研究者データベース

中村 精一 (ナカムラ セイイチ)

  • 薬学研究科薬品合成化学分野 教授
メールアドレス: nakamuraphar.nagoya-cu.ac.jp
Last Updated :2025/04/25

研究者情報

学位

  • 博士(薬学)(1994年03月 東京大学大学院薬学系研究科)

ホームページURL

科研費研究者番号

  • 90261320

J-Global ID

研究キーワード

  • 化学合成   生物活性物質   

研究分野

  • ライフサイエンス / 薬系化学、創薬科学

経歴

  • 2010年04月  名古屋市立大学大学院薬学研究科教授
  • 2009年04月 - 2010年03月  北海道大学大学院先端生命科学研究院准教授
  • 2006年04月 - 2009年03月  北海道大学大学院薬学研究院助教授/准教授
  • 2007年03月 - 2007年10月  米国カリフォルニア大学アーバイン校化学科客員研究員
  • 2004年07月 - 2006年03月  北海道大学大学院薬学研究科助教授
  • 1998年04月 - 2004年06月  北海道大学大学院薬学研究科助手
  • 1994年07月 - 1998年03月  北海道大学薬学部助手
  • 1993年04月 - 1994年06月  日本学術振興会特別研究員

学歴

  •         - 1989年   東京大学   薬学部   製薬化学科

所属学協会

  • アメリカ化学会   日本プロセス化学会   有機合成化学協会   日本化学会   日本薬学会   

研究活動情報

論文

書籍

講演・口頭発表等

  • 新規合成ブロックの創製を基盤とする多環式天然物合成  [招待講演]
    中村 精一
    第47回中部化学関係学協会支部連合秋季大会 2016年11月 口頭発表(招待・特別)
  • イオンチャネルに作用する両性イオン性海洋天然物の全合成  [招待講演]
    若手研究者評価支援機構『イノベーティブマリンテクノロジー研究者育成』総合研究センター『統合的バイオイメージング研究者育成事業』合同シンポジウム 2011年07月 口頭発表(招待・特別)
  • 連続型反応による多環式骨格構築を基盤とする天然物合成  [招待講演]
    日本薬学会東海支部特別講演会 2010年06月 公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
  • 連続型分子骨格構築を機軸とする生物活性天然物の全合成研究  [招待講演]
    第14回光学活性化合物シンポジウム 2004年10月 口頭発表(招待・特別)
  • 連続型分子骨格構築を機軸とする生物活性天然物の全合成研究  [招待講演]
    中村 精一
    日本薬学会第124年会 2004年03月 口頭発表(招待・特別)
  • 連続型分子骨格構築を機軸とする生物活性天然物の合成研究  [招待講演]
    日本薬学会第123年会 2003年03月 口頭発表(招待・特別)
  • Recent Developments in the Glycosidation Reactions Capitalizing on Phosphorus-Containing Leaving Groups  [招待講演]
    3rd PharmaScience Forum −1st Japan−Korea Joint Symposium on PharmaChemistry− 2002年07月 口頭発表(招待・特別)

MISC

産業財産権

  • 特開WO 2017217439:チエノ[2,3-b]ピリジン誘導体およびキノリン誘導体ならびにそれらの使用  2017年12月21日
    一條 秀憲, 本間 謙吾, 圓谷 奈保美, 長野 哲雄, 岡部 隆義, 小島 宏建, 下西 学, 藤澤 貴央, 柴田 哲男, 樋口 恒彦, 中村 精一, 中川 秀彦, 池田 慎一

受賞

  • 2011年 平成23年度長瀬研究振興賞
  • 2005年 平成16年度有機合成化学協会研究企画賞
  • 2004年 平成16年度日本薬学会奨励賞

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2021年04月 -2024年03月 
    代表者 : 中村 精一
     
