研究者データベース

山村 寿男 (ヤマムラ ヒサオ)

  • 薬学研究科細胞分子薬効解析学分野 教授
メールアドレス: yamamuraphar.nagoya-cu.ac.jp
Last Updated :2025/10/25

研究者情報

学位

  • 博士(薬学)(名古屋市立大学)

ホームページURL

科研費研究者番号

  • 80398362

J-Global ID

研究キーワード

  • イオンチャネル   カルシウムシグナル   肺高血圧症   難病   創薬   血管リモデリング   血管平滑筋   動脈硬化   門脈圧亢進症   肝星細胞   

研究分野

  • ライフサイエンス / 医療薬学
  • ライフサイエンス / 薬理学
  • ライフサイエンス / 生理学
  • ライフサイエンス / 循環器内科学

経歴

  • 2018年04月 - 現在  名古屋市立大学大学院薬学研究科教授
  • 2012年04月 - 2018年03月  名古屋市立大学 大学院薬学研究科 准教授
  • 2009年04月 - 2012年03月  名古屋市立大学 大学院薬学研究科 講師
  • 2010年10月 - 2011年10月  イリノイ大学シカゴ校 医学部 客員研究員
  • 2007年04月 - 2009年03月  名古屋市立大学大学院薬学研究科助教
  • 2005年04月 - 2007年03月  名古屋市立大学 大学院薬学研究科 助手
  • 2002年04月 - 2005年03月  日本学術振興会 特別研究員(PD)

学歴

  • 1999年04月 - 2002年03月   名古屋市立大学大学院   薬学研究科   博士後期課程
  • 1997年04月 - 1999年03月   名古屋市立大学大学院   薬学研究科   博士前期課程
  • 1993年04月 - 1997年03月   名古屋市立大学   薬学部   製薬学科

所属学協会

  • 米国生理学会   日本平滑筋学会   日本循環薬理学会   日本生理学会   日本薬学会   日本薬理学会   

研究活動情報

論文

MISC

産業財産権

  • 特願2020-070003:肺動脈性肺高血圧症等の治療剤及びその利用  2020年04月08日
    山村寿男, 鈴木良明, 澤井優輝, 藤原萌園, 山村彩
  • 特願2016-214685:イオンチャネルに作用する化合物のスクリーニング用材料及びその利用(追加特許出願)  2016年11月01日
    今泉祐治, 山村寿男, 鈴木良明, 川崎桂輔, 成田寛
  • 特許第5884222号:イオンチャネルに作用する化合物のスクリーニング用材料及びその利用    2016年02月19日
    今泉祐治, 藤井将人, 大矢進, 山村寿男
  • 特願2020-007116:骨腫瘍の治療剤及び骨腫瘍等の治療のためのイオンチャネル作用薬の評価方法  
    今泉祐治, 大矢進, 山村寿男, 鈴木良明, 山村英斗, 清水孝恒, 佐谷秀行

受賞

  • 2023年03月 日本薬学会 学術振興賞
  • 2013年 日本薬理学会 学術奨励賞
  • 2001年 大幸財団 学芸奨励生

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2025年04月 -2028年03月 
    代表者 : 山村 寿男; 正木 彩子; 近藤 るびい; 山村 彩
  • 肺動脈性肺高血圧症に対する抗体医薬の探索
    国立研究開発法人日本医療研究開発機構 創薬ブースター
    研究期間 : 2022年04月 -2026年03月 
    代表者 : 山村寿男; 山村彩
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 山村 寿男; 中山 貴文; 正木 彩子; 近藤 るびい; 山村 彩
     
