日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2020年04月 -2023年03月
代表者 : 惠谷 俊紀; 河合 憲康; 内木 綾; 永井 隆; 安藤 亮介; 飯田 啓太郎; 安井 孝周; 内木 拓; 野崎 哲史
(1)LSD1の発現プロファイルの検討:前立腺癌患者における臨床検体を用いて、悪性度(Gleason score)ごとのLSD1発現の変化について検討した。Gleason score 3,4,5の各群でLSD1発現を免疫染色で定量化し比較したところ、悪性度の高い癌においてLSD1が高発現していることが確認された。Gleason scoreの高い癌は臨床においても治療抵抗性になりやすく、かつ転移をきたしやすいため、悪性度が高く癌性疼痛の原因になりやすい癌ほどLSD1の発現が高いことから、LSD1の癌性疼痛の標的としての可能性が示唆された。
(2)in vivoにおいて去勢がLSD1発現に与える影響の検討:本学において樹立した、ラット由来前立腺癌細胞株PCai1を用いて検討した。PCai1をCharcoal stripped mediumで長期間培養し、去勢抵抗性前立腺癌細胞株PCai1-CSを作成した。ウェスタンブロットを用いてPCai1とPCai1-CSにおけるLSD1発現を検討したところ、去勢によるLSD1発現の大きな変化は認めなかった。これは昨年度の臨床検体を用いた検討の結果とも一致しており、LSD1は去勢抵抗性の獲得の段階にかかわらず癌性疼痛の治療標的となりうる可能性が示唆された。
(3) 液体高速クロマトグラフ質量分析器(LC-MS)を用いたホルムアルデヒド検出の検討:前年度の蛍光を用いた検出方法よりさらに低濃度のホルムアルデヒドを高精度に検出する方法を確立するために、本学に導入されたLC-MSシステム(LC-MS8030 島津製作所)を用いて、ホルムアルデヒドの計測を試みた。除タンパクや誘導体化につき条件設定を行い、in vitroの条件でホルムアルデヒド試薬を用いてホルムアルデヒドが検出可能なことを確認できた。