜融合、核シグナルの寄与)を解明した。具体的な研究成果は次の8項目に大別できる。(1)高効率の非ウイルスベクターを遺伝子導入に利用する技術の確立。(2)顕微工学法による外来遺伝子の細胞内動態の解明。(3)バイオサーファクタントを用いた高効率の非ウイルスベクターの開発。(4)バイオサーファクタントによる遺伝子導入機構の解明。(5)プロタミンによる遺伝子導入効率の増進と、そのメカニズムの解明。(6)プロタミンによるDNA・正電荷リポソーム複合体のコンパクト化とそれによる核膜孔通過促進の可能性の提示。(7)核移行シグナルによる外来遺伝子の核移行の促進。(8)NGF、EGF等の受容体(レセプターチロシンキナーゼ)の活性化による遺伝子導入効率の増強。これら多くの多様な研究成果は細胞機能解明の基礎研究に大きく寄与するだけでなく、遺伝子導入の基礎技術と臨床応用(遺伝子治療)への展開に大きく寄与すると判断された。また、外来遺伝子(DNA)の核移行には細胞骨格蛋白質の動態が密接に関与している事も明確にした。これらの一連の研究成果は正電荷コレステロール誘導体を素材とした正電荷リポソームの遺伝子治療の研究に画期的な寄与をすると判断された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 萌芽的研究
    研究期間 : 2000年 -2001年 
    代表者 : 中西 守; 古野 忠秀; 平嶋 尚英
     
    リンパ球やマスト細胞の細胞膜には神経成長因子や神経ペプチドの受容体が存在し、免疫系と神経系の相互作用(クロストーク)が強く示唆されている。しかし、免疫系と神経系のクロストークを追求する適切な研究手段はほとんどなく、その分子機構の解明はこれまでほとんどなされてこなかった。そこで、神経細胞と免疫細胞(マスト細胞やT細胞)との共存培養のシステムを確立するとともに、それを用いて両者の細胞間相互作用を顕微技術、特に、原子間力顕微鏡を駆使して追及した。具体的には、(1)神経節初代培養細胞と免疫細胞(マスト細胞、T細胞)との共存培養システムの確立。(2)原子間力顕微鏡による神経節初代培養細胞と免疫細胞の相互作用解析の2項目に焦点を絞り研究を推進した。まず、新生胎児マウス神経節初代培養細胞と好塩基球細胞(RBL細胞)、マスト細胞、ならびに、T細胞との共存培養システムの確立に成功した。そして、神経ペプチドのサブスタンスPを介して、神経細胞からマスト細胞への活性化のシグナルが伝達される事を初めて明らかにした。次いで、原子間力顕微鏡による神経細胞とマスト細胞の相互作用の実態をナノメートルレベルで可視化解析した。神経成長因子の存在下で神経突起を伸長させた神経節初代培養細胞は、培養細胞RBLとシナップス様の構造体を形成し密着に接着し、RBL細胞を活性化していると推察された。神経突起の先端の成長円錐はRBL細胞の偽足と密着な細胞間相互作用を行っている事なども判明した。また、CD63-GFPキメラ蛋白質を利用した蛍光顕微鏡による研究成果ともよく対応していた。これらの結果は、神経免疫相互作用の細胞分子機構の解明に重要な貢献をなすものと判断された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2000年 -2001年 
    代表者 : 平嶋 尚英
     
