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細田 直 (ホソダ ナオ)

  • 薬学研究科遺伝情報学分野 准教授
メールアドレス: hosodaphar.nagoya-cu.ac.jp
Last Updated :2024/03/19

研究者情報

学位

  • 東京大学薬学系研究科/博士(薬学)

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J-Global ID

研究キーワード

  • 翻訳   mRNA   遺伝子疾患   ナンセンス変異   

研究分野

  • ライフサイエンス / 機能生物化学

経歴

  • 2019年06月 - 現在  名古屋市立大学大学院薬学研究科准教授
  • 2011年04月 - 2019年05月  名古屋市立大学大学院薬学研究科Graduate School of Pharmaceutical Sciences講師
  • 2007年04月 - 2011年03月  名古屋市立大学大学院薬学研究科Graduate School of Pharmaceutical Sciences助教
  • 2006年06月 - 2007年03月  名古屋市立大学大学院薬学研究科Graduate School of Pharmaceutical Sciences助手
  • 2004年08月 - 2006年05月  米国ロチェスター大学医学部歯学部博士研究員
  • 2002年04月 - 2004年07月  東京大学大学院医学系研究科Graduate School of Medicine学術研究支援員

学歴

  • 1997年 - 2002年   東京大学大学院   薬学系研究科   機能薬学専攻
  •         - 1997年   東京大学   薬学部   薬学科

研究活動情報

論文

MISC

産業財産権

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2021年04月 -2025年03月 
    代表者 : 星野 真一; 稲垣 佑都; 細田 直
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2019年04月 -2022年03月 
    代表者 : 細田 直
     
    ヒト翻訳終結因子eRF3のN末端には、GGCトリプレットリピートによってコードされるグリシンリッチ領域が存在する。申請者らは、この領域がプロテアーゼにより切断されることを見出した。切断により露出したN末端配列にはアポトーシス阻害因子IAPが結合し、アポトーシスが制御されることを明らかにした。興味深いことに、正常ではこのリピート数が10もしくは11であるのに対し、12以上になると乳癌および胃癌発症率が増大することが、遺伝子多型解析により示されている。本研究では、eRF3のもつグリシンリッチ領域のプロセシング異常が癌発症を増大させる分子メカニズムの解明を試みた。
    まず、eRF3発現抑制時におけるリボソームの動態をリボソームプロファイリング法により解析した。その結果、eRF3発現抑制時において、翻訳終結反応異常により引き起こされるリボソームの終止コドン近傍における停滞、および終止コドンのリードスルーがゲノムワイドに生じており、eRF3が翻訳終結に機能することが確認された。このときのmRNA動態を解析したところポリA鎖の分解促進が認められた。eRF3は翻訳終結因子として機能するとともに、ポリA鎖分解を抑制することでmRNA分解における律速段階となるポリA鎖分解の速度を適切に保つ機能を担うことが明らかとなった。
    さらにトリプレットリピートが0-20となる複数のeRF3発現ベクターを作製し、これら一過的過剰発現が上記機能に与える効果について検証した。リピート12のeRF3発現によりこの機能が減弱する傾向は認められたものの、有意な差は得られなかった。そこでeRF3のもつプリオン性を考慮し持続的なeRF3発現がその効果に必須と予想し、CRSPR-Cas9系をもちい各種リピート数をもつeRF3の安定発現細胞株の作製を試みた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年04月 -2021年03月 
    代表者 : 星野 真一; 細田 直
     
    遺伝情報であるmRNAの3’末端にはポリA鎖が付加されており、ポリA鎖の調節が、遺伝子発現の転写後調節において中心的な役割をはたしている。これまで、独自に解明したmRNAポリA鎖分解(mRNA分解開始)の分子機構に基づいて、ポリA鎖を標的とする遺伝子発現の負の調節機構を解明してきたが、本研究においては逆にポリA鎖を伸長することによる正の遺伝子発現制御が体細胞において広く存在することを明らかにし、その普遍的な分子機構を解明することに成功した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年06月 -2019年03月 
    代表者 : 星野 真一; 細田 直
     
    ゲノムへの挿入による発がん等の危険性があるDNA医薬に代わって、そのような危険性のないmRNA医薬を遺伝子治療やiPS細胞の作製、がん免疫療法などに臨床応用する試みに期待が高まっている。しかしながら、RNAのもつ不安定性がmRNA医薬実現に向けて大きな障壁となっていた。我々は、人工mRNAの細胞内における分解機構を解明し、その分解機構を抑えmRNAを安定化する技術を開発した。iPS細胞の作製と遺伝子治療(ゲノム編集)において、その有効性を検証し、とくにゲノム編集においてその有効性が確認できた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2014年04月 -2017年03月 
    代表者 : 細田 直
     