    肺動脈性肺高血圧症は肺血管の攣縮やリモデリングによって起こる難病である。その5年生存率は選択的治療薬の開発により改善しているが、根治治療には至っていない。そのため、新たな作用メカニズムを有する治療薬の開発が期待されている。本研究課題では、イオンチャネルに着目し、肺動脈性肺高血圧症の病態解明と標的創薬を目指した。 肺動脈性肺高血圧症患者由来の肺動脈平滑筋細胞において、2ポアドメイン型カリウムチャネルKCNK1とKCNK2の発現亢進を見出した。肺高血圧症細胞の増殖や遊走の亢進は、KCNKチャネル阻害薬(キニーネやテトラペンチルアンモニウム)によって抑制された。また、KCNK1やKCNK2チャネルのsiRNAノックダウンによっても阻害された。以上の結果、KCNK1とKCNK2チャネルの発現増加が、肺血管リモデリングを促進していることが示唆された。 昨年度、バナバ葉に含まれるコロソリン酸が、モノクロタリン誘発性肺高血圧症ラットの病態を改善することを報告したが、その分子機構は不明であった。肺高血圧症ラットにおいて、コロソリン酸はリモデリングした肺動脈の周囲のマクロファージの集積を抑制した。肺高血圧症細胞において、コロソリン酸は血小板由来増殖因子によって誘導される細胞増殖や遊走を抑制した。コロソリン酸は、血小板由来増殖因子受容体βやその関連シグナル(STAT3やNF-κB)の発現や活性を減少させた。以上より、マクロファージや肺動脈平滑筋細胞において、コロソリン酸は血小板由来増殖因子~血小板由来増殖因子受容体β~STAT3/NF-κBシグナルを減弱させた結果、肺血管リモデリングを改善することが示唆された。 本研究成果は、肺動脈性肺高血圧症の病態機構の解明や標的創薬(イオンチャネル創薬)につながる有益な知見である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 山村 寿男; 中山 貴文; 正木 彩子; 近藤 るびい; 山村 彩
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2019年04月 -2023年03月 
    代表者 : 山崎 大樹; 山村 寿男
     
    心臓特異的Creを常時発現しているマウスを導入し、解析を進めた。浸透圧ポンプ(Alzet)により高濃度イソプロテレノール(60 mg/kg/day)を2週間負荷した際、心肥大(心重量/体重)およびマッソントリクローム染色による心線維化の傾向が観察された。しかしながら、個体によるバラツキが大きく詳細な解析を行うには至っていない。 アントラサイクリン系抗ガン剤であるドキソルビシンはマウスへの腹腔内投与によって心収縮障害を引き起こすことが知られている。そこで、野生型および心臓特異的TRIC-B欠損マウスにドキソルビシンを投与した際に、両マウスに顕著な差が生じるかどうかを検討した。しかしながら、組織重量やマウスの生存等に差は見出すことが出来なかった。 また、長期間飼育した際、30週齢を超えたあたりから心臓特異的TRIC-B欠損マウスでのみ死亡するケースが散見された。雄マウスの場合には、30-60週齢にて死亡し個体間の差が大きい印象である。一方で雌マウスの場合には、30-40週齢にて死亡していた。引き続き、生存率を解析するとともに死亡する原因を究明するため、心臓、肝臓、肺等の組織学的解析を進めている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2019年04月 -2023年03月 
    代表者 : 稲垣 彰; 鵜川 眞也; 山村 寿男; 関谷 真二
     
