Arthroscopy : the journal of arthroscopic & related surgery : official publication of the Arthroscopy Association of North America and the International Arthroscopy Association 2024年04月
Gen Kuroyanagi; Naga Suresh Adapala; Ryosuke Yamaguchi; Nobuhiro Kamiya; Zhuo Deng; Olumide Aruwajoye; Michael Kutschke; Elena Chen; Chanhee Jo; Yinshi Ren; Harry K W Kim
H Tokuda; K Kato; H Natsume; A Kondo; G Kuroyanagi; R Matsushima-Nishiwaki; Y Ito; T Otsuka; O Kozawa Journal of molecular endocrinology 49 (1) 47 -55 2012年08月
小児大腿骨頭壊死症は学童期に発症する難病で大腿骨頭の変形・圧潰により歩行・生活困難となる。また、30歳代から早期の変形性関節症をきたし、股関節痛に生涯苦しむ。病態の発症ならびに進行の機序は不明であり有効な治療法はない。申請者は2009年より本疾患の研究を開始し科研費を活用した結果、多角的な研究手法(ヒト-動物-細胞)により、①骨壊死モデルマウスの開発(CORR 2015)、②患者関節液中のインターロイキン-6(IL-6)蛋白濃度の高値(JBMR 2015)、③IL-6産生源は骨壊死周囲の関節軟骨である(JBJS Am 2016)、④IL-6欠損マウスで骨壊死後修復が促進する(Bone 2018)ことを報告してきた。本研究は申請者が開発した骨壊死モデルマウスを用い、本疾患の分子病態にIL-6が大きく関与しているか、を問うものである。IL-6レセプターの中和抗体をマウスに投与することにより、壊死の進行が抑制され、かつ、病巣の骨形成が促進した結果を得ている(Osteoarthritis and Cartilage 2019)。さらに、IL-6の上流として、炎症性起因物質(DAMPs)や白血球(特に好中球やマクロファージ)の解析を行った。結果として、骨壊死部には死細胞から放出される炎症起因物質(DAMPs)の一つであるHMGB1が多く存在していることを同定した。さらに、HMGB1が壊死部から周囲の関節軟骨に働きかけて軟骨細胞からのIL-6分泌が促進されている結果を世界に先駆けて新たに報告した(JBMR Plus 2021)。また、海外の研究機関と共同研究を推進し、IL-6受容体に対する中和抗体が病態の進行を抑制する可能性について骨壊死ブタモデルを用いて検討・報告した(JBMR 2021)。さらに、骨壊死後の修復過程が発症年齢により大きく異なる可能性についても動物モデルを用いて検討・報告した(J Orthop Res 2021)。今後さらに、本疾患に関与する病態メカニズムをIL-6を中心に解析予定である。