    先行研究となるポリエン環化反応による架橋環構築に関する論文を投稿した際、査読者からは基質調製の工程数の多さが指摘されていた。そこでまず、全合成に向け、鍵反応に用いるエポキシアリルシランの短工程合成法の開発を行った。 はじめにゲラニオールより容易に調製可能なアリルブロミドを用いて2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジオンのアルキル化を試みた結果、含水2-プロパノール中、塩基としてジイソプロピルエチルアミンを用いるとよいことがわかった。続いて1,3-ジケトンの不斉還元を行い、光学活性ジアミン誘導体が配位したルテニウム触媒を用いて水素転移型還元を行うと、目的の立体異性体が88:12のジアステレオ選択性、99%の鏡像異性体過剰率で得られることを見出した。生じた水酸基をシリル化した後、Mander試薬によるβ-ケトエステルへの変換、クロスカップリングによるアリルシラン部の構築、Sharpless不斉エポキシ化による側鎖部へのエポキシドの導入など8工程を経て鍵反応の基質となるエポキシアリルシランを合成することができた。従来の18工程から10工程へ、工程数を大幅に短縮できたことになる。 環化反応の反応剤としては従来、塩化鉄を用いていたが、再現性に問題があったことから、改めてスクリーニングを行った。Bronsted酸を用いた場合には反応は効率的に進行しなかったが、ある程度の強さのルイス酸を用いると良好な収率で目的の三環性化合物が得られることを見出した。
  • イソベンゾフランの新規発生法を活用する生物活性天然物合成
    独立行政法人日本学術振興会:科学研究費補助金基盤研究(C)
    研究期間 : 2017年 -2019年 
    代表者 : 中村 精一
  • 新規架橋多環式骨格構築法を基盤とするバークレージオン類の合成研究
    独立行政法人日本学術振興会:科学研究費補助金基盤研究(C)
    研究期間 : 2014年 -2016年 
    代表者 : 中村 精一
  • 抗腫瘍性サポニン類の完全化学合成と生物活性評価
    独立行政法人日本学術振興会:科学研究費補助金基盤研究(C)
    研究期間 : 2011年 -2013年 
    代表者 : 中村 精一
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2008年 -2010年 
    代表者 : 橋本 俊一; 中村 精一; 穴田 仁洋; 南部 寿則
     
    (1)Rh_2(8-TCPTTL)_4は、α-ジアゾ-β-ケトエステルをカルボニルイリド前駆体、フェニルアセチレン及びスチレンを求双極子剤とする逆電子要請型1,3-双極付加環化反応において最高99%の不斉収率を与えた。 (2)四つの配位子のうち一つにスチリル基を組み込んだ単量体Rh_2(8-PTTL)_4、スチレン及び架橋剤との共重合により合成した不溶性高分子担持錯体は、C-H挿入反応において母型錯体と同等の不斉収率を与えた。 (3)Rh_2(S-BPTPI)_4は、RawalジエンとアルデヒドとのヘテロDiels-Alder反応における不斉ルイス酸触媒として機能することが分かった。
  • アザスピロ構造を特徴とする海産天然物の全合成研究
    独立行政法人日本学術振興会:科学研究費補助金基盤研究(C)
    研究期間 : 2008年 -2010年 
    代表者 : 中村 精一
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 橋本 俊一; 中村 精一; 穴田 仁洋; 南部 寿則
     