    カルシウム感知受容体(calcium sensing receptor, CaSR)の内耳における機能解析を目的とした研究であり、そのため、引き続き、遺伝子の機能解析にとって強力な手法であるノックアウトマウスの作成を試みている。CaSRのノックアウトによりカルシウムの代謝異常のため、体制致死になるという既報告に基づき、機能解析には副甲状腺ホルモンも同時にノックアウトするダブルノックアウトマウスを、Crisper技術を用いて作成を試みている。しかし、ダブルノックアウトマウスの作成には困難があり、現在もまだ、解析に利用可能なマウスは得られていない。 このような経過から、同時に以前我々のグループが発表した薬理学的な方法による機能低下についても検討を行っている。以前の報告では、ラット内耳にCaSRの拮抗薬を注入することで聴力への影響が観察された(Minakata T, Inagaki A et al., Front Mol Neurosci. 2019)。これは内リンパ液で低く抑えられるカルシウムイオンの濃度調節が聴力において強い影響を持つこと示すデータであるが、次の段階を見据え、本知見のさらなる臨床応用を目指して、鼓室内にCaSRの拮抗薬と同様にベンゼン環を有するステロイド剤(プレドニゾロン)投与し組織移行性を検討する臨床試験法に基づく臨床研究を立案し、実施した。タンデムマススペック法を用いた移行濃度の測定の予備実験では組織移行性について良好な結果を示唆する結果が得られ、現在結果の詳細な解析、統計処理などを行っている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2018年10月 -2023年03月 
    代表者 : 今泉 祐治; 大矢 進; 山村 寿男; 鈴木 良明; 鬼頭 宏彰
     
    1,IL-10/IL-17Aを産生する制御性T細胞は、炎症性腸疾患(IBD)のような自己免疫疾患の発症・増悪の抑制に関与することが知られている。我々はIBDモデルマウスやin vitroで誘導した制御性T細胞において、Ca2+活性化K+チャネル(KCa3.1)阻害薬がBlimp1、E4BP4、KLF4といったIL-10/IL-17Aの転写制御因子の発現が亢進することで、IL-10/IL-17A発現を亢進させることを明らかにした。(Ohya et al., 2021)。さらに、JNK阻害薬がKCa3.1阻害によるIL-10発現上昇を抑制することと、KCa3.1阻害薬がリン酸化JNKおよびc-Junの発現を上昇させることを見出した。これにより、JNK/c-Junシグナルが、制御性T細胞におけるKCa3.1阻害誘導性のIL-10発現亢進に関与することを明らかにした (Matsui et al, 2022)。 2,敗血症では、炎症反応による骨芽細胞障害を介したIL-7産生抑制が免疫細胞数の減少を引き起こす。我々は、マウス骨芽細胞株MC3T3-E1の骨芽細胞分化に内向き整流性K+チャネルKir2.1の機能亢進が重要な役割を果たすことを明らかにした。さらに、miR-106p-5pの発現減少がKir2.1の発現上昇に寄与することが明らかとなった。現在、慢性炎症時におけるKir2.1やmiRNAの発現活性変化と骨芽細胞機能との関連について検討中である。 3,血管に対する持続的なストレス負荷が興奮転写連関を介してケモカインなど白血球集積を引き起こす分子の遺伝子発現の転写を引き起こすことを明らかにした。これにより、マクロファージが血管壁に集積して慢性炎症が引き起こされることで、血管リモデリングが引き起こされることを見出した(Suzuki et al, 2022)。 4,門脈圧亢進症モデルマウスの門脈平滑筋細胞では、アンジオテンシンⅡのはたらきによりTMEM16Aの発現が減少して、自発運動に異常が生じることを明らかにした(Kondo et al, 2022)
  • 肺高血圧症に関与するカルシウム関連イオンチャネルの機能解析と創薬
    基盤研究(C)
    研究期間 : 2019年04月 -2022年03月 
    代表者 : 山村 寿男
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年04月 -2019年03月 
    代表者 : 山崎 大樹; 後藤 元人; 高橋 利一; 山本 伸一郎; 山村 寿男
     