    肥満細胞からのヒスタミン等の放出によって即時型アレルギーが惹起される。この放出には細胞外からのCaイオン流入が不可欠であるが、このCa流入を媒介するCaチャネルの実体は明らかになっていない。ただし、細胞内のカルシウムストアの枯渇によって活性化されることは知られている。我々はその候補としてtrp遺伝子がコードするチャネル蛋白質(TRPチャネル)が肥満細胞に発現していることを突き止めた。本研究では、TRPチャネルの肥満細胞における役割を追究した。 (1)TRPの発現及び能低下株のカルシウム動態 アンチセンス法及びTRPのN末側TRPの導入によって、TRP1の発現を抑えた株(ノックダウン株)とTRPの機能を抑制した株(ドミナントネガティブ株)を得た。これらノックダウン株及びドミナントネガティブ株において、抗原刺激に伴なう細胞内カルシウム濃度変化を測定したところ、コントロールの野生株と比較して、特にカルシウム動態に変化は見られなかった。これらのことは、TRP1が肥満細胞の抗原刺激に伴なうカルシウム流入に関わっていないことを示唆した。そこで、肥満細胞のカルシウムチャネルの活性化機構を追究するために、ハプテンおよびIP3受容体の阻害剤の効果を調べた。 (2)ハプテン及びIP_3受容体阻害剤の効果 肥満細胞は多価抗原がIgE受容体を架橋することによって活性化するが、この架橋を1価のハプテン抗原で解除すると、細胞外からのカルシウム流入が阻害される。そこで、細胞内カルシウムストアをタプシガルギンで枯渇させた際のハプテンの効果を調べた。その結果、タプシガルギンによるカルシウム流入はハプテンでは阻害されないことが示された。また、IP_3受容体の阻害剤xestospongin Cの効果を調べた結果、カルシウムストア枯渇によって活性化されるカルシウムチャネルを阻害することが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    研究期間 : 1998年 -1999年 
    代表者 : 平嶋 尚英
     
    平成11年度は計画書に基づいて次の2項目について研究を行なった。 (1)ラット好塩基球株(RBL細胞)の形質膜Caチャネル欠損ミュータント株の解析 (1)Ca濃度変化バターンの野生株との比較 形質膜のCaチャネルブロッカーであるランタンイオンとSK&F96365のCa濃度変化パターンに及ぼす影響を調べた。その結果、ミュータントで見られる一過性のCa濃度上昇は、形質膜Caチャネルの阻害によるパターンとほぼ同じであることが明らかとなった。 (2)膜蛋白質の電気泳動パターンの野生株との比較 形質膜を単離し、その電気泳動像をミュータントと野生株で比較したが、両者に特に差は認められなかった。このことから、昨年の研究によって得られたCaチャネル欠損ミュータントは、Caチャネルが存在しないのではなく、アミノ酸配列のわずかな変異にり機能が低下しているものと考えられる。 (2)ラット好塩基球株(RBL細胞)におけるTRPチャネルの発現と機能 上記(1)の研究によって、ミュータントからCaチャネルを同定することが困難となったので、TRPとよばれる肥満細胞のCaチャネルとと似た特徴をもつTRP(transient receptor potential)のホモログRBL細胞に発現しているかどうかを調べた。 (1)RT-PCRを行なうことによって、RBL細胞にTRPのホモログのうち、TRP1、2、6の3種類が発現していることが明らかとなった。 (2)最も発現量が多いと思われるTRP1をRBL細胞に過剰発現させ、その細胞のCa動態及び脱顆粒反応を調べた。その結果、抗原刺激によって引き起こされる細胞内Ca濃度上昇において、特にその持続相の延長が認められた。また、エクソサイトーシスによって細胞外に放出されるβ-ヘキソサミニダーゼの定量により、脱顆粒も増強されることが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 1995年 -1997年 
    代表者 : 桐野 豊; 浜岡 勤; 平嶋 尚英; 川原 茂敬
     
    1.システムの改良:これまで、平面脂質二重膜に結合した膜電位感受性色素の蛍光をシングルホトダイオードカメラで測定していたが、これをノイズが小さく、受講面が大きくて高感度な冷却CCDカメラ(アストロカム社、KAF1400)に換えたところ、明確に、蛍光強度の膜電位依存性が測定できるようになった。従来より、神経節等の膜電位測定に経験的によく用いられてきた色素であるDi-4-ANEPPSは、膜電位に対する蛍光強度変化が大きいものであることが確認できた。 2.生体膜への応用:感覚器(嗅覚器としての大小触覚、あるいは、味覚器としての唇)を付けて切り出したナメクジの脳を膜電位感受性蛍光色素Di-4-ANEPPSで染色し、膜電位の時間的空間的パターンの変化を高速差分増幅式カメラ(富士写真フィルム、Deltaron 1700)により測定した。大触角に匂いを与えると、匂いの種類によらず、脳神経節前脳部の膜電位振動の周波数が増大した。小触覚に匂いを与えると、ナメクジが好む食物の匂いの場合には振動数が増大し、ナメクジが忌避する物質の匂いの場合には振動数が減少した。また、ナメクジが忌避する味物質を唇に適用したときには、前脳の膜電位が強く過分極方向にシフトした。更に、小触角に嗅覚-味覚連合学習により忌避性となった食物の匂いを与えた後の数秒間、特異的な興奮性を示す一群の細胞が存在することが見出された。このように、本研究で開発された膜電位感受性蛍光色素を用いる膜電位の光学的測定法は、脳における味覚・嗅覚情報処理機構や学習・記憶の機構に極めて有用な実験手法となることを示すことが出来た。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 1996年 -1996年 
    代表者 : 桐野 豊; 平嶋 尚英; 鈴木 利治
     
