研究者データベース

中川 秀彦 (ナカガワ ヒデヒコ)

  • 薬学研究科薬化学分野 教授
メールアドレス: decophar.nagoya-cu.ac.jp
Last Updated :2024/06/14

研究者情報

学位

  • 博士(薬学)

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J-Global ID

プロフィール

  • ケミカルバイオロジー・創薬化学を専門としています。

    ケージド化合物開発、特に一酸化窒素のような無機・小分子細胞情報伝達分子のケージド化合物の開発を行っています。生体機能や疾患治療法研究等に利用可能なツール分子開発を進めたいと考えています。ケージド化合物を用いた脳内への局所NO投与による血管やグリア細胞応答などの研究を実施しました。

    また、酵素等阻害剤開発も行っています。ユニークな酵素活性を有する酵素に対して活性評価用ツール化合物や酵素阻害剤の開発を行っています。エピジェネティクス酵素の活性検出プローブを開発し阻害剤のスクリーニング研究を実施しました。

研究キーワード

  • 医薬品化学   化学プローブ   ケージド化合物   活性酸素   一酸化窒素   包括脳ネットワーク   

研究分野

  • ナノテク・材料 / ケミカルバイオロジー
  • ライフサイエンス / 薬系化学、創薬科学

経歴

  • 2013年04月 - 現在  名古屋市立大学大学院薬学研究科教授
  • 2010年10月 - 2014年03月  科学技術振興機構兼任研究員(さきがけ)
  • 2007年04月 - 2013年03月  名古屋市立大学大学院薬学研究科准教授
  • 2004年05月 - 2007年03月  名古屋市立大学大学院薬学研究科助教授
  • 2000年04月 - 2004年04月  放射線医学総合研究所主任研究員
  • 1999年10月 - 2001年03月  米国ジョンズホプキンス大学医学部客員研究員
  • 1995年09月 - 2000年03月  放射線医学総合研究所研究員
  • 1995年08月 - 1995年08月  東京大学薬学部助手
  • 1995年04月 - 1995年07月  東京大学薬学部非常勤研究員
  • 1992年04月 - 1995年03月  日本学術振興会特別研究員(DC1)