    N-フタロイルアミノ酸を架橋配位子として組み込んだロジウム(II)カルボキシラート錯体およびその誘導体を用いた不斉触媒反応を検討し、以下の成果を得た。 (1) NsN=IPh(Ns=2-NO_2C_6H_4SO_2)をナイトレン前駆体、Rh_2(S-TFPTTL)_4を触媒に用いたシリルエノールエーテルの不斉アミノ化反応を鍵工程とする切迫早産治療薬(-)-リトドリンの触媒的不斉合成(不斉収率91%)を達成した。 (2) シクロヘキサノン由来のシリルエノールエーテルを基質とした場合、ナイトレンがアリル位C-H結合へ挿入するという前例のない反応が位置およびエナンチオ選択的に進行することが判明した(最高不斉収率72%)。また、本反応を機軸とするヒガンバナアルカロイド(-)-パンクラシンの形式不斉合成を達成した。 (3) Rh_2(S-TFPTTL)_4の四つの架橋配位子のうち一つのリガンドのフタルイミド基に末端スチリル基を持つリンカーを組み込んだ二核ロジウム錯体スチレンおよび架橋剤1, 6-ビス(4-ビニルベンジルオキシ)ヘキサンとの共重合反応により得られる固相担持型触媒をシリルエノールエーテルの不斉アミノ化反応に適用したところ、不斉収率を損なうことなく20回の再利用が可能であることが分かった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 橋本 俊一; 穴田 仁洋; 南部 寿則; 中村 精一
     
    ロジウム(II)-カルボニルイリド複合体を反応性分子素子とする連続型分子骨格構築法の開発および生物活性物質の触媒的不斉合成を検討し、本年度は以下の成果を得た。 (1)分子内にホルミル基を組み込んだα-ジアゾ-β-ケトエステルをカルボニルイリド前駆体、フェニルアセチレン誘導体を求双極子剤とする分子間不斉1,3-双極付加環化反応にRh_2(S-TCPTTL)_4を触媒として用いると、最高97%の不斉収率で付加環化生成物を得ることができた。また生成物の二重結合の立体選択的水素化、ベンゼン環への酸素官能基の導入を経て生薬テイレキシ(〓〓子、Descurainia sophiaの種子)の成分デスクライニンの触媒的不斉合成を行った。 (2)α-ジアゾケトンをイリド前駆体、芳香族アルデヒド求双極子剤とする不斉1,3-双極付加環化反応にRh_2(S-BPTV)_4を触媒に用いると、完壁なジアステレオ選択性および最高94%の不斉収率でエキソの二環性アセタールが得られることを見出した。また、付加環化生成物から5工程の変換を経て抗Helicobacter pylori活性を示す天然物プソラコリフォロール類の触媒的不斉合成を達成した。 (3)分子内にインドールを組み込んだα-ジアゾ-β-ケトエステルを基質とするイミドカルボニルイ・リドの分子内不斉1,3-双極付加環化反応を行うと、完壁なエンド選択性かつ66%の不斉収率で五環性化合物が得られることが分かった。
  • 含リン脱離基法の実践的利用に基づく生物活性サポニン類の全合成研究
    独立行政法人日本学術振興会:科学研究費補助金基盤研究(C)
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 中村 精一
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2007年 
    代表者 : 橋本 俊一; 中村 精一; 穴田 仁洋; 南部 寿則
     
    N-フタロイルアミノ酸を架橋配位子として組み込んだロジウム(II)カルボキシラート錯体およびその誘導体を用いた不斉触媒反応を検討し、本年度は以下の成果を得た。 α-ジアゾエステルの分子内C-H挿入反応にRh_2(S-PTTL)_4を触媒に用いると、完璧なジアステレオ選択性かつ最高95%の不斉収率で1,2-シス二置換シクロペンタン誘導体が得られることを見出した。当初予想された1,2-水素移動によるアルケンの生成は全く認められなかった。本法は1,2-シス二置換インダン誘導体およびC_2対称型2,2'-二置換-1,1'-スピロビインダンの不斉合成にも適用可能であることが分かった。 (2)(2-ニトロフェニルスルホニルイミノ)フェニルヨーディナンをナイトレン前駆体とするシリルケテンアセタールの不斉アミノ化反応において、Rh_2(S-TCPTTL)_4を触媒に用いると最高98%の不斉収率でα-フェニルグリシン誘導体が得られることを見出した。また、2,2-ジメチルクロメンに対し(4-ニトロフェニルスルホニルイミノ)フェニルヨーディナンを用い不斉アジリジン化反応を行うと94%の不斉収率が得られることが分かった。 (3)酸素官能基一つで活性化された1,3-ジエンとアセチレニックアルデヒドとの不斉ヘテロDiels-Alder反応にRh_2(S-BPTPI)_4をルイス酸触媒として用いると、完璧なシス選択性と最高99%の不斉収率でテトラヒドロピラノン誘導体が得られることを見出し、本反応を鍵工程とするカリキシンL合成中間体の触媒的不斉合成を行なった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2006年 
    代表者 : 橋本 俊一; 中村 精一; 穴田 仁洋; 南部 寿則
     