    本研究では、肺胞形成不全により呼吸困難で出生直後に死亡してしまうコンベンショナルTRIC-B欠損マウスに代わり、各種細胞特異的(コンディショナル)TRIC-B欠損マウスを作製し、TRIC-Bの機能的役割の解明を目指した。特に心臓でのTRIC-Bの機能解明を目指して心臓特異的TRIC-B欠損マウスの作製を行った。また、マウスTric-b欠損ES細胞を作製してニューロスフェア法による中枢神経系細胞系譜への分化誘導を行った。タモキシフェン処置による心臓特異的TRIC-Bの発現低下が観察された。また、TRIC-B欠損が中枢神経系細胞系譜への分化過程に寄与している可能性を示した。
  • ミトフュージンを中核とした細胞内酸素およびカルシウム制御機構の解明
    新学術領域研究(研究領域提案型)
    研究期間 : 2017年04月 -2019年03月 
    代表者 : 山村 寿男
  • 門脈圧亢進症に関与するTMEM16チャネルの発現および機能解析
    基盤研究(C)
    研究期間 : 2016年04月 -2019年03月 
    代表者 : 山村 寿男
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年04月 -2018年03月 
    代表者 : 今泉 祐治; 山村 寿男; 鈴木 良明
     
    本研究では、イオンチャネル標的創薬のための大規模高効率探索法の開発・実用化を目的とした。申請者らが独自に確立した独自のセルベースアッセイ系「1発の活動電位発生により確実に死ぬ細胞(PCT/JP2011/064967)」に対して、低濃度Ba2+を投与することで活動電位をより簡便に誘発する手法を開発した(特願2016-214685)。創薬標的チャネルとして様々な疾患発症に関わる2ポアドメインK+(K2P)チャネルを選択した。K2Pチャネルを上述の細胞に発現させたところ、K2Pチャネルの活性変化を細胞の生死で測定することに成功した。化合物ライブラリーを用いたスクリーニングを進行中である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2014年04月 -2018年03月 
    代表者 : 今泉 祐治; 山村 寿男; 鈴木 良明; 樋口 恒彦; 浅井 清文; 広野 修一
     
    非興奮性細胞(軟骨細胞や血管内皮細胞など)において、Ca2+活性化K+(KCa)チャネルやストア作動性Ca2+(SOC)チャネルなどが正帰還Ca2+制御機構の中心的分子として機能し、各種刺激応答や病態形成に関与することを明らかにした。軟骨細胞では大コンダクタンスCa2+活性化K+チャネルチャネルやCa2+遊離活性化Ca2+チャネル(Orai1、Orai2)、ClC-3、ClC-7の発現変動がOA病態の形成に関与しうることを明らかにした。脳血管内皮細胞では低酸素刺激により、Kir2.1発現上昇→正帰還機構の亢進→細胞増殖の促進、という反応が起こり血液脳関門の崩壊機構の一端を担うことが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2014年04月 -2016年03月 
    代表者 : 今泉 祐治; 山村 寿男; 鈴木 良明
     
    本研究課題では、イオンチャネル標的創薬のための革新的探索方法の開発を目的とした。本課題の研究成果は以下の通りである。 (1)HEK293細胞にKir2.1と変異型Nav1.5を定常発現させ、刺激による1発の活動電位発生により細胞死が引き起こされる細胞(新規作成細胞)を樹立し、維持法を確立した。さらに創薬標的候補となるイオンチャネルを発現させ、複数の作用薬を用いて細胞死測定による高効率探索が可能か試験的に評価したところ、パッチクランプに匹敵する精度の容量作用曲線が得られた。 (2)新規作成細胞を新規高効率スクリーニングシステムへ応用展開するため、96穴プレートで同時に電気刺激する装置を開発した。
  • カルシウム活性化クロライドチャネルTMEM16の新規修飾サブユニットの同定
    基盤研究(C)
    研究期間 : 2013年04月 -2016年03月 
    代表者 : 山村 寿男
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2011年11月 -2014年03月 
    代表者 : 今泉 祐治; 大矢 進; 山村 寿男; 樋口 恒彦; 浅井 清文; 広野 修一
     
