研究者データベース

岩尾 岳洋 (イワオ タカヒロ)

  • 薬学研究科臨床薬学分野 准教授
メールアドレス: tiwaophar.nagoya-cu.ac.jp
Last Updated :2024/04/11

研究者情報

学位

  • 博士(薬学)(名古屋市立大学)

J-Global ID

研究キーワード

  • 薬物動態   消化管   毒性   iPS細胞   肝臓   

研究分野

  • ライフサイエンス / 医療薬学

学歴

  •         - 2005年   名古屋市立大学   大学院薬学研究科
  •         - 2000年   名古屋市立大学   薬学部

所属学協会

  • 日本医療薬学会   日本薬学会   日本薬物動態学会   日本薬剤師会   

研究活動情報

論文

書籍

  • 臓器チップの技術と開発動向
    岩尾岳洋; 松永民秀 (担当:共著範囲:経口投与薬物の吸収・代謝過程を模倣した小腸–肝臓連結デバイスの開発)シーエムシー出版 2018年04月
  • 薬剤学実験法 必携マニュアル —Pharmaceutical Scientistのために—
    松永民秀; 岩尾岳洋 (担当:共著範囲:多能性幹細胞(ES細胞,iPS細胞)の利用)日本薬剤学会,南江堂 2014年04月

MISC

産業財産権

受賞

  • 2018年11月 臨床薬理研究振興財団 研究大賞
     
    受賞者: 岩尾 岳洋
  • 2017年11月 日本薬物動態学会 奨励賞
     
    受賞者: 岩尾 岳洋
  • 2017年07月 日本薬学会東海支部 学術奨励賞
     
    受賞者: 岩尾 岳洋

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 松永 民秀; 岩尾 岳洋
     
    ヒトiPS細胞の腸管上皮細胞への分化誘導法について、低分子化合物や培養法の影響について詳細に検討を行った。その結果、既存の方法に対して新たな培地及び培養法を組み合わせることで、最終的に得られる腸管上皮細胞の腸管上皮細胞マーカー、薬物代謝酵素、薬物トランスポーターのmRNA発現が顕著に増加した。一方、腸管バリア機能のマーカーとして用いられる経上皮電気抵抗(TEER)値については、既存の方法で分化した細胞と比較し顕著に低いことが明らかとなった。そこで、Lucifer Yellowを用いた透過試験を行い、バリア機能の検証したところ、新規方法で分化誘導した細胞においては、既存の方法よりもよりもむしろ透過性が低いことが明らかとなった。 ヒトiPS細胞由来腸管オルガノイドを単細胞化した後に、セルカルチャーインサートの膜上に播種した。低分子化合物と培養法により、陰窩-絨毛様構造のでき方並びにその安定性に顕著な差が認められた。陰窩-絨毛様構造を有する腸管細胞におけるTEER値は、約200Ω・cm^2であり、ヒトiPS細胞より分化誘導したヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞の約800Ω・cm^2と比較して顕著に低かった。しかし、Lucifer Yellowを用いた透過試験においては約0.2×10^-6(cm/s)と顕著に低いことから、腸管バリアは十分形成されていることが確認された。 閉鎖系の三層デバイスについて、ミクロリングポンプを用いた培地の灌流実験をおこない、液漏れ等が無いこと、三層の接着強度が十分であることを確認した。そこで、培地にて30倍したマトリゲルでデバイスの細胞培養面をコーティングし、三層デバイスの最上層に小腸上皮細胞としてCaco-2細胞を播種した。また、三層目には肝細胞としてHepG2細胞を播種した。その結果、両細胞とも細胞の接着が確認できた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 堺 陽子; 松永 民秀; 長田 茂宏; 岩尾 岳洋
     