    N-フタロイルアミノ酸を架橋配位子として組み込んだロジウム(II)カルボキシラート錯体およびその誘導体を用いた不斉触媒反応を検討し、以下の成果を得た。 (1)Rh_2(S-PTTL)_4の四つの架橋配位子のうち一つのリガンドのフタルイミド基に末端スチリル基を持つリンカーを組み込んだ二核ロジウム錯体スチレンおよび架橋剤1,3-ビス(4-ビニルベンジルオキシ)プロパンとの共重合反応により得られる固相担持型不斉触媒が、α-ジアゾエステルの分子内C-H挿入反応において不溶性高分子担持型不斉触媒としては異例の-78℃という低温下においても母型錯体Rh_2(S-PTTL)_4と同程度の触媒活性、完璧なシス選択性、ほぼ同等の化学選択性および不斉収率を示すとともに、文献上知られる最高の20回までの再利用が可能であることを見出した。 (2)(2-ニトロフェニルスルホニルイミノ)フェニルヨーディナンをナイトレン前駆体とするシリルエノールエーテルの不斉アミノ化反応において、Rh_2(S-TFPTTL)_4を触媒に用いると最高95%の不斉収率でα-アミノケトン誘導体が得られることを見出した。また、シリルケテンアセタールの不斉アミノ化反応においては、Rh_2(S-TCPTTL)_4を触媒に用いると最高98%の不斉収率でα-フェニルグリシン誘導体が得られることを見出した。さらに、Rh_2(S-TCPTTL)_4存在下、2,2-ジメチルクロメンに対し(4-ニトロフェニルスルホニルイミノ)フェニルヨーディナンを用い不斉アジリジン化反応を行うと94%の不斉収率が得られることが分かった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2005年 
    代表者 : 橋本 俊一; 中村 精一; 穴田 仁洋
     
    本年度は、ロジウム(II)-カルボニルイリド複合体を反応性分子素子とする連続型分子骨格構築法の開発を検討し、以下の成果を得た。 1.N-フタロイルアミノ酸を架橋配位子として組み込んだロジウム(II)カルボキシラート錯体を用い、α-ジアゾ-β-ケトエステルをカルボニルイリド前駆体とする不斉1,3-双極付加環化反応を検討した。その結果、フタルイミド基の水素原子を塩素原子で置換した錯体Rh_2(S-TCPTTL)_4を触媒に用いると種々のフェニルアセチレンやエトキシアセチレンを求双極子剤とする分子間付加環化反応において極めて高いエナンチオ選択性(最高98%ee)を実現できることが分かった。本反応はスチレン誘導体あるいはN-メチルインドールを求双極子剤とする不斉1,3-双極付加環化反応にも適用可能であり、完璧なエキソ選択性および極めて高いエナンチオ選択性(最高99%ee)で付加環化体が得られることを見出した。 2.エステルカルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応を機軸とするザラゴジン酸Cの第二世代合成で得られた知見を基に、分子内にケトカルボニル基をもつα-ジアゾエステルのカルボニルイリド形成を経る1,3-双極付加環化反応を鍵反応とするザラゴジン酸炭素類縁体の合成を達成した。また、α-ジアゾケトンのカルボニルイリド形成を経る分子内1,3-双極付加環化反応を鍵反応とするポリガロリド類のコア構造構築を達成した。
  • カルシウムチャネル活性化物質ピンナトキシン類の全合成研究
    独立行政法人日本学術振興会:科学研究費補助金若手研究(B)
    研究期間 : 2004年 -2005年 
    代表者 : 中村 精一
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2002年 -2004年 
    代表者 : 橋本 俊一; 中村 精一; 穴田 仁洋; 中島 誠
     