学歴

  • 1990年04月 - 1995年03月   東京大学   大学院薬学系研究科
  • 1986年04月 - 1990年03月   東京大学   薬学部

所属学協会

  • 光化学協会   電子スピンサイエンス学会   日本酸化ストレス学会   日本薬学会   日本化学会   

研究活動情報

論文

講演・口頭発表等

  • 川口充康; HAN Xiang; 家田直弥; 可野邦行; 青木淳賢; 中川秀彦
    メディシナルケミストリーシンポジウム講演要旨集 2017年10月
  • Arai Takuya; Ohno Akiko; Ozawa Toshihiko; Kurihara Masaaki; Miyaki Naoki; Nakagawa Hidehiko; Fukuhara Kiyoshi
    FREE RADICAL BIOLOGY AND MEDICINE 2016年11月
  • Akio Ojida; Hidehiko Nakagawa
    YAKUGAKU ZASSHI-JOURNAL OF THE PHARMACEUTICAL SOCIETY OF JAPAN 2016年01月 PHARMACEUTICAL SOC JAPAN
  • Naoya Ieda; Yuji Hotta; Kazunori Kimura; Naoki Miyata; Hidehiko Nakagawa
    NITRIC OXIDE-BIOLOGY AND CHEMISTRY 2014年05月 ACADEMIC PRESS INC ELSEVIER SCIENCE
  • Hidehiko Nakagawa; Naoki Fukushima; Naoya Ieda; Naoki Miyata
    NITRIC OXIDE-BIOLOGY AND CHEMISTRY 2014年05月 ACADEMIC PRESS INC ELSEVIER SCIENCE
  • Hidehiko Nakagawa; Naoki Fukushima; Naoya Ieda; Takayoshi Suzuki; Naoki Miyata
    NITRIC OXIDE-BIOLOGY AND CHEMISTRY 2014年05月 ACADEMIC PRESS INC ELSEVIER SCIENCE
  • 福原潔; 大野彰子; 中西郁夫; 今井耕平; 荒井卓也; 小澤俊彦; 中川秀彦; 宮田直樹; 松本謙一郎; 栗原正明
    日本酸化ストレス学会学術集会プログラム・抄録集 2013年06月
  • K. Aizawa; H. Nakagawa; T. Suzuki; N. Miyata
    FREE RADICAL BIOLOGY AND MEDICINE 2012年09月 ELSEVIER SCIENCE INC
  • Discovery of isozyme-selective histone deacetylase inhibitors by click chemistry  [通常講演]
    Takayoshi Suzuki; Yosuke Ota; Yuki Kasuya; Hidehiko Nakagawa; Naoki Miyata
    ABSTRACTS OF PAPERS OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY 2012年03月 AMER CHEMICAL SOC
  • Design, synthesis, and biological activity of JMJD2 histone demethylase inhibitors  [通常講演]
    Hiroki Ozasa; Takayoshi Suzuki; Shohei Hamada; Koshiki Mino; Hidehiko Nakagawa; Tamio Mizukami; Naoki Miyata
    ABSTRACTS OF PAPERS OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY 2012年03月 AMER CHEMICAL SOC
  • Design, synthesis, and biological evaluation of cyclopropylamine-based LSD1 inhibitors  [通常講演]
    Daisuke Ogasawara; Takayoshi Suzuki; Rie Ueda; Mohammed Naseer Ahmed Khan; Takuya Matsubara; Koshiki Mino; Hidehiko Nakagawa; Tamio Mizukami; Naoki Miyata
    ABSTRACTS OF PAPERS OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY 2012年03月 AMER CHEMICAL SOC
  • Discovery of SIRT2-selective inhibitors  [通常講演]
    Hideyuki Sawada; Takayoshi Suzuki; Erica Imai; Mohammed Naseer Ahmed Khan; Hidehiko Nakagawa; Naoki Miyata
    ABSTRACTS OF PAPERS OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY 2012年03月 AMER CHEMICAL SOC
  • Naova Iede; Hidehiko Nakagawa; Hiroki Tsumoto; Takayoshi Suzuki; Kiyoshi Fukuhara; Naoki Miyate
    NITRIC OXIDE-BIOLOGY AND CHEMISTRY 2010年06月 ACADEMIC PRESS INC ELSEVIER SCIENCE
  • Hidehiko Nakagawa
    NITRIC OXIDE-BIOLOGY AND CHEMISTRY 2010年06月 ACADEMIC PRESS INC ELSEVIER SCIENCE
  • Taeko Horinouchi; Hidehiko Nakagawa; Hiroki Tsumoto; Takayoshi Suzuki; Kiyoshi Fukuhara; Naoki Miyata
    NITRIC OXIDE-BIOLOGY AND CHEMISTRY 2010年06月 ACADEMIC PRESS INC ELSEVIER SCIENCE
  • Mamiko Ikeda; Hidehiko Nakagawa; Shizuka Ban; Hiroki Tsumoto; Takayoshi Suzuki; Naoki Miyata
    NITRIC OXIDE-BIOLOGY AND CHEMISTRY 2010年06月 ACADEMIC PRESS INC ELSEVIER SCIENCE
  • Peroxynitrite-induced nitration on specific residues of cytochrome c relating to caspase-cascade inactivation  [通常講演]
    H Nakagawa; N Komai; M Takusagawa; Y Miura; T Toda; T Ozawa; N Ikota
    NITRIC OXIDE-BIOLOGY AND CHEMISTRY 2004年08月 ACADEMIC PRESS INC ELSEVIER SCIENCE
  • Nitration of cytochrome C attenuates its ability for the caspase cascade activation  [通常講演]
    H Nakagawa; N Kornai; M Takusagawa; T Ozawa; N Ikota
    FREE RADICAL BIOLOGY AND MEDICINE 2002年 PERGAMON-ELSEVIER SCIENCE LTD
  • X-ray and heavy ion irradiation induce nitric oxide production in mice.  [通常講演]
    N Ikota; H Nakagawa; H Majima; T Ozawa; Y Kotake
    FREE RADICAL BIOLOGY AND MEDICINE 1999年 PERGAMON-ELSEVIER SCIENCE LTD
  • Functional modification of cytochrome C by peroxynitrite and selective inhibitors  [通常講演]
    H Nakagawa; Y Ohshima; N Ikota; S Shimizu; Y Tsujimoto; T Ozawa
    FREE RADICAL BIOLOGY AND MEDICINE 1998年 PERGAMON-ELSEVIER SCIENCE LTD
  • NEW ENDOGENOUS NONPROTEIN AMINO-ACIDS AFFECT THE LOCOMOTOR-ACTIVITY  [通常講演]
    H NAKAGAWA; S OHTA; M HIROBE
    JOURNAL OF NEUROCHEMISTRY 1995年 LIPPINCOTT-RAVEN PUBL

MISC

受賞

  • 2016年03月 日本薬学会 学術振興賞
     
    受賞者: 中川 秀彦
  • 2014年 日本酸化ストレス学会 学術賞
     光制御型活性窒素種・硫化水素供与化合物の創製 
    受賞者: 中川 秀彦

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2023年04月 -2026年03月 
    代表者 : 小阪田 泰子; 西山 雅祥; 中川 秀彦
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2021年09月 -2026年03月 
    代表者 : 中川 秀彦; 異島 優; 梅澤 啓太郎
     
    本研究では、細胞系(細胞内及び細胞表面・細胞間質)における超硫黄分子・超硫黄修飾の化学的性質、すなわち存在様態と反応性を明らかにし、超硫黄in-cellケミストリーを確立することを目指す。 今年度は、これまでの独自の知見に基づいてシステインパースルフィドに反応選択性が高いタグ化試薬を設計合成し性能を比較した。その結果、システインおよびグルタチオンとそれぞれのパースルフィド体との反応性が100倍程度異なるプローブ化合物を見出した。これをもとに細胞溶解液中のタンパク質ラベル化を行ったが、より高い反応選択性が必要であることが判明した。 また本年度は、細胞外成分、主に血清タンパクに着目し、超硫黄修飾タンパク質の存在やそれらの反応性を明らかにすべく、全酸化型超硫黄分子を定量可能なEMSP法や全還元型超硫黄分子のDTT-MB法を用いた解析を行った。酸化ストレス刺激として紫外線を用い、血清アルブミンの超硫黄分子の反応性を評価したところ、紫外線により酸化型超硫黄分子が減少し、還元型超硫黄分子が増大した。タグ化試薬を用いたMS解析やタンパク質パースルフィド化の特異的検出蛍光プローブを用いた解析によっても、還元型超硫黄分子の増大を確認した。本結果は紫外線による超硫黄分子の酸化型から還元型への変動を捉えた初の報告である。 さらに本年度は、アルキル化剤をモチーフとしたタンパク質ポリスルフィド修飾用タグ分子の構造展開を行った。具体的には、脱離能や立体障害等が異なる様々なタグ化試薬群を複数合成し、アルブミン等の精製タンパク質標品を用いてポリスルフィドへの選択性を評価し、タグ化試薬ライブラリーと反応選択性に関する構造相関を精査した。その結果、脱離能や立体障害を制御することで、ポリスルフィド基への相対的反応性を高くすることが可能となり、超硫黄プロテオミクス実現に向けて有力なタグ化試薬の分子構造の候補を見出した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2021年09月 -2026年03月 
    代表者 : 本橋 ほづみ; 赤池 孝章; 澤 智裕; 中林 孝和; 増田 真二; 潮田 亮; 斎藤 芳郎; 花岡 健二郎; 中川 秀彦; 三木 裕明; 和田 啓; 石丸 泰寛; 西田 基宏; 魏 范研
     