    非興奮性細胞(血管内皮、リンパ球、軟骨、気道上皮等)において、Ca2+活性化K+(KCa)チャネルやストア作動性Ca2+(SOC)チャネルが正帰還Ca2+制御機構の中心分子として機能し、各種刺激応答や病態形成に関与することを明らかにした。脳血管内皮細胞や軟骨細胞において、CRACチャネルがSOCチャネルの分子実体であり、細胞増殖を制御することが判明した。炎症疾患モデル動物由来リンパ球においては、中コンダクタンスKCaチャネルの発現変化と病態の関連を明らかにした。また、気道繊毛細胞では、ATP感受性K+チャネルが正帰還機構に関与し、繊毛運動を増強させて気道クリアランスを亢進させることが判明した。
  • 日本学術振興会:若手研究(B)
    研究期間 : 2011年04月 -2013年03月 
    代表者 : 山村 寿男
     
    本研究では、全反射蛍光顕微鏡を用いて、 カルシウムマイクロドメインに集積する分子群を可視化解析し、このような複合体を安定化させる足場構造の同定を目指した。その結果、大コンダクタンスカルシウム活性化カリウムチャネルの分子動態は、細胞骨格やラフト構造によって抑制的に制御されていることが示された。本研究成果は、血管平滑筋の興奮性を規定するカルシウムマイクロドメインの生理的意義の解明につながると考えられる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2011年 -2012年 
    代表者 : 今泉 祐治; 大矢 進; 山村 寿男
     
    単純でありながら効率の高いイオンチャネル標的創薬スクリーニング系を創成するため、遺伝子改変イオンチャネルを発現させた1発の活動電位発生により細胞死が引き起こされる細胞を作成した。電位依存性 Na^+チャネル Kv1.5 の極めて遅い不活性化を示す点変異型 Na^+チャネルと内向き整流性 K^+チャネル(Kir2.1)を定常発現させた HEK293 細胞(基準細胞)を作成した。この細胞に電気刺激を加えると非常に長い活動電位が発生し細胞死をもたらした。さらに創薬標的となるイオンチャネル、特に再分極電流を発生する K^+イオンチャネルもこの細胞に定常発現させると、活動電位幅が短縮され細胞死は抑制された。標的チャネルの阻害薬存在下で刺激すると、阻害薬用量依存的に活動電位持続時間が延長され細胞死の確率が上昇した。本スクリーニング系は簡便な系であるにも関わらす、定量的なスクリーニングが可能であり、実用化が期待される。
  • 日本学術振興会:若手研究(B)
    研究期間 : 2009年04月 -2011年03月 
    代表者 : 山村 寿男
     
    各種臓器を形成する平滑筋にカルシウム過負荷が生じているような病態(高血圧・気管支喘息・緊張性膀胱など)においては、その細胞内で局所的なカルシウム濃度の上昇、いわゆるカルシウムスパークが頻発している。本研究によって、カルシウムスパークドメインを構成する基盤分子群の空間的位置関係を全反射蛍光顕微鏡を活用して一分子可視化解析したことは、平滑筋生理機構の解明に重要な知見を与えると考えられる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2008年 -2010年 
    代表者 : 今泉 祐治; 大矢 進; 山村 寿男; 浅井 清文; 樋口 恒彦
     
    軟骨細胞、血管内皮細胞、Tリンパ球などの非興奮性細胞においてCa^<2+>活性化K^<+>チャネル(BK, IK, SK)の機能発現が刺激応答における持続性細胞内Ca^<2+>濃度上昇に大きく貢献していることを明らかにした。その機序として細胞内Ca^<2+>濃度上昇により活性化された同チャネルが、過分極を誘発することにより、非選択性陽イオンチャネルの電気的駆動力を増加させ、容量依存性Ca^<2+>流入を増加させるという正帰還Ca^<2+>制御機構への寄与が重要であることを証明した。
  • 日本学術振興会:若手研究(B)
    研究期間 : 2007年04月 -2009年03月 
    代表者 : 山村 寿男
     