    1.オルト位にベンジルオキシ基を持つフェニルジアゾ酢酸エステルの分子内C-H挿入反応において、トルエン中Rh_2(S-PTTL)_4を用いると、-78℃下反応が円滑に進行し、2,3-cis-置換ジヒドロベンゾフランが完璧なジアステレオ選択性並びに94%の不斉収率で得られることが分かった。また、α-ジアゾエステルを基質とする分子内C-H挿入反応では、cis-2-置換シクロペンタンカルボン酸エステルが完璧なジアステレオ選択性並びに97%の不斉収率で得られることを見出した。 2.芳香環不斉C-H挿入反応において、Rh_2(S-PTTL)_4のフタルイミド基ベンゼン環の四つの水素原子をフッ素原子で置換したRh_2(S-TFPTTL)_4がRh_2(S-PTTL)_4に比べ格段に高い反応性、エナンチオ選択性および触媒回転能(TON:98,000)を示すことが判明した。また、本錯体は(2-ニトロフェニルスルフオニルイミノ)フェニルヨーディナンをナイトレン前駆体とする不斉触媒反応において、シリルエノールエーテルを基質とした場合、最高不斉収率99%でα-アミノケトン誘導体が得られることが分かった。 3.カルボニルイリド形成を経る不斉1,3-双極付加環化反応において、電子求引性のアルデヒドあるいはアルキンを求双極子剤に用いると、最高97%の不斉収率が得られることが判明した。同時にカルボニルイリド前駆体となるジアゾ基質の種類によっても、その成否が大きく左右されることが分かった。また分子軌道計算(HOMO-LUMOエネルギー差と軌道係数)による予測が有効な反応系があることも判明した。
  • 2-アジド-2-デオキシ糖を用いるグリコシル化反応の開発とオリゴ糖鎖合成への展開
    独立行政法人日本学術振興会:科学研究費補助金若手研究(B)
    研究期間 : 2002年 -2003年 
    代表者 : 中村 精一
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2003年 
    代表者 : 橋本 俊一; 中村 精一; 中島 誠
     
    ザラゴジン酸類はMerck社及びGlaxo社により単離・構造決定された史上最強のスクアレン合成酵素阻害物質である。我々はこれまでに、カルボニルイリドの1,3-双極付加環化により得たビシクロ化合物から立体選択的ジヒドロキシル化反応等を経てコア部分を構築することに成功している。本年度は側鎖の伸張法の検討を行なった結果、クロスカップリング法としてオレフィンクロスメタセシスが唯一有効であることが分かった。この際、コア部分の二量体の生成は認められなかった。カップリング生成物の二重結合を還元後、C6位のベンジル基を除去して得られる化合物はCarreiraらの合成中間体であり、アシル側鎖導入と保護基の除去を経てザラゴジン酸Cの第二世代全合成を達成した。本合成法はコア部分を修飾した誘導体合成に適用可能な柔軟なものであり、現在コア部2位酸素原子を炭素原子で置き換えた誘導体合成に展開中である。 ピンナトキシンAは上村らにより単離・構造決定された両性イオン性大環状ポリエーテルであり、Ca^<2+>チャネル活性化作用を示す。我々は既に、二重ヘミケタール形成/分子内ヘテロMichael反応を用いるとジスピロケタール部が立体選択的に得られることを見い出し、BCDEF環部の立体選択的な合成を達成している。本年度はC7-C9位に相当する三炭素ユニットの導入及びG環構築を行なった。試行錯誤の結果、C7-C9位部分はフェニルプロパルギルスルフィドのリチウム塩を用いることで導入した。C31位のTBS基を除去してジエンへと変換し、α-メチレンラクトンとのDiels-Alder反応を行なったところ、望みとするエキソ付加生成物が若干優先して得られることが分かった。これにより全合成に必要な全ての炭素原子の導入及び不斉炭素の構築が完了したことになる。現在、全合成達成に向けた変換を検討中である。
  • 1,3-双極付加環化反応を利用したザラゴジン酸類縁体の第二世代合成法の開発
    独立行政法人日本学術振興会:科学研究費補助金奨励研究(A)
    研究期間 : 2000年 -2001年 
    代表者 : 中村 精一
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1999年 -2001年 
    代表者 : 橋本 俊一; 中村 精一; 中島 誠; 北垣 伸治
     