    日本産シビレエイ電気器官のコリン作動性神経終末に関して、以下の知見を得た。 (1)電気器官コリン作動性神経終末形質膜には、N型、P/Q型、及び、L型Caチャネルが存在する。アセチルコリン(ACh)遊離に対する寄与は、N型及びP/Q型が大きく、L型の寄与は小さい。(2)コリン作動性神経の細胞体の集合体である電気葉からcDNA libraryを作成した。このライブラリーから、細胞質蛋白質シナ-フィン(別名コンプレキシン)のcDNAをクローニングした。この蛋白質は哺乳類のシナ-フィンと高いホモロジーを有し、シンタキシン、VAMP、及び、SNAP-25と結合しており、エクソサイトーシスに関与していることが示された。(3)上記ライブラリーからアルツハイマー病アミロイド前駆体蛋白質(APP)のcDNAを単離し、その産物のリン酸化とmaturationの関係を解析した結果、リン酸化はmaturation後に起こることが示された。(4)電気器官シナプス前神経終末にはアデノシンA_1受容体、及び、アデノシンA_<2B>受容体が存在する。前者の活性化は、N型Caチャネルを抑制して、ACh遊離を抑制する。一方、後者の活性化は、P/Q型Caチャネルを活性化して、ACh遊離を促進する。(5)自己免疫疾患ランバート・イ-トン症候群(LES)患者の血清、或いは、IgGは電気器官シナプス前神経終末からのACh遊離を阻害する。LESのIgGはP/Q型Caチャネルと特異的に反応して、これをdown-regulationすることにより、Ca流入を抑制し、ACh遊離を阻害する。(6)電気器官シナプトソームでラット又はマウスを免疫したところ、骨格筋の神経筋接合部の運動前神経終末から放出されるAChの量子数が減少した。これは、LESの実験モデル動物が作成出来たことを意味する。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1993年 -1993年 
    代表者 : 平嶋 尚秀
     
    1.エクソサイトーシスにおいて重要な役割を果たしている細胞内のCa濃度を細胞質領域と核領域に分けて測定した。1個の細胞内Ca濃度の測定は、Ca濃度感受性蛍光色素Fluo-3を用い、画像処理装置付きの蛍光顕微鏡及び共焦点レーザー顕微鏡を使って観察した。 (1)細胞内Ca濃度の振動:0.1mug/mlのcompound48/80で刺激したラット腹腔肥満細胞の細胞質と核質の両方でCa濃度の振動が観察された。 (2)細胞内Ca濃度の一過性の上昇:1mug/mlのcompound48/80では、Ca濃度振動は観察されず、一過性のCa濃度上昇のみが観察された。このことは細胞質と核質の両方で観察されたが、核質のCa濃度の方が細胞質より高くなった。 2.エクソサイトーシスと細胞内Ca濃度の上昇をそれぞれキナクリンとCa感受性蛍光色素を用いて同時に測定した。 (1)細胞内Ca濃度振動とエクソサイトーシスの関係:細胞内Ca濃度振動は見られたがエクソサイトーシスに伴うキナクリンの蛍光の減少は見られなかった。従って、Ca濃度振動とエクソサイトーシスには相関がないことがわかった。 (2)細胞内Ca濃度の一過性の上昇:一過性のCa濃度上昇の後にエクソサイトーシスによるキナクリンの蛍光の減少が観察された。Ca濃度の上昇以前にエクサイトーシスがおこることはなかった。 3.エクサイトーシスに対する外液Ca濃度の影響 細胞外のCaをEOTAでキレートして、細胞外のfree Ca濃度を低くしても細胞内の一過性Ca濃度上昇はおこり、かつエクソサイトーシスも観察された。 以上のことより、エクソサイトーシスは細胞内Ca濃度振動とは関係なく、一過性のCa濃度上昇と相関がること。そしてその一過性のCa濃度上昇は細胞内のCaストアからのCaだけでもおこり、かつエクソサイトーシスを惹起するに十分であることが明かとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 一般研究(B)
    研究期間 : 1992年 -1993年 
    代表者 : 桐野 豊; 平嶋 尚英; 安西 和紀
     
