日本学術振興会:科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
研究期間 : 2020年04月 -2023年03月
代表者 : 藤井 幹大
令和3年度は,異方的粘性項を持つNavier-Stokes方程式,Hall-MHD方程式および圧縮性回転Navier-Stokes方程式について研究した.
異方的粘性項を持つNavier-Stokes方程式は3次元非圧縮性Navier-Stokes方程式において,その粘性項のLaplacianを水平方向の成分のみからなる2次元Laplacianとしたものである.この方程式の適切性の研究は20年ほど前に創始され,多くの研究結果が存在する.一方で時間大域解の時刻無限大での漸近挙動に関する研究はあまりみられなかった.本研究では,粘性項の異方性が解の長時間挙動に与える影響を定性的に明らかにすることを目標とし研究を行った.そして,解の水平成分は2次元の熱核と同一の時間減衰率を示し,解の鉛直成分は3次元の熱核と同じ時間減衰率持つという結果を得た.特に解の時刻無限大における漸近展開を行うと,その水平成分の主要部に非線形性が現れることが明らかとなった.
次に,Hall-MHD方程式を定磁場周りで考察した.空間遠方の定磁場の呈する分散性を制御するためにFourier-Besov空間を用いて尺度不変な枠組みで時間大域的適切性を証明した.本研究では低周波部分の評価の改善や線型解の具体的な解公式の導出に成功したことで,先行研究で知られていた結果を適切性が保証される関数空間のクラスの観点で大幅に改善することができた.本研究は中里亮介氏(早稲田大学)との共同研究に基づく.
さらに,圧縮性回転Navier-Stokes方程式を考察した.特に回転と音波による分散性について臨界Besov空間における解析を行い,任意の有限時刻と臨界Besov空間に属する任意の初期値に対して,回転速度を十分大きくかつマッハ数を十分小さくとると,与えられた有限時刻までの解が一意的に存在することを証明した.本研究は渡邊圭市氏(早稲田大学)との共同研究である.