    原型配位子としてキラルなスピロビインダンビスホスファイト配位子,ビスオキサゾリン配位子およびN-オキシド配位子を設計・合成してその不斉触媒反応への応用を検討し,以下の成果を得た。1,キラルな2価ロジウム錯体を触媒とする二重不斉芳香環C-H挿入反応により鎖状化合物から一段階でキラルなスピロ化合物を合成する手法を開発した。本法を応用して新規ビスホスファイト配位子(1,1'-ビインダン-2,2'-ジイルテトラフェニルジホスファイト)を合成した。2,上記配位子が,パラジウムを触媒とする不斉アリル位置換反応及び不斉Pauson-Khand反応の配位子として有用であることを見出した。これは,自由度の大きなリン上のアリールオキシ基の配座を剛直なビインダン骨格が効果的に制限した結果である。3,不斉芳香環C-H挿入反応を用いて合成したキラルな新規ビスオキサゾリン配位子の銅錯体が,不斉Diels-Alder反応および不斉シクロプロパン化反応において高いエナンチオ選択性を与えることを見出した。これは今後の高性能ビスオキサゾリン配位子の設計に新たな指針を与えている。4,先に当研究室で開発したキラルN-オキシド(3,3'-ジメチル-2,2-ビキノリンN, N'-ジオキシド)が,ヨウ化カドミウムを触媒としたエノンに対するチオールの不斉共役付加反応及びスカンジウムトリフラートを触媒としたケトエステルの不斉Michael反応の配位子として,また,キラルN-オキシドが四塩化ケイ素によるmeso-エポキシドの不斉開環反応の触媒としても有用であることを見出した。これらは,有機合成化学における配位子としてのN-オキシドの新たな可能性を拓くものである。
  • 新規戦略に基づく糖脂質ガングリオシドの系統的大量合成法の開発
    独立行政法人日本学術振興会:科学研究費補助金奨励研究(A)
    研究期間 : 1998年 -1999年 
    代表者 : 中村 精一
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1996年 -1998年 
    代表者 : 橋本 俊一; 北垣 伸治; 中村 精一; 中島 誠; 渡辺 信英
     
    酸性あるいは塩基性条件に不安定な薬理活性物質あるいは医薬品に糖を結合するグリコシル化反応の開発研究を行なった。その結果、3価のリンであるホスファイトを脱離基として組み込んだ糖供与体を基盤とするグリコシル化反応が、極めて高い立体選択性のみならず極めて緩和な反応条件の設定を可能にすることが分かった。以下に具体的成果を記す。 1. 緩和な反応剤であるBF_3・OEt_2を用い-78℃下、2位の隣接基関与を伴わなう系において文献上知られる最も高い立体選択性で1,2-トランス-β-グリコシドを生成することを見いだした。さらに、2位の隣接基関与を伴わなう系においてもTMSOTfを用い-50℃下、1,2-トランス-β-グリコシドのみを高収率で与えることが分かった。 2. TMSOTfを用い-94℃下、抗がん性含糖抗生物質合成に不可欠な2-デオキ-β-グリコシドの直接的かつ立体選択的な構築を達成した。 3. TMSOTfを用い-50℃下、4,6-O-ベンジリデンアセタールで保護したマンノースを用いることにより、現在最も困難な課題とされる1,2-シス-β-マンノシドの直接構築に成功した。 4. ヨウ化2,6-ジ-tert-ブチルピリジニウム及びBu_4NIを反応剤として用いることにより、1,2-シス-α-グリコシドの立体選択的構築を達成した。さらに、本法を利用し、癌及び自己免疫疾患を防ぐNKT細胞を特異的に活性化する糖脂質α-ガラクトシルセラミドの効率的合成を達成した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1996年 -1996年 
    代表者 : 橋本 俊一; 北垣 伸治; 中村 精一; 中島 誠
     