    2021年10月に、第1回の総括班会議を仙台で実施し、今後の領域運営の体制づくりを行った。ホームページの設定やニュースレター作成などの広報に関すること、技術支援窓口・共同研究マッチング窓口の設置、2022年10月の国際会議の企画、知財保護のための秘密保持契約を交わすための体制を構築した。また、2022年3月には、第1回の領域会議に合わせて、第2回の総括班会議を仙台で実施し、領域としてのデータ管理、データシェアリング体制の構築についての意見交換を行った。 バーチャルラボの実現のため、毎月1度、オンラインにより、すべての計画研究代表者と分担者、それぞれの研究室メンバーが参加する「領域プログレス」を実施しており、研究室ごとの最新の実験結果を領域でシェアして、活発な共同研究の推進を図ることができている。また、超硫黄分子の新しい測定技術の検討とその共有がすすみつつある。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2021年07月 -2024年03月 
    代表者 : 木村 和哲; 家田 直弥; 片岡 智哉; 中川 秀彦; 堀田 祐志
     
    下部尿路機能障害は、患者の生活の質を著しく低下させる。特に膀胱頸部や尿道の弛緩不全による尿排出障害は患者の生死に関わるため治療介入が必須となる。膀胱頸部、尿道を弛緩させる主な因子として一酸化窒素(NO)があげられる。これまでのNO製剤は、NOが標的臓器以外へも作用してしまうことや、排尿時以外にも作用してしまい薬効の開始と終了を制御できないことが問題だった。これらの点を解決するため、我々は、光応答性NOドナーに着目し研究を進めてきた。光応答性NOドナーは、光照射を利用することでNOの放出を空間的制御(3次元)と時間軸での制御(1次元)が可能という特徴を有する。これまでに我々は独自に光応答性NOドナーの開発に取り組み、最近では化合物の改良により組織透過性が高い赤色光(630-690 nm)に応答する「NORD-1」の開発に成功した。NORD-1と赤色光を用いたこれまでの研究から、膀胱頸部組織における弛緩反応の制御が可能であることを明らかにした。本研究では、NORD-1と赤色光を用いて下部尿路機能障害の治療へ応用が可能か明らかにすることを目的とし研究を進めている。 無処置のラットを用いて、in vivoでの試験を実施した。膀胱内にNORD-1を30分間貯留させ、その後排出させた。NORD-1投与後、膀胱内圧測定を実施し、途中で光照射を行った。1例で光照射に伴う減圧が確認できた。しかしながら、in vivoでの実施で再現性の取得が困難であった。そこで摘出した膀胱体部標本および膀胱頸部標本、内尿道標本を用いてIsometric tension studyによりNOに対する反応性を確認することとし、現在それぞれの反応性を検討している。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2020年04月 -2023年03月 
    代表者 : 堀田 祐志; 木村 和哲; 家田 直弥; 片岡 智哉; 中川 秀彦
     
    糖尿病や前立腺全摘手術後の患者では、NO 産生能が低下しているためPDE-5 阻害薬の効果が低いことが報告されている。これらの患者には、NO補充療法が有効と予想されるが全身への副作用から実用には至っていない。これまでに我々は光応答性NOドナーに着目し、光照射で勃起現象を制御できないか検討を進めてきた。光応答性NOドナーの開発と修正を繰り返し、最近では組織透過性が高い赤色光(630-690 nm)に応答するNOドナーである「NORD-1」の開発に成功した。さらに、NORD-1と光照射により生体(in vivo)レベルでの勃起反応を増強することにも成功した。本研究では、難治性EDに対する光応答性NOドナーと赤色光の有効性の検討をすすめることとした。 本年度は、難治性EDモデルとして初めに海綿体神経損傷EDモデルを用いた。損傷後4週目にEDモデルでは、海綿体神経刺激による海綿体内圧の上昇が低下した。このモデルに対してNORD-1を陰茎脚から投与し赤色光を照射したところ、明らかな内圧上昇の改善が見られた。このことからNORD-1と赤色光は神経障害性の難治性EDモデルの勃起機能を改善することが示唆された。次に当初予定していたもう一つのモデルであるストレプトゾトシン(STZ)投与により膵臓機能を低下させた糖尿病性EDモデルを使用してNORD-1と赤色光の効果を検討した。STZ投与後1週目で血糖値を測定し250 mg/dl以上を示す個体を使用した。STZ投与後4週目に勃起機能を陰茎海綿体内圧の測定により同様に評価した。STZ投与したラットでは海綿体内圧の上昇は明らかに減少したが、NORD-1を陰茎脚から投与し赤色光を照射したところ、明らかな内圧上昇の改善が認められた。このことから、重度糖尿病性EDモデルに対してもNORD-1と赤色光がED改善に有効であることを見出した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2019年10月 -2023年03月 
    代表者 : 中川 秀彦; 川口 充康; 家田 直弥
     