    外因性異常RNAは、mRNA品質管理と類似の機構により速やかに分解されると想定されるが不明な点が多く残されていた。本研究では、外因性異常RNAとして、(1) RNA医薬で脚光を浴びている人工合成mRNA、(2) 1本鎖(+)鎖RNAウイルスである脳心筋炎ウイルス、について解析を行い、Dom34-GTPBPが異常mRNAの識別に、エキソヌクレアーゼ複合体およびRNaseL-OASが急速な分解に関わることを見出した。さらに、本研究で明らかとなった人工合成mRNA分解の分子機構に基づき、人工合成mRNAを安定化する方法を探索した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2013年04月 -2017年03月 
    代表者 : 星野 真一; 細田 直
     
    mRNA 3’末端ポリA鎖の調節が、遺伝子発現の転写後調節において重要な役割をはたしている。本研究では、独自に解明したmRNAポリA鎖分解の分子機構に基づいて、ポリA鎖を標的とする新しい遺伝子発現制御機構を解明することを目的として研究を行い、①癌遺伝子c-myc やグルタミン酸受容体GluR2のmRNAポリA鎖分解による負の遺伝子発現制御、②CDKインヒビターp27kip1 mRNAのポリA鎖伸長による正の遺伝子発現制御などの転写産物特異的調節機構に加え、③ストレスを代表例としてポリA鎖のグローバルな調節機構を解明した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2012年04月 -2014年03月 
    代表者 : 細田 直
     
    哺乳動物におけるノンストップmRNAの速やかな分解機構について解析を進めた。ノンストップmRNAは翻訳依存的に速やかに分解されること、エキソソーム複合体が速やかな分解に機能することを明らかにした。さらに、損傷mRNAの一形態であるin vitro合成mRNAを細胞に導入しその動態を検証した。このようなmRNAはポリA鎖の短縮化を経ずに速やかな分解を受けること、エキソソーム複合体がその分解に機能することを見出した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2009年 -2012年 
    代表者 : 星野 真一; 細田 直
     
    研究代表者はこれまで、正常なmRNAの分解が終止コドン上での翻訳終結と共役して開始されること、またG蛋白質eRF3がその制御において中心的な役割をはたしていることを証明した。本研究においては、終止コドンをもたない異常なmRNAを分解する品質管理機構(ノンストップ型mRNA分解:NSD)がヒトにおいても存在し、eRF3と相同なG蛋白質Hbs1とエキソソームがそのメカニズムにおいて不可欠な役割をはたしていることを証明した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2010年 -2011年 
    代表者 : 細田 直
     
    本研究では、哺乳動物細胞における終止コドンリードスルー型mRNA動態について解析を進めた。終止コドンリードスルー型mRNAは翻訳依存的に速やかに分解され、そこでは翻訳終結因子eRF3-eRF1に類似したHbs1-Dom34が機能することを明らかにした。また、このmRNAから産生される異常タンパク質は、E3ユビキチンリガーゼであるListerinによりユビキチンが付加され速やかに分解されることを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2008年 -2009年 
    代表者 : 細田 直; 星野 真一
     
    翻訳終結反応過程では、tRNA類似構造をとることにより終止コドンを認識するeRF1およびG蛋白質eRF3の2種類の因子が関わる。eRF3はeRF1をリボソームAサイト上の終止コドンまで運搬する機能を担う。先に当研究室では、翻訳終結反応にともない、eRF3を介してmRNA分解の律速段階である3'末端poly(A)鎖短縮化が促進されることを明らかにした。G蛋白質eRF3は、翻訳終結反応のみならず、mRNA分解を制御する役割を担う。一方、近年mRNA品質管理において機能する分解経路が明らかにされた。ナンセンスコドン介在型mRNA分解(N onsense-mediated mRNA decay ; NMD)、終止コドンリードスルー型mRNA分解(Non-stop decay ; NSD)、リボソーム停止型mRNA分解(No-go decay ; NGD)であり、いずれもリボソームのmRNA上における一時停止が分解の引き金となる。eRF3を介したmRNA分解と類似の機構がはたらくと想定されるものの、これら経路については不明な点が多く残されている。本研究では、eRF3およびその類似G蛋白質eRFSに着目して、NSDの分子機構について解析を進めた。 終止コドンをmRNA上より全て除いたレポータを作製し、哺乳動物細胞におけるNSDについて解析を行ったところ、終止コドンを持たないmRNAの速やかな分解が確認された。また、poly(A)鎖短縮化については、終止コドンを持たないmRNAと正常なmRNAとの間において顕著な差は認められなかった。eRF3およびeRFSのNSDへの関与を、siRNAを用いたノックダウンにより検討した。eRFSのノックダウンによりNSDの抑制が認められた。eRF3ではこの抑制は認められなかった。mRNAの3'から5'方向への分解にはエキソソーム複合体がその役割を担う。eRFSとエキソソーム複合体の間において相互作用が観察された。一方、eRF3においてはこの相互作用は認められなかった。哺乳動物のNSDにおいては、3'末端においてストールしたリボソームにeRFSが導入されることが引き金となっており、またeRFSはエキソソーム複合体をmRNA3'末端に導入することで終止コドンを持たないmRNAを速やかに分解すると推察された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2008年 -2008年 
    代表者 : 星野 真一; 細田 直
     
