日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2020年04月 -2023年03月
代表者 : 下平 政史; 中川 基生; 富田 夏夫; 荒井 信行; 河合 辰哉; 菅 博人; 小澤 良之
本研究における研究実施計画書を作成し、研究倫理審査委員会の承認を得た。次に、ファントム実験のための脈動ポンプを購入し、初期実験を行った。この結果、脈動ポンプを使用すれば、肺動脈の血流を十分に再現できることが明らかとなった。ファントムの作成に必要な機材も購入済みであり、今後、どのようなファントムが適切であるかを検証し、ファントム作成に取り組む。ファントムが作成されれば、上記の脈動ポンプと組み合わせ、ファントムの本実験を行う。その後、さらに検証を重ね、ファントムを用いたMRAの撮影実験を行い、至適プロトコールを構築していく。次の段階として、コイルをファントム内に留置し、仮想の塞栓後の肺動静脈奇形モデルおよび再開通を生じた肺動静脈奇形モデルを作成し、再発診断への応用の可能性を検討する。
一方、これまでの経験をもとに非造影MRAのプロトコールを作成・ブラッシュアップし、これまでに3例の肺動静脈奇形の塞栓術前の症例にて撮影を実施した。いずれも問題なく検査を完遂することができた。結果として、造影剤を使用するTime resoloved MR angiography (TR-MRA)との比較では、3例中2例は、非造影MRAの画像はTR-MRAの画像に比し、優位に不良であった。これは、患者の年齢や呼吸状態により息止めが十分に得られず、画質に影響したものと考えられる。一方、残りの1例では、TR-MRAに遜色のない画像が得られた。これにより条件が整えば、非造影でも十分な画像が得られる可能性が示唆された。
今後はファントム実験を進め、至適プロトコールを探るとともに、臨床にて症例集積し、さらなるデータの集積に努める。