    大コンダクタンスCa2+活性化K+(BK)チャネル開口薬は、高血圧や気管支喘息、緊張性膀胱、脳血管循環の改善に有効である。一方、中枢BK チャネルは、創薬の標的としては発展途上である。本研究では、全反射蛍光顕微鏡を利用して、生細胞膜表面に発現するBKチャネルをナノ分子画像解析した。本研究成果は、BK チャネルの生理機能の発揮やイオンチャネル創薬を目指す上で、非常に有益な情報を提供し得ると考えられる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2008年 -2009年 
    代表者 : 今泉 祐治; 大矢 進; 山村 寿男
     
    細胞膜上でイオンチャネルは他分子と特定の分子複合体(トランスポートソーム)を形成して、初めて正常な生体内機能を果たしている場合の多いことが明らかになりつつある。本研究は、平滑筋、およびペースメーカー細胞としての間質系カハール細胞、非興奮性細胞としての軟骨細胞におけるCa^<2+>活性化K^+チャネル(BKチャネルなど)とその他の細胞膜上のイオンチャネルやトランスポーターやカベオリン、更には小胞体膜上のリアノジン受容体との分子間連関の可能性とトランスポートソームの実体を一分子可視化法により明らかにすることを、目的としている。蛍光タンパクでラベルされたこれら分子の遺伝子を上記細胞に導入・発現させ、全反射顕微鏡で可視化するとともに、その機能を電気生理学的に解析した。 (1) リアノジン受容体とBKチャネルの機能連関を可視化するとともに、男性ホルモンによる発現調節機構を明らかにした(J Pharmacol Sci, 2009)。 (2) 軟骨細胞由来の培養細胞において、細胞内Ca2+濃度制御機構において、非選択的陽イオンチャネルとの機能連関により、BKチャネルなどのCa^<2+>活性化K^+チャネルが重要な役割を果たしていることを明らかにした(Am J Physiol, 2010)。またCl^-チャネルとの機能連関を明らかにした(J Pharmacol Sci, 2010) (3) Na^+-Ca^<2+>交換体を高発現したマウス膀胱平滑筋において、その生理機能を明らかにした。(J Pharmacol Sci, 2010)
  • 日本学術振興会:若手研究(B)
    研究期間 : 2005年04月 -2007年03月 
    代表者 : 山村 寿男
     
    デジェネリン遺伝子ファミリーは、陽イオンチャネルの特徴を示し、線虫からヒトに至るまで幅広い種間で保存された領域を有している。その機能は、機械受容、ペプチド感受性チャネル、プロトンチャネル、酸味受容体、アシドーシスにおける痛覚受容など多岐にわたっている。このファミリーに属するアミロライド感受性上皮型ナトリウムチャネル(ENaC)群は、4種類のサブユニット(α、β、γ、δ)から構成されているが、中枢神経型であるENaCδの機能は、これまで不明であった。このイオンチャネルは、ヒトおよびチンパンジーでしか見出されていないため、進化の過程において霊長類のみが獲得した稀有な遺伝子である可能性が高いと推測される。我々は、このイオンチャネル遺伝子が、ヒト脳内でpHセンサーとして機能していることを以前に報告した。さらに、このイオンチャネルに選択的な作用薬と阻害薬を複数見出すことにも成功した。今年度は、報告されているENaCδ遺伝子と同等の発現量を有するスプライスバリアントをヒト脳よりクローニングして、既存の遺伝子をδ1サブユニット、新規スプライスバリアントをδ2サブユニットとして報告した。この両者において、生理的及び薬理的機能に違いはなかった。その他、このイオンチャネルファミリーに相互作用する細胞内タンパクの機能解析、感覚受容に関連するイオンチャネルの発現分布解析や、ENaCと同様に高血圧に深い関連を示すイオンチャネルの生理学的及び薬理学的検討も行った。以上の研究成果は、ENaCの生体内機能の解明とその関連疾患に向けた創薬につながる興味深い知見を提供できるものであると考えられる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 今泉 祐治; 大矢 進; 山村 寿男; 村木 克彦
     