    エピジェネティック制御は近年大きな注目を集めている遺伝子発現及び細胞制御機構の1つであり、生命維持の基本的機構に関わると共に、多くの疾患に関連することが明らかになりつつある。エピジェネティック制御酵素の活性検出蛍光プローブの開発手法について検討し、各酵素特異的なイメージングプローブを開発するを目標として研究に着手した。 これまでにin vitro蛍光プローブ開発として、エピジェネティック酵素の1種であるSIRTアイソザイムについて、独自蛍光プローブの開発を進めてきた。SIRTはタンパク質リシン側鎖に生じたエピジェネティック修飾の1つであるアセチル化修飾を加水分解しアミノ基に変換する活性を有する酵素として報告されたが、アイソザイムのいくつかは脱アセチル化のみならず、脱アシル化を触媒することが近年報告された。特に長鎖脂肪酸由来のアシル基が結合したリシン側鎖の加水分解を行うことが知られ、アセチル化とアシル化の機能の違いが注目されている。 前年度までに、脱アシル化を蛍光検出するプローブの改良を行い、多様なペプチド配列および蛍光消光団を組み合わせたペプチドプローブライブラリの構築を行なった。これらのプローブはSIRTの各アイソザイムに対して異なる反応性を示し、そのうちの1つはSIRT3に優位な反応性を示すことが判明した。 本年度は、このプローブライブラリからSIRT2に良好な反応性を示すプローブを選択し、化合物ライブラリと組み合わせてスクリーニングを行うことで、SIRT2の脱ミリストリル化を効果的に阻害する阻害剤の同定に成功した。 また本年度は、脱アシル化反応阻害活性を有するペプチド性SIRT2阻害剤(本研究の過程で見出したもの)について、細胞膜透過性を付与する検討を進め環状化戦略が良好に機能することを見出した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2019年04月 -2022年03月 
    代表者 : 中川 秀彦
     
    これまでの知見を活かしてケージドNOの赤色-近赤外制御を目指して主に研究を推進し、光誘起電子移動反応(PeT)を鍵反応とするケージドNOを開発した。色素部を種々の光波長に対応するよう置換することで、600nm、650nm程度の赤色-近赤外領域の光に応答してNO放出することを示した。さらにラット大動脈切片を用いたマグヌス試験を実施し、光照射によって血管弛緩作用を再現できることを示し、またin vivoラット血管弛緩実験系を用いて光照射による血圧変化を検証することで、全身血圧に影響を与えず局所血圧を制御できることを示した。また、ナノ粒子型ケージドNOについて、有機色素を用いたNO放出に成功した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年04月 -2019年03月 
    代表者 : 中川 秀彦
     
    一酸化窒素(NO)は重要な生体因子であるが、不安定で扱いにくい。我々はケージド化合物の有用性に着目し、NOとその関連生体因子のケージド化合物を開発してきた。本研究では、これまでの成果に基づき、in vivo応用に適した新たなNOのケージド化合物を開発した。これまでに開発したN-ニトロアミノフェノール型ケージドNOの色素を変換して黄緑色光応答性ケージドNOを開発し、ex vivo応用可能であることを示した。また、ケージドNOをポリマー製ナノ粒子に封入し、ケージドNOのナノ粒子化に成功した。さらにSi-ローダミン色素を利用して赤色応答性ケージドNOを開発しex vivo応用できることを示した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年11月 -2019年03月 
    代表者 : 森 泰生; 山本 雅之; 南学 正臣; 武田 憲彦; 井上 正宏; 赤池 孝章; 西田 基宏; 浦野 泰照; 飛田 成史; 中川 秀彦; 三木 裕明; 三浦 恭子; 住本 英樹; 伊東 健; 内田 浩二
     
    国際活動支援班は、二つの観点からの成果を達成した。まず、研究成果の国際的認知の強化と、個別的な共同研究の波及的な発展の基盤となりうる国際ネットワークを構築した。第二に、個別的な国際共同研究を支援した。前者では、酸素生物分野をリードする研究者による総説特集号「Oxygen Physiology: sensors and ion channels」を、Pflugers Archiv. - European Journal of Physiology を出版した(平成28年1月号)。後者では、ヨーロッパ、北米、アジア等の大学・研究所との共同研究を展開し、成果を論文として発表した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2014年07月 -2019年03月 
    代表者 : 森 泰生; 赤池 孝章; 浦野 泰照; 飛田 成史; 山本 雅之; 中川 秀彦; 三木 裕明; 南学 正臣; 井上 正宏; 三浦 恭子; 住本 英樹; 伊東 健; 内田 浩二; 末松 誠; 曽我 朋義; 谷口 直之
     