    (1)シビレエイ電気器官シナプトソームからのアセチルコリン遊離に対する種々のCaチャネルブロッカーの効果を調べた。その結果、アセチルコリン遊離に関与するCaチャネルとしては、N型、P型の寄与が大きいこと、しかしながら、L型の寄与もあることが示された。 (2)更に、骨格筋L型Caチャネルのα_2δサブユニットを認識する単クローン抗体(MCC-1)が、アセチルコリン遊離を部分的に阻害することを見出した。(3)MCC-1を固定化した免疫親和性クロマトグラフィーを用いて、MCC-1結合蛋白質を単離精製した。このフラクションをSDS-PAGE及びWestern blot法により分析したところ、非還元条件下に見出される170KDaのバンドがMCC-1結合蛋白質であることが分かった。(4)MCC-1抗体カラムクロマトグラフィーで精製されたフラクション中に、神経終末細胞膜とシナプス小胞との融合に関与すると考えられているシンタキシンを見出した。(5)並行して、シビレエイ電気器官シナプトソーム膜のCaチャネルの電気生理学的性質を平面再構成膜法により観測する試みを強力に行ったが、未だKチャネルのみが観測されている。(6)放射性標識した短鎖リン脂質をプローブとして、リン脂質の外側層から内側層への移行と、平衡分布を測定した。その結果、シナプトソーム形質膜にはホスファチジルセリン特異的な輸送体の存在が示されたが、シナプス小胞膜にはそのようなリン脂質キャリアーは存在しないことが示された。(7)肥満細胞からのヒスタミン遊離(脱顆粒)と細胞内Ca動態の両者を同時測定する手法を開発し、両者の関係を調べることができるようになった。細胞内Ca上昇が脱顆粒の必要条件であることが示された。(8)肥満細胞分泌顆粒膜には、Ca依存性を有するカチオンチャネルが存在することが見出された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    研究期間 : 1992年 -1992年 
    代表者 : 平嶋 尚英
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    研究期間 : 1991年 -1991年 
    代表者 : 平嶋 尚英
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 一般研究(B)
    研究期間 : 1989年 -1991年 
    代表者 : 桐野 豊; 平嶋 尚英; 安西 和紀
     
    ブタ心室筋から細胞膜ベシクルを高純度に精製する方法を確立した。心室筋細胞膜ベシクルの純度を評価するためのウワバイン感受性Na^+,K^+ーATPase活性測定においては、膜の透過性を上げてウワバインおよびATPがベシクル膜を透過できるようにする必要が有る。そのためunmasking試薬として、これまではSDSが広く用いられてきたが、SDSは高濃度ではかえってATPase活性を阻害することがわかった。いくつかの試薬を検討した結果、サポニンが大変有効であることが明らかになった。 骨格筋L型Ca^<2+>チャネルのα_2δサブユニットに対するモノクロ-ン抗体を結合した抗体カラムを用いることにより、ブタ心室筋細胞膜ベシクルからジヒドロピリジン(DHP)受容体(=Ca^<2+>チャネル)を約2000倍に精製した。SDSポリアクリルアミド電気泳動によってα_1、α_2δ(各々190、155、20ー25kDa)の3つのサブユニットを確認した。この方法により、これまでよりも短時間で高純度のDHP受容体を得ることができるようになった。精製DHP受容体を活性を保持したままリポソ-ムあるいは平面膜に再構成する可能性が開けた。 ブタ心室筋細胞膜ベシクルを脂質平面膜に再構成し、Ba^<2+>透過性チャネルおよびNa+透過性チャネルを検出した。Ba^<2+>透過性チャネル検出条件においては、ほとんどの場合複数のチャネルが同時に観察された。その中から、これまでに報告されているB型Ca^<2+>チャネル相当するものを同定した。Na^+透過性チャネルの中から、これまで心筋細胞では報告されていない非選択性カチオンチャネルを見いだし、その単一チャネルの性質を詳しく調べた。心室筋細胞膜イオンチャネルに対する細胞質因子の作用を検討しようとしたが、予想外の現象として、細胞質溶液自身が平面膜に作用してチャネル様のコンダクタンス上昇を引き起こすことが見いだされた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    研究期間 : 1988年 -1988年 
    代表者 : 平嶋 尚英
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 一般研究(B)
    研究期間 : 1987年 -1988年 
    代表者 : 桐野 豊; 平嶋 尚英; 安西 和紀
     
