日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2020年04月 -2024年03月
代表者 : 吉田 敦彦; 森岡 次郎; 池田 華子; 西村 拓生; 永田 佳之; 河野 桃子; 孫 美幸; 曽我 幸代; 青木 芳恵; 福若 眞人
本年度の研究は、昨年度に引き続き、「オルタナティブな教育」と「教育のオルタナティブ」に関するホリスティック教育学の枠組みによる研究を通して、「ホリスティック教育/ケア学」という新たな学的領域を構築する基盤を得ることを目的とした。
【課題A】Ⅰ「オルタナティブな教育」に関する従前の研究(1.「オルタナティブ」の3つの意味合い、2.オルタナティブ教育の法制化をめぐる動向、3.シュタイナー教育のホリスティックな人間観と教育観、4.ブーバー対話哲学とシュタイナー学校の教育現実)を、「別様の可能性からの問いかけ」という観点から再構成し、またⅡ「教育のオルタナティブ」に関する従前の研究(1.教育のパラドクスから「もうひとつの世界」へ、2.教育的日常のなかに働くスピリチュアリティ、3.別様の他者との「対話」の(不)可能性、4.人類史的な問いとしての「ケア」)を、「超越性をめぐる問い」という観点から再編して、単著書『教育のオルタナティブ:〈ホリスティック教育/ケア〉研究のために』(せせらぎ出版、2022年3月)のⅡ部8章として集成し、公刊した。ここに、〈ホリスティック教育/ケア〉に関する原理的研究が踏まえるべきオルタナティブ教育の展開に関する基盤的研究を完了した。
【課題B】上記を踏まえた〈ホリスティック教育/ケア〉に関する研究を構想するために、研究分担者各自の課題意識を共有し、今後の研究深化に関する研究討議(オンライン開催3回)を行った。それらの成果として、上掲の単著書の結章「〈ホリスティック教育/ケア〉研究のために」において、「ケアと教育の相即:生の全体性に根ざした教育/ケアEdu-care」「ホリスティックな全体性と超越性:オルタナティブ性を媒介して」「〈ホリスティック教育/ケア〉研究の現代的意義」を明らかにした。