    酸素環境を生体内の「実体」として示すことを目指し、総括班が拠点形成することにより領域全体の技術支援を強力に推進した。全体班会議では各計画・公募研究の成果報告、総括班会議では領域の運営方法、若手研究者育成、公募研究のあり方など議論した。様々な学会の年会において、シンポジウムやワークショップ、国際シンポジウムを開催し、また、活発な啓発活動により、当領域研究の重要性を国内外へ発信した。若手育成を目指し、若手研究者研究会を新学術領域「ダイイングコード」と共同で2回開催した。さらに、月刊「細胞」の特集号として、「酸素生物学 Oxygen Biology」を編集し、領域参画者が主となって章を分担執筆した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2014年07月 -2019年03月 
    代表者 : 浦野 泰照; 飛田 成史; 中川 秀彦
     
    浦野は、hROS検出生物発光プローブや過酸化水素イメージング蛍光プローブ、サルフェンサルファー・グルタチオン・ハイドロパーサルファイドをそれぞれ可逆的かつ選択的に検出可能な蛍光プローブの開発とその生細胞、in vivo動物応用を達成した。飛田は、イリジウム錯体のりん光寿命に基づいて、細胞内の酸素濃度を定量する技術の開発を達成し、マウスの腎臓・肝臓の酸素化状態のリアルタイム観測に成功した。光制御型H2S、NO放出化合物、及び光活性化型酸素消費剤分子の開発に成功した。さらに開発したプローブを用いて、本新学術領域内外での共同研究を活発に行い、酸素生物学に関する多くの新知見を得ることに成功した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年04月 -2018年03月 
    代表者 : 堀田 祐志; 木村 和哲; 家田 直弥; 片岡 智哉; 佐々木 昌一; 中川 秀彦; 矢萩 亮; 中村 大学
     
    本研究では、独自に開発した青色光に応答して一酸化窒素(NO)を放出するNOBL-1を用いて勃起制御を試みた。陰茎海綿体は白膜という結合組織により包まれており、青色光が白膜を透過できない問題点が生じた。光の透過性は波長が長い方が優れるため方針を変更し、より長波長の光によりNOを放出する化合物を新たに開発することにした。その結果、黄緑色光によりNOを放出する化合物NO-Rosa、近赤色光によりNOを放出する化合物NORD-1の二つの化合物を新たに開発することに成功した。両化合物ともに、陰茎、大動脈での弛緩反応の制御が可能であることも明らかにした。現在、両化合物の生体レベルでの応用をすすめている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年04月 -2018年03月 
    代表者 : 中川 秀彦; 家田 直弥; 川口 充康; 犬飼 雄哉
     
    本研究では、酸素分圧の影響を受けず一酸化窒素自体の反応性によって発蛍光型検出を可能とする新規蛍光プローブの開発を行った。設計・合成した化合物について、試験管内反応により一酸化窒素との反応性を検証した結果、ニトロニルニトロキシドがオレフィンリンカーを介してクマリン環3位に置換した化合物が良好な反応性を示し、酸素濃度の影響を受けず、一酸化窒素を検出できることが示された。さらに、アスコルビン酸との反応性を低下させる構造の探索を行ったところ、エチル基を導入した化合物についてアスコルビン酸との反応性の低下が見られたが、反応が完全には抑制されなかった。今後、引続く研究計画を立案し開発を継続することとした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2014年04月 -2016年03月 
    代表者 : 中川 秀彦; 家田 直弥
     
    Pin1阻害能の迅速評価が可能な蛍光性Pin1結合プローブを開発することを目標として検討を行った。具体的には、プローブ分子内蛍光性官能基が、タンパク質結合時の疎水性相互作用によって、蛍光性が変化し蛍光性が上昇する性質を目指して開発を行った。既存の阻害剤の疎水性相互作用部位に環境応答性蛍光団を導入したところ、低極性有機溶媒中での蛍光上昇が観察された。またPin1タンパク質との結合によってわずかな蛍光上昇がみられた。一方非特異的結合による蛍光上昇も観測されることが判明した。 より結合活性の高い構造を探索すべく既存化合物に変わる阻害剤探索から検討したところ、脂肪族環を有する高活性阻害剤を見いだした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2013年04月 -2016年03月 
    代表者 : 中川 秀彦; 家田 直弥; 宮田 直樹
     
    ケージドNO化合物Flu-DNB-DBを合成し、培養細胞HCT116に投与し、近赤外フェムト秒パルスレーザーを照射によりNO放出することを示した。可視光ケージドNO化合物であるRol-DNBを合成し、細胞内に投与して530-590 nmの光を照射した場合に照射位置特異的にNO放出を起こすことを示し、培養細胞内でミトコンドリアに集積することを示した。さらに、黄緑色光照射によりRol-DNBからNOが放出されDrp-1に作用してミトコンドリア分裂が促進された可能性を示唆した。NOとは異なるガス状情報伝達分子であるH2Sについて、培養細胞に適用可能なケージドH2S化合物を開発した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 宮田 直樹; 中川 秀彦; 山田 創太
     
    ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の細胞内局在性と機能発現との関連の解明を目的として、細胞内で局在的に活性を発現するHDAC阻害剤を合成した。細胞内の局所で活性を持たせる方法として光解除性ケージド化の手法を用いることとし、ケージドHDAC阻害剤の設計と合成を行った。合成したケージドHDAC阻害剤は、可視光照射により、光照射時間依存的にHDAC活性を阻害した。この結果は、光解除性ケージドHDAC阻害剤が、系外から細胞内の局所を光照射することにより細胞内局所的にHDAC阻害活性を制御しHDACの細胞内局在性と機能発現との関連の解明に役立つ有用なHDAC阻害剤となる可能性を示す。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2013年04月 -2014年03月 
    代表者 : 中川 秀彦; 家田 直弥
     