    キラルなロジウム(II)錯体を用いる触媒的不斉炭素-炭素結合生成反応を経る骨格構築研究の一環として、本年度は分子間不斉シクロプロパン化反応を検討した。 ジアゾ酢酸エステルとスチレンとの不斉シクロプロパン化反応について、これまで用いてきたN-フタロイルアミノ酸を組み込んだロジウム(II)カルボキシラート錯体(例えば、Rh_2(S-PTPA)_4)が示す不斉収率は劣悪であった(不斉収率<5%)。この結果は中間に生成すると考えられるロジウム(II)カルベン錯体の反応性が高すぎることに起因すると考え、逆供与によるカルベン炭素の反応性の低下と立体選択性向上をねらいとしてロジウム(II)アミダ-ト錯体に切り替えて検討することにした。我々が設計・合成したロジウム(II)アミダ-ト錯体は、分子内不斉C-H挿入反応におけるエナンチオ選択性発現に不可欠であったフタルイミド基を立体制御因子として組み込んだロジウム(II)ピペリドナート錯体Rh_2(S-PTPI)_4である。本錯体を用いて塩化メチレン中ジアゾ酢酸エステルとスチレンのシクロプロパン化反応を行った結果、予期した通りRh_2(S-PTPA)_4を凌駕するエナンチオ選択性が得られ、特にdーメンチルエステルの場合に、ロジウム(II)錯体触媒を用いた反応としてはこれまで報告された中で最高値である89%の不斉収率を実現した。さらに、2.4-ジメチル-3ペンチルエステルを用いてエナンチオ選択性の改善を目指した結果、カルベン錯体の反応溶媒としては非常識とも考えられるエーテル系溶媒を用いた場合、意外なことに高いエナンチオ選択性が得られ、特にジエチルエーテルを用いた場合には不斉収率98%を実現することができた。現在のところ理由は不明であるが、ジエチルエーテルを用いると、エチル、t-ブチルエステルの場合にも不斉収率の顕著な向上が見られた。さらに、ジエチルエーテルを反応溶媒に設定しジアゾ酢酸2,4-ジメチル-3-ペンチルエステルと各種アルケンとの反応を検討した結果、一置換末端アルケンのみならず、二置換末端アルケンにおいても極めて高いエナンチオ選択性でスチレンの場合同様1S配置を有するシクロプロパン化合物が得られることが分かった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1995年 -1996年 
    代表者 : 橋本 俊一; 北垣 伸治; 中村 精一; 渡辺 信英; 中島 誠
     