    <細胞内CAa^<2+>信号の電気信号への変換機構におけるトランスポートソーム機能と構造実体の解析>2型リアノジン受容体(RyR2)異型接合性欠損マウス膀胱平滑筋を用いてRyR2の寄与を明らかにした。膀胱平滑筋においてRyR2を介した自発Ca^<2+>遊離(Ca^<2+>spark)の発生とそのCa^<2+>信号をSTOCsという電気信号に変換するトランスポートソーム機能は,尿貯留・排泄調節という膀胱機能発現において根源的な果たす役割を果たすことが示され,当該トランスポートソームの実体はカベオラ構造内に存在することが強く示唆された。さらにこのような信号機構がカハール間質細胞において生じ,ペースメーカー電位発生の根源となっている可能性を再構築系を用いて明らかにした。 <大コンダクタンスCa^<2+>活性化K^+(BK)チャネルのβサブユニット特異的開口物質の発見>電位感受性蛍光色素のDiBAC_4(3)および関連オキソノール色素にBKチャネルβ1およびβ4サブユニット選択性(β2には無効)を有するBKチャネル開口作用があることを発見し,創薬の可能性を示した。 <一分子可視化によるCa^<2+>信号から電気信号への変換トランスポートソームの機能解析>トランスポートソームにおけるCa^<2+>信号から電気信号への変換に関する分子機構解明における新たな手法として一分子レベルでの可視化技術を導入した。全反射蛍光顕微鏡とホールセルクランプ法の併用により,電位固定化で細胞膜直下200nm以内でのナノスケールの蛍光分子動態が測定可能となった。また記録電極からCa^<2+>蛍光色素Fluo4を細胞内に導入し,脱分極刺激時の膜直下の局所Ca^<2+>濃度変化をナノスケールで計測することが可能となった。この方法を用いて電位固定化でのチャネルを中心としたトランスポートソーム機能の定量的ナノイメージング解析を行った。トランスポートソームの信号変換分子機構を解明する上で一分子可視化技術は画期的な技術となる可能性を示した.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2007年 
    代表者 : 今泉 祐治; 大矢 進; 山村 寿男; 戸苅 彰史
     
    脳神経等の興奮性細胞では、強い刺激と興奮により細胞にCa^<2+>負荷が生じた場合、自己防衛的にスパイク発生頻度を減じてCa^<2+>過負荷による細胞障害を回避するシステムが存在する。特にCa^<2+>活性化K^+チャネルはその活性化により、過分極を介して電位依存性Ca^<2+>チャネル活性を低下させるため、多くの興奮性細胞において最も基本的な[Ca^<2+>]_i負帰還調節機構を担う重要な分子と認識されている。本研究はCa^<2+>活性化K^+チャネルの分子制御機構の解明を基盤とした創薬研究を目的としている。研究期間内に以下の事柄を明らかにした。(1)脳血管内皮細胞に発現している小コンダクタンスCa^<2+>依存性K^+(SK)チャネルがアストロサイトなどから遊離されたATP刺激による内皮細胞増殖促進機構において、極めて重要な機能を果たしていることを発見し、創薬ターゲットとしての可能性を示した(JBC,2006)(J Pharmacol Sci,104,2007)。(2)型リアノジン受容体(RyR2)異型接合性欠損マウス膀胱平滑筋を用いて、[Ca^<2+>]_i負帰還調節機構へのRyR2と大コンダクタンスCa^<2+>活性化K^+(BK)チャネルの寄与を明らかにし、尿貯留・排泄調節という膀胱機能発現において生理的に重要であることを示した(J Physiol,2007;J Pharmacol Sci,103,2007)。(3)電位感受性蛍光色素として創薬探索に汎用されているオキソノール化合物がβ1サブユニット選択的なBKチャネル開口作用を有することを発見し、BKチャネルβサブユニット選択性のある初めての化合物として創薬シーズの可能性を示した(Mol Pharmacol,2007)。(4)本態性高血圧症モデルラット(SHR)の大血管において細胞外液酸性の状態で収縮が著しく増強されることが知られていたが、高血圧の補償として発現促進されたBKチャネル機能更新と酸性時に活性が抑制される特有の機構が主な原因であることを見出した(Am J physiol,2007)。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2006年 
    代表者 : 今泉 祐治; 大矢 進; 山村 寿男
     
