日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2021年04月 -2024年03月
代表者 : 太田 悠平
酵素の作用でレドックス応答分子を放出するプローブを開発し、生体計測用電子スピン共鳴 (in vivo ESR)法および磁気共鳴画像化法(MRI)を駆使して、非侵襲的にレドックス情報を得る系を確立する。そのために本年度は、酵素によって切断される部位と環状ヒドロキシルアミンを含むプローブの合成を行なった。当初、ニトロキシドを還元し、ヒドロキシルアミンに変換させた後、ベンジル位に脱離基を有する基質と反応させることで、目的物を合成しようと試みた。しかしながら、その合成法では全く反応しないか、基質が壊れるかで目的物を得ることができなかった。また、分子設計を変更し、ヒドロキシルアミンを炭酸エステル、カルバミン酸エステル様の構造で結合させた化合物を合成したが、最終生成物が不安定であり、合成には至らなかった。当初のヒドロキシルアミンをSN2反応でアルキル化する方法ではなく、ニトロキシドと臭化物をカップリングさせ、結合させる方法を模索した。いくつか合成方法を検討する中で、銅および適切なリガンド存在下、六員環ニトロキシドおよび酵素切断部位を有する臭化ベンジル誘導体を反応させることで、収率が低いながらも目的物を得ることができた。