    本研究では、デバイスを使用し、ヒトiPS細胞由来小腸上皮細胞およびヒトiPS細胞由来肝細胞を用いた薬剤性胆汁鬱滞型肝毒性評価系の開発を行い、毒性評価系への応用を可能にすることを目的とする。これまでに申請者は、静置条件下かつ肝細胞単体での評価系の開発を行い、生体内を模倣した正確な予測を行うには限界があると感じていた。そこで、microphysiological system(MPS)技術の一環として、灌流型小腸-肝臓2臓器連結デバイス(デバイス)を開発した。また、ヒトiPS細胞から毛細胆管を形成した肝細胞への分化誘導法を確立している。 まず、デバイスを用いて、ヒトiPS細胞から毛細胆管形成能のある肝細胞への分化誘導を行ったが、分化途中で細胞が剥がれる現象が認められたので、デバイス上に用いる肝細胞としてヒトiPS細胞由来肝細胞の選択は断念した。そこで、PXBマウスから分離された新鮮ヒト肝細胞であるPXB細胞をデバイス上で培養したところ、14日間の培養を可能にし、毛細胆管の形成が認められた。静置および灌流によるPXB細胞を用いた胆汁うっ滞肝毒性を評価において、灌流条件下、胆汁うっ滞肝毒性を引き起こすポジティブコントロールは時間依存的なLDHの増加が認められず、評価系の確立が今後の課題となった。また、ロットの異なった数種のヒト凍結肝細胞においても、申請者が見出した培養法(Z-VAD-FMKおよびRevita含有RM-101)により短期間での毛細胆管の形成を可能にし、デバイス上において同様の形態を確認した。
  • 科学技術振興機構:
    研究期間 : 2023年 -2024年 
    代表者 : 岩尾 岳洋
     
    本課題では二次元培養腸管オルガノイドの利用による医薬品等の消化管吸収や消化管毒性評価、腸内細菌との共培養のための評価系開発を検討する。定量的な評価や適切な条件の設定をすることで、実用化レベルまで臨床予測の精度を上げることを目標とする。本課題で得られた結果をふまえ起業の可能性を検証する。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2020年04月 -2023年03月 
    代表者 : 岩尾 岳洋
     
    本年度はヒトiPS細胞から分化誘導した腸管オルガノイドが消化管障害の評価モデルとして利用可能かどうか探るため研究を進めた。まず、三次元構造体の腸管オルガノイドをセルカルチャーインサート上に播種し、二次元的に培養したまま陰窩絨毛様構造を有した状態で培養した。これに消化管障害を引き起こすことが知られている化合物を処理すると、顕微鏡観察下で形態学的に細胞への障害が認められた。また、細胞間隙経路を透過するマーカー化合物であるルシファーイエローの見かけの膜透過係数の上昇や、さまざまな腸管細胞関連の遺伝子発現の低下も認められた。これらのことから、ヒトiPS細胞由来の二次元化腸管オルガノイドは化合物や医薬品による消化管障害を評価可能なモデル系となり得ることが示唆された。また、免疫が関与する消化管障害の評価モデルとしての利用の可能性を探るための研究も行った。免疫系の細胞としては血球系の細胞株を使用した。まずはこの細胞株をリポポリサッカライドやインターフェロン-γで処理することで炎症関連のマーカー遺伝子の発現上昇や炎症性サイトカインの産生が上昇することを確認した。その後、この細胞とヒトiPS細胞由来の二次元化腸管オルガノイドを共培養し、リポポリサッカライドやインターフェロン-γで処理した。しかしながら消化管のバリア機能の指標となる経上皮電気抵抗値に有意な変化は認められなかったことから、免疫が関連する評価モデルとしての利用に向けては条件の最適化などの検討が今後さらに必要であると考えられた。また、ヒトiPS細胞から腸管上皮細胞への分化誘導に関してはこれまでの腸管上皮細胞よりも高機能な細胞の作製に成功した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2019年04月 -2022年03月 
    代表者 : 松永 民秀; 岩尾 岳洋
     
    ヒトiPS細胞の小腸上皮細胞への分化誘導法の確立として高分子化合物の影響を明らかにするために、セルロース、キチン及びジェランガム誘導体であるFP001及びFP003を腸管上皮細胞への分化誘導時に添加し、マーカー遺伝子の発現を解析することによって分化に対する影響を検討した。その結果、FP001及びセルロースの添加によりVillin1、 MDR1、PEPT1、CYP3A4及びPXRの発現上昇が認められた。また、FP001添加で小腸上皮細胞マーカー、薬物トランスポーター、薬物代謝酵素のmRNA発現が有意に増加した。さらに、Villin、PEPT1、SGL1、P-gp及びBCRPのタンパク質発現並びにCYP2C19活性も有意に増加することを明らかにした。FP001添加で細胞数の増加が認められたが、細胞周期の変動解析より細胞増殖に影響しないことが示唆された。また、老化細胞の割合とIntegrin α5が上昇したことから、細胞のアノイキスを抑制することが示唆された。FP001は、細胞・マトリクス間接着の喪失を制御し、細胞死を抑制することで、結果として小腸上皮細胞の成熟化と細胞数の増加をまねくことが示唆された。また、セルロースやジェランガムは難消化性の多糖類であり、消化管内容物として存在することから、in vitroにおいても腸管上皮細胞の機能亢進・維持に効果があることが示唆された。 腸管オルガノイドについては、これまで嚢胞状の形態であったものが、培養法の検討により浮遊培養においてもBudding と呼ばれる複雑な組織を創出することが可能となった。また、マーカーの発現及び機能も嚢胞状のものと比較して高かったことから、高機能な腸管オルガノイドの作製が可能となった。 免疫細胞としてマクロファージとの共培養系について検討を行っており、炎症性サイトカイン等の影響については今後検討する予定である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2017年04月 -2020年03月 
    代表者 : 岩尾 岳洋
     