    1.本研究は、単離シナプトソームやシナプス小胞膜を、電気生理学的手法が適用可能な巨大プロテオリポソームや平面膜に再構成して、膜のイオンチャネルを検出し、そのキャラクタリゼーションを行うことを第一の目的とした。第二に、外在性脂質を用いることなく、生体膜小胞のみを融合させて、巨大生体膜ベシクルを調製する手法を開発し、これをシナプトソームに適用して、巨大シナプトソームを調製する。そして、巨大シナプトソームを用いて、従来不可能とされていた種々の操作・測定(膜電位固定、パッチクランプ、膜電気容量測定、物質注入等)を可能にする新しい実験系を構築しようとするものである。2.ラット大脳皮質から純度の高いシナプトソーム及びシナプス小胞を単離する手法を確立した。3.得られた膜小胞を巨大プロテオリポソームに再構成する為の簡便な手法を開発した。巨大プロテオリポソーム系及び平面再構成膜系を用いて、膜に存在する種々のイオンチャネルを検出し、その性質を調べた。シナプトソーム膜からは、静止電位に寄与すると考えられる膜電位に依存しないカリウムチャネルや、カルシウム濃度及び膜電位に依存して開閉挙動が変化するカリウムチャネルなど数種のイオンチャネルが見出された。シナプス小胞膜からは、数種のカチオンチャネルとアニオンチャネルを見出した。シナプス前膜の機能においてこれらのイオンチャネルの果たす役割を考察した。4.シナプトソームのような生体膜小胞を、外在脂質を用いることなく、融合させて巨大化する手法を開発した。この巨大ベシクルには、いろいろな電気生理学的手法の適用が可能であった。なかでも、微小電極や微小イオン選択性電極の刺入及び蛍光ラベル物質のベシクル内注入といった、これまで再構成系では不可能であった操作を行なうことができた。このように、巨大シナプトソームは神経伝達物質放出機構を解明する為の優れたモデル系である。

社会貢献活動

  • 日本薬学会 代議員
    期間 : 2015年02月01日 - 2017年01月31日
    役割 : 運営参加・支援
    種別 : その他
    主催者・発行元 : 日本薬学会
  • 愛知県薬事審議会委員
    期間 : 2014年 - 2016年
    役割 : その他
    種別 : その他
    主催者・発行元 : 愛知県
  • 科学研究費委員会専門委員
    期間 : 2012年12月01日 - 2013年11月30日
    役割 : その他
    種別 : その他
    主催者・発行元 : 行政
     名古屋市立大学 科研費の第1段審査(書面審査)
  • 国家試験問題検討委員会「物理・化学・生物」部会委員
    期間 : 2012年04月 - 2013年03月
    役割 : その他
    種別 : その他
    主催者・発行元 : その他
     名古屋市立大学 社団法人日本私立薬科大学協会主催の薬剤師の国家試験問題を検討する委員会委員として、薬剤師国家試験の「物理・化学・生物」についてコメントする。
  • 日本学術振興会 特別研究員等審査会専門委員
    期間 : 2012年09月 - 2012年10月
    役割 : その他
    種別 : その他
    主催者・発行元 : 行政
     名古屋市立大学 特別研究員等の審査
  • 静岡県立大学教員採用等資格審査委員
    期間 : 2012年08月 - 2012年10月
    役割 : その他
    種別 : その他
    主催者・発行元 : 静岡県立大学
     名古屋市立大学 静岡県立大学薬学部の教員採用に係る資格審査

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