日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2019年04月 -2025年03月
代表者 : 竹下 啓蔵; 國安 明彦; 太田 悠平; 岡崎 祥子
前年度、反応前のニトロキシルラジカル(SL)のESRシグナルのブロード化を検討するため、MMP基質ペプチドPVGLIGとポリエーテルアミン(Jeffamine)の間にCys残基を入れて架橋剤N-succinimidyl 3-maleimidopropionate を介してタンパク質のアミノ基へ直接結合させた。しかし、結合させるタンパク質にウシ血清アルブミン(分子量66000)、チログロビン(MW660000)のいずれを用いてもシグナルのブロード化は達成できず、MMP-2による切断実験でも高々2倍程度のシグナル増加しか見られなかった。そこで、次のようにタンパク質への結合に加えて常磁性物質Gd(III)を導入して、ブロード化を図った。
PVGLIGとポリエーテルアミンの間にCys残基を入れたペプチ(SL-PVGLIGC-Jeffamine)に、N-succinimidyl 3-maleimidopropionate を用いてヒト血清アルブミン(HSA)に結合させた。これにdiethylenetriamine-N,N.N’,N”,N”-pentaacetic acid(DTPA)無水物を反応させてJeffamineのアミノ基にDTPAを結合させ、さらにガドリニウム(Gd(III))をキレートさせて、新たなMMP検出プローブを合成した。このプローブのSL含量をESRで、Gd(III)導入量をMRIでそれぞれ定量したところ、SL/HSAモル比は1.5、Gd(III)/SL モル比は0.11であり、水溶液では依然シグナルがシャープであった。しかし、MMP-2と反応させたところ、120分のインキュベーションでESRシグナルが反応前の約5倍にMMP-2未添加の場合と比較して約2.5倍に増加した。