    全反射蛍光顕微鏡を利用して、生きた細胞内で機能している細胞内小器官、特に小胞体の膜上に存在する特定の蛋白質(特にはリアノジンCa^<2+>遊離チャネル)のリアルタイムでの機能を一分子可視化法により、解明することを試みた。さらにその技術を一般化し、その他の小胞体上の蛋白質、あるいはその他のオルガネラ(ミトコンドリアなど)の膜表面蛋白を一分子可視化し、その機能解析に新分野を切り開くための端緒とするべく検討した。 (1)膜電位固定下で平滑筋細胞膜上の1分子のまたは凝集した分子群のCa^<2+>チャネルが脱分極で開口することにより、細胞膜直下の筋小胞体からのリアノジン受容体を介したCa^<2+>遊離を可視化することに成功した(07年日本薬理学会年会発表;論文投稿準備中)。 (2)YFPでラベルされた2および3型リアノジン受容体をHEK293細胞に発現させ、リアノジン受容体開口による自発的Ca^<2+>遊離現象を一分子可視化することを試行している。 (3)CFPラベルされた大コンダクタンスCa^<2+>活性化K^+チャネルをHEK293細胞に発現させ、機能的クラスター形成の過程を一分子可視化法により明らかにした。また(2)と同時に発現させることにより両分子の機能連関の可視化を検討している。
  • 日本学術振興会:特別研究員奨励費
    研究期間 : 2002年04月 -2005年03月 
    代表者 : 山村 寿男
     
    デジェネリン遺伝子ファミリーは陽イオンチャネルの特徴を示し、線虫からヒトに至るまで幅広い種間で保存された領域を有している。その機能は、機械受容・ペプチド感受性チャネル・プロトンチャネル・酸味受容体・アシドーシスにおける痛覚受容など多岐にわたる。このファミリーに属するアミロライド感受性上皮型Na^+チャネル(ENaC)として4種類のサブユニット(α、β、γ、δ)が同定されているが、中枢神経型ENaCδの機能は不明である。現在のところ、ENaCδ遺伝子はヒトおよびチンパンジーでしか見出されていないため、進化の過程において霊長類のみが獲得した稀有な遺伝子である可能性が高い。前年度までの成果で、ENaCδは、小脳や海馬等を含めたヒト脳に広く分布し、心臓・腎臓・膵臓にも高発現していることを示した。さらに、細胞外pHの低下によって、ENaCδが活性化されることを明らかにした。本年度は、ENaCδに作用する化合物の検索を目標とした。スクリーニングは、ヒトENaCδをアフリカツメガエル卵母細胞に発現させた構築系で行った。数十種類の化合物を探索した結果、合成化合物であるカプサゼピンがENaCδを活性化することを明らかにした。カプサゼピンは、ENaCの他のサブユニットには作用しなかったので、ENaCδ選択的アゴニストとして報告した。現在のところ、ENaCδがヒト脳内のpHセンサーとして機能していると報告した以外にはほとんど明らかになっていないENaCδの生体内機能を解明する上で、カプサゼピンは、非常に有益な化合物であると考えられる。

委員歴

  • American Journal of Physiology Cell Physiology   Editorial Board
  • 日本薬学会薬理系薬学部会   常任世話人
  • Journal of Smooth Muscle Research   編集委員
  • 日本平滑筋学会   理事, 評議員
  • 日本薬理学会   常置委員, 代議員, 学術評議員
  • Frontiers in Pharmacology   Reviewing Editor
  • Frontiers in Physiology   Associate Editor
  • Journal of Pharmacological Sciences編集委員

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