古村 健 (フルムラ タケシ)
|
1.心理職としての基礎研修
2002年に愛知学院大学大学院を修了後、名古屋大学精神医学教室に入局し精神科心理2-1研修を行った。精神科研修中には大学病院精神科・親と子どもの心療科に加えて、総合病院精神科、精神科クリニック、大学学生相談、精神科病院での非常勤として予診、心理検査、心理療法、集団療法、デイケアを経験した。
2.臨床実務経験
2005年から国立病院機構東尾張病院にて常勤心理療法士として勤務し、医療観察法病棟で約10年間触法精神障害者の心理師支援に従事した。2015年4月からは、社会復帰科に所属し、医療観察法病棟での支援方法を一般精神医療に広げながら、精神科外来、デイケア、精神科急性期病棟、慢性閉鎖病棟において心理支援に従事した。
3.臨床研究活動
精神科病院では統合失調症をはじめとした重度精神障害者への心理支援が中心となったことから、認知行動的アプローチを学びはじめ、2012年からは東京大学大学院博士課程に所属し、命令幻聴への服従行動への認知的要因について研究した。2020年からは精神科リハビリテーション療法研究室長として、多職種と連携しながら研究業務の推進にも従事し、精神障害者のリカバリー支援・コミュニティづくりに取り組んだ。アプローチ方法としては、心理教育(よりよい生活のために)、メタ認知トレーニング(やわらかあたま教室)、ソーシャル・スキルズ・トレーニング(質問する力、気持ちの伝え方、あれこれ討論会)、アンガーマネジメント(気持ちと付き合う学習会)、クライシスプラン作り(注意サイン表)をそれぞれ実務に応じて応用しながら取り入れた。
4.教育活動
2019年から愛知県臨床心理士会の医療保健領域部会長として、心理職のスキルアップとネットワークづくりを促進するために研修会の企画運営に携わっている。また、愛知県精神保健福祉協会の広報研修部会として、愛知県内のこころの健康の保持増進に寄与する講演会や広報紙の作成に参画している。
2022年からは公認心理師実習指導者及び演習実習教員養成講習会事業に参画し、実習指導者の立場から「実習指導方法論Ⅱ」を担当している。2023年からは一般財団法人公認心理師試験研修センターの実務基礎研修保健医療分野ワーキングチーム委員として企画に参画し、有資格者向けの実務基礎研修の講師を担当している。
2024年10月から名古屋市立大学人間文化研究科臨床心理コースに着任し、臨床心理士・公認心理師の養成に携わっている。
公認心理師の養成にはいろいろな課題がある。今回は,現在の養成において最大の問題のひとつである現場実習に焦点を当てて考えたい。
公認心理師制度推進室からは,厚生労働省 令和元年度障害者総合福祉推進事業「公認心理師の養成や資質向上に向けた実習に関する調査」の結果などを踏まえて話題提供いただく。
また,公認心理師養成大学教員連絡協議会(公大協)の現場実習検討委員会では,実習についての詳細なアンケート調査をおこない,現場での問題点を洗い出し,現場実習マニュアルを作成した。マニュアルは,実習担当者用と実習者用のふたつに分かれている。一般社団法人公認心理師の会の会員にも意見を聞いて改訂した。このアンケート調査やマニュアルについて話題提供いただく。
続いて,現場実習を受け入れる現場の側からの意見と,現場実習を依頼する大学側からの意見について話題提供いただく。