    本研究では、ヒトiPS細胞から腸管上皮細胞の作製にあたり、有用な化合物を見出すことができた。この方法によって作製したヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞は、薬物代謝活性、CYP3A4誘導能、薬物トランスポーター活性、バリア機能を有していることが示された。また、医薬品の消化管吸収を定量的に予測するための評価系として利用可能であることも示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2016年04月 -2018年03月 
    代表者 : 松永 民秀; 岩尾 岳洋
     
    ヒトiPS細胞から腸管上皮細胞への分化誘導において、低分子化合物により腸管マーカーや薬物動態因子のmRNA発現レベルが上昇した。一方、腸管オルガノイドでは高分子化合物により腸管マーカーや薬物動態因子も高いmRNA発現あるいは活性を示した。以上の結果より、これら化合物は分化誘導において機能の向上に寄与することが示唆された。腸管オルガノイドは、抗がん剤5-FUによる濃度依存的な細胞毒性が観察され、毒性評価系として有用だと考えられた。一方、炎症性サイトカインや再生腸上皮幹細胞マーカーのmRNA発現量は増加した。 以上の結果から、これらの発現変動は細胞毒性マーカーとして有望であることが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2015年04月 -2017年03月 
    代表者 : 岩尾 岳洋
     
    本研究では、ヒトiPS細胞から作製した腸管細胞の単離および維持培養が可能であることが示された。単離した細胞は腸管幹細胞に似た細胞であり、腸管上皮細胞へ分化する能力を有していた。維持培養を行った細胞は、一定期間培養を続けても幹細胞性が維持されていた。維持培養した細胞を腸管上皮細胞に分化させると、腸管マーカーや薬物代謝酵素、薬物トランスポーターの発現が認められた。また、この細胞は薬物代謝酵素活性や薬物トランスポーターによる輸送活性を有していた。本研究における結果は、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を創薬研究で利用するにあたって、基盤となる有用な技術であると考えられる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2013年04月 -2015年03月 
    代表者 : 岩尾 岳洋
     
    本研究では、ヒトiPS細胞から腸管上皮細胞への分化の促進もしくは分化させた細胞の薬物動態学的機能の獲得に有用な低分子化合物を複数見出すことができた。これらの化合物を用いて分化させた細胞は腸管マーカーを発現しており、薬物代謝能、CYP3A4誘導能およびペプチドトランスポーターを介したペプチドの取り込み能を有していた。また、ヒトiPS細胞から分化させた腸管幹細胞は、腸管上皮細胞への分化能を維持したまま、1ヶ月程度培養することが可能であった。さらに、この細胞は凍結保存も可能であった。本研究で得られた成果は、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞の創薬研究への応用に向けて有用な知見であると考えられる。
  • 産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 探索タイプ
    研究期間 : 2014年 -2015年 
    代表者 : 岩尾 岳洋
     
    本研究課題では、ヒトiPS細胞から作製した腸管上皮細胞の培養系について最適な条件を確立することができた。また、薬物動態学的機能に関しては、取り込みおよび排出トランスポーターの輸送活性、薬物代謝酵素活性およびその誘導の評価が可能であることが示された。さらに、分化させた細胞の維持培養も長期間可能であった。これらの成果は、当初の目的をある程度達成しうるものであり、ヒトiPS細胞から作製した腸管上皮細胞を薬物動態スクリーニング系として広く産業応用する上で重要な基盤となるものと考えられる。今後はこれらの研究結果を踏まえて、腸管における薬物動態が評価可能な系の構築に関する研究を民間企業との共同研究も視野に入れて、実用化に向け引き続き進めていく予定である。

委員歴

  • 2014年 - 現在   日本薬物動態学会   代議員

その他のリンク

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