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朝光 かおり (アサミツ カオリ)

  • 医学研究科認知症科学分野 講師
Last Updated :2024/07/05

研究者情報

学位

  • 名古屋市立大学医学研究科/博士(医学)

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J-Global ID

研究キーワード

  • 阻害剤   HIV   NF-κB   

研究分野

  • ライフサイエンス / 遺伝学

所属学協会

  • 日本分子生物学会   日本ウイルス学会   日本エイズ学会   日本生化学会   

研究活動情報

論文

講演・口頭発表等

  • HIV-1 Tat とCycT1の相互作用解析  [通常講演]
    第35回日本分子生物学会年会 2012年

MISC

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2017年04月 -2021年03月 
    代表者 : 朝光 かおり; 岡本 尚
     
    ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症/AIDSは、いまだに世界中で約3670万人を苦しめている感染症である。研究者の努力により治療法は急速に確立されたものの、耐性ウイルスの出現や重篤な副作用の出現、潜伏感染には無力であることなど、未だ解決すべき課題が多く残されている。これらの課題を克服する新規治療薬として期待されているのが、HIV転写過程を標的とした阻害剤である。 HIV転写過程とは、HIVプロウイルスからウイルスRNAが産生される過程である。本過程はウイルス産生がみられない潜伏感染状態からHIVの転写活性化を引き起こす初期過程と、爆発的なHIV遺伝子の転写誘導が起こる後期過程に分けられる。HIV転写初期過程は、宿主の転写因子群の活性のバランスによって制御されている。その主なものの一つに、転写因子NFκBの活性制御が挙げられる。また、HIV転写後期過程は、主にTatとそのコファクターである転写伸長因子P-TEFb(CDK9とcyclin T1の複合体)によって担われており、HIV 転写活性化時には、Tat/P-TEFb複合体が形成されることが必須である。 我々の研究目的は、これら2つの転写過程について、メジャーな役割を担う機能分子の活性制御機構を詳細に検討し、最終的には創薬の基盤となる情報を見出すことである。現在まで、Tat/P-TEFb立体構造を用いたMD解析から、①CDK9のポケット構造を標的とした阻害剤②複合体形成に重要なTatとCDK9のアミノ酸残基、を見出している。更に、HIV転写活性を正に制御する新規NFκB相互作用分子NSRP1を見出し、その機能メカニズムについて検討を行っている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 岡本 尚; 朝光 かおり
     
    本研究計画では、分子レベルでHIVの転写制御機構を明らかにし、新たな治療戦略を探った。当該研究の中で、HIV特異的転写活性化因子TatがHIV転写を特異的に活性化する分子機構を探求し、Tatと宿主因子Cyclin T1(CycT1)の結合様式の詳細を明らかにした。我々は、近年解明され公開されたTat、CycT1およびP-TEFbの触媒サブユニットであるCdk9、との蛋白分子複合体の3次元立体構造の情報を用いてTatとCycT1の分子間相互作用をそれぞれの分子上のアミノ酸残基およびその側鎖の原子レベルまで解明した。これらの成果はTat阻害剤を開発するための重要な科学的基盤を提供した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2008年 -2009年 
    代表者 : 朝光 かおり
     
    転写因子Nuclear Factor-kB (NF-kB)は、多彩な標的遺伝子を持ち、その発現制御を通じて炎症や免疫反応など様々な生命現象の調節に関与する重要な転写因子である。その活性制御を行う分子として新規NFκB相互作用因子FKBP4を同定した。FKBP4はNFκBの転写活性を正に制御し、その効果にはHSP90が必須であった。FKBP4はHSP90とともにNFκBの核内移行を促進していると考えられる。FKBP4 によるNFκBの制御様式が明らかになるとともに、HSP90 がNFκBの転写活性化を制御するという新たな知見を得た。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 朝光 かおり
     