    翻訳終結因子eRF3/GSPT1のN末端にはGGCトリプレットリピートによってコードされるポリグリシンが存在し、健常人においてはこの繰り返しが10前後であるのに対し、12以上になると胃癌発症の危険率が20以上に増大する。また一方で、eRF3/GSPT1は各種ストレスによってN末端が特異的に切断され、その際露出したN末端配列がカスパーゼ阻害因子IAPと特異的に結合してカスパーゼを活性化し、アポトーシスを誘導する。従って、eRF3/GSPT1のN末端領域におけるトリプレットリピートの増大は、ストレスによるN末端の切断を阻害し、アポトーシスの誘導を阻害することにより胃癌の発症率増大を引き起こしている可能性が高い。本研究においては、このような仮説を含め、eRF3/GSPTのトリプレットリピート増幅が胃癌の発症率増大を引き起こす分子メカにズムを解明することを目的として解析を行なった。 (1)eRF3/GSPT1のトリプレットリピートアイソフォームの作製 グリシンをコードするGGCトリプレットリピートが、それぞれ0、5、10、12であるアイソフォームをPCR法を用いて作製し、細胞にトランスフェクトして細胞染色による細胞内局在性について検討した。各種アイソフォームはどれも細胞質において発現し、細胞内局在性における変化はとくにみられないことを確認した。 (2)トリプレットリピート多型性がeRF3/GSPT1による遺伝子発現制御におよぼす影響の検討 eRF3/GSPT1のトリプレットリピートアイソフォームをβグロビンのレポーター遺伝子とともにHeLa細胞に遺伝子導入をおこない、細胞内での過剰発現がβグロビンの遺伝子発現に与える影響について検討した。その結果、どのアイソフォームにおいてもβグロビンの発現量に変動は観察されなかった。 (3)トリプレットリピート多型性がストレスによるeRF3/GSPT1N末端領域の切断に及ぼす影響 eRF3/GSPT1のトリプレットリピートアイソフォームをHeLa細胞に遺伝子導入し、アミノ酸飢餓ストレスを加えた際に観察されるN末端の切断活性について検討を行なった。その結果、正常なリピートをもつGly11に対して胃癌発症率が増大するGly12の場合においてN末端の切断効率が低下することが観察された。 なお、本研究は新学術領域研究の採択に伴い廃止したため約8ヶ月間の研究期間で行なったものである。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 細田 直
     
    蛋白質コード領域内にナンセンスコドンが存在する場合、細胞はそのようなナンセンスコドンをもつ異常なmRNAを選択的に分解し排除するナンセンスコドン介在型mRNA分解(nonsense-mediated mRNA decay; NMD)を備えている。NMDにおいて、長らく、スプライシングと共役してmRNA上に付加されるEJCが必須と考えられてきた。しかしながら近年EJCに依存しないNMDの存在が明らかにされた。レトロウイルスに代表されるRNAウイルスは、イントロン配列をゲノム上にもたないことが知られている。この「EJC非依存型NMD」はイントロンを持たないウイルスゲノムRNAを排除するために存在するという仮説を立て解析を行った。 イントロンをもたないβグロビン遺伝子では、イントロンをもつβグロビン遺伝子と比較して、ナンセンスコドンがもたらすこれらmRNA分解の程度は弱いものであった。意外なことに、ナンセンスコドンの有無に関わらず、イントロンをもたないβグロビン遺伝子より産生されたmRNAは、イントロンをもつβグロビン遺伝子より産生されたmRNAと比較して、急速に分解された。さらに、この分解過程はmRNA分解の律速段階であるpoly(A)短縮化過程を促進することによって引き起こされることを、poly(A)短縮化酵素のドミナントネガティブ変異体を用いた解析、および高解像度Nothern法をもちいたpoly(A)鎖長解析により明らかにした。 イントロンをもたないウイルスゲノムRNAを選択的かつ速やかに排除する防御機構は、ウイルスゲノムRNAが内在性にもつナンセンスコドンではなく、イントロンをもたないという構造に起因することが示唆された。

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