    1.我々は現在までに含リン脱離基を基盤とし、高収率、高立体選択的且つ操作性に優れたグルコシル化反応を達成している。しかし、なおリン原子の修飾は多くの可能性を残している上に、対象とした糖の種類も少ない。そこで、糖の種類を広げると同時に、リン原子の修飾による新たな糖供与体の開発研究の一環として3価のリンであるホスファイトを脱離基とするグリコシル化反応を検討した。その結果、ジエチルホスファイトを脱離基として組み込んだ糖供与体を基盤とし、隣接基関与を伴う系はもとより伴わない系においても高立体選択的1,2-トランス-β-グリコシド構築を達成することができた。本法は、隣接基関与を伴わないグリコシル化反応としては文献上知られる最も高いβ-選択性を示す。さらに、脱離基としてのホスファイトの特徴を活かし、2-デオキシ-β-グリコシドの直載的構築法を開発することができた。 2.我々がこれまでに開発したジフェニルホスフィンイミダ-ト、ホスホロジアミドイミドチオアート、およびビス(ジメチルアミド)ホスファートを組み込んだ各糖供与体は、反応性の違いを反映して各々に特徴ある反応条件の設定を可能にする。実際、これらの脱離基を組み込んだ各糖供与体を駆使することにより、エーテル保護糖とアシル保護糖の反応性の差を利用した"armed/disarmed"糖供与体概念によるオリゴ糖鎖構築を達成したばかりではなく、ビス(ジメチルアミド)ホスファートを組み込んだ糖供与体を"disarmed"糖供与体に設定することにより各脱離基の反応性の差にも特徴を持たせた新しい展開に向けての見通しを立てることができた。
  • コレステロ-ル代謝調節機構の分子レベルでの解明を目指した新規プローブの合成研究
    独立行政法人日本学術振興会:科学研究費補助金奨励研究(A)
    研究期間 : 1995年 -1995年 
    代表者 : 中村 精一

委員歴

  • 2019年09月 - 現在   天然有機化合物討論会   世話人
  • 2020年04月 - 2024年03月   日本薬学会化学系薬学部会   学術・教育担当役員
  • 2019年02月 - 2021年01月   日本薬学会   代議員
  • 2018年10月 - 2019年09月   第27回国際複素環化学会議   組織委員
  • 2015年02月 - 2017年01月   日本化学会東海支部幹事・常任幹事
  • 2016年03月 - 2016年11月   化学フェスタ実行委員会委員
  • 2009年07月 - 2010年06月   第8回次世代を担う有機化学シンポジウム実行委員

社会貢献活動

  • 第15回高校化学グランドコンテスト一次審査・ポスター審査委員
    期間 : 2018年10月27日 - 2018年10月28日
    役割 : 運営参加・支援
    種別 : フェスティバル
    主催者・発行元 : 大阪市立大学、名古屋市立大学、横浜市立大学、読売新聞社
    イベント・番組・新聞雑誌名 : 第15回高校化学グランドコンテスト
  • 愛知県立半田高等学校大学・学部・学科研究会講師
    期間 : 2018年10月18日 - 2018年10月18日
    役割 : 講師
    種別 : 出前授業
    主催者・発行元 : 愛知県立半田高等学校
    イベント・番組・新聞雑誌名 : 大学・学部・学科研究会
  • 長野県飯田高等学校1、2学年大学模擬講義講師
    期間 : 2018年09月14日 - 2018年09月14日
    役割 : 講師
    種別 : 出前授業
    主催者・発行元 : 長野県飯田高等学校
    イベント・番組・新聞雑誌名 : 1、2学年大学模擬講義
  • 全国国公立・有名私大相談会2018個別相談員
    期間 : 2018年07月16日 - 2018年07月16日
    役割 : 情報提供
    種別 : その他
    主催者・発行元 : 朝日新聞社
    イベント・番組・新聞雑誌名 : 全国国公立・有名私大相談会2018
  • 2018進学ガイダンス特別セミナー講師
    期間 : 2018年05月19日 - 2018年05月19日
    役割 : 講師
    種別 : セミナー・ワークショップ
    主催者・発行元 : 岐阜新聞社
    イベント・番組・新聞雑誌名 : 2018進学ガイダンス

学術貢献活動

  • 市民公開講座の司会進行等企画・運営
    期間 : 2012年11月24日 - 2012年11月24日
    役割 : パネル司会・セッションチェア等
    主催者・責任者 : 名古屋市立大学
    薬友会館水野ホール、模擬薬局 市民公開講座の企画から当日の司会進行、校内見学の引率まで行った。

その他のリンク

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