    ペプチド中のリン酸化されたセリン-プロリン結合およびトレオニン-プロリン結合を異性化する酵素Pin1の阻害剤を開発することを目指して、チオアミドを含むプロリンペプチド誘導体の開発を行った。チオアミドは、通常のプロリンアミド結合に比べて、異性化のためのアミド結合回転障壁エネルギーが高くなっており、ペプチド異性化反応が進みにくくなる効果が期待できる。Pin1酵素の基質となるペプチド様構造を有する化合物の反応点アミド結合をチオアミド結合に置換した化合物を合成し、阻害能を評価したところ、基質の競合から予想されるよりも大きい阻害能を示し、チオアミド構造が阻害に寄与することが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2011年04月 -2013年03月 
    代表者 : 中川 秀彦
     
    これまでの研究成果を基に活性酸素シグナルの解明に応用するための光制御NO類ドナーを開発する。具体的には、既に開発済みの二光子作動型NOドナーを培養細胞系に適用し、照射条件・濃度条件を検討して細胞内NO放出能を検証する。また、ミトコンドリア局在性官能基の導入によりミトコンドリア特異性を付与するとともにNO放出の高効率化を目指す。さらに、独自の光誘起反応を基に化合物を分子設計し、生理学的条件で使用可能なONOO-ドナーを開発する。培養細胞へ適用可能な光制御HNOドナー開発も目指す。上記の目標のもと、今年度は下記の結果を得た。 光制御NOドナーについては、これまでに開発した可視光作動型NOドナーFlu-DNB-DBについて、培養細胞系への適用可能性を検討した。Flu-DNB-DBを予め投与した培養細胞にNO蛍光プローブを投与し、可視光(青色)を照射したところ、NO産生を示す蛍光上昇が観察され、Flu-DNB-DBが培養細胞で可視光作動型NOドナーとして機能することが示された。本化合物での知見を基に、可視光作動型ミトコンドリア局在型光制御NOドナーの分子設計を行った。 光制御HNOドナーについては、前年度に合成した多数の自発分解型HNOドナーの誘導体から、効率のよいドナー化合物を選択し、光解除性保護基を導入することで光作動性HNOドナー開発を行った。その結果、解除光照射でドナー化合物が期待通り反応することが確かめられたが、産生されたHNOが、副生成物と反応することが判明し、光解除性保護基の改良が必要であることがわかった。また、前年度までに開発した光作動型HNOドナーについて、暗条件での一定のHNO放出がみられることを考慮しつつ培養細胞系への適用を行ったところ、光照射に依存したHNO由来細胞応答であるCGRP産生上昇を観察することができた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2010年 -2012年 
    代表者 : 中川 秀彦; 宮田 直樹; 鈴木 孝禎; 津元 裕樹
     
    有機ラジカルであるTEMPOを酸化ストレス感受性部として含み、細胞核に局在して酸化ストレスに応答する酸化ストレスプローブを合成した。本プローブは蛍光性を有することで細胞内局在が確認でき、また酸化ストレスに応答して常磁性を失うとともに、蛍光特性が変化することを培養細胞系で確認した。さらにマウスを用いた電子スピン共鳴イメージングにより組織分布を確認することができ、常磁性変化を利用した生体応用が可能であることが示された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 中川 秀彦
     
    (1)光制御NOドナー化合物の開発について:前年度に開発を進めた、ミトコンドリア特異的光制御NOドナーについて、予備的に二光子吸収による化合物の分解と一酸化窒素生成を検討したところ、760nmのパルスレーザー照射によって、効率よく分解し、一酸化窒素が生成することが示された。 (2)光制御ONOO-発生化合物の開発について:前年度に開発を進めた、一光子吸収による光誘起ONOO-放出反応を利用した、光制御ONOO-ドナー化合物、DiP-DNBについて、実際にONOO-を生成しているかを、最近開発されたONOO-特異的蛍光プローブ分子HKGreen-3を用いて確認したところ、確かにONOO-が生成していることが判明した。また、この知見を基に、異なるNO生成反応機構を持つ光制御NOドナーと、前年度までに得られたONOO-放出反応機構を組み合わせ、新たな光制御ONOO-ドナー化合物を開発した。この化合物は、前述のDiP-DNBに比較して、高いONOO-放出能を有していることが、ONOO-特異的蛍光プローブを用いた実験で明らかとなった。 (3)光制御HNOドナー化合物の開発について:先行研究で、開発した光誘起HNO放出反応を基に、細胞系に適用可能な光制御HNOドナーを開発した。さらに、このドナー化合物の光誘起HNO放出反応を精査した結果、化合物周囲の環境によって、反応性が変化することを発見した。このため、新たなHNO放出反応の探索を開始した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2008年 -2011年 
    代表者 : 宮田 直樹; 鈴木 孝禎; 中川 秀彦
     
    ヒストン修飾に関与する酵素であるヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)およびヒストン脱メチル化酵素(HDME)を対象にして、高活性かつ高選択的な阻害剤の創製研究を行った。その結果、HDACのアイソザイムであるHDAC8、SIRTおよびHDAC3など、また、HDMEのアイソザイムであるJMJD2、PHF8およびLSD1などに対する高活性かつ高選択的な阻害化合物の創製を達成した。これらの阻害剤は遺伝子発現を制御する医薬品候補化合物として有用である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2008年 
    代表者 : 中川 秀彦; 宮田 直樹; 鈴木 孝禎; 宮田 直樹; 鈴木 孝禎
     