    転写因子NF-κBは,炎症やアポトーシスといった様々な生命現象に関与する重要な転写因子である。本研究では,NF-κBの活性制御についてさらに解析を進めるために,NF-κBサブユニットの一つp65をbaitにyeast two hybridスクリーニングを行い,新規相互作用分子としてAKIP 1を得,その作用機構について解析を行った。まず,p65とAKIP1と結合することを,in vitroとin vivoで証明し,さらにAKIP1を強発現させることによりNF-κBの核移行が促進されることを明らかにした。また,AKIP 1によりPKAcによるp65のSer276のリン酸化が亢進しており,この機構にはリン酸化が関与することが考えられた。また,NF-κB依存性転写を行う代表例としてHIV-1 LTRによる転写活性化についてルシフェラーゼアッセイで調べたところ,AKIP 1の過剰発現によりTNFによるHIV-LTRの転写活性が増強された。さらに,siRNAによってAKIP 1をノックダウンすることにより,LTRの転写活性は阻害され,NF-κBの転写活性化にAKIP 1が必要であることが明らかになった。以上の結果から,AKIP 1はPKAcによるp65のリン酸化を通じてNF-κB転写活性を正に制御することが示唆された。本分子はNF-κBの活性を負に制御する分子であるとも報告されているため,AKIP 1が刺激や細胞腫などの環境に応じてNF-κBの転写活性を正にも負にも作用するマスター分子である可能性があることが考えられる。今後慎重に検討を進める必要がある。 さらにNF-κBの制御機構を解析するために新規NF-κB阻害化合物の探索を行い,ホオノキに含まれるマグノロールがNF-κBの核移行を阻害し転写活性を抑えることを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特定領域研究
    研究期間 : 2004年 -2005年 
    代表者 : 岡本 尚; 金澤 智; 朝光 かおり
     
    遺伝子発現プロフィール解析を用いてHIV転写活性化因子Tatによって制御される宿主細胞遺伝子を検索した。その結果、活性酸素によるDNA障害を修復する酵素OGG1がTatによって誘導されることを見いだした。OGG1遺伝子プロモーター領域中のTat標的配列を検索したところ、転写因子AP-4結合領域に一致した。この配列に変異を加えたところOGG1転写活性の上昇が見られ、Tatによる転写活性化作用は消失した。クロマチン免疫沈殿法を用いて検索したところ、通常状態でAP-4はOGG1プロモーターDNAと結合しているが、Tat発現に伴い、DNAから遊離した。免疫沈降・ウエスタンブロット法で、その際にTatがAP-4と結合することを見いだした。ゲノム上の酸化DNA修飾の結果生じる8-oxo-dGの量を定量したところ、細胞ゲノム中の8-oxo-dG量は、Tat発現によって著しく低下した。HIVウイルス複製に伴って細胞内活性酸素ROSの量が増加する事と考え合わせると、TatはあらかじめOGG1を転写誘導する事によって活性酸素によって生じるDNA傷害をあらかじめ防止していると考えられた。このことは、TatがHIV感染細胞において細胞及びHIVプロウイルスDNAの遺伝情報の維持に重要な役割を演じている事を示唆した。 他方、HIV潜伏感染細胞からのウイルス増殖の誘導に宿主転写因子NF-κBが主要な役割を演じているが、NF-κB活性化カスケードに関与するIKKに対する新たな阻害剤ACHPによるHIV複製誘導阻害作用を検索した。HIV潜伏感染細にTNFなどの炎症性サイトカインを投与するとNF-κBの活性化に続いてHIV複製が誘導されるが、ACHPは細胞障害性を生じる濃度よりはるかに低濃度でHIVの増殖を阻害した(IC50値が0.5μMであるのに対してCC50値は15μMであった)。この結果は、HIV感染者においてNF-κB阻害剤投与が潜伏感染細胞からのウイルス増殖を抑え、AIDS発症予防につながることを示唆した。

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