    αシヌクレインの凝集体生成に対する酸化ストレスの影響を試験管内反応で検討することでニトロ化修飾の影響を示唆し、またこの知見から、酸化ストレス検討に有用な化合物開発を行い、機能性光誘起型NO発生剤の開発、二光子励起光誘起型NO発生剤、ニトロ化選択的活性酸素消去剤の開発、および細胞内部位特異的酸化ストレス計測プローブの開発を行い、それぞれの目的の性能を発揮することを示した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2002年 -2005年 
    代表者 : 宮田 直樹; 中川 秀彦; 鈴木 孝禎; 幸田 光復
     
    活性酸素が関与する疾病の治療薬の開発を目的として、活性酸素消去能力を有する新規ファーマコフォアの創製研究を行い、以下に示す成果を得た。 1.フラーレンの持つ抗酸化活性を有効利用する目的で、水溶性フラーレン誘導体の合成を行った。水溶性官能基として、糖鎖、ポリエーテル基、カルボン酸基などを導入した。活性酸素消去能は、ESR法、DNA切断の防御活性などで評価し、高い活性酸素消去能を有する水溶性フラーレン誘導体の創出を達成した。また、水溶性フラーレンが、MPP+が引き起こすパーキンソン病類似毒性を軽減することを明らかにした。 2.カテキン誘導体のπ電子共鳴構造を平面に固定することにより活性酸素消去能が向上することを化学計算により予測し、平面固定型カテキン誘導体を合成した。合成した平面型カテキンが、活性酸素種によるDNA切断の防御活性など優れた活性酸素消去能を有することを見いだし、新しいファーマコフォアとなることを示した。 3.エダラボンに代表されるピラゾロン骨格を有する化合物の活性酸素消去能を高める目的で構造修飾を行い、骨格変換によりエダラボンに優る活性酸素消去能を持つ化合物を見出した。 4.NOは、内因性血管拡張因子として知られている。NOを局所的に必要量放出できる化合物は、医薬品としての有用性が高い。ニトロベンゼンを母骨格とする光感応型NO放出化合物の開発に成功した。また、ピリジン-N-オキシドやポリニトロアレーンについても、構造と活性の相関を明らかにした。 5.ポリフェノール系活性酸素消去化合物として知られるレスベラトロールおよびその誘導体の活性酸素消去能および発生能を明らかにし、医薬品開発のための基礎的知見を得た。 6.細胞膜に局在し、局所的に活性酸素消去能を示す薬物の合成にも成功した。 これらの知見は、活性酸素消去能を有する新たな医薬品開発への重要な知見となる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2002年 
    代表者 : 中川 秀彦
     
    1.パーオキシナイトライト処理による細胞内カスパーゼ経路活性化能の検討 前年度にin vitroにおけるカズパーゼ-3の活性化について免疫ブロッティング法を用いて解析し、パーオキシナイトライト処理シトクロムcではカスパーゼ-3活性化能が低下していることを見いだした。本年度は神経膠芽腫培養細胞にパーオキシナイトライトを作用させた場合のカスパーゼ-3および上流経路の活性化の有無を免疫ブロッティング法、蛍光性擬似基質の切断活性により検討した。細胞生存率はパーオキシナイトライト濃度依存的に減少したにも関わらず、持続的なパーオキシナイトライト処理によりカズパーゼ-3および-9活性化が抑制されることが示された。また、短時間のパーオキシナイトライト処理ではアポトーシスが進行することが示された。これによりin vitro系に対応する現象が培養細胞系でも観察されたことになる。 2.パーオキシナイトライト処理による培養細胞内シトクロムcの修飾反応の解析 前年度の検討において、パーオキシナイトライト処理によってラット神経膠芽腫培養細胞内の12〓14kDa付近の蛋白質がニトロ化されることが明らかとなった。培養細胞のパーオキシナイトライト処理によって実際に細胞内のシトクロムcがニトロ化されるか否かを免疫沈降法を用いて検討したところ、パーオキシナイトライト処理により細胞内でシトクロムcがニトロ化されることが示された。さらにin vitro系でニトロ化されたシトクロムcを加水分解し修飾部位を検討したところ、Trp59およびTyr67を含むペプチド断片に変化が観察された。 3.無処理シトクロムcを添加した場合のカスパーゼ-3活性化能回復の可能性についての検討 パーオキシナイトライト処理神経膠芽腫細胞から細胞抽出液を調整しシトクロムcを添加してカスパーゼ-3活性化能が回復するかを検討したが、活性化は観察されなかった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2002年 
    代表者 : 伊古田 暢夫; 中川 秀彦
     
    生体が放射線や有害物質などの酸化ストレスに曝されると活性酸素などが生成し、タンパク質や核酸などの重要生体構成成分の損傷が起きる。酸化ストレスから生体を守るため、生体内の酸化還元状態を制御することをレドックス制御といい、本研究では、種々の活性酸素種(スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシラジカル)を還元的に消去する化合物を探索した。スーパーオキシド、およびヒドロキシルラジカル消去能について電子スピン共鳴法によるスピントラッピング法を用いて評価した。ペルオキシラジカル消去に関してはクメンペルオキシドラジカルの消去を直接ESRで測定した。用いた抗酸化剤は、合成フッ素化カルコン、りんご抽出物(アップルフェノン)、野菜水溶性成分、γ-トコトリエノール、カテキン、アルテピリンCのようなフェノール誘導体や、メチオニンやペニシラミンのようなチオール基を有する化合物である。ヒドロキシルラジカル消去活性に関しては、ポリフェノール誘導体やチオール基はトロロックス(水溶性ビタミンE)やグルタチオンと同等な消去活性であった。一方、スーパーオキシド消去活牲に関しては、カテキンが最も高く、次にペニシラミンのようなチオール基を有する化合物であり、茄子のような野菜の水溶性成分も消去能は高かった。またクメンパーオキサィドのようなペルオキシラジカル消去に関してはアルテピリンCはカテキンと同等の強い消去能があった。カテキンは,フェノール性の水酸基を有し,高い抗酸化活性を示すが、その消去メカニズムを、マグネシウムイオンなどの金属イオンを用いて、カテキンのフエノキシルラジカルを安定化できることを明らかにするとともに、金属イオンが電子移動過程を加速することを利用し,カテキンによるラジカル消去反応は電子移動を経由することを明らかにした。また致死量の放射線に対する種々のスピントラップ剤の防護能を調べるためマウスに8Gyの放射線を照射して30日間の生存率を調べ防護能を調べた。その結果フッ素化カルコンには効果が無く、アップルフェノン(生存率30%)およびPOBN(DRF:1.3)に中程度の放射線防御効果が認められた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1999年 -2000年 
    代表者 : 中川 秀彦
     
    パーオキシナイトライト処理及び一酸化窒素処理による神経芽細胞のミトコンドリア機能への障害作用を検討する目的で、ミトコンドリア膜電位の変化を測定した。ミトコンドリア膜電位の低下は神経芽細胞のアポトーシス様細胞死と関連があることが知られている。ミトコンドリア膜電位の変化は、膜電位に依存して細胞内に取り込まれる蛍光指示薬を使用し、細胞内の蛍光物質の相対強度をフローサイトメーターを利用して測定した。その結果、パーオキシナイトライト産生試薬処理及び一酸化窒素産生試薬を投与した細胞においては、対照群に比較してより多くの細胞でミトコンドリア膜電位が低下していることが示された。膜電位の低下した細胞数は、投与後の時間経過に伴って増大し、24時間後から48時間後に顕著となった。また、パーオキシナイトライトにより修飾されたシトクロムcについて基質酸化能を検討した。特にP450型基質酸化反応である脱メチル化反応について検討した。基質として7メトキシクマリンを、酸化剤として過酸化水素を用いて、パーオキシナイトライト修飾シトクロムcによる酸化反応を行ったところ、パーオキシナイトライト修飾されたシトクロムcでは基質酸化能が亢進していることが示された。またESRスピン補足法により同系での活性酸素種の生成が示唆された。未修飾のシトクロムcについてはp450型基質酸化反応を行うことが報告されていないことから、パーオキシナイトライト処理によって酸化還元性質が変化して新たな基質酸化能を獲得したことが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1999年 -2000年 
    代表者 : 伊古田 暢夫; 中川 秀彦
     
    活性酸素種としてスーパーオキシド(O2^-)とヒドロキシルラジカル(OH・)を、また活性窒素種としてパーオキシナイトライトについて、それらに対する消去化合物を天然物、あるいは化学合成化合物から探索した。それら化合物の消去能はスーパーオキシドとヒドロキシルラジカルに関してはDMPOを用いる電子スピン共鳴法によるスピントラッピング法、パーオキシナイトライトに関しては、チロシンのニトロ化を指標に高速液体クロマトグラフィーを用いて評価した。今回用いた抗酸化剤は、カルコン、5-メトキシトリプタミルカフェイン酸アミド、りんご抽出物(ポリフェノール混合物)、RK-160,RK-02B(甘草抽出物、フラボノイド)、トロロックス(合成水溶性ビタミンE)である。スーパーオキシドはヒポキサンチン-キサンチンオキシダーゼ系で、ヒドロキシルラジカルは、銅-エチレンジアミン/過酸化水素系で発生させた。パーオキシナイトライトはオゾンとアジ化ナトリウムから調整した。スーパーオキシドに対する消去能は5-メトキシトリプタミルカフェイン酸アミド、りんご抽出物、RK-02Bが、ヒドロキシルラジカルに対する消去能ははカルコン、5-メトキシトリプタミルカフェイン酸アミド、RK-02Bが、またパーオキシナイトライトに対する消去能は、カルコン、RK-02Bが高かった。この結果からりんご抽出物やカルコン類などのポリフェノール含有化合物、およびRK-02Bのようなフラボノイドカテコール誘導体に強い消去作用が認められた。またパーオキシナイトライトの消去能を検討している過程で、5-メトキシトリプタミンやリポ酸は、ニトロチロシンの生成は抑えたが、ジチロシンの生成を抑えず増加させるということを見いだした。パーオキシナイトライトの消去剤としてこのような性質を有する化合物は初めてである。ニトロ化のみを抑える化合物が存在することから、パーオキシナイトライトの反応活性種が、従来提案されていたヒドロキシルラジカル様化合物と二酸化窒素様ラジカル以外に別の活性種たとえばニトロニウムカチオンのような存在が示唆される。

委員歴

  • 2017年10月 - 現在   国際保健機関   国際一般名専門委員

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